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「少年犯罪」の版間の差分

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=== 少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか ===
=== 少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか ===
[[マスメディア]]が少年の凶悪犯罪が急増などと喧伝するが、そのような事実はない。犯罪白書によれば、少年犯罪の発生は1960年代前・中盤が最も多く、1960年代後半から激減。1970年代以降はほぼ横ばいで推移している。
[[マスメディア]]が少年の凶悪犯罪が急増などと喧伝するが、そのような事実はない。犯罪白書によれば、少年犯罪の発生は1960年代前・中盤が最も多く、1960年代後半から激減。1970年代以降はほぼ横ばいで推移している。

そもそも、凶悪犯罪とは殺人、強姦、強盗など凶悪性を孕む非道徳、非人道的犯行のみを指し、[[極刑]]により処罰される刑事事件のことである。

しかし、現実にはこれら凶悪犯罪者は大半が成年者による犯行で占められている。

確かに未成年者も殺人事件を起こしている事実はあるが、それはマスメディアにより過剰に煽られ誇大放送されているところが大きく、決して未成年者の凶悪犯罪が増えているわけではない。

殺人一つとっても、殺人者のうち未成年者の占める率は非常に少なく、殺人犯全体の数パーセント程度である。

何だかんだいっても凶悪犯罪者は成人(成年者)による犯行が大半を占めており、犯罪白書には未成年犯罪者の傾向として比較的犯行の軽い事件(万引きや置き引きなどの窃盗)、軽度の暴行、軽度の恐喝の他、軽犯罪、微罪と定義される犯罪が大半を占めているとされている。

また未成年者の犯行の全体的特徴としては、犯行の容易な犯行、幼稚で未熟な犯行が多く、金銭犯罪は被害金額が著しく大きいものより圧倒的に軽微な被害金額の場合が多く、知能的・計画的犯行より、粗暴・粗雑な犯行の方が多く巧妙性は成年犯罪者全般よりも低いとされている。

全体的には少年犯罪は凶悪犯罪や知能犯罪(政治事件、選挙犯罪、企業恐喝、詐欺、収賄など)よりも粗暴犯罪(暴行、傷害、カツアゲ、スリ、万引き、ひったくりなど)の比較的低レベルな犯行が大多数を占めており、高度な知能犯罪はあまり見られない。

その為、現実には少年犯罪はマスコミで大騒ぎされるほど社会的脅威とはなっていない。


=== 厳罰化の傾向 ===
=== 厳罰化の傾向 ===

2007年4月15日 (日) 16:25時点における版

少年犯罪しょうねんはんざい)とは、少年が犯した、または犯したとされる犯罪のこと。学校や家庭などにおける対人関係のストレスやトラブルが元になることが多いとされる。

日本では、少年法2条1項に定義されている少年、すなわち20歳に満たない者(男女とも)が犯した、または犯したとされる犯罪に対してこの言葉を用いる。以下、日本法から定義されるこの呼称に基づく日本の少年犯罪について記す。

審判手続

少年法により、成人とは違った特別の措置が講ぜられる。

概況

  • 法務省が発行する犯罪白書によれば、凶悪犯罪は、ピーク時(1960年代)と2000年代を比較すれば件数は4分の1にまで低下している。昭和30年代には年間8000件を超えていたが、その年をピークに件数は年々減少し、昭和50年以降は低水準で安定的に推移している。
  • 不景気が影響し、窃盗横領が特に増加傾向。(詳細は万引きを参照)
  • 少年法で裁かれた被疑者が成人後に逮捕された場合、マスメディアに対し規制が入るケースがある。女子高生コンクリート殺人事件の被疑者が出所後に脅迫容疑で逮捕された時には、一部写真週刊誌以外のマスメディアが実名・顔写真の報道を控えた。
  • 戦後の少年事件として有名なのが浅沼稲次郎暗殺事件である。右翼思想に感化された少年が演説中の浅沼稲次郎を短刀で刺殺し、これを契機に少年の刀剣所有禁止が定められた。

警察・司法当局の対応

近年の少年犯罪に対して治安維持を担当する警察当局側の対応としては従来の取締に加えて精神的ケアを強化させている。素行不良の未成年者、家出、失踪人など、特に犯罪を発生させていない段階であっても、警察官の現認後、指導を行い、保護者へ連絡する、引取りに来させる、家まで送っていくなどの措置を取ることが強化された。

