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「ドラゴンクエストVI 幻の大地」の版間の差分

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同作は、[[ドラゴンクエストV|V]]までと違い、オリジナル版が発売されてからリメイク版が発売されるまで最も長い期間を要した。かつて発売元の[[スクエアエニックス]]が[[ドラゴンクエストVII|VII]]や[[ドラゴンクエストVIII|VIII]]の発売以降も同社ホームページにて当作が'''ドラクエ史上最高の名作'''と記載していたことがあり、実際にドラクエファンの間でも当作をシリーズ最高作に挙げる者は多い。そのため、当作のリメイク版が発売されないことが'''ドラクエ史上最大の謎'''とされていた時期もある。


== 概要 ==
== 概要 ==

2010年1月28日 (木) 03:33時点における版

ドラゴンクエストシリーズ > ドラゴンクエストVI 幻の大地
ドラゴンクエストVI 幻の大地
Dragon Quest VI: Realms of Reverie
ゲーム
ゲームジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 スーパーファミコン
開発元 ハートビート
発売元 エニックス
メディア 32Mbitロムカセット
バッテリーバックアップ搭載)
プレイ人数 1人
発売日 1995年12月9日
売上本数 約320万本
セーブファイル数 3
スタッフ
関連作品
テンプレート - ノート

ドラゴンクエストVI 幻の大地』(ドラゴンクエストシックス まぼろしのだいち)は、エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売されたゲームソフト。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。

日本国内において、1995年12月9日スーパーファミコン(以降SFC)用ソフトとして発売された。2007年8月には、リメイク版であるニンテンドーDS(以下DS)版の発売が発表された[1]。その後、2年ほど続報が無かったが、2009年9月に画面写真やキャラクターイラストが公開され[2]東京ゲームショウ2009にてプレイ体験の実施が行なわれた。2010年1月28日に発売された。[3]

SNES(日本国外版スーパーファミコン)版は発売されなかったが、日本国外ではニンテンドーDS版が北米で "Dragon Quest VI: Realms of Reverie" として、欧州では「VI」を除いた "Dragon Quest: Realms of Reverie" として発売が予定されている。

同作は、Vまでと違い、オリジナル版が発売されてからリメイク版が発売されるまで最も長い期間を要した。かつて発売元のスクエアエニックスVIIVIIIの発売以降も同社ホームページにて当作がドラクエ史上最高の名作と記載していたことがあり、実際にドラクエファンの間でも当作をシリーズ最高作に挙げる者は多い。そのため、当作のリメイク版が発売されないことがドラクエ史上最大の謎とされていた時期もある。

概要

ドラゴンクエストシリーズの第6作であり、スーパーファミコンで発売された最後の本編作品。新しい転職システムや、2つの世界を何度も往復するシナリオが取り入れられた作品である。発売時に宣伝で使用されたキャッチコピーは「DQ(ドラクエ)を越えるのは、DQだけ 」。

天空シリーズ」の3作目として位置づけられている。本作のテーマは“発見”であり、2つの大きなワールドマップ(パラレル)が存在し、主人公たちは2つの世界を行き来しながら冒険を進める。複数のワールドマップが存在するRPGはそれまでにも登場していたが、それらは、序盤は主人公の住んでいる世界だけを移動でき、ストーリーが進むことによって舞台がほかの世界へ移動するという形式が多かった(『ドラゴンクエストIII』『ドラゴンクエストV』など)。しかし本作では、ゲーム序盤から2つの世界を行き来しながらストーリーが進行するという試みが取り入れられている。

シナリオの進行に伴い、頻繁に町の住人たちの台詞が変化するようになっている。これは住人達の会話内容からも生活感を出したいという堀井の考えによるもので、本作以前から実装を考えていたもの。本編のボリューム増加にも合わせ、シナリオのテキスト量はそれまでのシリーズ最長の4,000ページに及んでいる(前作は2,800ページ程)[4]

開発会社がチュンソフトからハートビートに変わり、これによるシステム面の改変点もあり、リメイク作を含めた以降の作品に継承されたものも多い。32メガビットという当時としては大容量のROMが採用され、町やフィールドなどのグラフィック面において、前作までと比べリアルさが増した。また、シリーズで初めてとなる専用サウンドドライバの採用により、オーケストラに近いサウンドがSFC上で実現した。しかしそのクオリティの高い音楽に反して、サウンド面においての使用容量は2メガビット以下に抑えられており、これはサウンドエンジニアの技術が大きく貢献しているとすぎやまから語られている[4]

SFC版の発売後には、本作のストーリーに基づいた漫画ドラゴンクエスト 幻の大地』(神崎まさおみ作)が連載され、このほかにゲームブック化、小説化、ドラマCD化も行われている(それぞれ小説ドラゴンクエストゲームブックドラゴンクエストCDシアター ドラゴンクエストを参照)。また、本作の登場人物「テリー」の幼年時代を描いたスピンオフ作品として『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』が1998年に発売された。

ゲームシステム

自由度

前作はほとんどストーリーの流れに沿った順番でしかゲームを進行できなかった。しかし、前作より自由度の高かった『ドラゴンクエスト』・『II』を『ドラゴンクエストI・II』としてリメイクしたことをきっかけに、本作でも自由度を大切にするというコンセプトで作ることになったという[5]。物語中盤以降は次の目的地が明確に示されず、行動できる範囲をさ迷ううちに新しい“発見”ができるという構造となっている。特に海底に行く手段を得た後は、どの順番でもシナリオを攻略できるようになっている。

移動画面

城や町、ダンジョンなどのグラフィックが前作と比べてリアル化した。キャラクター移動に関しても、町やダンジョンの中では移動スピードが前作までの倍になり、パーティーの先頭キャラクターが画面の中央に固定されなくなる、扉は対応する鍵を持っていれば自動的に開けられるようになるなどの点が変更されている。

『ドラゴンクエストIV』や『V』と同様に馬車システムが登場したが、『IV』や『V』と違い、本作では馬車が入れないダンジョンでも、移動中であれば、馬車で待機しているキャラクターの呪文・アイテムをいつでも使うことができる。

本作からは井戸を調べることで井戸の内部に入れるようになった[6]。どの井戸でも入ることができ、時にはストーリーを進める上で重要な場所になることもあるが、井戸を調べたときに「いどまじん」などのトラップモンスターが出現することもある。

本作ではイベント内で夜のシーンになることはあるが、シナリオの複雑さの関係上[7]、『ドラゴンクエストIII』から『V』までのようなフィールド上を歩くことで昼から夜に時間が移り変わるというシステムは廃止された。

ふくろ
従来の作品に存在した「預かり所」に代わり、アイテムを何種類でも保管し持ち歩くことができる「ふくろ」(大きなふくろ)が初登場した。移動中には必要なときにアイテムを出し入れでき、装備品以外の持ち物を一度にふくろに入れるコマンドも登場した。戦闘中はふくろを使用できず、本作では移動中であってもふくろの中の道具を直接使用できないので、使うアイテムはふくろから出しておく必要がある[8][注 1]。「ふくろ」の登場に伴い、従来の作品の「預かり所」はアイテムを預ける機能が不要となったため、ゴールド(貨幣)のみを預ける「ゴールド銀行」となった[9]
会話の記憶
重要な話のメモの手間の軽減を図るため、会話の直後にボタンを押すことによって町の人が話したことを記憶し、必要なときに主人公の特技「おもいだす」で記憶した会話内容を閲覧できるシステムが導入された。主人公のレベルが上がると、思い出せるメッセージの量の増加、不要なメッセージの削除もできるようになる[6]。ゲーム中でも、謎を解くのにこのシステムを活かせる場面が用意されている。
世界地図
フィールドの世界地図に新機能が搭載された(ただし下の世界の「ふしぎなちず」のみ)。今までに行ったことのがない場所はグレー1色で表示され、訪れるとそのエリアに色が付く。これによりまだ訪れていない場所が一目でわかるようになった。

乗り物

馬車を除くと6種類の乗り物が登場し、中には「ひょうたん島」や「空飛ぶベッド」のような風変わりなものもある。また、「あわあわ船」により、ドラゴンクエストシリーズで初めて海底の冒険が可能になった[10]

  • 神の船 - 下の世界で登場。乗り込むことにより、水上を移動する。ただし、プレイヤーが自由に利用できるようになるのは、ムドーを倒してからである。
  • 動く島(ひょうたん島) - 上の世界で登場。水上を動くひょうたん型の島。乗り込むことにより水上を移動する。航海中にBボタンを押すと島の上を歩くことができ、宿屋に泊まることもできる。
  • 空飛ぶベッド - 上の世界で登場。乗り込むことにより平坦な地形の上を低空飛行する。持ち運びはできない。
  • あわあわ船 - 下の世界で神の船乗船中に「マーメイドハープ」を使うことにより、船を泡に包み、海中に潜る。これによって浅瀬や橋の下を通ることもできる。
  • 魔法のじゅうたん - アイテム「まほうのじゅうたん」を使うことにより、平坦な地形の上を低空飛行する。空飛ぶベッドと違い、アイテムとして持ち運べるため、上の世界・下の世界で使用可能。
  • ペガサス - 馬車で陸上を移動中に「てんまのたづな」を使うことにより、馬車の馬が翼で空を飛ぶ。上の世界・下の世界の上空を飛行可能であるほか、重要な特殊能力を持っている。

