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: ウサギの生成りだけあって、文字通り脱兎の如く足が速くその速度は十二神将クラスの高位の呪術者を驚愕させるほど。
: ウサギの生成りだけあって、文字通り脱兎の如く足が速くその速度は十二神将クラスの高位の呪術者を驚愕させるほど。
: 星宿寺を訪れた夏目の世話役となり、その縁で友達となった。十二神将と春虎、そして寺の人々による呪術戦を伴う混乱で星宿寺が半壊して行き場をなくし、夏目と行動を共にするようになる。
: 星宿寺を訪れた夏目の世話役となり、その縁で友達となった。十二神将と春虎、そして寺の人々による呪術戦を伴う混乱で星宿寺が半壊して行き場をなくし、夏目と行動を共にするようになる。
<!-- ; [[ウルトラマンティガ#ウルトラマンティガ|ウルトラマンティガ]] -->
<!--: 声 - [[長野博]]([[V6]]) -->
<!-- 『[[ウルトラマンティガ]]』の世界で地球を守ったことがある光の巨人。鈴鹿に操られ、'''ティガダーク'''にされたが、春虎に救われ、本来の姿に戻り、夏目の『式神』の一人となった。-->


=== 陰陽塾 ===
=== 陰陽塾 ===
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; 挿入歌「Red monochrome」(第2話)
; 挿入歌「Red monochrome」(第2話)
: 作詞 - [[中野愛子 (シンガーソングライター)|中野愛子]] / 作曲 - [[柿島伸次]] / 歌 - [[コミネリサ]]
: 作詞 - [[中野愛子 (シンガーソングライター)|中野愛子]] / 作曲 - [[柿島伸次]] / 歌 - [[コミネリサ]]
<!-- ; 「[[LIGHT IN YOUR HEART]] TOKYO RAVENS Special Edit」(未定)-->
<!-- : 作詞 - KOMU / 作曲 - 加藤裕介 / 編曲 - Yoshimasa Kawabata / コーラスアレンジ - 鈴木弘明 / 歌 - [[V6(グループ)|V6]]・土御門 春虎([[石川界人]])、阿刀 冬児([[木村良平]])、百枝 天馬([[下野紘]])-->


=== 各話リスト ===
=== 各話リスト ===

2013年10月22日 (火) 03:10時点における版

東京レイヴンズ
ジャンル 陰陽ファンタジー
小説
著者 あざの耕平
イラスト すみ兵
出版社 KADOKAWA
富士見書房ブランドカンパニー)
掲載誌 ドラゴンマガジン
レーベル 富士見ファンタジア文庫
刊行期間 2010年5月25日 -
巻数 既刊11巻
(長編:10巻、短編:1巻)
漫画
漫画:東京レイヴンズ
原作・原案など あざの耕平
すみ兵(キャラクター原案)
作画 鈴見敦
出版社 KADOKAWA
(角川書店ブランドカンパニー)
掲載誌 月刊少年エース
レーベル 角川コミックス・エース
発表号 2010年6月号 -
発表期間 2010年4月26日 -
巻数 既刊7巻
漫画:東京レイヴンズ外伝 東京フォックス
原作・原案など あざの耕平
すみ兵(キャラクター原案)
作画 COMTA
出版社 富士見書房
掲載誌 エイジプレミアム
レーベル ドラゴンコミックスエイジ
発表号 2011年Vol.1 - 2011年Vol.6
発表期間 2011年8月9日 - 2012年1月10日
巻数 全1巻
漫画:東京レイヴンズ RED AND WHITE
原作・原案など あざの耕平
すみ兵(キャラクター原案)
作画 望月あづみ
出版社 KADOKAWA
(富士見書房ブランドカンパニー)
掲載誌 月刊ドラゴンエイジ
レーベル ドラゴンコミックスエイジ
発表号 2012年11月号 - 2013年11月号
発表期間 2012年10月9日 - 2013年10月9日
巻数 既刊1巻
漫画:東京レイヴンズ Sword of Song
原作・原案など あざの耕平
すみ兵(キャラクター原案)
作画 久世蘭
出版社 講談社
掲載誌 月刊少年ライバル
発表号 2012年11月号 -
発表期間 2013年10月4日 -
アニメ
原作 あざの耕平
監督 金崎貴臣
シリーズ構成 倉田英之
キャラクターデザイン 渡辺敦子
音楽 井内舞子
アニメーション制作 エイトビット
製作 東京レイヴンズ製作委員会
放送局 #放送局を参照
放送期間 2013年10月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画アニメ
ポータル 文学漫画アニメ

東京レイヴンズ』(とうきょうレイヴンズ)は、富士見ファンタジア文庫KADOKAWA富士見書房ブランドカンパニー))から刊行されているあざの耕平による日本ライトノベルイラストすみ兵が担当。

ドラマCD化が『ドラゴンマガジン』2010年11月号(2010年9月18日発売)にて発表された。2013年10月よりテレビアニメが放送中。

ストーリー

第一部(1〜9巻)
今から半世紀ほど前、大戦中に活躍した稀代の陰陽師・土御門夜光が執り行った儀式の影響により、東京では霊的災害――通称「霊災」が発生するようになった。時は流れ、頻発する「霊災」を祓うべく陰陽師たちが活躍する現代。陰陽道の名門・土御門家の分家の者であるにもかかわらず、霊気を感じ取る「見鬼」の才を持たない落ちこぼれである土御門春虎は、陰陽師になる道を早々に諦めて友人の阿刀冬児や北斗とともに穏やかな高校生活を送っていた。
夏祭りの前日、春虎は土御門家次期当主にして幼馴染の少女・土御門夏目と再会するが、幼い頃に交わしたとある約束を破ったことについて険のある物言いをされ、喧嘩別れに終わってしまう。また、夏祭りでも何故か陰陽師になることを強く勧めてくる北斗と口論になり、途方に暮れる。そんな春虎の前に、最年少の国家一級陰陽師「十二神将」にして「神童」の異名を持つ大連寺鈴鹿が現れる。呪捜官に追われる鈴鹿の目的は、夜光の転生と目される夏目だった。
この事件によって春虎の運命は大きく変わり、それまで遠ざけていた陰陽道の世界へ足を踏み入れることになる。陰陽師を育成する学園・陰陽塾の門を叩いた春虎は、夏目を巡って起きる事件に巻き込まれ、陰陽塾で出会った仲間たちとともに陰陽師として成長していく。
第二部(10巻〜)
泰山府君祭により夏目が黄泉がえりを果たした、あの夜から約1年後。陰陽庁は闇夜に紛れてその版図を拡大させ、土御門夜光として覚醒した春虎は、今や呪術界最大の反逆者として追われる身となっていた。そんな陰謀渦巻く東京から遠く離れた山奥にある星宿寺。呪術界の暗部が隠されたこの地で暮らす少女・秋乃は、ある日蛟の生成りであるという不思議な新入りと出会う。長い黒髪をピンクのリボンで束ねたその少女は、自らを『北斗』と名乗った。