元々、警察職務において少年犯罪は生活安全部門と刑事部門、少年絡みの事案は生活安全部門と地域部門を中心に行っていたが、近年では少年の社会問題全般を良化させる為、担当部門に関係なく、どの部門に所属している警察官も、警察官の一般的日常業務として少年事案対策に力を入れるようになってきている。

しかし公安部門や警備部門といった特殊な警察部門に所属する警察官は、所掌する職務が専従任務であったり、少年犯罪よりも、より重要視されるテロ、過激派などの国家秩序に関わる最重要犯罪を担当していることから、少年犯罪まで手が回らない、もしくは管轄外として手を回さないのが普通である。

刑事部門は警察職務全般に広く関わるので元々、少年の関わる犯罪も多く扱っていた。誤解されがちだが、未成年者への精神的ケアや未成年者の非行防止といった防犯活動は生安、地域による担当所掌となっているが、幼児虐待や未成年者の刑事事件の場合は、犯罪を犯した者が未成年者であっても、基本的に刑事部門で扱う。これは刑事事件は、少年法で保護されている未成年者が犯したものであっても法律上、刑事事件に変わりはないとされている為である。

その為、刑事部門は必ずしも成年の犯罪者のみを扱うわけではない。しかし、一方で刑事事件を起こし警察官が対応する事案の殆どは何だかんだいっても成年者が大半を占めており、凶悪犯罪も含む刑事犯罪者の中で未成年者の数は1割程度に留まっている。

処罰を担当する検察、裁判所の対応としては、今現在の少年犯罪を総合的に分析したり、発生原因をあらゆる方面から調査したりと分析面での業務を強化している。

また、判例では従来は更正を前提としている少年法を根拠に未成年者の犯罪者にはたとえ凶悪犯であろうとも厳罰には処さないのが通例であったが、近年ではたとえ未成年者であっても凶悪・悪質・非人道的な犯行に対しては厳罰を課す判決も出されている。

有名な少年の凶悪犯罪

最近の少年犯罪の動向

少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか

マスメディアが少年の凶悪犯罪が急増などと喧伝するが、そのような事実はない。犯罪白書によれば、少年犯罪の発生は1960年代前・中盤が最も多く、1960年代後半から激減。1970年代以降はほぼ横ばいで推移している。

そもそも、凶悪犯罪とは殺人、強姦、強盗など凶悪性を孕む非道徳、非人道的犯行のみを指し、極刑により処罰される刑事事件のことである。

しかし、現実にはこれら凶悪犯罪者は大半が成年者による犯行で占められている。

確かに未成年者も殺人事件を起こしている事実はあるが、それはマスメディアにより過剰に煽られ誇大放送されているところが大きく、決して未成年者の凶悪犯罪が増えているわけではない。

殺人一つとっても、殺人者のうち未成年者の占める率は非常に少なく、殺人犯全体の数パーセント程度である。

何だかんだいっても凶悪犯罪者は成人(成年者)による犯行が大半を占めており、犯罪白書には未成年犯罪者の傾向として比較的犯行の軽い事件(万引きや置き引きなどの窃盗)、軽度の暴行、軽度の恐喝の他、軽犯罪、微罪と定義される犯罪が大半を占めているとされている。

また未成年者の犯行の全体的特徴としては、犯行の容易な犯行、幼稚で未熟な犯行が多く、金銭犯罪は被害金額が著しく大きいものより圧倒的に軽微な被害金額の場合が多く、知能的・計画的犯行より、粗暴・粗雑な犯行の方が多く巧妙性は成年犯罪者全般よりも低いとされている。

全体的には少年犯罪は凶悪犯罪や知能犯罪(政治事件、選挙犯罪、企業恐喝、詐欺、収賄など)よりも粗暴犯罪(暴行、傷害、カツアゲ、スリ、万引き、ひったくりなど)の比較的低レベルな犯行が大多数を占めており、高度な知能犯罪はあまり見られない。

