「源田実」を編集中

{{基礎情報 軍人
| 氏名 = 源田 實
| 各国語表記 =
| 生年月日 = [[1904年]][[8月16日]]
| 没年月日 = {{死亡年月日と没年齢|1904|8|16|1989|8|15}}
| 画像 = Minoru Genda.jpg
| 画像サイズ = 240px
| 画像説明 = 軍令部部員（大佐）時代の源田実
| 渾名 =
| 生誕地 = {{JPN}} [[広島県]][[山県郡]][[加計町]]<br />（現・[[安芸太田町]]）
| 死没地 = {{JPN}} [[愛媛県]][[松山市]]南高井町
| 所属組織 = {{IJN}}<br />{{JASDF}}
| 軍歴 = 1924 - 1945（帝国海軍）<br />1954 - 1962（空自）
| 最終階級 = [[ファイル:Imperial Japan-Navy-OF-5-collar.svg|35px]] [[海軍大佐]]（帝国海軍）<br />[[File:JASDF Lieutenant General insignia (b).svg|20px]] [[航空幕僚長|航空幕僚長たる空将]]（空自）
| 除隊後 =[[赤十字飛行隊]]初代飛行隊長<br />[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]所属の[[参議院議員]]
| 廟 =
}}
'''源田 実'''（げんだ みのる、{{旧字体|'''源田實'''}}、[[1904年]]（明治37年）[[8月16日]] - [[1989年]]（平成元年）[[8月15日]]）は、[[日本]]の[[大日本帝国海軍|海軍]][[軍人]]、[[航空自衛官]]、[[政治家]]。海軍では[[海軍兵学校 (日本)|海兵]][[海軍兵学校卒業生一覧 (日本)#52期|52期]]を卒業し、最終階級は[[大佐]]。戦闘機パイロット、航空参謀を歴任し、戦争中は特攻作戦に深く関与した。[[第三四三海軍航空隊]]司令として終戦を迎えた。自衛隊では初代[[航空総隊]]司令、第3代[[航空幕僚長]]を務め、[[ブルーインパルス]]を創設した。[[航空自衛隊]]の育ての親。政治家としては[[参議院議員]]を4期24年務めた。[[赤十字飛行隊]]の初代飛行隊長を務める。

== 生涯 ==
=== 出自、若い頃 ===
[[1904年]]（明治37年）8月16日、[[広島県]][[山県郡]][[加計町]]（現・山県郡[[安芸太田町]]）で酒造・農業を営む源田春七の六男二女の次男として生まれた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]372頁、太平洋戦争研究会『47都道府県「日本陸海軍」人物ファイル』PHP文庫235頁</ref><ref name="週刊読売19751101">{{Cite journal |和書 |title = 短期集中新連載 【東京の中の郷土】(1) 広島県の巻 この30人の咲く花鳴く鳥そよぐ風 源田実 |journal = [[週刊読売]] |issue = 1975年11月1日号 |publisher = [[読売新聞社]] |page = 38 }}</ref>。運動は得意ではなく小柄だったが、身体は頑健であった。加計町立加計小学校<ref name="週刊読売19751101"/>、[[広島県立広島国泰寺高等学校|旧制広島一中]]を経て<ref name="週刊読売19751101"/>、[[1921年]]（[[大正]]10年）、希望していた<ref>[[#海軍航空隊発進]]16頁</ref>[[海軍兵学校 (日本)|海軍兵学校]]に海兵[[海軍兵学校卒業生一覧 (日本)#52期|52期]]として入学する<ref name="週刊読売19751101"/>{{#tag:ref|同期に[[淵田美津雄]]、[[柴田武雄]]、[[高松宮宣仁親王]]らがいる。|group="注釈"}}。[[1924年]]（大正13年）7月24日、236名中17位で海軍兵学校を卒業、少尉候補生<ref>[[#生出・源田]]329頁</ref>。[[1927年]]（昭和2年）2月、[[海軍砲術学校]]普通科学生(少尉)時に航空関係の講習・身体検査・操縦を受ける<ref>[[#海軍航空隊発進]]17頁</ref>。4月、砲術学校普通科卒業。7月、[[海軍水雷学校]]普通科を卒業し、[[装甲巡洋艦]]「[[出雲 (装甲巡洋艦)|出雲]]」乗組。12月、海軍中尉に昇進。

=== 戦闘機搭乗員 ===
[[1928年]]（昭和3年）12月、[[霞ヶ浦海軍航空隊]]に入隊、第19期飛行学生を拝命する。源田は「海軍生活24年間を通じてこの転勤ぐらい嬉しいと思った辞令は一度もなかった」という<ref>[[#海軍航空隊発進]]20-21頁</ref>。定点着陸を見よう見まねで挑戦して失敗してからは1年ほどトラウマになり着陸には余裕がなかったという<ref>源田実『海軍航空隊始末記発進編』文藝春秋新社1961年39頁</ref>。[[1929年]]（昭和4年）12月、第19期飛行学生を戦闘機パイロットとして首席で修了、恩賜の銀時計を拝受する<ref name="#1">アジ暦「霞空教第1号の21卒業式施行の件」</ref>。[[1929年]]（昭和4年）12月、横須賀海軍航空隊戦闘機分隊に配属となる<ref>[[#海軍航空隊発進]]43頁</ref>。2月、[[多段式空母]]「[[赤城 (空母)|赤城]]」に戦闘機分隊第二小隊編隊長（[[一〇式艦上戦闘機]]）として着任した<ref>[[#海軍航空隊発進]]61頁</ref>。12月、大尉。[[横須賀海軍航空隊]]付<ref>[[#海軍航空隊発進]]77頁</ref>。日本海軍が英国から招いたチャッペル少佐とウィンゲート大尉を航空教官として開いた講義に参加する<ref>[[#海軍航空隊発進]]78-79頁</ref>。源田によれば戦闘機で敵地上飛行場の封鎖を説いたチャッペル少佐の講義はもっと海軍一般で広く研究されるべきものであったという<ref>[[#海軍航空隊発進]]83頁、[[碇義朗]]『鷹が征く―大空の死闘・源田実VS柴田武雄』光人社 2000年88-89頁</ref>。[[1931年]]（昭和6年）2月、「赤城」に配属<ref>[[#海軍航空隊発進]]95頁</ref>。12月、霞ヶ浦航空隊分隊長(教官)に配属されたため、[[1932年]]（昭和7年）7月の[[第一次上海事変]]には不参加<ref>[[#海軍航空隊発進]]101頁</ref>。11月、横須賀航空隊教官。[[1933年]]（昭和8年）12月、空母「[[龍驤 (空母)|龍驤]]」分隊長 (兼横空付教官)配属。