登場人物

の項はアニメ版のもの。

主要人物

土御門 春虎(つちみかど はるとら)
声 - 石川界人、幼少期 - 種田梨沙
第一部の主人公、16歳。彼の大陰陽師・安倍晴明に連なる陰陽道宗家・土御門家の分家に生まれながら、霊気を視る力である『見鬼』の才を持たない落ちこぼれ。生来の運の悪さ、勘の鈍さなどもあり、至る場面で損をしている。
見鬼の才がないことを理由に陰陽師となることを早々に諦め、田舎で普通の生活を送っていた。しかし高校1年時の夏、鈴鹿の起こした事件で親友の北斗を失ったことを機に、それまで背けていた自身の宿命と向き合い、夏目の式神となる契約を交わす。その際に夏目に施された土御門の秘術によって後天的に見鬼となる。事件の後には陰陽師育成機関である陰陽塾に入塾し、陰陽道へと足を踏み入れることになった。
入塾に至るまで陰陽道から距離を置いていたことに加え、本人の頭の悪さもあって呪術方面の知識が乏しく、座学の成績は壊滅的。その代わり保有する霊力の量は平均を大きく上回り、実戦でその力を発揮する。人懐っこい性格で人付き合いも良いため陰陽塾にもすぐに適応し、何だかんだ言われながらもクラスメイトには好かれている。また心優しく誠実な人柄に加えて人を引き付ける魅力を持ち、作中でも幾人かの女性に好意を寄せられている。ただし本人はその方面に呆れるほど鈍感で、機微にやや疎い面がある。夏祭りの事件以降音信不通となった北斗に対しては不明確ながらも好意を抱いており、北斗の正体に感づき始めた時は夏目に対しても戸惑いを覚えていた。
大友と道満の呪術合戦を目の当たりにしたことで意識の変革が起こり、それまで以上に熱意と意識を持って呪術を扱うようになる。その結果、祓魔官の隊長相手の呪術戦で善戦し、同年代では夏目に次いで優秀な京子をも追い抜くほどの急激な成長を見せたが、その一方で本人はどこか全力を出し切れないような違和感を抱えており、思うような術の行使ができないでいた。しかし、暴走したシェイバとの戦闘で夏目が傷つけられたことで力を渇望し、その際に自身の内側にて見つけた綻びから、春虎自身を押さえ込んでいた何らかの封印を強引に破る。その結果、それまでとは比べものにならない程の見鬼に目覚め、鈴鹿オリジナルの術式、鏡の火界咒を模倣し、かつて大友が使った『帝式』をも使いこなしシェイバを修祓した。
実は、彼こそが土御門家現当主である土御門泰純の本来の実子であり、土御門の直系。即ち真の土御門夜光の転生者である。生まれて間もない彼を夜光信者等の様々な勢力から守るべく、実父である土御門泰純によって生まれてすぐ能力に封印を施され、その後は分家の子として陰陽道から遠ざけて育てられた。夏目の施した『見鬼の術』は、実はこの封印の一部を解呪する術であり、春虎が後天的に得たと思われていた見鬼の力も、実際には元々彼に備わっていた桁外れな力のごく一部を解放したに過ぎない。シェイバとの戦闘でその封印を自力で無理矢理、しかも中途半端に解呪したことで霊力が不安定になり、花火大会で多軌子に『鴉羽織』を半ば強引に着せられた際に霊力が整合せず暴走。最終的に夏目が封印を完全解呪したことで霊力が安定するが、暴走していた『鴉羽』が夏目に重傷を負わせ、彼女を死亡させてしまう。
騒動後は拘留され、自らの暴走により夏目を殺めてしまったことに悩む中、最終的に自身の力で『泰山府君祭』により夏目を復活させることを決意。その過程で鏡と戦い左目を斬られ隻眼となるが、真の姿となった飛車丸と角行鬼の手を借り退ける。この時に夜光としての記憶を取り戻し、それに伴い言動も変化する。夏目の遺体を回収後、天壇にて早乙女涼と合流し、『泰山府君祭』によって夏目を黄泉返らせた後、仲間達の前から姿を消した。
第二部では陰陽庁へ反旗を翻し、呪術界最大の反逆者として指名手配されている。土御門夜光としての能力・記憶に覚醒したためか、その風格は相対する者に畏敬の念を抱かせる。振る舞いは雰囲気は以前の春虎を感じさせるものの、その自我が現在どうなってしまっているのかは未だ不明。しかしながら、何らかの明確な目的のために奔走している様子。また本人曰く、夏目とは会うことができない理由があるようである。
コン / 飛車丸(ひしゃまる)
声 - 豊崎愛生
狐の耳と尻尾をつけた幼い姿の少女。春虎が父親から譲り受けた護法式の式神。大友曰く何か封印が施されている模様。春虎の主である夏目とはある意味、春虎を巡るライバルの様な関係。ただしお互いの利害が一致する際は手を組むこともある。
性格は春虎には忠実だか他者に対しては基本、慇懃無礼。また嫉妬深く、春虎に女性が近づくことを非常に嫌がる。それは春虎の主である夏目が近づいても同じことである。尻尾の感触は「ふわっふわ」で春虎の大のお気に入りである。
その正体は、夜光の使役していた式神の中でも双璧とうたわれた護法『飛車丸』。妖艶な美貌を持つ絶世の美女。
元々は土御門の分家の人間だったが、獣の耳と尻尾を生まれながらに持つ「狐の生成り」であったため、忌み子と見なされ座敷牢に幽閉されていた。名も与えられず自らの生に意味などないと思っていたが、ある日突然彼女の前に現れた幼い頃の無邪気な夜光が「しきたり」の式神として外に連れ出した。夜光によって守られるうちに彼への思慕と絶対の忠誠を抱くようになり、彼を支えるために自らも呪術者としての才を開花させた。夜光の死後は自ら人の身を捨て霊的存在となり、生前の夜光と交わした「時の果てに再会する誓い」に従い、彼の転生である春虎が生まれた直後に泰純の前に現れた。その際に泰純と何らかの盟約を交わし、記憶や本来の姿と力を封印され、護法式のコンとして春虎の側についていた。鏡によって窮地に陥った際、自らに掛けられた封印を強引に解除して本来の姿を取り戻し、以降は夜光として覚醒した春虎と共にその姿を消す。