プレイヤーキャラクター

前作と同様、プレイヤーキャラクターには人間のキャラクターと仲間モンスターが存在する。

人間のキャラクターはシナリオの進行にしたがって増加していくが、中にはアモス(後述)のように、プレイヤーの行動によっては仲間にすることのできないキャラクターも存在する。前作と異なり、一度パーティーに加わった人間キャラクターはそれ以降、エンディングまで別れる(パーティーに加えられなくなる)ことは無い。物語中盤以降は、町にある施設「ルイーダの酒場」で、主人公とバーバラを除くキャラクターを自由に入れ替えることができるようになる[11]。本作のルイーダの酒場は人間のキャラクター・仲間モンスター共通となっている。

また本作では、「命名神マリナンに仕える神官」に会うことにより、キャラクターや「ふくろ」の名前をゲームの途中で変更することができる。ただし、すでに使われている名前(まだ仲間にしていないキャラクター・モンスターや重要人物も含む)に変更することはできない。また、不適切な名前(罵倒するような名前、同じ文字を4つ並べた名前や下ネタ)にしようとすると神官から警告を受け、それにも従わず命名すると、再度名前を変更する際に5000ゴールドが必要となる。

ステータスには「かっこよさ」が初登場し[12]、その高さを競うイベント「ベストドレッサーコンテスト」(後述)も登場した。代わりに「うんのよさ」のステータスが廃止された。「かっこよさ」は容姿の端麗なキャラクターやかわいいモンスターほど数値が高く、武骨な外見のキャラクターや醜悪なモンスターなどは数値が低い。主に装備している武器・防具によって上下させることができる。武器・防具を磨いて「かっこよさ」を上昇させる「おしゃれな鍛冶屋[注 2]も存在する[13]

仲間モンスター

前作同様、一部のモンスターは戦闘勝利後にプレイヤーの判断で仲間にすることができる。ただし、本作では「まものつかい」の職業の者が戦闘に参加していなければ、モンスターが戦闘後に起き上がることはない[14]。また、特定の出現場所でしか仲間に出来ないモンスターも存在する。

本作では仲間モンスターも人間のキャラクターと同様、転職が可能である。パーティーに加えられるモンスターの種類は18種、数はルイーダの店に預けられたモンスターを含め15匹(イベントで仲間になるモンスターを除く)までと、前作に比べ規模が縮小された[14]

DS版では戦闘によってモンスターを仲間にするシステムは廃止された。代わりにマップ上にいるスライムが仲間になる。

職業・転職

本作の各プレイヤーキャラクターには「職業」が設定されている。ゲーム序盤は何の職業にも就いていない状態だが、中盤以降では転職によって新たな職に就いて戦闘経験を重ねることで、さまざまな呪文・特技を習得できる。職業は、条件なしで転職できる基本職9種と、一定条件を満たすことで転職できる上級職9種の合計18種がある。上級職のうち6種は特定のいくつかの基本職をマスターすることで転職でき、勇者は特定の4つの上級職のうち、主人公はいずれか1つ、他キャラクターはその全てをマスターすることで転職できる。残りの2種は隠し職業といわれ、「さとり」を入手することで転職できる。前作から登場した「特技」が本作では格段に増え、特定の職業で経験を積むことによって人間・モンスターに関係なくさまざまな呪文・特技を覚えることができるようになった[15]

「転職」は『ドラゴンクエストIII』でも登場しているが、『III』ではまず職業ありきで能力値とその成長が規定されるのに対し、今作ではキャラクターのHPMPなどの能力値を無職での値を基準に規定の倍率で変化させるものとなっており、装備可能なアイテムが変化したり、レベルが1に戻ったりすることはないなど、システムとしては別物である。前の職業で覚えた呪文・特技を忘れることはないが、盗賊の「アイテムを盗む」などの職業の特性は失われる[15]

従来作品から存在するキャラクターのレベルや経験値とは別に、職業ごとの「熟練度」があり、戦闘回数をこなすことによって上昇する。そして熟練度が一定値に達すると「職業レベル」が上昇するとともに新たな呪文・特技を習得し、上級職では特殊な能力が備わることもある。職業レベルは職業ごとの独特の呼称および★の数で表され(ステータス画面で確認可能)、8になるとその職業をマスターしたことになる。明らかに自分たちより弱いモンスターしか出現しない場所での戦闘は戦闘回数にカウントされないが、ゲームに登場する全ダンジョンのうちおよそ半分(ゲーム後半で登場するダンジョン)は、たとえ最高レベル(99)であっても熟練度を上げることができる。一度その職業をやめても、その時点までの職業経験はそのまま残る[15]

キャラクターの元々のステータスの傾向と照らし合わせ、同じ職業でも向き不向きが存在する。このため、転職が必ずしもキャラクターの個性を変えるものではなく、キャラクターに見合った職にしないとステータスの補正に苦労する場合がある。

職業一覧

[15]

※解説文中の呪文についての詳細はドラゴンクエストシリーズの呪文体系を、特技についての詳細はドラゴンクエストシリーズの特技一覧を参照。

  • 無職 - 「職業に就かない」という選択も可能。一度何らかの職に就いたとしても、元の無職の状態に戻ることができる。職業特有の呪文や特技を覚えることはできないが、ステータス的に有利な場合もある。
  • 基本職
    • 戦士 - 剣術系特技を覚える。
    • 武闘家 - 格闘系の特技を覚えるほか、会心の一撃が出やすい。
    • 魔法使い - 攻撃呪文(初級・中級)や補助呪文を覚える。
    • 僧侶 - バギ・ザキ系攻撃呪文や補助呪文、回復呪文を覚える。
    • 踊り子 - さまざまな踊り系の特技を覚えるほか、打撃攻撃による回避率が上昇する。
    • 盗賊 - 戦闘後に宝物を盗めるようになる。移動に便利な呪文、特技を覚える。
    • 魔物使い - 戦闘後に一部モンスターを仲間に加えることができる。ブレス系特技を中心に覚える。DS版では魔物マスターという名称に変わる。ただし魔物を仲間にすることはできない。
    • 商人 - 戦闘後に追加ゴールドを得ることができる。
    • 遊び人 - 戦闘中に勝手に遊んでしまうことがある。
  • 上級職
    • バトルマスター - 戦士と武闘家をマスターすると転職可。主に物理攻撃系の特技を覚える。戦闘中、敵の攻撃を打ち払って回避することがあり、その率は職業レベルに応じて上昇する。
    • 魔法戦士 - 戦士と魔法使いをマスターすると転職可。属性付き剣技を中心に覚え、最終的に高威力の単体攻撃「メラゾーマ」を覚える。
    • パラディン - 武闘家と僧侶をマスターすると転職可。真空・自己犠牲系などの呪文・特技を覚え、ステータスも下降値が存在せず勇者と遜色ない。打撃攻撃で敵を即死させることがあり、その確率は職業レベルに応じる。
    • 賢者 - 魔法使いと僧侶をマスターすると転職可。最上級攻撃呪文や補助呪文、回復呪文を覚え、精霊の召喚もできるようになる。呪文・特技の消費MPが職業レベルに応じて減少し、マスターすると半分になる(全MPを消費する「マダンテ」「メガザル」を除く)。
    • レンジャー - 盗賊・魔物使い・商人をマスターすると転職可。自然を利用した特技を覚える。特技はMPを消費しないものばかりだが失敗する可能性もある。「にげる」の成功率が職業レベルに応じて上昇する。
    • スーパースター - 踊り子と遊び人をマスターすると転職可。かなり前線で活躍できる踊り系特技を覚える。時々敵が見とれて1ターン休みになることがあり、職業レベルが上がるに連れてその確率が高くなる。
    • 勇者 - 究極の職業。主人公はバトルマスター・賢者・レンジャー・スーパースターのうちどれか1つをマスターすると転職可。ほかのキャラクターはこれらの4職業を全てマスターすると転職可。強力な呪文・特技等を覚える。戦闘中HPが自動的に回復するようになり、回復量は職業レベルに応じる。無職時と比べて全能力要素が同じか優れているため、全能力要素が最大まで成長したとしても無職よりも勇者の方が常に優れている。
  • 隠し職業
    • ドラゴン - 「ドラゴンのさとり」を持っていると転職可。ブレス系特技を覚える。職業レベルが上がると、敵が「驚き戸惑う」ことで味方パーティーが先制攻撃できる確率が上昇する。
    • はぐれメタル - 「はぐれのさとり」を持っていると転職可。ただし、入手方法の関係上、クリア後にならないと転職不可能。MPを消費する強力な特技を覚える。熟練するとモンスターのはぐれメタルと同じく呪文・特技を全く受け付けなくなる。