[[File:90siki-kansen.jpg|right|thumb|250px|九〇式艦上戦闘機。源田サーカスで使用された。]]
[[1934年]]（昭和9年）11月、横須賀航空隊分隊長となる。戦闘機の空戦性能の審査、研究に取り組み、海軍戦闘機隊の基本パターンの形成を行った<ref>[[#海軍航空隊始末記]]376頁</ref>。この頃すでに源田は[[航空主兵論]]を唱えて[[大艦巨砲主義]]を批判して、戦艦一つの建造費で千機の飛行機が製造できると訴えていた<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』22頁</ref>。当時は報国号（[[九〇式艦上戦闘機]]）と呼ばれる献納機が多く、源田は分隊長として編隊特殊飛行の3代目リーダーになり、日本各地で行われた献納式で編隊アクロバット飛行を行う。報国号献納とアクロバット飛行が結びつき源田サーカス（空中サーカス）の名で親しまれた<ref>[[#海軍航空隊発進]] 213頁、零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』514頁</ref>{{#tag:ref|源田サーカスは当時の精鋭であり、メンバーには[[間瀬平一郎]]、[[青木與]]、[[望月勇]]、[[佐々木留吉]]、[[半田亘理]]、[[赤松貞明]]、[[樫村寛一]]らがいる。|group="注釈"}}。
[[奥宮正武]]によれば源田サーカスの特殊編隊飛行は航空自衛隊でもやっていないような演目もあり列機が姿勢を崩さない美事なものであったという<ref name="#2">森史郎『零戦の誕生』光人社51頁</ref>。

源田は、前任者の[[急降下爆撃]]の研究を引き継ぐと、戦闘機を以てする急降下爆撃の研究に精力を傾けた。源田は、戦闘機隊は主として防御的作戦に使用されているが、戦闘の勝敗を決定する制空権を確保するためにもっと積極的に敵を攻撃する方に向けてはどうかと考え、敵の航空母艦を先制制圧する為に、急降下爆撃機を善用すべきは勿論、航続距離の延伸、操縦性の軽快さ、戦闘機としての流用等を考慮し、1933年（昭和8年）から1935年（昭和10年に）わたって、「単座急降下爆撃機」の試作、採用を主張し続けたが、賛同は得られなかった。この飛行機は制空権獲得のため、敵空母の先制空襲を主任務とするが、この爆撃が終われば、単座戦闘機として流用し得る構想であった<ref>森史郎『零戦の誕生』光人社57-58頁</ref>。

[[1934年]]（昭和9年）、「赤城」の第一航空戦隊研究会で源田は「単座急降下爆撃機」の導入を主張して、戦闘機と攻撃機の半数ずつをこれと入れ替える意見を出した。これに対して[[山本五十六]]は、戦闘機を攻撃に使うという点には賛成したが、航法上の安全性からやはり二座になると却下した<ref>源田実『海軍航空隊、発進』文春文庫204頁</ref>。[[1935年]]（昭和10年）、源田は「単座機による急降下爆撃の教育訓練に就て」の研究で昭和9年度の恩賜研学資金（海軍大臣賞）を受賞する<ref>国立公文書館「官房第1947号 10.5.8 昭和9年恩賜研学資金受賞者の件」、アジ暦「官房第1947号」、淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫107頁</ref>。[[末国正雄]]によれば、これは横須賀航空隊から提出された[[戦闘機無用論]]に関する意見書でもあるという<ref>生出寿 『航空作戦参謀 源田実』 徳間書店340頁</ref>。飛行機の小型化を志向しているため、[[新田慎一]]らの「大型攻撃機論（戦闘機無用論）」とは対立した<ref>源田実『海軍航空隊、発進』文春文庫235頁</ref>。

同年6月、三菱重工の単葉機[[九六式艦上戦闘機#歴史|九試単座戦闘機]]の試作二号機のテストをおこなった源田は上昇力・速力に問題はないとしつつ、射撃性能・着艦性能は特に優れていると感じず、舵の効きも問題視して格闘性能にも疑問を感じた。その後の採用会議で源田は[[単葉機]]の旋回性能の悪さを指摘して[[複葉機]]の[[九五式艦上戦闘機]]の方が優秀ではないかと意見して、空戦の検証をせずに九五式艦戦を廃して1本に絞ることに反対した。横須賀航空隊教頭・[[大西瀧治郎]]もそれを支持して「中央当局は単に机上の空論に頼ることなく、もっと実際に身をもって飛ぶ人の披見を尊重して方針を定められたい」と意見した。翌日模擬空戦が行われ、判定を任せられた源田らは九試単戦が格闘性能にも優れていると判断した。源田は大西や技術者に自身の不明を詫び、その後は熱心な九試単戦の支持者となった<ref>[[#海軍航空隊発進]]157-162頁、堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫97頁堀越二郎『零戦―その誕生と栄光の記録 (カッパ・ブックス―名著復刻シリーズ)』光文社1995 45-46頁</ref>。