角行鬼(かくぎょうき)
夜光の使役していた式神の中でも双璧とうたわれた隻腕の鬼。かつての主亡き後も人の世で生き続けており、かつての名声に違わぬ風格と力を今なお持ち続けている。基本的には落ち着いた物腰であり、比較的温厚な性格をしている。しかし自らの名前ついては強い誇りを持っており、道満にその名を勝手に使われた際にはわざわざ注意に足を運び、歯牙にもかけぬ相手が自身の名を気安く呼ぶことを許さない。
その実力は未だ底知れず、高位の陰陽師である比良多(多軌子)の術も体に触れることさえ叶わなかった。春虎が夜光の生まれ変わりであることには見当が付いていたらしく、コンが飛車丸として本来の姿を取り戻した際に、春虎の前に現れて以後は春虎たちと行動を共にする。
本編に直接的な記述はないが、かつて頼光四天王の一人渡辺綱が、一条戻橋で髭切の太刀によって片腕を切り落とした鬼の茨木童子と同一であることが示唆されている。
土御門 夏目(つちみかど なつめ)
声 - 花澤香菜
第一部のヒロインにして第二部の主人公。16歳。土御門の本家の人間で春虎とは親戚であり幼馴染。長い黒髪に整った顔立ちをしたスレンダーな少女。
性格は生真面目で頑固で怒りっぽく、さらに人見知りで人と壁を作るきらいがある。幼少期はほとんど人と関わりを持たず、ひたすらに呪術の修行に明け暮れる日々を送った。そんな日々の中でただ一人親しい間柄で居続けた春虎に対していつしか恋心を抱くようになり、彼に対しては絶対の信頼と思慕を寄せる。また、彼を通してできた多くの友人との絆を何より大切なものと定めている。その一方で彼への一途な恋心は、春虎があまりにも鈍感なため全く気づかれていない。その惚れ具合はもはや殺人級で嫉妬に走りやすく、春虎を真顔で自身の「所有物」と言い切り、彼が異性が仲良くしようものなら邪魔するためだけに術で天災すら引き起こす。春虎の護法式である「コン」とはある意味、春虎を巡るライバルの様な関係。ただしお互いの利害が一致する際は手を組むこともある。春虎や冬児が転校してきてからはとっつきやすいイメージを持たれたため、その美貌からよく女子からラブレターをもらっていた。
土御門本家の次期当主にして天才と称えられ、豊かな才能と見知は同期の遙か先を行く。その一方で土御門を現在の地位に貶めた土御門夜光の生まれ変わりとも言われており、そのことから彼女のまわりには常に騒動が付き纏う。なお夏目本人は夜光の記憶も持たず、自身が生まれ変わりである自覚もない。
本家の様々な「しきたり」に縛られており、その一つである『跡取りは対外的には男子として振る舞わなければならない』ことより、在籍している陰陽塾でも男装して通っており、そのときは地である丁寧な言葉づかいではなく男性的な喋り方をし、一人称も「わたし」から「ぼく」に変えている。ただし冷静さを失ったり我を忘れると地の女口調が出る。シェイバとの戦闘でクラスメイトに女であることが露見した。
長らく『土御門夜光の生まれ変わり』と目されてきたが、実は夏目は夜光の転生ではなく、真の転生者である春虎を守るために身代わりとして仕立て上げられた少女。彼女が本来、土御門家のどの立ち位置にあるのかは現状不明。
花火大会にて鴉羽織から春虎を救うために身を投げ出し春虎の封印の解呪に成功。自身が長らく秘めていた春虎への想いを彼に告げ、同時に負った重傷が元で死亡する。その後、涼の協力を得て春虎が執り行った『泰山府君祭』により黄泉返りを果たすも、春虎は彼女の前から姿を消していた。
第二部では、陰陽庁から禁呪・泰山府君祭の被検体にして反逆者・土御門春虎の縁者として追われる身となっている。千翁の言によると泰山府君祭による反魂は「失敗」したらしく、今の彼女は春虎の術式によって式神の北斗と自身の魂を結びつけ、竜の生成りとなる事でかろうじて現世に留め置かれている状態である。その有り様は、『動く死人』同然であるという。陰陽塾中途退学後は、千鶴の指導で新たに雷の術式と式神を得るに至る。生成りとして彼女が宿す竜の北斗は霊的存在として極めて強力であり、更に五行において『木』の属性を持つ雷は、夏目が宿す北斗の『水』の属性と相生の関係にある為、封印を解放した夏目は霊災クラスの大霊力・大術式を行使できる。反面、夏目の魂を現世に繋ぎ止める役割を担う北斗の力を戦闘に振り分けるということは、夏目を現世に維持する力が弱まる事を意味し、一歩間違えれば死にかねない危険な行為である。
北斗(ほくと)
声 - 金元寿子
中学の頃に出会った春虎の親友。可愛らしい顔立ちをしているが言動は男勝りで、春虎にはオトコ女と呼ばれ、春虎のことをバカ虎と呼んでいる。何故か春虎に陰陽師になることを強く勧め、望んでいた。鈴鹿の攻撃から春虎を庇って傷を負い消滅、その際に式神であることが発覚する。
その正体は、夏目が『しきたり』により男性として振る舞う際の練習用に作った、遠隔操作で動く簡易式。すなわち北斗の意識は夏目そのものである。
北斗(ほくと) / 竜
土御門本家に代々伝わる竜の式神。本物の竜であり、作中有数の力を持つ式神。暴れん坊で我儘な性格をしており、夏目の主としての未熟さも手伝って手加減を知らない。
強力な陰の気を宿しており、夏目は北斗の霊力を利用して自らの霊気を陽(男)の気へと偽装していた。
夏目の蘇生後は春虎の術式により夏目に憑依させられ、彼女の魂を現世に繋ぎ止める役を担っている。力の大半を夏目の生命維持に回しているため、現在は小さな姿でしか実体化することができない。
阿刀 冬児(あと とうじ)
声 - 木村良平