戦闘

戦闘画面は前作ではウィンドウ内にモンスターが表示されていたが、本作では画面全体が背景付きの戦闘専用の画面に移行する形式となり、ほとんどの敵モンスターが行動時にアニメーションをするようになった(ただし最終ボス以外は効果音を伴わない)。また、各キャラクターごとの個別コマンドが「こうげき・じゅもん・とくぎ・どうぐ・そうび・ぼうぎょ」の6つとなった[16]

戦闘に参加できる最大人数は4人。作戦は、本作から「じゅもんせつやく」が廃止され、新作戦「おれにまかせろ」が登場。これは、敵への攻撃を主人公中心とし、ほかのキャラクターは主人公のサポートに徹する作戦と説明されている[17]が、実際はAIが主人公の強化よりも敵の妨害を優先する。また本作では戦闘中にリアルタイムでAIが行動を決めるようになったため、すばやさが遅いキャラクターが有利になる面もある。AI自体も敵の弱点やHPを最初から見破り、有効かつ最大の攻撃のみを選択するようにプログラムされているため、プレーヤー操作よりも効率よくキャラクターが行動することもある反面、攻撃パターンが機械的になりがちである[注 3]。ただし、本作のボスキャラクターの中には、仲間のAIの能力を上回る判断をするものも存在する[18]

戦闘終了後、フィールドのBGMは最初に戻らず、戦闘に入る直前の箇所から流れるように変更された(ムーアの城は例外)。以後の作品でも、ゲームボーイ版作品とニンテンドーDS版『IV』以外は同様の仕様となる。

サブゲーム・コレクション

ベストドレッサーコンテスト
「かっこよさ」を競うコンテスト。8つのランクがあり、最初はランク1からの挑戦となる。コンテストで1等賞を取れば賞品を獲得でき、ひとつ上のランクのコンテストに挑戦できる。ランクによっては、男性限定・女性限定やモンスター限定のランクもある。上のランクになるほどクリアに必要な「かっこよさ」の値は上昇していく。また、同じ種類の武器・防具を揃えるなど、コーディネイトによってはボーナスポイントが評価点にプラスされる場合もある[19]。主催はカルバン・ジャンポルテという富豪。ランク3の賞品は、入手しないとストーリーを進めることができないキーアイテムである。
スライム格闘場
スライム系の仲間モンスターを参加させることができる格闘場。オーナーはスラッジという老人。各ランクで優勝すれば賞品がもらえる。参加するスライムは1匹で戦い、3連戦勝ち抜きで優勝(ランクHでは3連戦とチャンプ戦に勝てば優勝)となる。格闘場での戦闘中の指示はできず、一定ターンが経過すると疲れ果てて強制敗北となる。「ランクA」が最も弱く「ランクH」が最も強いランクとなっており、「ランクH」以外は2度優勝するまで挑戦することができるが、2度目の挑戦では開始時のHPとMPが半分となるハンデがつく[20]
カジノ
専用のコインを購入し、それを使ってミニゲームに挑戦し、獲得したコインを景品に交換できる。本作ではポーカースロットマシンの2ゲーム。スロットマシンではリーチアクションやボーナスゲームが追加されている。本作からは複数の場所にカジノが存在するようになり、場所によってスロットマシンの台数やレート、ポーカーでのダブルアップのルール、景品が異なる[21]
ちいさなメダル
メダル王に持っていくと褒美がもらえる「ちいさなメダル」は、主人公たちが持っているメダルとアイテムを交換する(交換するとその分のメダルがなくなる)方式であった『ドラゴンクエストIV』『V』とは異なり、集めたメダルの累計が一定枚数に達することにより新たなアイテムがもらえる方式となっている。以降発売される本編作品でもリメイク版『V』以外は同様の方式となる。

ニンテンドーDS版

ゲーム:ドラゴンクエストVI 幻の大地
(ニンテンドーDS版)
対応機種 ニンテンドーDS
開発元 アルテピアッツァ
発売元 スクウェア・エニックス
メディア DSカード
プレイ人数 1人
発売日 2010年1月28日
レイティング CERO: A
セーブファイル数 3
テンプレート - ノート

物語


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


他のシリーズ作品との関連

本作は『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』に続く「天空シリーズ」の3作目として位置づけられている。本作の夢の世界に登場する「クラウド城」は、『IV』『V』に登場した「天空城」と構造がほぼ同じであるが、ストーリー中に「天空の」という言葉は登場せず、『IV』『V』と本作の間の時系列もはっきりと説明されているわけではなく、『I』『II』『III』のロトシリーズのように繋がりが明確に分かるようにはなっていない。また、本作にはロトシリーズで登場した精霊と同名のルビスが登場するが、ロトシリーズのルビスと同一の精霊なのかどうかは明らかにされていない。

世界設定

本作ではゲーム開始直後から2つの世界を行き来することができ、ストーリー中盤まではこの2つの世界を何度も行き来しながらシナリオを進めていくこととなる。この2世界は地面に開いた大穴やフィールド上の階段によって行き来でき、物理的に重なっていると捉えることができることから、公式ガイドブックでは上の世界下の世界と呼ばれているが、ストーリーを進めると上の世界が夢の世界、下の世界が現実の世界であることが判明する。両世界に点在する井戸を利用することによっての世界間移動もでき、イベントで別のものが出入り口になることもある。瞬間移動の呪文「ルーラ」や道具「キメラのつばさ」では世界をまたがっての移動はできない。

アモールやライフコッド、クリアベールなど、夢と現実の2つの世界に共通して存在する場所もある。これらの場所では、一方の世界で何か変化が起きると、もう一方の世界でもそれに合わせた変化が起きるようになっている。またこれ以外の場所でも、夢の世界の事件を解決することで現実の世界での眠り病が治ったり、現実の世界のとある夢を見ている老人の家と夢の世界のシエーナの町が地図上でほぼ一致する位置に存在することから、プレイヤーがシエーナの町の正体を推測することができるなど、数々の「発見」をすることができるようになっている。

この2世界のほか、終盤でははざまの世界という第3の世界が登場する。また、下の世界では地上のほかに海底のフィールドマップもあり、本作では実質的に4つのフィールドマップが存在する。

夢の世界(上の世界)
現実の世界の住人たちが見ている夢である。オープニング終了後、冒険はまずこちらの世界から始まり、後にストーリーが進むと、この世界が夢の世界であるということが判明する。世界地図で見ると大陸全体が丸い形になっていることが特徴で、草原の色が若干暗い。
現実の世界(下の世界)
ストーリー上の本来の世界である。物語のはじめ、夢の世界からは本作のサブタイトルにもなっている「幻の大地」と呼ばれる。夢の世界の者が大穴などを通ってこの世界を訪れた場合は、「ゆめみのしずく」という液体を身体に振り掛けない限り、この世界の人間からは姿が見えない(声は聞こえる)[注 4]。ただし、夢をも侵攻せしめる大魔王デスタムーアの尖兵である魔物は、夢の世界の者も見ることができる。こちらは世界地図で見ると大陸全体が四角くなっていることが特徴で、草原の色は上の世界に比べると明るくなっている。地上や海上のほか、海中に潜ることもできる(海中では「ルーラ」等は使用不可)。
はざまの世界
デスタムーアによって作り上げられた、夢と現実の狭間をさまよう暗黒の世界。現実の世界や夢の世界に住んでいた何人もの人々が、大魔王の手によってこの世界に取り込まれている。自らの力で行くには、ペガサスの力を借りなければならない。訪れた人間は絶望によりみな腑抜け状態になるため、初回訪問時はパーティー全員の最大HPが1、ほかの全ステータスが0になる(ストーリーを進めることによって元に戻る)。主人公たちが初め訪れる部分はこの世界の「仮の姿」であり、魔王の幻術を解かない限り「真の姿」を見ることはできない。また、この世界では魔法のじゅうたんや天馬の手綱は使えない。