大西とは1934年末から1年ほどの同勤であったが、源田にとって数年に匹敵する意義を持ち戦術思想、人生観に大きく影響を与えられた<ref>[[#海軍航空隊発進]]163頁</ref>。源田は「正しいことを正しいと認めることが大切なのであって何が国のためになるかで考え無節操と罵られようとも意に介すな」という大西から受けた言葉は人生においてこれほど胸を打つ言葉はなかったという<ref>[[#海軍航空隊発進]]163-164頁</ref>。佐々木留吉曹長は、分隊長の源田は他の高慢な士官たちとは全然違い、話のわかるいい人としきりに褒めていた<ref>二藤忠『一海軍特務士官の証言―戦争と人間の記録』徳間226頁</ref>。[[相沢八郎]]上飛曹によれば、源田はテストパイロットとして研究熱心であり、地上より空にいることの方が多く、その執念と熱意は敬服と驚嘆に値し、理を尽くした検討審議が繰り返されていたという<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』21-22頁</ref>。新山春雄技師（中島飛行機第2研究課長）は「我々技師が改良プランを持っていくとどんな時間でも嫌な顔一つせずに飛行実験をしてくれた。普通、飛行作業は午前中のみでそれ以外は明日に回されるが、源田大尉だけはそういうことは一度もなかった」という<ref name="#2"/>。

源田は戦闘機パイロットの道を考えていたため、高等科学生の受験を避けていたが、大西から「日ごろ訴える航空政策を実現したければそれなりの下地が必要である。また源田には高効率の軍備を作り上げてもらいたい」と[[海軍大学校]]の受験を説得されて受験し、1935年（昭和10年）10月31日に海軍大学校35期甲種学生となった<ref>[[#海軍航空隊発進]]177頁</ref>。ここから航空参謀の道を進むことになる。

同年4月、「海軍軍備の中核を基地航空隊と機動部隊として、潜水艦戦力で支援、巡洋艦・駆逐艦は最小限保有、戦艦はスクラップ乃至繋留して桟橋の代用とする」という作戦課題論文を提出する<ref name="発進180">[[#海軍航空隊発進]]180-181頁</ref>。当時は大艦巨砲主義が主流であったため、源田は気が狂ったと噂された。源田によれば、演習でも航空戦力は戦艦に攻撃などの面で優れていたこと、航空主兵の部隊に対して戦艦は目標とするものを失うこと、飛行機が天候に弱いという指摘もそれほどの天候下では戦艦も同様であることが根拠であったという<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年67-70頁</ref>。[[1936年]]（昭和11年）7月[[③計画|第三次海軍軍備補充計画]]における[[大和型戦艦]]2隻（[[大和 (戦艦)|大和]]、[[武蔵 (戦艦)|武蔵]]）の建造を厳しく批判し<ref>[[#海軍航空隊発進]]184頁</ref>、源田ら14人の飛行将校で空母計画への変更を啓蒙する航空研究会を立ち上げたが、海軍当局より私的な組織として解散させられる<ref>中田整一編『真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝』講談社84-85頁</ref>。[[1936年]]（昭和11年）11月15日、少佐<ref name="#3">アジ暦「第1御召艦及供奉艦 審判官 青軍 赤軍(2)」</ref>、第2連合航空隊参謀<ref name="#4">極東国際軍事裁判供述書「昭和11年11月海軍少佐第二総合航空隊参謀」 国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02121100</ref>。

=== 日中戦争 ===
1937年（昭和12年）7月、源田は海軍大学校を恩賜の成績（次席）で卒業<ref name="週刊読売19751101"/><ref>[[#生出・源田]]5頁</ref>。[[日中戦争]]（[[第二次上海事変]]）に第二連合航空隊司令部参謀として参加。源田は駆逐艦で[[青島市|青島]]に向い[[有馬正文]]大佐と共に現地調査を行う。源田の初陣であり敵の弾下は気持ちのいいものではなかったという<ref>[[#海軍航空隊発進]]223頁</ref>。

[[File:Akagi - A5M fighter.jpg|right|thumb|300px|[[九六式艦上戦闘機]]。源田の考案した「制空隊」に使用された。源田がテストパイロットを務めた[[九試単座戦闘機]]の制式機でもある。]]
同年9月、南京空襲作戦において、源田は戦闘機で広域制空を行う「制空隊」を考案する。戦闘機を主体的に運用する戦術思想としても画期的なことであった。戦闘機を行動基準に制空隊による敵戦闘機を捕捉撃滅を主目的にして、空襲は奇襲を行わずに敵の対空防御砲火圏外からの一航過として敵戦闘機を誘いだし、潜ませておいた戦闘機隊で撃滅する。従来の戦闘機任務である援護機には水上偵察機を回した<ref>森史郎『零戦の誕生』光人社109-114頁、戦史叢書72中国方面海軍作戦(1)昭和十三年四月まで 405-407頁、源田実『海軍航空隊始末記 発進篇』文藝春秋新社206-215頁</ref>。
9月19日の戦闘では二回の空襲・空中戦で日本軍喪失4機、中国軍撃墜40機を記録して中国空軍戦闘機隊を壊滅させた<ref>[[#海軍航空隊発進]]288頁</ref>。19日から25日まで11回空襲を行い同方面の敵戦闘機の大半を撃滅する。最大の戦果は制空権の獲得であった<ref name="#5">戦史叢書72中国方面海軍作戦(1)昭和十三年四月まで 405-407頁</ref>。
第二連合航空隊司令官・[[三並貞三]]少将は「従来戦闘機の用法は一般にきわめて消極的にして、哨戒ならびに掩護等のみに限られ、これを主体とする大規模作戦は未だかつて実施せられたることなし。然れども、今次南京空襲の成果より推察するに敵の戦略要点の上空にわが有力なる戦闘機隊を進撃せしめて、敵航空兵力の撃滅に努むる方策はきわめて有効にして、精神的にも敵国民衆環視の中にわが卓越せる空戦実力を発揮するは、敵国民に与うる打撃きわめて大なるものありと思惟す。また敵にして有力なる防空戦闘機隊を有する場合は、このごとき方策をとらざる限り敵国要点に対し徹底的爆撃を実施すること困難なり。本作戦開始以来昼間は一切の敵航空兵力の活動を封じ得たるのみならず、作戦末期よりは夜間といえども敵機の上海方面進出をほとんど皆無ならしむ得たり将来大陸方面航空作戦指導上この種作戦の遂行は大いに研究の価値あるものと認める」と所見でこの作戦を評価している<ref name="#5"/>。