17歳。額にヘアバンドを巻いており、美形にして元武闘派ヤンキー。口が悪くトラブル好きであるがいざというときは頼れる、春虎の悪友。常に人生を楽しんで過ごすことをモットーにしている。
元々は東京育ちだったが、『上巳の大祓』に巻き込まれ、体に鬼を宿す「生成り」となった。その後春虎の住む田舎に引っ越し、春虎の父・鷹寛の治療を受けている。鈴鹿の事件の後、春虎と共に陰陽塾に入塾する。入塾前から陰陽術に関してそれなりに知識があり、人間関係などの機微にも聡い。霊災を経験したため見鬼の力も得ており、北斗が式神であることも最初から気づいていた。夏目との対面時に彼女が術者であることにもすぐ気づき、彼女と春虎のことをからかいつつも2人の仲を見守っている。
『上巳の再祓』での鬼の暴走を機に、鬼を「抑える」のではなく「制御する」方向で修練を始める。封印を解除すると角を生やした鎧武者のような姿に変貌し、超人的膂力と耐久力を得る。実戦では膨大な鬼気を活用した接近戦を得意としており、プロの祓魔官をも圧倒する。
第二部では姿をくらましており、天海と一緒に行動していると目されている。
大連寺 鈴鹿(だいれんじ すずか)
声 - 佐倉綾音
史上最年少で「陰陽1種」を取得し「十二神将」となった『神童』の異名を持つ少女。その経歴と整った顔立ちから陰陽庁の広告塔として同年代の陰陽師を目指す者からは半ばアイドルのような扱いを受けているが、実際は年上にも不遜な態度をとる上に口も悪く春虎などには躊躇なく嫌がらせを行う性格をしている。しかし、一方で、根は決して悪い人間ではなく、巻き込みそうになった見ず知らずの幼い兄妹を助け、誤って北斗を装甲鬼兵で殺してしまったときには動揺した。
両親からは生まれる前から禁呪の実験台として扱われており、その特殊な生い立ちゆえに呪術的才能に比べて人格に未熟な面がある。未成年であることから現場ではなく研究部門へ回されていたが、天才と言われている夏目でも一人では勝てないほどの実力がある。
死んだ兄を生き返らせるため、夏休みに夏目を襲撃し霊力を奪い、自分の生命を対価に泰山府君祭を試みる。しかし、春虎と夏目によって阻止され、陰陽庁に捕縛された。
その後、ペナルティとして呪力の一部封印の上、情操教育のため陰陽塾に入学させられる。「損得無しで自分のことをまともに見てくれた奴」として春虎に好意を抱いているが、その後夏目が女、かつ北斗の術者であることを知り、春虎共々脅迫しこき使うようになる。しかし、父・至道が原因で生成りになった冬児に協力を持ちかけられ渋々承諾し、京子・天馬も交えて一緒に行動するようになる。本人は大いに不満を示しているが、陰陽塾の面々にからかわれることが多い。本性を知ってから積極的に距離を詰めてくる京子に辟易している。
第二部では多軌子と接触していることが至道から語られてるが、その詳細は不明。
倉橋 京子(くらはし きょうこ)
声 - 喜多村英梨
陰陽塾での春虎たちと同期の少女。現在最も権勢を誇っている倉橋家の令嬢。成績は同期の中でも夏目に次いで優秀で護法式も扱える。おかしな時期に入塾をしてきた春虎を不審に思い、ことあるごとに突っかかっていたが後に和解。世話好きのお姉さん気質もあり、仲間内でのムードメーカーになる。倉橋家も元は土御門の分家であったので、春虎と夏目とは一応親戚。
幼い頃に春虎と一度会っており、そのときに好意を抱き約束を交わした。しかし、誤解が重なって約束した相手が夏目だと思い込み、入塾後彼女に会ってからは密かに好意を寄せていた。しかし、シェイバの暴走によって夏目の真実と約束した本当の相手に気付くと同時に、裏切られた信頼と好意と、夏目とそれを守る春虎の姿に感情が暴走、呪詛にも似た一言を二人に突きつけてしまった。後に感情を整理し、和解。同時に春虎への初恋にも決着をつけた。
『鴉羽』の暴走で夏目が死亡しショックを受けるが、冬児の春虎奪還に協力する。その折に、星読みとしての才が開花した。
百枝 天馬(ももえ てんま)
声 - 下野紘
陰陽塾での春虎たちと同期の少年。痩せ気味で童顔の眼鏡をかけた見るからに気の弱そうな少年で、情報源として冬児に目をつけられた陰陽塾で初めての春虎たちの友人。ただし春虎たちと付き合っていけるだけにそれなりにノリがよく、行動の端々に天然さがにじみ出ている。
旧家の百枝家として祖父母とともに住んでおり厳しくも優しく育てられたが、両親のこともあり、微妙な壁がある。
両親は陰陽師としての腕がそれほどではないが、大友ら呪捜官をはじめ、多くの陰陽師が愛用する汎用の市販式神を開発・販売した人である。仲間内での実力不足で悩んでいたが、大友が道満を相手に市販のスワローウィップを使ったため、両親と自分の陰陽師としての在り方に向き合う。春虎奪還には、自分の力不足を感じながらも参加しようとするが、目の前にふいに現れた早乙女涼の助言により方向を修正、冬児たちとは別に単身陰陽庁に潜入する。そしてその中で自らの在り方を認識し陰行術を会得、魑魅魍魎と霊災のひしめく陰陽庁を単独突破し、『鴉羽』の封印を解除した。
相馬 秋乃(そうま あきの)
第二部から登場。サイズが合っていない眼鏡をかけた12,3歳ぐらいの少女。気弱でドジな性格。呪術に関わる旧家の生まれながら、物心ついた頃から呪術界の暗部の一つである星宿寺に預けられていた。生成りの中でも珍しいウサギの生成りで、動揺すると隠行が解けて耳と尻尾が出てくる。
ウサギの生成りだけあって、文字通り脱兎の如く足が速くその速度は十二神将クラスの高位の呪術者を驚愕させるほど。
星宿寺を訪れた夏目の世話役となり、その縁で友達となった。十二神将と春虎、そして寺の人々による呪術戦を伴う混乱で星宿寺が半壊して行き場をなくし、夏目と行動を共にするようになる。

