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'''アレース'''もしくは'''アーレース'''({{lang|grc|'''Ἄρης'''}}, ''Arēs'')は、[[ギリシア神話]]に登場する神で、戦を司る。[[ゼウス]]と[[ヘーラー]]の子とされる。[[オリュンポス十二神]]の一柱。アイオリス方言では'''アレウス'''もしくは'''アーレウス'''({{lang|grc|'''Ἄρευς'''}}, ''Areus'')とも。[[日本語]]では[[長母音]]を省略して'''アレス'''とも呼び、表記される。聖獣は[[オオカミ]]、[[イノシシ]]。
'''アレース'''もしくは'''アーレース'''({{lang|grc|'''Ἄρης'''}}, ''Arēs'')は、[[ギリシア神話]]に登場する神で、戦を司る。[[ゼウス]]と[[ヘーラー]]の子とされる。[[オリュンポス十二神]]の一柱。アイオリス方言では'''アレウス'''もしくは'''アーレウス'''({{lang|grc|'''Ἄρευς'''}}, ''Areus'')とも。[[日本語]]では[[長母音]]を省略して'''アレス'''とも呼び、表記される。聖獣は[[オオカミ]]、[[イノシシ]]。


本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表す[[アテーナー]]に対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す。
本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表す[[アテーナー]]に対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す。その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であった


==神話==
==神話==
[[ディオメーデース]]などの人間に敗北したり、巨人の兄弟[[アローアダイ]]([[オートス]]と[[エピアルテース]])により[[青銅]]の[[壺]]の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない。これはアレースの好戦的な神格が[[ギリシャ人|ギリシア人]]にとって不評だったこと、主に[[古代ギリシア|ギリシア]]にとって蛮地である[[トラーキア]]で崇拝されていたことによる。
[[ディオメーデース]]などの人間に敗北したり、巨人の兄弟[[アローアダイ]]([[オートス]]と[[エピアルテース]])により[[青銅]]の[[壺]]の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない。これはアレースの好戦的な神格が[[ギリシャ人|ギリシア人]]にとって不評だったこと、主に[[古代ギリシア|ギリシア]]にとって蛮地である[[トラーキア]]で崇拝されていたことによる。

基本的に神々の中では嫌われているが、妻の[[アプロディーテー]]や従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が[[冥界]]の住人を増やす事につながる事から、冥界の王・[[ハーデース]]とは交際がある。

戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、[[青銅]]の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った。


男神の中では1、2を争う程の美貌を持っている。
男神の中では1、2を争う程の美貌を持っている。

[[ポセイドーン]]の息子の1人・[[ハリロティオース]]がアレースの娘[[アルキッぺー]]を犯し、激怒したアレースはハリロティオースを撲殺した。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかける事を主張し、それを認められた。こうして[[アレースの丘]]で世界初の裁判が開かれる事になった。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった。


==係累==
==係累==
[[ヘーパイストス]]の妻である[[アプロディーテー]]を恋人とし、[[ポボス]](フォボス、敗走)と[[デイモス]](恐慌)の兄弟、娘[[ハルモニアー]]の父となった。[[エロース]]をアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである。他にも、[[アマゾーン]]をはじめとする多くの蛮族の父である。
[[ヘーパイストス]]の妻であるアプロディーテーを恋人とし、[[ポボス]](フォボス、敗走)と[[デイモス]](恐慌)の兄弟、娘[[ハルモニアー]]の父となった。[[エロース]]をアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである。他にも、[[アマゾーン]]をはじめとする多くの蛮族の父である。


また、[[エリス (ギリシア神話)|エリス]]や[[エニューオー]]も彼の従者であり一般的には妹とされているが、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。
また、[[エリス (ギリシア神話)|エリス]]や[[エニューオー]]も彼の従者であり一般的には妹とされているが、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。

2011年6月12日 (日) 05:48時点における版

アレース

アレースもしくはアーレースἌρης, Arēs)は、ギリシア神話に登場する神で、戦を司る。ゼウスヘーラーの子とされる。オリュンポス十二神の一柱。アイオリス方言ではアレウスもしくはアーレウスἌρευς, Areus)とも。日本語では長母音を省略してアレスとも呼び、表記される。聖獣はオオカミイノシシ

本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す。その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であった。

神話

ディオメーデースなどの人間に敗北したり、巨人の兄弟アローアダイオートスエピアルテース)により青銅の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、主にギリシアにとって蛮地であるトラーキアで崇拝されていたことによる。

基本的に神々の中では嫌われているが、妻のアプロディーテーや従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が冥界の住人を増やす事につながる事から、冥界の王・ハーデースとは交際がある。

戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、青銅の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った。

男神の中では1、2を争う程の美貌を持っている。

ポセイドーンの息子の1人・ハリロティオースがアレースの娘アルキッぺーを犯し、激怒したアレースはハリロティオースを撲殺した。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかける事を主張し、それを認められた。こうしてアレースの丘で世界初の裁判が開かれる事になった。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった。

係累

ヘーパイストスの妻であるアプロディーテーを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアーの父となった。エロースをアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである。他にも、アマゾーンをはじめとする多くの蛮族の父である。

また、エリスエニューオーも彼の従者であり一般的には妹とされているが、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。

命名

ローマ神話マールスに相当し、また火星と同一視される。このため火星と同様に赤く輝く天体であるさそり座のα星はアンタレス(アンチ・アレス、アレスに対抗する者の意)と呼ばれている。火星の衛星フォボスダイモスはアレースの子の名から採られている。

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