また転戦する中国の奥地への攻撃には戦闘機の航続距離が足りないという問題があった。源田はそれを中継地点を利用することで航続距離の延伸を図り解決させた。当時としては新着想の離れ業であり、[[九五式陸上攻撃機]]で整備員や燃料をまだ整備されていない中継地点へ運び、そこで戦闘機が補給を済ませてさらに奥地へ飛ぶことで多くの奇襲を成功させ戦果を挙げた<ref>堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫145頁</ref>。支那事変で源田は様々な戦訓を得たが一番は戦闘機の有形無形の戦力の大切さであった<ref>源田実『海軍航空隊始末記 発進篇』文藝春秋新社164頁</ref>。また爆撃が不徹底に終わったことから敵飛行基地に急襲し地上で爆砕するのも一法ではあるが、効果が不十分であり戦果確認も困難であるという戦訓も得た<ref>源田実『海軍航空隊始末記 発進篇』文藝春秋新社228-229頁</ref>。源田によれば戦訓から陸上基地を爆撃で使用停止させることが困難であることから戦闘機を攻撃隊に加え空中、地上の飛行機の撃破に当たらせるのが有効であるという<ref name="#6">戦史叢書43ミッドウェー海戦162頁</ref>。11月、少佐に昇進。

中国戦線から帰還した源田は[[1938年]]（昭和13年）1月17日、12試艦戦計画要求の官民合同研究会で飛行機隊の集団使用、遠距離進出などの新境地を開拓した経験から実戦での96式艦戦や95式艦戦の働きを説明して格闘性能と航続距離の必要を訴える<ref>堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫156-157頁、堀越二郎『零戦』光文社1970年56頁</ref>。1月、横須賀航空隊飛行隊長着任。4月13日、十二試艦戦計画説明審議会に参加。設計者・[[堀越二郎]]より格闘性能、速度、航続距離のうち優先すべきものを1つ上げてほしいと要望があった。源田は支那事変の実戦体験から「どれも基準を満たしてもらわなければ困るがあえて挙げるなら格闘性能、そのための他の若干の犠牲は仕方ない」と答えた。しかし[[柴田武雄]]（海軍航空廠実験部部員）も実地経験から「攻撃機隊掩護のため航続力と敵を逃がさない速力の2つを重視し格闘性能は搭乗員の腕で補う」とした。両者正論の平行線で堀越は真剣な両者の期待に答えることにした<ref>堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫145頁、堀越二郎『零戦―その誕生と栄光の記録 (カッパ・ブックス―名著復刻シリーズ)』光文社79-82頁</ref>。
戦後、源田は柴田の考えにも一定の理解を示しつつ、「それでも支那事変の戦訓で格闘性能の必要性を痛感した」と語っている<ref>堀越二郎『零戦の遺産』光人社NF文庫76-78頁</ref>。この十二試戦が[[零式艦上戦闘機]]となる。3月上旬、源田は海軍兵学校全校生徒の前で中国での航空戦の体験を飛行将兵として語ったが、兵学校教頭・[[角田覚治]]は生徒に飛行機の協力は望ましいがこれに頼るわけにはいかないとくぎを刺した。源田は制空が二次的に扱われ残念に思ったという<ref>源田実『海軍航空隊始末記発進編』文藝春秋新社 251-253頁</ref>。

日中戦争の経験から[[1939年]]（昭和14年）の研究項目に大編隊群の共同攻撃法、空中戦闘法を提示したが<ref name="shimatsuki_p9">[[#海軍航空隊始末記]]9頁</ref>、それに取り組む前の3月、[[駐在武官|駐英国大使館付武官補佐官]]としてイギリスに転任する。[[1940年]]（昭和15年）1月、[[ハインケル]]社の試作戦闘機He113の視察のため、2度ドイツに入国している<ref>[[#海軍航空隊始末記]]10頁</ref>。8月に始まった[[第二次世界大戦]]の[[バトル・オブ・ブリテン]](英独航空戦)をイギリス側から体験した。英国空軍の訓練の観察、欧州大陸における連合国空軍とドイツ空軍の戦闘記録の分析を行う<ref name="shimatsuki_p9"/>。[[スーパーマリン スピットファイア]]戦闘機、[[ホーカー ハリケーン]]戦闘機の性能、搭乗員の能力を考慮し戦闘機隊の実力に関してドイツは英国より劣り英国も日本に劣ると判断している<ref>[[#海軍航空隊始末記]]9-10頁</ref>。