陰陽塾

大友 陣(おおとも じん)
声 - 遊佐浩二
陰陽塾講師で春虎たちの担任。隻足で義足に杖をついている関西弁の男性。飄々とした性格だが、かつては十二神将に数えられた呪捜官で、表に出ず任務を遂行するその役割から『黒子(シャドウ)』の異名で呼ばれていた。片足は過去に道満から逃げる際に犠牲にした。一線を退きながらも実力は健在で、道満と(かなり力がセーブされた状態であったとはいえ)対等の術合戦を繰り広げた。その後、道満に勝利を認めさせたが、後遺症によって髪が白くなった。勝者へ答えるといった道満に、ほぼ無理やり連絡先を交換させられる。
『鴉羽』暴走の際は間に合わず、夏目の遺体に謝罪した後、道満とともに陰陽庁を襲撃し春虎奪還に動き出す。春虎の脱出の際に木暮と対峙し葛藤するも、発現した京子の星読みに背中を押され、春虎たちを行かせて木暮と交戦する。『泰山府君祭』の後、道満と式神の契約を交わし姿を消した。
塾生時代は『三六の三羽烏』と呼ばれ、問題児扱いされていた。
倉橋 美代(くらはし みよ)
陰陽塾の塾長で、京子の祖母。生前の土御門夜光に会ったことがある。星詠みでおおまかにだが未来を視通せるものの、近年は老いと共に能力が減退している。『鴉羽』暴走後には星読みとしての能力はほぼなくなっていると自覚したが、代わりに孫娘である京子に星読みの才が発現する。
アルファ、オメガ
陰陽塾の門番をしている狛犬型の塾長の式神。実は夜光とかかわりのある機甲式であり、ドーベルマンのような姿になれる。
藤原(ふじわら)
元祓魔官の塾講師。3年生を担当している、実技講師。冬児の訓練を見てくれたり、祓魔局の訓練場を使わせてもらえるように口利きするなど、面倒見がよい。
富士野 真子(ふじの まこ)、木府 亜子(きふ あこ)
それぞれ男子寮・女子寮の寮母。BL好きでゴシップも大好きな貴腐人。春虎・夏目・冬児で勝手に妄想している。

十二神将

木暮 禅次朗(こぐれ ぜんじろう)
声 - 高橋伸也
『神通剣(じんつうけん)』の異名を持つ十二神将の一人。主な得物は彼の代名詞とも呼べる刀「二つ銘則宗」。祓魔局の若きエースとして有名で、術によって放つ刀の一振りは巨大霊災を一刀両断する。
9巻では陰陽庁から脱出して泰山府君祭を行って夏目を生き返らせようとする春虎と冬児たちを捕らえようとするが、大友に邪魔されて交戦する。しかし、蘆屋道満の式神が連れてきた半死半生の天海を見て愕然とし、目の当たりにした陰陽庁の闇の一端を目撃したことにより剣を収めて、陰陽庁は必要だと言い残してその場を立ち去った。
大友と涼の三人で陰陽塾に通っていた頃は『三六の三羽烏』と呼ばれていた。
烏天狗(からすてんぐ)
木暮の式神。4羽おり、天馬の親がオーダーメイドしたバイクに宿って、無人運転を行うこともできる。
鏡 伶路(かがみ れいじ)
声 - 吉野裕行
十二神将の一人。危険かつ粗暴な人格の持ち主で、鬼を使役していることから『鬼喰らい(オーガ・イーター)』の異名を持つ。フェーズ3の霊災を完全に手玉に取り、難易度の高い帝式の呪術をいとも簡単に行使するなど、高い戦闘能力を有する。呪力の封印を施されているが、鈴鹿のものよりも大きい。自らと同じで「鬼」を有する冬児に興味を持っている模様。
シェイバ
普段は使用禁止が通達されている鏡の式神。常に刀を持ち歩いている。
形代は刀で、その正体は源氏の名刀『髭切』。角行鬼にまつわる伝説とも関係している。
倉橋 源司(くらはし げんじ)
十二神将の筆頭で当代最高とされる陰陽師。陰陽庁長官兼祓魔局局長で京子の父親。鋼のような意志を風格に滲ませる。裏で『夜光の遺志を継ぐ』双角会を束ねており、呪術界の闇を広げようと画策する。
天海 大善(あまみ だいぜん)
呪捜官の長を務める呪術犯罪捜査部部長。『神扇(しんせん)』と名高き十二神将で、甲種言霊を自在に操る幻術のプロフェッショナル。二つ名の由来でもある扇がトレードマークの老練の呪術師。対人呪術においては業界最高の実力を誇る。美代とは古い付き合いでツーカーの仲。
双角会掃討作戦の後に倉橋源司が双角会と繋がっていることを知る。その後に倉橋源司らの手により捕縛される(表向きは『失踪』扱い)。天海自身の死を引き金にした呪詛を警戒した倉橋源司は、呪力を完全に封印した上で喉を呪術で焼き、両手足の腱を切り、十日かけて殺す禁呪を使うが、天海の命をとるのを躊躇った宮地が独断で殺す禁呪を解呪して対象者を『凍結』させる禁呪を使っていた。宮地はすべてが終わった後に天海を蘇生させて老人として余生を送らせるつもりだったのだが、9巻での春虎奪還の際に、喋ることもかなわないのほどに弱っていながらも、天海は仕込んでいた式神を使って春虎の逃亡を助け、自身も道満の式神によって助け出された。その後、大友に呪術で治療された後、連絡を受けた倉橋美代によって倉橋家の別邸に匿われた。
宮地 磐夫(みやち いわお)
祓魔官を束ねる祓魔局修祓司令室室長。十二神将の一人で、当代最高と言われる源司に対して「当代最強の陰陽師」と謳われる。渋くも人懐っこい雰囲気の中年で、髭面から若い陰陽師からは『閻魔(えんま)』と呼ばれているが、本当の二つ名は『炎魔』。不動明王の申し子とも呼ばれ、火炎系の呪術の手ほどきを鏡に施している。
実は双角会の裏のからくりを知っていた一人で、倉橋源司の腹心でもある。
三善 十悟(みよし とうご)
十二神将の一人。特別霊視官。
弓削 麻里(ゆげ まり)
十二神将の一人。独立祓魔官。24歳。『結び姫』の二つ名を持つ結界術師。以前は宮地のことを目指し尊敬していたが、今は携帯の宮地の登録名は「ひげ」となっている。
大友 陣
#陰陽塾を参照。