その為、現実には少年犯罪はマスコミで大騒ぎされるほど社会的脅威とはなっていない。

厳罰化の傾向

1997年以降、マスコミでは少年犯罪の凶悪化が報じられることが多くなった。また、犯罪被害者の心情を重視するようになり、刑事裁判に直接関与できる制度が検討されている。以上の背景から、「未成年であるとしても、現行の少年法では刑が軽すぎる」といった声が上がり、厳罰化の傾向にある。

しかし、マスコミ報道による少年犯罪の凶悪化論は根拠が乏しいと指摘する意見も少なくない。 マスメディアでは、凶悪事件の発生原因を、やたらアニメコンピュータゲームによる影響と報じるケースが多いが、科学的根拠はない。また、そうした外的要素がひきがねになって犯罪を犯すことは今に始まったことではない。(ゲーム脳も参照のこと)

特に、最近の報道は凶悪な事件をよりセンセーショナルに報じ、些細な事件まで報道すること傾向があることから、実際の少年犯罪の発生件数より多く発生しているような印象を市民に植え付け、少年法の厳罰化や教育の厳格化を求める社会不安(モラル・パニック)を引き起こしているとの批判もある。

少年犯罪者の個人情報

報道規制

少年法第61条により、家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

「家庭裁判所の審判に付される」か「犯した罪により公訴を提起される」場合、規制対象になるとしている。ただ、少年法第61条には罰則規定がないので、出版物で犯罪少年を実名暴露しても(その筋からの叱責はあるようだが)刑罰はない。実際には裁判所の審判に付される前段階である捜査段階や逮捕勾留段階から報道機関は自主規制して加害少年を匿名化し、実名報道を避けている。しかし、逮捕前に実名が出てしまっているケースもあり、こちらは規制できないのが現状である。

インターネットの規制

インターネット上の公開も規制が行われている。しかし、インターネットに少年法が適用されるかは、法曹界の統一見解はまだない。しかも、少年法第61条には罰則規定がない(罰則がない法律に違反しても犯罪ではない)ので、法務省による強制力のない行政指導、そしてプロバイダでの「自主規制」による規制しか行えないのが現状である。

一部の電子掲示板などでは規制に反して実名・顔写真が掲載され、問題になっている。この問題に対して2ちゃんねるは、住所や電話番号などプライバシーを侵害する記述がない限り、削除しない運営をしている。その理由は、

1.公開が規制されている場合は、その掲載が事実か確認する手段がない、つまりでたらめな掲載であるから

2.裁判所に行けば一般人でも被告人の氏名が確認できるので、その氏名は公開情報とみなせるから

だという。(少年犯罪板の削除人のレスより) 葵龍雄など実名を暴露している者は2の手段を利用していると思われる。知り得た実名を電話帳で検索すれば、個人情報を得るのも容易だろう。電話帳は個人情報保護法第19条~第23条の規制の対象にならないので、対処のしようがない。さらに、海外のウェブサイト上でも掲載されることがある。こちらは国内法である少年法では法務省も対処できないようで、野放し状態である。

なお、本サイト、日本語版ウィキペディアでは、日本国の法律の適用を受けることから、少年事件の記事においても加害少年に関する情報記載を規制している。

関連項目

少年犯罪を扱った作品(漫画・映画・ドラマ・アニメ・etc)

  • 家栽の人』 - 毛利甚八作・魚戸おさむ画の青年漫画。各種少年犯罪および家庭裁判所での少年審判を題材とした漫画。
  • ゲド戦記スタジオジブリ の作品。監督・宮崎吾朗 主人公アレンが、冒頭、父親を殺す所から始まり、ゲドと出会い、最後に立ち直ったと目される描写から、少年擁護と少年の内面と自立の観点から描いた作品として捉えられ、各方面、各所で注目されている。だが、その描かれ方やクオリティ、また原作との齟齬(そご)を問題視する声もあり、賛否両論。
  • ほぼ同時期に同テーマを少年法の是非を問題提起する観点から描いた 『太陽の傷』 監督・三池崇史、主演・哀川翔も公開される。
  • 2007年新春には山口県で実際に起きた光市母子殺害事件を題材にした映画『天国からのラブレター』が公開される予定。事件被害者と被害者遺族の書簡を集めた同名書籍を元に製作した作品である。被害者遺族である本村洋の事件後の活動は今後の少年法の論議やあり方などに一石を投じ、影響を与えている。

外部リンク