国家・都市・建造物など

  • 2世界に共通して存在する国・都市
    • ライフコッド - レイドックから北方の山にある村。村の民芸品は木彫り細工と絹織物。毎年、山の精霊を祭る村祭りが行われる。夢の世界では冒険のスタート地点であり、主人公はここで妹ターニアと一緒に暮らしていることになっている。現実の世界では村人たちはよそ者に対して冷たく、主人公の命を狙うデスタムーアの手先に襲われることとなる。
    • レイドック - 世界のほぼ中心にある王国。現実の世界では王子が行方不明となり、王と王妃は1日中眠りから覚めないが、実は主人公がこの国の王子である。夢の世界では、現実のシェーラ王妃がレイドック王となっており、日夜寝ることなく治めている。
    • アモール - レイドックから西方、清水の流れる川沿いに作られている町。回復アイテム「アモールのみず」の産地。夢の世界では、岩山で隔てられておりレイドックから徒歩では行けず、現実世界のアモールからイベントにより訪れることになる。現実世界の教会では元盗賊のジーナが手伝いとしてひっそりと暮らしているが、彼女の悪夢が夢の世界にも影響を与えている。なお、以降の作品(『VIII』など)にも「アモールの水」というアイテム自体は登場する。
    • クリアベール - 南の大陸にある町。夢の世界では、現実の少年ジョンが夢見る「空飛ぶベッド」が見られ、名物となっていたが、現実世界でジョンが幼くして亡くなったために、見られなくなった。
    • グレイス - 伝説の悪魔を呼び出し、魔王を滅ぼさんとしていた王国。「その悪魔に人間が襲われない確証など無い」と召喚の儀式に異を唱える国民も少なくなかったが、王の独断で強引に実行される。結果、国民の心配は的中。召喚した悪魔を制御することが出来ず、城は滅ぼされた。夢の世界のグレイス城はこの崩壊の瞬間が永遠に繰り返されている。現実世界に残った廃墟のグレイス城は、毒の沼地に侵食され、城の土台しか残っていないが、地下には伝説の鎧がある。
  • 4つの封印 - 下記は、クラウド城を除いて、いずれも現実世界では魔王によって滅ぼされた場所であるが、多くの人の心の中に残ったため夢の世界では存在しつづけた。しかし魔王にとっては脅威となるため、建物や町ごと封印され、その跡地は現実の世界に通じる大穴となった。海上に穴のあるカルベローナ以外では、飛び降りることで現実の世界に行くことができる。これらは封印した張本人を倒すことによって穴が塞がり、もとの建物・町が復活する。
    • ダーマ神殿 - 職をつかさどる神殿。現実世界では廃墟となっている。夢の世界では、勇者となる者が現れるのを防ぐべく、ムドーによって封印された。井戸から夢と現実の世界を移動できる。
    • メダル王の城 - シエーナの北西にある小さな城。「ちいさなメダル」を集める王がいる。勇者一行が強力な武具を手に入れるのを防ぐべく、ジャミラスによって封印された。
    • カルベローナ - クリアベールの西の沖に浮かぶ島の魔法都市であり、バーバラの出身地。伝説の魔法「マダンテ」を使いこなすものが現れるのを防ぐべく、海の魔王グラコスによって封印された。
    • クラウド城[注 5] - 夢の世界を束ねるゼニス王の住まう城。夢の世界の南東部に位置する。勇者一行がはざまの世界へ来るのを防ぐべく封印されるはずだったが、デュランによって城ごと乗っ取られ、ヘルクラウド城となっている。下層には「希望の卵」と呼ばれる巨大な卵があり、この世界の未来が生まれてくるらしい。
  • 夢の世界のみに存在する都市・建造物
    • シエーナ - ライフコッドの南にある町。年に一度バザーが開催される。またライフコッドの村祭りで使われる「精霊の冠」を作る職人が住んでいる。現実世界に住むある老人の夢。DS版ではマルシェという名称に変わる。
    • カルカド - 世界北東部にある島の砂漠の中の町。水が枯れるなど町は困窮状態にあり、町の中では「しあわせの国」のうわさが絶えない。
    • 地底魔城 - レイドックから南東方向にある、夢の世界のムドーが住まう地底の城。
    • 占いの館 - 道に迷った時に助言をくれる占い師が住んでいる。
    • 魔術師の塔 - クリアベール北の大砂漠にある塔。魔術師ミラルゴが住む。入口の扉は、ある呪文を唱えないと開かない。
    • スライム格闘場 - スライムの調教師スラッジの設立した、スライム系モンスターだけが出場できる格闘場。スライム系しか入れない部屋もある。
  • 現実の世界のみに存在する国家・都市・建造物
    • トルッカ - 世界北西の島にある町。現実世界で最初に訪れることになる。
    • サンマリーノ - 港町で、ハッサンの出身地でもある。レイドックへの定期船が出ており、カジノもある。近くには夢占い師グランマーズの独居がある。
    • ゲントの村 - 癒しの力を持つ「ゲント族」の暮らしている村。チャモロの出身地。村の奥のドックには「神の船」が祭られており、昇降設備により直接水路に出られるようになっている。
    • モンストル - 戦士アモスによって魔物から救われた町であり、アモスは町の英雄となっている。
    • アークボルト - 世界北東部にある国。王は城の東にある旅の洞窟に巣くう魔物を退治させるため、強い者を募っている。
    • ホルストック - 南の大陸にある国。国を治めるホルテン王は、王家のしきたりである洗礼を受けたがらない悪戯好きの王子ホルスに手を焼いている。城の東には初代ホルストック王が作ったホルコッタの村がある。
    • フォーン城 - レイドックの南方にある、フォーン王の治める城。邪悪な魔術師ミラルゴによって姫が鏡に封じ込められており、その姫が「カガミ姫」として有名になっている。水門の鍵を管理している。
    • ペスカニ - 海岸沿いにある漁村で、村には洞窟もある。村に住む凄腕の漁師ロブは、かつて自分を助けた人魚のディーネに届けるために魚屋の残り少ない魚を買い占めたり、彼女が村人に見つかるのを恐れるあまり乱暴な態度を取っている。
    • マウントスノー - ザム神官の住む雪国の町。町の人はゴランという老人を除いて、その地を守る雪女ユリナによって氷漬けにされた。北の洞窟には伝説の剣があり、その封印を解く術を知るのは村に住むザム神官のみである。
    • ロンガデセオ - ならず者の町。パスがないと入ることができない。劇場やカジノがあり、伝説の鍛冶屋コブレの娘サリイが住んでいる。
    • ザクソン - ライフコッドの東方の山奥にある村。防具職人のクラーク・エンデの家があるが、エンデは姿を消してしまっている。店などはない。
    • ガンディーノ - 世界南東部の島にある国。先代の王は暴君だったが現在は新たな王によって善政が敷かれている。ミレーユ・テリー姉弟が幼少時を過ごした国であり、現在でも養父母が住んでいる。先代の王の時代、ミレーユはここで奴隷となっていた。城下町の地下にはかつて国を脅かしていたギンドロ組のアジトがある。
    • ポセイドン城 - 海の王ポセイドンの城。かつて、大賢者が訪れたこともあるという。ポセイドンは自分に取って代わって海を支配するグラコスを不快に思っている。
    • ムドーの城 - 現実世界のムドーの居城。レイドックの東の海に浮かぶ島にそびえている。ムドーを倒すまでは、一度入るとムドーを倒すか全滅するかしないと外に出ることはできない。
  • はざまの世界の町・建造物
    • 絶望の町 - はざまの世界で最初に訪れる町。大魔王によって現実の世界から取り込まれた人々が住んでおり、ザクソン村のエンデもここに暮らしている。人々は希望を失い、無気力となっている。主人公たちの行動によって活気が蘇った後は、人々から「希望の町」と呼ばれるようになる(正式名称は変化しない)。西には、現実世界への戻り口が隠されたヘルハーブ温泉があるが、強い意志を持たぬ人間は一層無気力になる。
    • 欲望の町 - 活気に満ち溢れているが、その正体は「欲望」である。大賢者が付けた名前があったと言われるが、その名を覚えている者は1人もいない。欲望の名の通りカジノもある。ここに住む大富豪モルガンは大賢者の残した宝について詳しいが、情報料として高額な金を要求する。実は牢獄の町の兵士に贈賄しており、密かにデスタムーアに通じている。
    • 牢獄の町 - 魔王の右腕アクバーの支配する、牢獄を中心とした建造物。はざまの世界に取り込まれた罪のない人間たちが囚われている。牢獄内には町のような場所があるが、売り買いできる店などは無い。囚われている人々はある程度の自治は認められているが、常にギロチンの恐怖に怯えている。奥深くには賢者クリムトが捕らえられている。
    • 嘆きの牢獄 - 大魔王デスタムーアの居城のすぐ南にある古い牢獄。大賢者マサールが捕らえられている。
  • 隠しダンジョン - クリア後、特定の条件を満たすと入ることのできるダンジョン。地形は既存のダンジョンからの流用。途中にはライフコッドとほぼ同じ構造のデスコッドの村がある。過去のシリーズ作品に登場したトルネコ、マーニャ、サンチョとグランバニア王子・王女と思われる人物たちが登場し、それ以外の住人はほとんど魔物だが主人公たちを襲うことはない。ダンジョン最深部にはダークドレアムの祭壇がある。

ストーリー概要

本作ではオープニングにおいていきなり、従来の作品での最終目的であった魔王との対決が行われる。結果主人公たちは敗れ、その後場面は一転して山奥の村ライフコッドのベッドから転げ落ちているという演出がある。このオープニングが夢なのか真実なのかはストーリーを進めていくことで明らかになっていく。