双角会

相馬 多軌子(そうま たきこ) / 比良多 篤祢(ひらた あつね)
呪捜部を引退した大友の後釜として双角会の捜査をしていた。だが、実際には双角会に内通していた。宮内庁御霊部に潜入した際に多軌子が入れ替わり、比良多篤祢として行動していた。
本来の姿は春虎達と同年代の少女。周囲から「姫」と呼ばれ、それに相応しい品格を備えている。ただし世俗や人の心の機微に疎く、また思考が盲目的であるために都合よく物事をとらえてしまう傾向があり、人に自分の考えを押し付けてしまうことが多々ある。基本的には好ましい雰囲気を持つやや浮世離れした少女。
「相馬の悲願」達成を目的に行動。真の双角会の一員として春虎達に好意的に接近するが、理由や真実を明かさぬまま、自分の望みを一方的に押し付ける悪癖が災いし、春虎や夏目に拒絶される。しかしそれでも自らの悲願を正しいと信じ切ってしまう態度は改まらず、泰純の謀略を知ったがために暴走。春虎や夏目の意思を無視して『鴉羽』を解放し、結果、春虎達に悲劇をもたらしてしまう。
大連寺 至道(だいれんじ しどう) / 夜叉丸(やしゃまる)
元十二神将。鈴鹿の父親で現在は故人。二つ名は『導師(プロフェッサー)』。『上巳の大祓』の首謀者で、自身がフェーズ4のタイプ・オーガにまでなった。
一度は『上巳の大祓』で死亡したが、「相馬の秘術」により式神・八瀬童子として転生。生前の記憶を保持したまま多軌子の使役式として復活し、自らを『夜叉丸』と名乗る。見た目は多軌子に合わせて若い姿を取っている。元は相馬家の傍系で旧姓は相馬至道といい、大連寺家には婿入りしている。
六人部 千尋(むとべ ちひろ) / 蜘蛛丸(くもまる)
かつての至道の片腕。『上巳の再祓』の首謀者であり、事件後に自殺。陰陽師としての腕は一流であり、十二神将の木暮でも手こずるほど。
至道と共に「相馬の秘術」により式神・八瀬童子として復活、自らを『蜘蛛丸』と名乗る。八瀬童子としての力は強大で、暴走したシェイバ以上の手強さを見せる。
佐竹 益観(さたけ ますみ)
新民党の若手議員。大連寺至道の甥であり、佐竹家にとって相馬家が主家にあたる。御霊部設立にも関わっている。双角会の裏の絡繰りを知っている一人でもある。

土御門家

土御門 夜光(つちみかど やこう)
半世紀ほど前の人物で、大戦中に現代の陰陽術の礎を築いた稀代の大天才にして『伝説の陰陽師』。その比類無き天賦の才を以て廃れつつあった呪術界を復興させ、土御門家を再び繁栄に導き、現代においてもなお彼が遺した功績は計り知れない。しかしながら、何らかの大儀式によって東京に霊災を引き起こした張本人でもあり、彼の所行により現在の土御門の名は悪名として通っている。土御門家の栄光と衰退を象徴する存在。
既に故人だが、源司や至道などの高位陰陽師の研究により、失敗したと思われた儀式は実際には成功しており、現代に転生を遂げた可能性が極めて高い事が示唆されている。
彼を信奉する者たち(=夜行信者)からはその名前を北極星になぞらえられ「北辰王」と呼ばれている。
陰陽術関係者たちからは夏目こそがその転生者であると目されていたが、それは現土御門家による欺瞞であり、実際には春虎として転生していた。
春虎が土御門夜光として覚醒すると、生前からの式神である飛車丸と角行鬼を伴って消息を絶った。
土御門 泰純(つちみかど やすずみ)
土御門家現宗主で夏目の父。夏目に対しては情が薄い。彼もまた星を詠むことができる。
実は春虎の実父。夜光が実の息子に転生するという星を読み、夏目を春虎の身代わりとして仕立て上げた。
第二部では夏目、鷹寛、千鶴と共に陰陽庁に追われながら、春虎の行方を追っており、星を詠むことで春虎がどこに出てくるのかをおおまかな範囲で探知している。
土御門 鷹寛(つちみかど たかひろ)
春虎の養父。土御門の分家筋であり、泰純の式神。名うての陰陽医だが元呪捜官で、その実力は健在。冬児の治療と封印を施した人物で、現在も彼の診察を続けている。
土御門 千鶴(つちみかど ちづる)
春虎の養母。元祓魔官の凄腕陰陽師。雷の術を得意とし、『人間発電機』の異名(本人は『アキバのラムちゃん』や『祓魔局の天神小町』や『閃光のレディ・サンダー』と自称しているが、そちらはあまり広まっていない模様)を持つ、かつての霊災修祓部隊の女隊長。十二神将ではなかったが、当時は破壊力だけなら当代五指に入ると言われるとまで謳われた。
8巻で泰純や鷹寛と共に屋敷を燃やして逃亡し、地方都市に潜伏していたが、夏目の死の報せを聞き、動揺する。

その他の登場人物

早乙女 涼(さおとめ すず)
解体された宮内庁御霊部に勤めていた女性。その容姿は1年生にも見間違われるほど幼い。幼女好きであるらしくコンに強い執着を見せ、また虎のことを出会う度にからかっている。掴みどころのない見た目と性格に反して陰陽術の知識は豊富。かつては夜光という人物そのものについての研究を行っていたらしい。
実は道満の式神(本人は弟子と名乗っている)であるのだが、主である道満さえも手綱を握りきれない奔放者。7巻の終盤で春虎が封印を強引に破って覚醒した後、道満の元を離れて待ち伏せしていたバーで角行鬼に春虎の不安定な状態を伝えた。9巻では天馬の前に現れて彼を式神として陰陽庁に放った後、『泰山府君祭』を行おうとする春虎に協力する。角行鬼とは道満の元にいた頃からの知り合いである。
度重なる思わせぶりな発言と、春虎の前にだけ頻繁に現れていたことから、春虎が真の夜光の転生であることに勘づいていたことが推測される。
『三六の三羽烏』の最後の一人で、大友らとは根深い関係だった。
蘆屋 道満(あしやどうまん)
蘆屋道満の名を名乗る、死人のような外見に反して若々しい声を持つ老人。近年起きているいくつかの事件の背後にいる人物とされ、陰陽庁からは「D」の符丁で呼ばれている。一方で非常に気まぐれな性格であり、気に入った相手には敵味方問わず知恵を貸す自由人。角行鬼とは古い付き合いであり、呪術戦を繰り広げた大友のことも認めている。
その実態は、「荒御霊」と呼ばれる霊体となって永い時を生き続ける大陰陽師・『蘆屋道満』本人。死体を形代として現界しているらしく、角行鬼の話によると過去にも何体か存在していたとのこと。大友との術合戦時に肉体を爆破されるが、幼い少年の肉体を形代として復活する。
伝承の通り伝説の大陰陽師・安倍晴明と戦った経験があるらしい。それ故か、晴明の末裔である土御門家に強い関心を寄せる。特に生前の土御門夜光とは面識があるようで、彼を非常に高く評価している。