同年9月初めに源田はイギリスを発ち、アメリカ経由で10月帰国<ref name="生出源田351">[[#生出・源田]]351頁</ref>。[[平本道隆]]中佐の出迎えを受け、第一航空戦隊参謀に内定していることを知らされる<ref>[[#海軍航空隊始末記]]23頁</ref>。海軍の省部に対して、ドイツが日本と違った爆撃で効果を挙げていること、英国が制空を抑え有利だが海上協力が訓練不足であること、飛行機に防弾装備が必要なこと、空母甲板の強化も必要なこと、現状ではまだ英独の勝敗決定要因はないことを報告した<ref name="#7">[[#海軍航空隊始末記]]26頁</ref>。源田が報告を済ませると「源田君の話を聞いていると英国が勝つようなことになる」と苦言を呈された<ref name="#7"/>。また[[海軍省]]の[[記者クラブ]]で源田のバトル・オブ・ブリテンの話を聞いた杉本[[朝日新聞]]記者も迫力があり英国が勝利するような印象を受けたという<ref>[[#海軍の回想]]224頁</ref>。1940年（昭和15年）11月、中佐に昇進し、[[第一航空戦隊]]参謀（空母「[[加賀 (空母)|加賀]]」乗組）。

=== 太平洋戦争 ===
==== 第一段作戦 ====
{{main|真珠湾攻撃}}
[[1941年]]（昭和16年）2月、源田は第十一航空艦隊参謀長・大西瀧治郎から呼び出され、連合艦隊司令長官・[[山本五十六]]からの手紙を見せられて真珠湾における雷撃の可能性を聞かれた。源田は「雷撃は専門ではないから分かりかねるが研究あれば困難でも不可能ではない、できなくても致命傷を与えることを考えるべきである。空母に絞れば急降下爆撃で十分である。問題は接近行動にある」と回答する<ref>千早正隆『日本海軍の驕り症候群 上』中公文庫101-103頁、源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年17-18頁</ref>。
大西から作戦計画案を早急に作るよう依頼され2週間ほどで仕上げ提出した<ref>千早正隆『日本海軍の驕り症候群 上』中公文庫101-103頁、戦史叢書10ハワイ作戦91-92頁</ref>{{#tag:ref|源田案は以下の通り。出発基地を父島か厚岸にして、空母を200海里まで近づけて往復攻撃を行う。二案あり、一つ目は雷撃可能な時、艦攻は全力雷撃を行い、艦爆で共同攻撃する。二つ目は雷撃不可能な時、艦攻を降ろして全て艦爆にする。戦闘機は制空と飛行機撃破に充当し、使用母艦は第一航空戦隊、第二航空戦隊の全力と第四航空戦隊（赤城、加賀、蒼龍、飛龍）を使う。航路は機密保持のために北方から進攻する。急降下爆撃で攻撃し、主目標を空母、副目標を戦艦とした。水平爆撃は当時命中率が悪く大量の艦攻が必要になるため計算に入れなかった<ref>戦史叢書10ハワイ作戦91-92頁、源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年19-22頁</ref>。|group="注釈"}}。
源田によれば素案の素案程度のものであったという<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年19-22頁</ref>。それに大西が手を加えて作案し、3月初旬ごろ山本に提出された<ref>千早正隆『日本海軍の驕り症候群 上』中公文庫101-103頁</ref>。

4月10日、[[南雲忠一]]を司令長官、[[草鹿龍之介]]を参謀長とする[[第一航空艦隊]]が編成され、源田は甲航空参謀に任命された。源田の希望によって、優れた統率力、戦術眼を持ち源田と通じる同期生で偵察席に座り作戦の指揮に集中できる者という理由から[[淵田美津雄]]中佐が空中指揮官に抜擢され{{#tag:ref|淵田は源田の同期で親友。異例の降格人事であった。候補は三名いた。|group="注釈"}}、雷撃の専門家として[[村田重治]]少佐も引き抜いた<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年181-184頁、文藝春秋編『完本・太平洋戦争〈上〉』1991年49頁</ref>。
南雲は航空に関しては素人であり、草鹿も源田が案画して淵田が実行する好取組みと二人を評価し、彼らの献策をできるだけ採用して見守ったため<ref>草鹿龍之介『連合艦隊参謀長の回想』光和堂40頁</ref>、源田の意見はそのまま通りやすく、第一航空艦隊を源田艦隊と呼ぶ声もあった<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年312頁、[[#続 炎の海]]93頁</ref>。淵田や[[坂上五郎]]によれば当時源田は自身の案や計画が何の批判もなく通っていくことへの不安や不満をもらしたという<ref>淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫383-384頁、戦史叢書43ミッドウェー海戦160頁、[[#亀井戦記]]165頁、[[#良い参謀良くない参謀]]152-153頁</ref>。

第一航空艦隊の空母陣形について源田は、ニュース映画でアメリカ空母の単縦陣を見てひらめき、海上での飛行機隊空中集合と隠密行動を両立させるために集中配備にするべきと判断して採用された<ref>[[#海軍功罪]]294-295頁、源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年57-60頁、源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社30-32頁</ref>。
上空直援の戦闘機と対空砲火の集中による防御にも源田は自信を持っていた<ref>中島親孝『連合艦隊作戦室から見た太平洋戦争』光人社NF文庫45頁、千早正隆『日本海軍の驕り症候群 下』中公文庫156-157頁</ref>。
また、従来は所属艦で航空部隊の訓練や指揮を行っていたが、源田はそれを全て実戦での機種別、空中指揮系統へ変更した<ref>文芸春秋『完本・太平洋戦争〈上〉』1991年37頁</ref>。