オープニング終了後、主人公は村長の依頼で、村祭りに必要な道具を取りに行くことになるが、その過程で主人公は大地に開いた大穴に落ちて別の世界へ。その世界では奇妙な体験をし、元の世界のライフコッドで話を聞くとその世界が「幻の大地」といわれることがわかる。村祭りで精霊のお告げを聞いた主人公は、出会った仲間たちとともに魔王ムドー討伐の鍵となる「ラーの鏡」を探索する。そしてラーの鏡を発見して上の世界に戻るとムドーとの対決があり、勝利すると上の世界と下の世界の正体と関係(詳しくは上述)が明かされる。そして現実世界で真のムドーに戦いを挑む。

ムドーを倒した後は、本当の自分自身を見つける旅、いわゆる「自分探しの旅」が始まる。この後はどこへ行けとの指示を出されることは無く、以降しばらくは現在行くことのできる地域を順番に辿り、そこで起きる事件や出来事を解決していく形でストーリーが進む。海底探索が可能になった後は行動範囲が広がり、4つの「伝説の武具」を集めることとなる。その過程で主人公は自分自身を見つけるという目標を達成する。

伝説の武具をすべて揃えた後、神の城で大魔王デスタムーアの存在が明かされる。そしてはざまの世界へと向かい、大魔王との最終決戦に挑む。

登場キャラクター

この節では、ゲーム作品本編内で語られる設定を中心に記述する。なお以下の解説文中の呪文についてはドラゴンクエストシリーズの呪文体系、ステータスについてはドラゴンクエストシリーズ#ステータス(かっこよさについては本記事の解説)を参照。

主人公と仲間たち

前作同様、ステータス画面には肩書きが存在しており、進行によって現実世界でのキャラクターの姿が明らかになると肩書きも変化する。説明文中の《 》はそのキャラクターの肩書き(ゲーム中ではかな文字で表記される)。

以下の6人は、物語の中心となる存在で、シナリオ進行上必ずパーティーに加わるキャラクターである。

主人公[注 6]
ライフコッドでターニアという妹と暮らしている17歳の《村の少年》。村祭りで山の精霊からの啓示を受け、自分、そして世界の本当の姿を知る旅に出る。
現実世界での姿は《レイドック王子》。両親がムドーの術により眠りから覚めなくなった後、ハッサンやミレーユとともにムドー討伐に出かける。だが、ムドーの術により、心(意識)が本体から分離。意識だけを夢の世界に飛ばされた。後に現実のライフコッドにて本体と意識体が融合するが、ハッサンやミレーユよりも意識と本体の離れていた時間が長かったため、完全に本来の自分を取り戻すことはできなかった。(小説版やCDシアター・4コママンガ劇場などでは、融合前の性格でほぼ統一されている)かつて幼い頃に実の妹[注 7]を病で亡くしている。
ルイーダの店に預けることはできない。HP・ちからがやや高めではあるが、ほかのステータスも低くはない万能タイプ。「ラミアスの剣」を始めとした伝説の武具を唯一装備可能なほか、主人公のみ勇者への転職条件が特別扱いになっている。また「デイン」系の呪文と特技に耐性を持つ。
IX』では、服装が装備品として登場する。
ハッサン
《旅の武闘家》。21歳。レイドック城の兵士に志願し、その後主人公とともに旅をする。
現実世界での姿はサンマリーノの《大工の息子》だが、大工仕事を嫌って家出し、憧れていた武闘家として名を揚げようと、魔王ムドーと戦っているというレイドックにやって来て、城の中庭で主人公と出会う。その後主人公やミレーユとともにムドーに挑んだが、本体はムドーの術で石にされ、心(意識)が夢の世界へと飛んだ。後にムドーの城で本体と意識体が融合する。本人は大工仕事を嫌ってはいるが、父親に厳しく教え込まれているらしく、本人の意思に反してひとりでに体が動くほど大工仕事を得意としている。世界を救った後は原点へと立ち返り、一人前の大工を目指し修行を始める。
MPとすばやさが低いが、ちからとHPは主人公を上回る高さを持つ。特にHPの高さはトップクラスだが、かっこよさは低い。
DS版『IV』(ジャンプフェスタ2008ですれちがい大使として配信)、『IX』(東京ゲームショウ2009と2009年『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードII』の2大会で先行配信、一般配信日は未定)にゲストキャラクターとして登場。
ミレーユ
夢占い師の老婆グランマーズのもとで働く22歳の《謎の女性》。サンマリーノで「幻の大地」に落ちて姿を失っていた主人公とハッサンに出会い、彼らを助けた後、仲間に加わる。《テリーの姉さん》であることが後に明かされる。
産みの親は既に亡く、弟のテリーとともにガンディーノの老夫婦に育てられていたが、かつてのガンディーノの悪政の中、ギンドロ組によって国王の奴隷として献上されたと言う経歴を持つ。だが美しすぎる奴隷は皇太后の嫉妬を買い、国王に引き合わされる前に暗い地下牢へと送られ、囚人同様の暮らしを強いられていた。同じく囚われの身であった旅芸人パノンの助力により脱獄に成功。その後各地を転々とし、ムドーに挑まんとする主人公たちと出逢った。ムドーの城へ潜入する際に金色のドラゴンを呼ぶオカリナを使用する。ムドー討伐の際、主人公やハッサンと同様にムドーの術にかかったが、1人だけムドー戦の記憶がある様な素振りを見せるなど、直接の描写こそないものの、主人公たちと再会する前に実体を取り戻していたことが伺える。
混乱の呪文・特技に掛からないと言う特徴を持つ。「すれ違った男が振り返るほど」の美しさの通りかっこよさが非常に高く、MP・すばやさ・かしこさも高いが、レベルアップがやや遅く、HP・ちから・みのまもりが低い。また、装備できる盾が少ない。
バーバラ
かつての主人公達と同じく自分の身体が透明になっていた《家出娘》。17歳。月鏡の塔で主人公たちに出会うことによって身体が見えるようになり、その後は主人公たちと共に旅をする。《カルベローナの娘》であることが後に判明する。
魔法都市カルベローナの民の少女で、大魔女バーバレラの血を引いている。現実のカルベローナが大魔王に滅ぼされたときに、ほかのカルベローナの住人と同じく魂だけの存在となった。さらに夢の世界のカルベローナが封印されたときバーバラの魔法力が反発し、記憶を失って別の場所へ魂が飛んだ。カルベローナが封印から解かれた後、長からマダンテの極意を受け継ぐ。現実世界にやってきた夢の世界の住人という点では体を取り戻す前の主人公たちと同じであるが、本体が既に滅ぼされているため、エンディングまで意識体のままである。
ムドーの島に入る際、パーティーから強制的に離脱するが、ムドーを倒した後はパーティーに復帰する。ルイーダの店に預けることはできない。MPとかしこさが高いが、HP・ちから・みのまもりが非常に低い。かっこよさはレベルが上がるとミレーユを上回り、パーティーのキャラクター中で最も高くなる。また、「メラ」「ギラ」「イオ」「ヒャド」系に若干の耐性を持つなど、呪文攻撃に強いのも特徴。
『IX』にWi-Fiゲストキャラクターとして2009年9月11日より配信、服装が装備品として登場する。
チャモロ
癒しの力を持つ《ゲント族》の長老の孫。15歳。ムドー戦の前、ゲントの村で主人公と対面したときに神のお告げを聞き、そのまま主人公の一行に加わる。ムドー戦後もパーティーを抜けることはない。
MP・すばやさ・かしこさは男性キャラクターで一番高いが、ほかのステータスも低くはない万能タイプである。装備品が前衛・後衛としてもトップクラスの物が揃っている。スライム系の防具を装備できる[注 8]。7人いる人間キャラクターの中で最もレベルアップが遅い。
テリー
「青い閃光」の異名を持つ《さすらいの剣士》。17歳。ミレーユの弟であり、元はガンディーノの住人。幼い頃にミレーユが奴隷として連れて行かれたときに助けられなかった自分の弱さを呪い、世界一の剣を求め力こそ正義と信じる剣士となった。一人旅の最中に何度か主人公たちと出会うが、姉に気づくことはなかった。元々は姉を守るための手段として欲したはずの強さが目的と入れ替わり、強くなりたいという欲望からデュランのしもべとなり、主人公、ひいては守るはずの姉と対峙することになる。敗北し、自暴自棄になっていたところを姉に説得され、主人公の一行に加わる。このため、歴代シリーズのプレイヤーキャラクターの中でも仲間になるタイミングはかなり遅い。
仲間になった時点で「戦士」をマスター済みで、「バトルマスター」に就いている。本来は「バトルマスター」に就くには「戦士」のみならず「武闘家」もマスターしている必要があるが、テリーの場合、「武闘家」をマスターすることなしに「バトルマスター」になっている。特技「遊び」のなかに彼独自の必殺技「デュランから教わった遊び」(ジゴスパーク)があるが発動率は低い。ちからとすばやさ、MPのバランスが良く、主人公以上に戦士系の重装備が可能。また、通常のキャラクターに比べて打撃系攻撃の回避率が高い。
また、外伝である『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』の主役を勤めた(続編『マルタのふしぎな鍵』にも登場)。