用語解説

霊災
霊的災害。戦中に土御門夜光が執り行った大儀式の失敗により、東京を中心に頻発するようになった異常現象のこと。自然界に満ちる『霊気』の流れが淀み、偏向することで発生する。規模と驚異度に応じた段階が定められており、フェーズ1は自然レベルでの回復を見込めない霊気の偏向。フェーズ2は霊気の偏向が強まり周囲へ物理的被害を与える状態。フェーズ3は野槌牛鬼といった実体化した移動型・動的霊災の発生。フェーズ4は一つの巨大な霊災を中心として、無数の霊災が連続的に発生する状態、いわゆる百鬼夜行。一説ではさらにその先の、世界に受け入れられ霊災が遍在化する、フェーズ5(ファイナルフェーズ)が存在するとされる。
陰陽師
頻発する霊災を祓い、鎮める術を身につけた呪術師達のこと。近代化に伴い陰陽師の存在は廃れる一方だったが、半世紀ほど前に現れた稀代の大陰陽師・土御門夜光の功績により状況は一変。当時の日本の催事、神事、果ては呪術を応用した軍事にまでその影響力を拡大した。現代においてもその存在は欠かせないものとなっており、各種法令及び資格制度が整備され、陰陽庁によって統括・管理されている。その一方で、国家資格の不所持や、表社会から追放された者などの陰陽庁の管理下にない陰陽師達も少なからず存在し、そういった者達が生きる裏社会も存在する。陰陽庁所属の術師の多くが漆黒の衣装を身に纏うことから、闇鴉(レイヴン)の異名で呼ばれることもある。
式神
陰陽師が操る僕のこと。大別して『使役式』と『人造式』に分類される。
『使役式』とは、神仏や妖怪といった実際の霊的存在を呪術によって従えたものであり、その成り立ち故に強大な力を有するものが多い。反面、強力な存在であればあるほど従えることが難しく、意のままに制御するには術師に高い能力が求められる。
対し、『簡易式』は『形代』と呼ばれる核に呪力を込めることで作り出される式神であり、与えられた指令を実行する事に特化したものが多い。
この2種の式神は用途や目的に応じて更に細分化され、主を守るために常に側に侍る『護法式』、対象を拘束することに特化した『捕縛式』、鋼鉄の形代を核として生み出された堅牢・頑丈な『機甲式』等、その分類は多岐にわたる。
見鬼
霊気の流れや霊的存在を視認し、感じ取る力のこと。いわば霊視能力であり、霊的存在を扱う陰陽師にとっては必須となる力。見鬼の才は基本的に先天性のものだが、後天的に見鬼の力を付与する術も存在する。この能力の強さは個々の才能に大きく左右され、高位の見鬼は一般のそれらには見通せない術理や法理まで見極めることが可能となる。
陰陽庁
現代において、陰陽師達を管理・統括している国家機関。各種資格の認定や陰陽法の制定をはじめ、霊災の修祓や呪術絡みの事件捜査など、この国の呪術に関わる行政を一手に担っている。十二神将をはじめとする多くの優秀な術師を擁し、組織としての力は非常に強大である。実は、陰陽庁上層部とテロリスト集団と目される双角会は裏で繋がっており、『夜光の意志』を実現させるべく、陰陽法の規制緩和等を通して少しずつその勢力を拡大させている。
帝式陰陽術
正式名称は帝国式陰陽術。土御門夜光が戦前に軍部からの要請を受けて作り上げた呪術体系であり、過去の陰陽術だけでなく、修験道や密教系といった日本に存在するありとあらゆる呪術が統括・編纂されている。この系統の呪術はいずれも実戦的で強力な力を持ち、禁呪指定されているものも少なくない。呪術兵器とも呼ぶべき装甲鬼兵や、魂に関連する呪術はこちらに該当する。
汎式陰陽術
土御門夜光の死亡後、帝式陰陽術から危険なものを削ぎ落として整備された現在の呪術体系。こちらの呪術体系には、その危険性を鑑みて意図的に魂の概念が排除されている。
泰山府君祭
土御門家が代々執り行ってきた儀式であり、土御門夜光が死亡した原因とされている。死者復活等の魂を操作する呪術とされているが、その全貌は未だに解明されていない。
甲種呪術
陰陽庁によって確かな効果が認められた呪術。作品世界(の日本)では、原則として国家資格「陰陽2種」または「陰陽1種」取得者のみに行使が許されている。
乙種呪術
甲種呪術以外の呪術全般を指す呪術。
生成り
鬼や竜など、その身に何らかの霊的存在を憑依させた者達のことであり、いわゆる憑き物とほぼ同義。霊的存在を宿すという事は言わば歩く霊災にも等しい危険な状態であり、生成りとなった者には封印術が施され、宿った存在を押さえ込むことが求められる。一方で、鏡怜路や阿刀冬児、第二部の夏目のように封印の一部をあえて解放し、宿した霊的存在の持つ力を自身のものとして使役・利用することで強大な戦闘力を発揮する術師も存在する。ただし、これは詰まるところ自身を人ならざる存在に近づける行為であり、それに伴う人間性の喪失や自我消滅、暴走の危険をはらむ諸刃の剣でもある。
十二神将
国家資格である「陰陽1種」取得者の通称。実際に12人いるわけではない。
陰陽師としての腕は超一流であり、現場に出ているものから研究者までその活躍の場は様々である。祓魔官の十二神将は独立祓魔官、霊視官の十二神将は特別霊視官などと呼ばれる。
陰陽塾
春虎たちが通う陰陽術専門の学舎。現在の陰陽師の多くがここの卒業生であり、戦後の夜光塾が前身となっている。なお、春虎たちが47期生、鈴鹿が48期生、大友たちが36期生である。
夜光塾
陰陽塾の前身。夜光死亡後は汎式陰陽術を学ぶ一派が陰陽塾となり、夜光の『もうひとつの意思』を継いだ者たちが双角会となった。
双角会
狂信的な夜光信者たちによる秘密結社で、2年前の霊災テロと3巻の霊災テロの首謀とされている。だが、その実体は夜光塾から分かたれ、夜光の『もうひとつの意志』を継ぐ者たちによるもう一方の一派による結社である。

漫画

東京レイヴンズ
月刊少年エース』(角川書店(現:KADOKAWA(角川書店ブランドカンパニー))で2010年6月号から連載。作画は鈴見敦。小説第1巻の刊行に先駆ける形で連載が開始された。
東京レイヴンズ外伝 東京フォックス
『エイジプレミアム』(富士見書房)で創刊号(Vol.1)からVol.6まで連載された。作画はCOMTA。コンを主人公に据えたスピンオフ作品で、春虎の「友達を作れ」との命令により、友達作りに奮闘する彼女の様子が描かれている[1]
東京レイヴンズ RED AND WHITE
月刊ドラゴンエイジ』(富士見書房(現:KADOKAWA(富士見書房ブランドカンパニー))で2012年11月号から2013年11月号まで連載された。作画は望月あづみ。陰陽師育成機関「陰陽塾」の巫女クラスに通う少女たちの成長を描くスピンオフ作品である[2]
東京レイヴンズ SWORD OF SONG
月刊少年ライバル』(講談社)にて2013年11月号より連載中。作画は久世蘭。春虎の後輩である八雲暁兔を主人公に据えたスピンオフ作品で、本編とは独立したストーリー展開となっている[3]