源田と先任参謀・[[大石保]]大佐に真珠湾奇襲作戦実行計画の完成が命じられた<ref>戦史叢書10ハワイ作戦91-92頁</ref>。最初の攻撃案は攻撃隊を発進させながら空母は後退して離脱するものだったが、源田は「攻撃隊が決死の攻撃を行うのに母艦が逃げ腰では士気にも関わる」と反対し、接近しながら攻撃隊を発進させ、帰還機をできるだけ回収する案に変更させた{{#tag:ref|当初真珠湾北200海里から一次攻撃して北上しながら二次攻撃を放ちオアフ300海里圏外に脱出する案だったが、フォード北230海里で一次攻撃し南下して200海里で二次攻撃を放ち反転北上することでオアフ島に近づけ攻撃隊の帰投を容易にしてできるだけ収容する案に変更した。|group="注釈"}}<ref>戦史叢書10ハワイ作戦181頁</ref>。
11月下旬、南雲機動部隊各艦は[[択捉島]][[単冠湾]]に集結する<ref>[[#風鳴り止まず]]103頁</ref>。源田は任務達成上のことで頭がいっぱいで今度こそ生きて帰ることはないだろうと覚悟したという<ref>戦史叢書10ハワイ作戦267頁</ref>。

[[ファイル:Pearl harbour.png|right|thumb|250px|真珠湾攻撃で爆沈される[[アリゾナ (戦艦)|アリゾナ]]、その奥に[[テネシー (戦艦)|テネシー]]と[[ウェストバージニア (戦艦)|ウェストバージニア]]が見える]]
12月8日、真珠湾攻撃に成功。戦果は戦艦4隻撃沈、戦艦2隻大中破するなど米太平洋艦隊を行動不能する大戦果をあげた。攻撃前日まで源田は反復攻撃を訴えていたが、南雲にその意思がないと知って攻撃後の積極的な進言はしなかった<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年3、300-301頁、[[#風鳴り止まず]]145頁</ref>。攻撃後、源田は数日付近にとどまり留守で撃ち漏らした敵空母を撃滅する案を南雲に進言したが受け入れられなかった<ref>ゴードン・プランゲ『トラトラトラ 太平洋戦争はこうして始まった』並木書房p342</ref>。戦後源田は「真珠湾攻撃は私の海軍士官生活における最頂点であった」と語っている<ref>ゴードン・プランゲ『トラトラトラ 太平洋戦争はこうして始まった』並木書房p392</ref>。

その後、南下してニューギニア、オーストラリア、インド洋を転戦し連合軍の主要根拠地を覆滅しながらの大航海をした。[[1942年]]（昭和17年）1月のラバウル・カビエン攻略支援、2月のボートダーウィン攻撃、3月のジャワ海掃討戦、4月のインド洋作戦を続けて成功させた。
{{main|セイロン沖海戦}}
1942年4月、インド洋作戦における[[セイロン沖海戦]]で、一航艦は5日のコロンボ空襲中に現れた巡洋艦2隻を撃沈し<ref>[[#海軍航空隊始末記]]103-104頁</ref>、9日のツリンコマリ空襲では周囲に空母がいて新たな敵の出現は確実と判断した一航艦は、飛行隊の約半数を控置するように計画を変更し、現れた空母「[[ハーミーズ (空母・初代)|ハーミーズ]]」を撃沈<ref>[[#海軍航空隊始末記]]103-110頁</ref>。また、索敵機の回収に必要な電波を発したことで艦隊位置が露見し、航行中に英軍爆撃機の奇襲を受けたが、旗艦「赤城」が至近弾を受けるまで艦隊全員が気付かなかった<ref>[[#海軍航空隊始末記]]112頁、プランゲ『ミッドウェーの奇跡上』千早正隆訳　原書房236頁</ref>。このため、源田は敵に艦隊位置を知らせるガラガラヘビと呼んで索敵に消極的になる<ref>淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫256頁</ref>。源田は「こんな奇襲を喰らうようでは、今後よほど警戒しなければならない。あまりにも順調な戦闘を続けた我々は、この瞬間にさらに深い反省をすべきであったと思う。その反省の不足は、二か月後のミッドウェイに現れてきた次第である」と語っている<ref>[[#海軍航空隊始末記]]113頁、吉田俊雄『栄光と悲劇 連合艦隊 東郷平八郎と山本五十六』秋田書店326頁</ref>。

日本に帰国した後、4月28、29日に大和で行われた第一段作戦研究会で源田は「[[始皇帝|秦の始皇帝]]は[[阿房宮]]を造り、日本海軍は[[大和 (戦艦)|戦艦大和]]をつくり、共に笑いを後世に残した」と大艦巨砲主義に執着する軍部を批判して一切を航空主兵に切り替えるように主張した<ref>淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫111-113頁</ref>。

インド洋作戦までで一航艦の航空機の損失はわずかであり、艦艇には一隻の被害もなかった。史上類のない連続的勝利を記録し、一航艦は世界最強の機動部隊となるが、連戦連勝から疲労と慢心が現れていた<ref>千早正隆『日本海軍の驕り症候群 下』中公文庫103頁、秦郁彦『実録太平洋戦争』光風社34頁</ref>。