以下の3キャラクターは、特定のイベントでパーティーに加えることができるが、パーティーに加えなくてもゲームクリアに支障のないキャラクターである。パーティーに加えた場合であってもエンディングに登場することはない。

アモス
モンストルの町を守る《村の英雄》で、本作に登場する人間の仲間では最年長の30歳。気は優しくて力持ちな男戦士。かつて町を襲う魔物を退治したが、その戦いで魔物にお尻を噛まれ、夜になるとモンストラーという怪物に変身してしまう体になってしまった。夜な夜な怪物の姿で町を練り歩き、地響きを起こして住民たちを悩ませていた。主人公たちが入手した「りせいのタネ」を飲むことによって「変身」をコントロールできるようになり、彼らの仲間に加わる。ただしイベントの選択肢次第ではパーティーに加わらずに町を去り、二度と会えなくなる場合もある。グラフィックは町などにいる戦士と同一。
HP・ちから・みのまもりが高く、MPとすばやさが低い打撃攻撃タイプ。成長はやや遅め。最初から、「ホイミ」の呪文と、「へんしん」の特技を覚えているが、レベルアップで覚える呪文・特技はない。
ドランゴ
アークボルトでテリーに退治された《バトルレックス》(ドラゴンの魔物)。死体を棺に納められ、アークボルト城の牢屋に置かれていたが、ある日突然棺の中から復活する。自分を打ち負かしたテリーに敬服し、彼を連れていれば仲間に加わる。
初期のレベルアップが非常に遅く、すばやさが低いが、HP・ちからの成長率の高さが凄まじく、後半はレベルアップが早くなる。仲間になった時点で「ドラゴン」の職業についている。さらには、レベルアップで「まじんぎり」「メタルぎり」「ザオリク」などの呪文・特技を覚えるため、仲間になる時期の遅さを補って余りあるほどの強さを誇る。『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』にも同名のバトルレックスが登場し、それによれば性別は雌ということになっている(本作では仲間モンスターの性別の概念は存在しない)。
ルーキー
スライム格闘場のオーナー・スラッジの《スライム》。スライム格闘場でチャンプに勝つと主人公のパーティーに加わる。レベルをある程度上げると、スラッジからある褒美を送られる。最初から、「スクルト」「ベホイミ」「メラミ」といった呪文を覚えており、初期レベルが20、最大MPもそこそこ上がるといった、仲間モンスターのスライムとは違う点がある。

以下は戦闘には参加しないが、馬車を引く馬として、ゲームの最後まで主人公たちに同行する。

ファルシオン
夢の世界のレイドック西の森で暴れていた馬。主人公とハッサンに捕らえられた後に、彼らの馬車を引く馬となる。「ファルシオン」はハッサンの命名。
本体は空を翔る天馬・ペガサスであるが、デスタムーアの魔力によって本体を封印され、精神だけが夢の世界へ飛んだ。暴れていたのは野盗に襲われていた商人を助けるためであり、あの時暴れ馬が居なければ、野盗に命を奪われていたかも知れないと、その商人は後に語る。後に天馬の塔で本体と融合し、空を飛べるようになる。

ライフコッドの人物

山奥の村ライフコッドに住む人物たち。

ターニア
ライフコッドに住む16歳の少女。両親を亡くしている。ムドーに敗れて倒れていた現実世界の主人公を偶然発見し、匿っていた。以前から兄が欲しいと思っていたため現実の主人公を自分の兄のように慕っている。現実世界の願望のためか、夢の世界では主人公と実の兄妹関係にあり、ライフコッドで一緒に暮らしていたことになっている。年に一度の村祭りで精霊の使い役を務める事となり、その儀式の最中に山の精霊に憑依され、主人公に旅立ちの啓示を下した。
ランド
ライフコッドに住む青年。現実世界でも夢の世界でもターニアに思いを寄せている。現実世界では主人公を快く思って居らず、邪魔者扱いしている。夢の世界では主人公がターニアの実兄である上に、精霊の冠を買いに行く役目を任されるなど頼れる兄貴的な存在である為か、彼との仲はそこそこ良い。一方で、ランドは仕事もせずに遊んでばかりで村の子供たちにもあまり好かれていないなど、立場が現実世界と逆になっている。後にバーテン見習いや観光ガイドなど、職を転々とする。
ジュディ
ライフコッドに住む少女で村長の娘。ランドの幼馴染でいつも彼のことを気にかけている。一方夢の世界での彼女はランドよりも主人公に対して好意を抱いており、話は結婚するかどうかまで進展していく。しかし、なかなか良い返事をしない主人公に業を煮やし、最終的には自ら彼を振る。

レイドック王国の人物

主人公の本当の故郷であるレイドック城の人物たち。

レイドック国王
レイドックの国王で、主人公の父親。現実世界では髭を生やしている。ムドー討伐に出かけたが、その道中でムドーの術にかかり、精神が夢の世界のムドーとして仕立て上げられる。そのせいで夢の世界から帰って来られなくなり、現実世界では昼夜とも眠り続けることとなる。現実のムドーが倒れた後は、夢の世界でもレイドック王(以前のシェーラの夢の姿と同様の若い姿)となるが、そこでは気さくで女性好きな振る舞いをする。ムドーが倒れた後の夢の世界では主人公が実の息子であることを認識しており、また妻であるシェーラの視線を気にしている。
シェーラ
レイドック王妃で、主人公の母親。夢の世界でムドーとなった夫を助けるために自身の精神も夢の世界へ飛んだため、現実世界では眠り続けている。現実世界の住人であるが、長らく夢の世界で活動していたこともあって、夢の世界の概念についてある程度認知している様子。主人公が本来の自分自身と、その記憶を取り戻す前も、彼が自分の息子であると言う確信を持って接する。ムドーが倒された後は、夢の世界のレイドック城に貴婦人の姿で現れ、夫の振る舞いを監視している。
トム
現実世界でのレイドックの兵士長。自分の名前が気に入らず、子供の頃の兵隊ごっこで「ソルディ」と名乗っていた。偽王子事件の責をゲバンに追及され、辺境の地に飛ばされ消息を絶つ。フランコが後任となる。
ソルディ
夢の世界でのレイドックの兵士長。現実世界のトム兵士長の夢。ムドー討伐の任務中に行方不明となるが、後に牢獄の町で再会する。アクバーの手下として組織に潜り込み、敵の内情を探るとともに、囚われていた「大賢者マサール」と思われる人物を救い出そうとしていた。
フランコ
現実世界のレイドックの兵士。主人公が幼い頃から城に仕えていたらしく、ゲバンを快く思っていなかった。ゲバンに異を唱え、任を解かれ城を追われるが、後に呼び戻され兵士長となる。
ゲバン
現実世界のレイドックの大臣。レイドック王夫妻が眠りに落ちていることをいいことに専制政治を行う。ムドー討伐のための兵力増強を謳い、その実自らの私腹を肥やさんと金貨50枚という莫大な税金を掛けるなどの圧政を敷き、国民には嫌われていた。自分を取り戻す前の主人公が王子と偽って城に侵入した際にそれを見破り、主人公を城から追い出す。王夫妻が目覚めた後は追い出されたらしく、城にはいない。夢の世界ではレイドックに来た世界一の富豪であるが、足元を見る性格は変わらず。後に現実世界からやってきた国王によってレイドック城の地下牢に投獄される。本人は現実世界での記憶が無いため納得しておらず、見張りの兵士も首をかしげている。