既刊一覧

小説

富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA(富士見書房ブランドカンパニー))レーベルにて発売、既刊11巻(長編既刊10巻、短編既刊1巻)(2013年10月現在)

本編
  1. SHAMAN*CLAN(2010年5月25日初版発行) ISBN 978-4-8291-3519-8
  2. RAVEN"s NEST(2010年9月25日初版発行) ISBN 978-4-8291-3552-5
  3. cHImAirA DanCE(2010年12月25日初版発行) ISBN 978-4-8291-3592-1
  4. GIRL RETURN & days in nest I(2011年5月20日初版発行) ISBN 978-4-8291-3637-9
  5. days in nest II & GIRL AGAIN(2011年7月20日初版発行) ISBN 978-4-8291-3657-7
  6. Black Shaman ASSAULT(2011年10月20日初版発行) ISBN 978-4-8291-3688-1
  7. _DARKNESS_EMERGE_(2012年5月19日初版発行) ISBN 978-4-8291-3757-4
  8. over - cry(2012年10月20日初版発行) ISBN 978-4-8291-3809-0
  9. to The DarkSky(2013年3月20日初版発行) ISBN 978-4-8291-3865-6
  10. BEGINS/TEMPLE(2013年10月20日初版発行) ISBN 978-4-0471-2911-5
短編集
  1. EX1 party in nest(2013年7月20日初版発行)ISBN 978-4-8291-3909-7
番外編「コン日記」
『ファンタジア文庫25周年アニバーサリーブック』に収録
富士見ファンタジア文庫 富士見書房(2013年3月25日初版発行) ISBN 978-4-8291-3868-7 

コミックス

本編
角川コミックス・エース(KADOKAWA(角川書店ブランドカンパニー))レーベルにて発売、既刊7巻(2013年9月現在)
  1. 2010年12月25日初版発行 ISBN 978-4-04-715582-4
  2. 2011年2月26日初版発行 ISBN 978-4-04-715623-4
  3. 2011年7月26日初版発行 ISBN 978-4-04-715736-1
  4. 2012年1月26日初版発行 ISBN 978-4-04-120098-8
  5. 2012年6月26日初版発行 ISBN 978-4-04-120295-1[4]
  6. 2012年10月26日初版発行 ISBN 978-4-04-120490-0[5]
  7. 2013年9月26日初版発行 ISBN 978-4-04-120837-3
東京レイヴンズ 東京フォックス
ドラゴンコミックスエイジ富士見書房)レーベルにて発売。全1巻。
東京レイヴンズ RED AND WHITE
ドラゴンコミックスエイジ(KADOKAWA(富士見書房ブランドカンパニー)レーベルにて発売。既刊1巻(2013年10月現在)
  1. 2013年10月9日初版発行 ISBN 978-4-04-712907-8[7]

テレビアニメ

2012年10月に、テレビアニメ化が同じくファンタジア文庫作品の『神さまのいない日曜日』と同時に発表された。2013年10月より独立局ほかにて放送中。声優陣はドラマCD版から続投。

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ「X-encounter」
作詞・歌 - 黒崎真音 / 作曲・編曲 - 高瀬一矢
エンディングテーマ「君が笑む夕暮れ」
作詞 - KOTOKO / 作曲・編曲 - 井内舞子 / 歌 - 南條愛乃
挿入歌「Red monochrome」(第2話)
作詞 - 中野愛子 / 作曲 - 柿島伸次 / 歌 - コミネリサ

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
#01 SHAMAN*CLAN -約束- 倉田英之 金崎貴臣 中山敦史 渡辺敦子
#02 SHAMAN*CLAN -告白- 鈴木孝聡 杉藤さゆり、山内則康
山村俊了、野崎麗子

放送局

放送地域 放送局 放送期間 放送日時 放送系列 備考
東京都 TOKYO MX 2013年10月8日 - 火曜 24:30 - 25:00 独立局 製作委員会参加
リピート放送あり
兵庫県 サンテレビ
神奈川県 tvk 火曜 25:00 - 25:30
京都府 KBS京都
愛知県 テレビ愛知 火曜 25:35 - 26:05 テレビ東京系列
日本全域 AT-X 2013年10月9日 - 水曜 21:30 - 22:00 CS放送 リピート放送あり
BS11 水曜 24:00 - 24:30 BS放送 ANIME+』枠
dアニメストア 2013年10月10日 - 木曜 12:00 更新 ネット配信 見放題サービス利用者は全話見放題
ニコニコ生放送 2013年10月16日 - 水曜 24:30 - 25:00
ニコニコチャンネル 水曜 25:00 更新
バンダイチャンネル 2013年10月17日 - 木曜 12:00 更新

BD / DVD

発売日 収録話 規格品番
BD限定版 DVD限定版
1 2013年12月25日予定 第1話 - 第3話 GNXA-1641 GNBA-2241
2 2014年1月29日予定 第4話 - 第6話 GNXA-1642 GNBA-2242
3 2014年2月26日予定 第7話 - 第9話 GNXA-1643 GNBA-2243
4 2014年3月26日予定 第10話 - 第12話 GNXA-1644 GNBA-2244
5 2014年4月23日予定 第13話 - 第15話 GNXA-1645 GNBA-2245
6 2014年5月28日予定 第16話 - 第18話 GNXA-1646 GNBA-2246
7 2014年6月25日予定 第19話 - 第21話 GNXA-1647 GNBA-2247
8 2014年7月24日予定 第22話 - 第24話 GNXA-1648 GNBA-2248

出典

  1. ^ 東京レイヴンズ 東京フォックス”. 富士見書房. 2013年7月12日閲覧。
  2. ^ 巫女が続々、「東京レイヴンズ」スピンオフがDエイジで”. コミックナタリー. ナタリー (2012年10月9日). 2013年7月12日閲覧。
  3. ^ 『東京レイヴンズ Sword of Song』連載開始”. あざログ. FC2ブログ (2013年10月4日). 2013年10月18日閲覧。
  4. ^ 東京レイヴンズ -5”. KADOKAWA. 2013年8月27日閲覧。
  5. ^ 東京レイヴンズ -6”. KADOKAWA. 2013年8月27日閲覧。
  6. ^ 東京レイヴンズ 東京フォックス”. KADOKAWA. 2013年8月27日閲覧。
  7. ^ 東京レイヴンズ RED AND WHITE”. KADOKAWA. 2013年10月18日閲覧。

外部リンク