関東大震災 神奈川県内の朝鮮人虐殺犠牲者 新文書に記載の145人悼む 横浜で市民ら300人
2024年9月8日 07時16分
関東大震災後の朝鮮人虐殺による県内での犠牲者を悼む追悼会が7日、横浜市西区の久保山墓地であり、市民ら300人が集った。民間団体と学者らが調査し、昨年新たに公表した県内の虐殺記録文書に基づき、145人の被害内容を初めて声に出して読んだ。
「9月2日午後11時、(横浜)市内中村町1366先で6名が虐殺された。氏名不詳、男26歳ぐらい、労働者風」…。
読み上げに用いた文書は1923年11月、当時の県知事が内務省に宛てた「震災に伴う朝鮮人並に支那人に関する犯罪及び保護状況其他調査の件」で、145人の被害を記録している。追悼会を主催する実行委員会のメンバーたちは、30分かけて内容を朗読。145人のうち大半は氏名不詳で、氏名の記載は14人。名前を紹介して慰霊した。
実行委共同代表の山本すみ子さん(85)は「死が抹殺され、隠蔽(いんぺい)されてきた。名前を呼び、氏名不詳と呼ぶことで、会いにいきます」と語り、埋もれていた犠牲者たちの魂に寄り添った。山本さんらは昨年9月に新文書を公表した後、県にも調査を求めたが応じていないとして「行政に事実を認めさせていくことが大事」と強調した。
その後、市内に住む在日3世の舞踊家曺和仙(チョウファソン)さんは追悼の舞を披露し、川崎市から来たラッパーFUNIさんも登壇。FUNIさんは、加害の歴史を否定する風潮などを歌詞にしたラップを歌い「自分の中のジェノサイド(民族大量虐殺)を考えてほしい」と呼びかけた。
会の終盤、会場内へ陶器が投げ込まれて砕け散り、破片で参加者1人が顔に擦り傷を負う事件があり、一時騒然となった。陶器を投げた男は「集会の音がうるさくて投げた。集会の内容は知らない」と話し、暴行の疑いで戸部署に逮捕された。(森田真奈子)
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