そのほかの人物

ストーリーが真相に迫るにあたり、重要な役割を果たす人物である。

グランマーズ
サンマリーノの南に住む夢占い師の老婆。「グラン」が称号で「マーズ」が名前である。現実世界の住人だが、夢の世界の人間の姿を見ることができる。ムドーに敗れて精神体となっていたミレーユを助けたらしい。主人公が自分を取り戻し、レイドック城で一晩過ごした際も城に呼ばれ、完全に元の自分に戻りきれない主人公へ助言を与える。公式のイラストの容貌は、『ドラゴンボール』の「うらないババ」とほぼ同じである。
ブボール
カルベローナの長老。伝説の魔法「マダンテ」の継承者。時の砂の結界によって外界から隔絶された小部屋に住まい、時間はおろか、大魔王の魔力からも守られていた。バーバラにマダンテを継承した際、結界が解かれたことで大魔王に狙われ命を落とす。
カルベ夫妻
カルベローナに住む老夫婦。バーバラの育ての親で、「魔法の絨毯」を始めに、不思議な力を持つアイテムを作っていた。子供の頃のバーバラに、羽根の生えた服を作ってやった事も。永い間眠りに就いていたが、マダンテ継承の儀をきっかけに目覚める。
ルビス
ムドーの島近くの海底の城に住む精霊。様々な場所で主人公達の手助けをする、影なる功労者。時に山の精霊としてターニアに憑依し、仮の姿である主人公に旅立ちを促し、時に神のお告げをチャモロに下し、時に巨人の門番兄弟の心を溶かす。デスタムーアの妖術の標的にならないよう、影ながら主人公達に加護を与えていたと言う事が、牢獄の町の学者によって明らかになる。『ドラゴンクエストII』や『III』に登場する精霊ルビスとの関連は不明。
ゼニス
夢の世界を束ねる王。クラウド城の主。異世界への扉の鍵を握っている。
マサール、クリムト
旅の扉を生み出す力を持つ大賢者兄弟。マサールが兄、クリムトが弟。その力を欲し、かつ恐れたデスタムーアによってはざまの世界に囚われている。

大魔王とその手下

最終ボスである大魔王、および大魔王の手下であることが作中で示されている魔物たち。

ムドー
現実の世界を支配しようとするほか、ダーマの神殿の封印を司る。オープニングにて主人公、ハッサン、ミレーユを破り、彼らを夢世界と現実世界に分離、記憶を奪い追放する。ほかの魔王と違い、世界中の人々にその名を知られており、戦闘の際には専用BGM「敢然と立ち向かう」が流れるなど、物語序盤において最終ボスのような扱いとなっているが、実際には大魔王の手下である四大魔王の一人に過ぎない。主人公たちと戦う際2連戦となるが、変身などはせず能力のみパワーアップする。なお、夢の世界の地底魔城にもムドーが潜むが、その正体はムドーの術によって夢の世界に引きずり込まれた、現実世界のレイドック王の心(意識)である。
IX』にも隠しボスとして登場するが、戦闘BGMは通常ボスのBGM「魔物出現」が流れる。
ジャミラス
四大魔王の一人。怪鳥の姿をしており、メダル王の城の封印を司る。ムドーに代わって人間を支配するべく、夢の世界において「しあわせの国」の話で人心を集めていた。唯一夢の世界に巣食う魔王であり(夢の世界のムドーは本物ではない)、雄弁家でカリスマ性を持つ。
グラコス
四大魔王の一人。海底神殿に住む半魚人のような姿をした海の魔王で、魔法都市カルベローナの封印を司る。海底にあるためか訪れるものは少ないらしく、初対面時は寝ている。本人によると悪い癖で喋りすぎてしまうらしく、主人公たちに起こされたときにはカルベローナの情報を喋った後で口封じのために戦いを挑む。倒すと「グラコスのやり」が手に入る。同名のモンスターが『ドラゴンクエストVII』にも登場する。『IX』では武器として「グラコスのやり」のみが登場している。
デュラン
四大魔王の一人。手下の魔王の中では最も人間に近い姿をしており、地上世界の魔王では最強を誇る。クラウド城の封印を司り、封印した城を自らの乗り物にして自在に操る。伝説の武具を集めてヘルクラウド城に乗り込んできた主人公たちを見て「血が騒ぐ」と嬉しがるほど、自分の強さには自信を持っている。しかし、強きを尊び、自分より強い者は敵であっても認める武人のような人格の持ち主でもある。敗れた際も恨み言や負け惜しみなどは一切言わず、デスタムーアの存在を主人公たちに教えた上で「さらに強くなれ」と助言を残す。主人公たちとデュランとの戦いでは、まずキラーマジンガとランドアーマー、次にテリーを主人公たちと戦わせて主人公たちの強さを窺い、その後主人公一行を全回復させてデュラン本人が戦う。
アクバー
デスタムーアの右腕的存在で、牢獄の町の主。シスターアンナに魔物の魂を植えつけ、自身の妻にしようと企む。デュランとは異なり、気に入らない部下を躊躇うことなく処刑するなど、残忍な性格。大賢者兄弟の一人、クリムト(周囲にはマサールと思われていた)を幽閉している。用心棒としてガーディアンという魔物を2体引き連れている。最後に倒すと、必ず絹のタキシードを落とす。
ゾゾゲル、ドグマ
ゾゾゲルは牢獄の町の兵士長で、ドグマは魔法使い。2人ともアクバーの部下で多くの囚人を処刑してきた。戦闘時はドグマが特定のターンで使う「ドグマのにらみ」によって全員が必ず麻痺状態に陥り全滅することになり、いわば事実上の負け戦闘となる(データ上はドグマを倒すことは可能だが、数値を極限まで上げる必要があり、たとえ倒してもイベント上は負けたものとみなされて物語が進む)。ドグマとは一度しか対戦ができない。2人とも革命の時には酒を大量に飲まされて眠らされるも、ゾゾゲルに対しては眠っているときに話しかけると再戦を挑むことができる。倒さなくてもクリアは可能。
魔王の使い
デスタムーアの部下。主人公(の本体)を葬るべく、魔物を引き連れて現実のライフコッドを襲う。イベント内で戦うタイミング及び条件によって、桁外れに強くなったり弱くなったりする。外見では骨は見えていないが骸骨戦士族の魔物で、4本の腕に剣や斧などの武器を持っている。
ズイカク、ショウカク
デスタムーアの部下の2人組。どこか間の抜けた言動が目立つ。ショウカクは、戦闘中に1ターン行動不能になることも。嘆きの牢獄に捕らえられたマサールの精神に入り込み、弟のクリムトが処刑される映像を見せることでデスタムーアへの忠誠を誓わせようとする。
デスタムーア
はざまの世界に住まう大魔王。本編の最終ボス。世界を我が物にしようと企み、現実世界のダーマ神殿など、障害となり得る場所を攻め落とした。しかし、それが夢の世界に存続していることを知り、夢の世界を実体化させ、これを封印。ムドーを始めとする四大魔王を封印の要とし、同時に支配することを考える。はざまの世界に引きずり込まれた人々の悲しみと絶望を糧にし、欲望に呑まれ堕落していく様を見て愉しむ。それにも負けぬ強く清い心を持つ人間は牢獄の町に送られる。後に牢獄の町にてクーデターが起こるものの、凄まじい魔力で一瞬の内に反乱軍を石や動物に変える。
3つの姿を持つ。初期形態は老人の姿で(自ら「じじいの姿」と言う)、2つの玉を操るなどのさまざまな術・全体攻撃を使う。第2形態は全身にトゲを生やした筋骨逞しい獣の姿で、「バイキルト」などの強化魔法を駆使して戦う。また、大防御しつつ攻撃するなど、複数回攻撃可能なボスの特権を最大限に活かして攻める。最終形態は本体(顔)・右手・左手に分かれてそれぞれが独立した生物のように動き、「ザオリク」で完全復活を計るなど両手とのコンビネーションを活かした行動を取る。
なおパッケージイラストの主人公らの背景に初期形態が描かれている。ラストボスがパッケージイラストに登場するのは『ドラゴンクエストII』以来である。
月刊コロコロコミック』(小学館)2009年6月号の『バトえん』のページに、モザイクがかかっていない状態で掲載されていた。また、関連商品のソフビ人形として、他作品の最終ボス共々、堂々とその姿を現している。
アーケードゲーム『バトルロードII』での大魔王戦では、第2形態の姿で出現する。最終形態はデスタムーアとムドーの「とどめの一撃」のときのみ登場し、本編では使用しない「イオグランデ」を唱える。また、同作では『幻魔王デスタムーア』の異名が与えられている。
『IX』でも最終形態の姿で、隠しボスとして登場。ただし、討伐モンスターリストに登録されるのは本体のみであり、右手と左手は登録されない。