==== 第二段作戦 ====
{{main|ミッドウェー海戦}}
1942年（昭和17年）5月、連合艦隊司令部が立案したミッドウェー作戦が第一航空艦隊（一航艦）に命令された。源田は海上作戦に関心を持ち空母群を誘い出し掃討する案には賛成した。ハワイ攻略計画の一歩としても価値があると思った<ref>プランゲ『ミッドウェーの奇跡上』千早正隆訳　原書房38頁</ref>。しかし、準備期間が短く時期尚早であったため、作戦事前研究会で[[山口多聞]]少将とともに現状は手を伸ばし過ぎており戦力の充実を待つべきであると反対したが、連合艦隊司令部は決定済みとして取り合わなかった<ref>[[#海軍功罪]]303頁、草鹿龍之介『連合艦隊参謀長の回想』光和堂40頁</ref>。また、兵力が分散し過ぎて目標を見失っており、集中という兵術の原則にも反していると感じたため、図上演習後の研究会で連合艦隊参謀・[[黒島亀人]]少将に「作戦の重点をアメリカ艦隊撃滅に置くべきである。そのためにはアリューシャン攻撃部隊やあらゆる作戦可能な兵力を、たとえ第五航空戦隊（瑞鶴、翔鶴）が参加できるのを待ってもミッドウェーに集中すべきだ」と主張した。しかし、黒島は「連合艦隊長官は一度決めた方針に邪魔が入ることを望まれない。機動部隊の主要任務はミッドウェー攻略支援だ」と答えたため、アメリカ艦隊は二次的なものと源田は受け止めた<ref>プランゲ『ミッドウェーの奇跡上』千早正隆訳　原書房51-52頁</ref>。源田は戦艦大和が後ろから離れてついてくることに対して「戦艦などは足手まといでほしいのは駆逐艦や巡洋艦だ」と大艦巨砲主義を揶揄した<ref>淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫115頁</ref>。

一航艦では大規模な人事異動や航空機搭乗員の多数転出があり、[[第五航空戦隊]]（空母「[[翔鶴 (空母)|翔鶴]]」「[[瑞鶴 (空母)|瑞鶴]]」）に引き抜かれ、空母も4隻（「赤城」「加賀」「飛龍」「蒼龍」）となった。源田は航空隊の編成や補充などに追われる多忙な日々を過ごすことになった<ref>[[#海軍航空隊始末記]]122-123頁</ref>。{{#tag:ref|航空の人的軍備に失敗した件について言及された人事局の先任参謀[[大井篤]]（海兵51期）は、ミッドウェー作戦前に源田が人事局に来て整備員の教官、教員がほしいと要請して来たので長期計画を理由に断ると、源田は「あんなもの（米軍）鎧袖一触で、赤子の手をひねるようなものだよ、今度の一回で全部仕事は終わるんだから、そんな長期計画なんか要りませんよ」と発言し、航空本部にかけあって整備員を確保したとして、軍備側ではなく作戦側の責任と主張し<ref name="海軍反省会六454">[[#海軍反省会六]]454頁</ref>、また源田に驕りがあったとも主張した。この主張に対して[[佐薙毅]]（軍令部参謀）は、作戦打ち合わせで[[宇垣纏]]（連合艦隊参謀長）、[[黒島亀人]]（連合艦隊先任参謀）も鎧袖一触、一挙に撃滅すると発言していて、源田だけではなく、連合艦隊そのものが驕っていたと反論している<ref>戸高一成『海軍反省会9』PHP研究所179-180頁</ref>。|group="注釈"}}

第一段作戦の後始末でミッドウェー作戦を検討する暇がなく、連合艦隊の案をそのまま受け取ることになった<ref>中田整一編『真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝』講談社240頁</ref>。また、淵田美津雄中佐は病床にあり、[[鈴木栄二郎]]中佐も航空本部に転出したため源田は同期の相談役も失うことになった<ref>[[#良い参謀良くない参謀]]160頁、千早正隆『日本海軍の驕り症候群 下』中公文庫156頁</ref>。その上、源田はミッドウェー海戦の行動中の6月1日に肺炎で高熱を出して倒れ、海戦当日の作戦開始の総員起こしで艦橋へ上がったが、体調は万全ではなかった<ref>プランゲ『ミッドウェーの奇跡上』千早正隆訳　原書房p174p231、[[#風鳴り止まず]]224頁、[[#生出・源田]]245頁、[[#亀井戦記]]217頁</ref>。

6月5日、ミッドウェー島基地への攻撃を開始する。淵田に代わる空中指揮官には、経験を与えたいという源田の希望で[[友永丈市]]大尉が選ばれた<ref>戦史叢書43ミッドウェー海戦424頁</ref>。攻撃を終えた友永は一航艦司令部に対し「第二次攻撃の要あり」と打電した。南雲長官は、連合艦隊から米軍機動部隊迎撃のために待機を指示されていた残り半数の攻撃隊を兵装転換して使うことに決定し、幕僚たちもそれに同意した。源田によれば「そのような考えにこだわると適当な敵が発見されない限り兵力の半数が有効に使われないことになる。状況によって決定されなければならない」という<ref>プランゲ『ミッドウェーの奇跡下』千早正隆訳　原書房10頁</ref>。この間、ミッドウェー島基地の航空隊から継続的な空襲を受けていたが全て迎撃に成功した。その後、索敵機から予期せぬ米軍機動部隊発見の報告があり、山口多聞少将（[[第二航空戦隊]]司令官）から即時攻撃の意見具申がされた。しかし、上空にミッドウェー島攻撃を終えた第一次攻撃隊100機が帰還しており着艦収容を待っていた。即時攻撃のために第二次攻撃隊の準備を優先させるには、燃料切れによって第一次攻撃隊100機を不時着水で失うことになる可能性があるため、源田は、第二次攻撃隊の準備より第一次攻撃隊の収容を優先させることを南雲長官に進言した<ref>[[#海軍功罪]]123頁、[[#海軍航空隊始末記]]174頁</ref>。当時得られていた敵位置情報（誤情報）から時間的な余裕があると判断したためでもあった{{#tag:ref|索敵機利根からの入手情報では210海里離れており、敵の艦上戦闘機は航続力不足でこちらに到達ことができず、戦闘機を伴わないならば十分防御可能、伴わせるなら空母で接近してくるため時間がかかる。ミッドウェー基地航空兵力も来襲数から見て尽きたと判断した。|group="注釈"}}<ref>戦史叢書43ミッドウェー海戦290-291頁</ref>。
他の幕僚も同じ判断で南雲司令部では何の問題もなく収容の優先が決まった<ref>戦史叢書43ミッドウェー海戦291頁</ref>。

