中学校社会 公民/外国での政府のしくみ
日本の議院内閣制は、イギリスの制度にならったものである。世界の多くの国では、民主主義で国民からの投票によって議員が選ばれるが、そうでない国もある。
大まかな傾向
[編集]国によって異なるが、「大統領」と「首相」は異なる役職である。一般的に、国王のいない国では、「大統領」が国家元首である。「首相」は、行政府の長のことを指す。
例えばフランスは、大統領と首相の両方が存在する。ドイツも同様に、大統領と首相が存在する。大統領と首相、どちらが政治の実権を握っているかは、国によって異なる。
なお、アメリカ合衆国には、大統領とは別の「首相」は存在しない。
国際的な通例では、国王がいる国では、国王が国家元首である。イギリスでは、チャールズ3世国王が国家元首である。しかし国王は政治の実権は握っていない。イギリスで政治の実権を握っているのは首相である。
このように、国家元首だからといって、政治の実権を握っているかどうかは別問題である。
外国での議院内閣制および大統領制
[編集]アメリカ
[編集]アメリカ合衆国は民主主義の国である。
アメリカでは行政の最高責任者の選挙は議会によらず、事実上は国民によって直接に選ばれる大統領(だいとうりょう)が行政の長になるという大統領制の国である。(実際はアメリカ国民が大統領選挙人を選ぶ。この選挙人は議会とは異なる。)
アメリカの場合、議会には大統領の不信任決議権が無く、また大統領にも議会の解散権が無い。このように議会と大統領が独立している。したがって、議会の意見と大統領の意見とが対立することもある。
アメリカでは、法律の立法は、議会だけが立法権を持ち、大統領には立法権は無い。大統領には、議会が提案した法案への法案拒否権(ほうあん きょひけん)がある。大統領は議会には議席を持たない。
議会は上院(じょういん)と下院(かいん)からなる。副大統領は上院議長を兼任する。
選挙権は18歳以上から。
※ (範囲外:) アメリカ合衆国についての政治の解説ではよく、政治が二大政党(にだいせいとう)の国だと言われている。「民主党」(みんしゅとう)という政党と、「共和党」(きょうわとう)という二つの大きな政党が、アメリカにはあり、よくニュースなどでも、この2つの政党の動向が紹介されるが、これら以外にもアメリカ合衆国には小規模な政党(第三党)が多くあり、決して二大政党制はアメリカでは制度化されたものではない。
イギリス
[編集]イギリスは民主主義の国である。
イギリスは立憲君主制(りっけん くんしゅせい)であり、国王を元首(げんしゅ)としている。2022年9月にエリザベス2世が逝去し、チャールズ3世が即位した。国王には、ほとんど権限が無い。イギリスの議会は、上院の貴族院(きぞくいん)と下院の庶民院(しょみんいん)とからなる二院制である。下院は、国民からの選挙で議員が選ばれ、全体的に下院のほうが上院よりも権限が強い。
内閣は下院で多数を占める党から選ばれるのが一般的で、首相は、その多数を占める党の党首であることが一般的である。議会が首相を指名し、国王は首相を任命する。
選挙権は18歳以上から。
中国(北京政府)
[編集]中華人民共和国は、中国共産党が政治権力を握っている社会主義の国である。国民からの議院の直接選挙は無く、事実上は中国共産党が権力を握っており、一党独裁制を導入している。
日本の国会に相当する機関は、全国人民代表大会(ぜんこく じんみん だいひょう たいかい)である。略して全人大(ぜんじんだい)という。
権力分立はしておらず、立法、司法、行政の三権は共産党の指導下に置かれている。