そのほかの魔物

大魔王デスタムーアと無関係であるか、その手下であることが作中で示されていない魔物。

ミラルゴ
魔術師の塔に住む邪悪な魔術師。1000年前の人間であり現実世界では既に死んでいるが、魂は夢の世界で生き続けている。イリカに一方的な恋をするも自分のルックスに自信が持てず、ついに真っ当に告白することなく、当時のフォーン城を滅ぼしたうえでイリカを攫って鏡の中に封印。以後1000年もの間、自分の愛を受け入れるか、鏡の中のイリカに問い続けていた。
嘆きの巨人
牢獄の町で門番をしている双子の巨人兄弟。特に兄は誰にも負けたことがなく、多くの勇士を葬り去っていた。実は大魔王によって滅ぼされた巨人族の生き残りであり、大魔王に仕えるフリをしながら真の勇者たる人物を待っていた。大革命の際には、兄が住民によって眠らされる。最終的には大魔王の呪いによって兄弟揃って石化させられる。
ダークドレアム
自らを召喚したグレイス王の城を滅ぼした、「破壊と殺戮の神」の異名を持つ伝説の悪魔。空気中を漂う魔物の魂を喰らい、魔王すらその糧とすると伝えられている。人々の見た悪夢 (DarkDream) が形となった存在。たとえ何者であってもダークドレアムを滅ぼすことはできない。クリア後に行くことのできる隠しダンジョンでボスとして登場し、全てを無に帰すべく主人公たちに戦いを挑む。彼は「誰の命令も受けない」と言っているが、(本気の状態ではないとは言え)自分と渡り合えるだけの強者には敬意を払うようで、ある条件を満たすと主人公たちの協力者となる[注 9]。自身は魔王ではないが、その圧倒的な強さはデスタムーアを遥かに凌駕する。
後に『IX』に隠しボスとして再登場した。ただし、戦闘BGMはデスタムーア戦と同じ「魔王との対決」に変更されている。また、手にした柄の両側に刃を持つ剣や鎧に模様が描かれ、立ち姿のポーズが変更される、同作品のゾーマ(『III』の魔王)と同様に手の形が4本指から5本指になったなど、デザインに関して若干のアレンジがなされた。

道具

物語を進めるうえで特に重要な道具について解説する。

精霊の冠
村祭りに必要な冠。ある有名な職人しか作れない。これを買いに行くことが主人公の最初の目的である。
夢見のしずく
見えないものを見えるようにする、不思議な湧き水で、上の世界の住人も、これを使えば下の世界の人々に認知される。
ラーの鏡
真実を映し出す鏡。レイドック城兵士として雇われた主人公とハッサンは、これを探し出すように命じられる。上下両世界で対ムドー戦で重要な役割を持つ。
理性の種
服用すると、どんなときでも理性を保てるようになる種。
黄金のつるはし
純金製のつるはし。障害物の岩を砕くのには使えるが、武器としては使えない。なお実際には、金は軟らかいのでつるはしのような工具を作るのには適していない。
マーメイドハープ
人魚たちの力が込められたハープ
下の世界で船に乗っている状態で奏でると、船があわあわ船になり、海底に行くことが出来る。ただし、上の世界のひょうたん島には使えない。
きれいなじゅうたん
美しい刺繍が施された絨毯。その正体は魔力を失った「魔法のじゅうたん」である。
天馬の手綱
ペガサスを制御するための手綱ではざまの世界に突入するための重要な道具となる。
ラミアスの剣 / オルゴーの鎧 / スフィーダの盾 / セバスの兜
前作まで登場していた「天空の武具」に形状が酷似した、伝説の4つの武具。それらとの因果関係や、名前の由来は不明。
真実のオーブ
はざまの世界の真の姿を映し出すオーブ。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


音楽

エンディングテーマは本作品用の新曲が用意されず、『科学忍者隊ガッチャマン』のBGMである楽曲「時の子守唄」[22]がメロディー、タイトル共にそのまま流用された。

没案

ファンに人気のある魔族を主人公にするというネタがあったが没案になった。また、企画当時は鳥山もマンネリ打開に陰のある主人公をデザインしたのだが没案になり、そのデザインはテリーに一部引き継がれたという[23]

関連商品

ガイドブック

  • スーパーファミコン版
    • Vジャンプ緊急増刊号 ドラゴンクエストVI (集英社
    • Vジャンプブックスゲームシリーズ ドラゴンクエストVI 幻の大地 (集英社、ISBN 978-4081080342
    • ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 上巻 世界編 (エニックス、ISBN 978-4870258778
    • ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 下巻 知識編 (エニックス、ISBN 978-4870258785

その他の書籍

CD

†は廃盤。

  • CDシアター ドラゴンクエストVI(書籍扱い)
  • † すぎやまこういち 交響組曲「ドラゴンクエストVI」幻の大地(ソニー・ミュージックエンタテインメント、SRCL2737-SRCL2738、1995年12月21日) - DISC1はオーケストラ版でロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏、DISC2はゲーム音源集。
  • † すぎやまこういち 「ドラゴンクエストVI」幻の大地 オン・ピアノ(ソニー・ミュージックエンタテインメント、1996年2月21日
  • † すぎやまこういち 「ドラゴンクエストVI」幻の大地 オン・エレクトーン(ソニー・ミュージックエンタテインメント、SRCL-3561、1996年4月21日
  • † すぎやまこういち 「ドラゴンクエストVI」幻の大地 イン・ブラス(ソニー・ミュージックエンタテインメント、SRCL-3562、1996年6月1日
  • † 交響組曲「ドラゴンクエストVI」幻の大地(SPEビジュアルワークス、SVWC-7066、2000年8月23日) - ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。
  • † 交響組曲「ドラゴンクエストVI」幻の大地(アニプレックス、SVWC-7369、2006年7月19日) - 東京都交響楽団演奏。
  • 交響組曲「ドラゴンクエストVI」幻の大地(キングレコード、KICC-6305、2009年8月5日) - 東京都交響楽団演奏。
  • 交響組曲「ドラゴンクエストVI」幻の大地(キングレコード、KICC-6319、2009年10月7日) - ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。
  • 「ドラゴンクエストVI」幻の大地 オン・ピアノ(キングレコード、KICC-6328、2009年10月7日)

ビデオソフト

  • Vジャンプ特別編集 ドラゴンクエストVI オリジナルビデオ - バーバラ(声:鶴ひろみ)が案内役となってゲームの概要を紹介する販促品。VHS。『Vジャンプ』の読者全員応募サービスに応募により入手できた非売品。

脚注

  1. ^ 後のSFC版『ドラゴンクエストIII』以降では改良され、ふくろに入れたまま使うことが可能になった。
  2. ^ ごく一部の武具はおしゃれな鍛冶屋で「かっこよさ」を上昇させるとその性能も同時に向上する。
  3. ^ 『ドラゴンクエストVII』以降はやや柔軟に行動するように分析力を弱体化されている。
  4. ^ ゲーム中ではキャラクターが薄く表示される。
  5. ^ 城自体の名前は「クラウド城」だが、移動呪文「ルーラ」使用時の行先選択ウィンドウおよび公式ガイドブックでは「ゼニスの城」と表記されている。
  6. ^ ゲームスタート時に自由に名前を付けられる。小説版の名前はイザ(正式にはイズュラーヒン)。漫画版の名前はボッツ。CDシアター版の名前はウィル。『ドラゴンクエストモンスターバトルロード』シリーズおよびDS版販売促進映像では勇者レックとして登場する。
  7. ^ イベント中の選択肢(ターニア、セーラ、クラリス、バネッサ)で、主人公が選ばなかったもの(正確には「ターニア」か「バネッサ」を選ぶと「セーラ」、「セーラ」を選ぶと「クラリス」、「クラリス」を選ぶと「バネッサ」となり、絶対に正解できない)が妹の正しい名前として決定される。その後、ゲーム中では回想シーン中に登場し、ここで名前が判明する。
  8. ^ 一部ガイドブックでは「身体が小さいため」の旨の表記がなされている。
  9. ^ 前作での「隠しボスを特定の条件を満たして倒すと仲間モンスターになる」という都市伝説を堀井自身が面白がり、本作で実装された。

出典

  1. ^ “『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』“天空”シリーズ3作品がニンテンドーDSで復活!!”. ファミ通.com. (2007年9月2日). http://www.famitsu.com/game/coming/1209431_1407.html 2009年3月4日閲覧。 
  2. ^ 『週刊少年ジャンプ』2009年42号
  3. ^ “『ドラクエVI』、2010年1月28日に発売決定!”. ファミ通.com. (2009年11月11日). http://www.famitsu.com/game/news/1229379_1124.html 2009年11月11日閲覧。 
  4. ^ a b 集英社『Vジャンプ緊急増刊号 ドラゴンクエストVI』堀井雄二、すぎやまこういちインタビューより。
  5. ^ 岡部麒仙『二大RPGの分岐点』 講談社出版サービスセンター、p.34
  6. ^ a b SFC版公式ガイドブック 上巻 p.21
  7. ^ 1996年初頭の『ファミ通』掲載記事「ドラクエ野郎」での堀井雄二の発言より
  8. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 pp.15,17,19
  9. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.25
  10. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.26
  11. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.25
  12. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.16
  13. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.191
  14. ^ a b SFC版公式ガイドブック 上巻 p.89, 下巻 p.160-168
  15. ^ a b c d SFC版公式ガイドブック 上巻 pp.84-87, 下巻 pp.17-19
  16. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.18
  17. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.166
  18. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.171
  19. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 pp.191-192
  20. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 p.193
  21. ^ SFC版公式ガイドブック 上巻 pp.189,190
  22. ^ 『交響組曲科学忍者隊ガッチャマン』(発売元:コロムビア)COCC-12585。
  23. ^ 1997年初頭の『ドラゴンクエストVII』発表直後の『Vジャンプ』での堀井との対談記事より。

外部リンク