[[File:Aerial view of the Japanese aircraft carrier Akagi maneuvering on 4 June 1942 (USAF-57576).jpg|thumb|250px|{{small|回避行動中の空母「赤城」}}]]
一航艦は米軍機動部隊から発進した[[TBD (航空機)|TBD デバステーター]]雷撃機の攻撃全てを撃退した。源田は敵の雷撃をたいした腕じゃないと判断し、まず敵母艦からの来襲機を撃滅し、次に敵の母艦の群れを葬り去り、夜から明朝にかけて叩き潰して勝利できると考えていた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]181-183頁</ref>。しかし、敵上空来襲の知らせを受けて、当時無線電話が弱く雲量も多かったため、雷撃に対処した戦闘機へ上空警戒の指示を伝えることができず<ref>[[#海軍航空隊始末記]]184頁</ref>、[[SBD (航空機)|SBDドーントレス急降下爆撃機]]の空襲により、日本軍は空母「赤城」、「加賀」、「[[蒼龍 (空母)|蒼龍]]」を一挙に失う。源田が乗艦する旗艦「赤城」は大火災を起こし、南雲司令部は全員、軽巡「[[長良 (軽巡洋艦)|長良]]」に移乗した{{#tag:ref|報道員[[牧島貞一]]によれば源田は誰にも聞こえない声で「[[翔鶴 (空母)|翔鶴]]と[[瑞鶴 (空母)|瑞鶴]]がいれば…」とつぶやいたという<ref>[[#続 炎の海]]161頁</ref>。戦後、[[福地周夫]]（源田と海兵同期）にこの発言について尋ねられると、源田はそれを否定している<ref>福地周夫『続・海軍くろしお物語』（光人社、1982年）210頁</ref>。|group="注釈"}}。
残った空母「[[飛龍 (空母)|飛龍]]」も米軍機の攻撃で炎上し空母4隻全てを失った。

戦後、源田は「不安もあるが今度も勝つだろうといった自己欺瞞があった」<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社118頁</ref>「図上演習なら第二次攻撃隊を優先させたが実際には第一次攻撃隊の搭乗員に不時着しろと命令できなかった<ref>[[#海軍功罪]]306-307頁、[[#海軍航空隊始末記]]176頁</ref>。見殺しにすれば相打ちくらいにはできた」と反省している。これ以降自らの仏心を戒め心を鬼にして見敵必戦を心がけたという<ref name="#8">[[#海軍功罪]]122-124頁</ref>。また源田は、連合艦隊司令部があと1ヶ月作戦を遅らせれば空母「[[翔鶴 (空母)|翔鶴]]」「[[瑞鶴 (空母)|瑞鶴]]」「[[飛鷹 (空母)|飛鷹]]」が戦列に加わり有利に戦えたこと<ref>[[#海軍航空隊始末記]]216頁</ref>、日本軍の第一目標がミッドウェー島攻略であったことを指摘し、敵の機動部隊の事を想像すると不安でたまらなく、戦略戦術から言ってどうも納得できない部分があり、戦艦主兵か航空主兵かも曖昧で「大和」と戦艦群が機動部隊の後ろからついてくることも疑問だったことを語っている<ref>[[#海軍功罪]]302-304頁</ref>。

ミッドウェー海戦後、源田は連合艦隊、第一航空艦隊の司令部で打ち合わせた後、ミッドウェー海戦の戦訓も取り入れ航空主兵に切り替えた空母部隊再建案を6月12日に軍令部へ提出する。源田案は建制化、警戒兵力増加、航空戦隊再編の3項目を挙げた。警戒兵力は駆逐艦、巡洋艦の増加によって弾幕強化を図る。航空戦隊再編は航空主兵に切り替えることに焦点を置いた。大型空母2隻に攻撃隊を搭載し、小型空母1隻に自衛戦力を搭載する3隻編成として、戦闘機、爆撃機を増やして攻撃機を減らし、目標を空母においた制空権獲得の航空決戦の方針とした。これをもとにさらに検討が加えられ、7月14日の戦時編成改訂で[[第三艦隊 (日本海軍)|第三艦隊]]として新編された<ref>戦史叢書43ミッドウェー海戦638－639頁</ref>。南雲忠一中将と草鹿龍之介参謀長は第三艦隊の指揮官としてそのまま機動部隊の指揮を執ったが、その他の幕僚は全て降ろされ源田も7月14日<ref name="jirei19420714">昭和17年7月14日付 海軍辞令公報 （部内限） 第899号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072086200 で閲覧可能。</ref>「瑞鶴」の飛行長に移動した。8月、[[第二次ソロモン海戦]]に参加。

10月8日、源田は山本五十六の意向で臨時十一航空艦隊参謀としてラバウルに赴任<ref>[[#海軍航空隊始末記]]233頁</ref>。[[ガダルカナル島の戦い|ガダルカナル島を巡る戦い]]では陸海軍戦闘機を集中して制空権を掌握する計画を提案し、軍令部も同意したが、陸軍との交渉で断念した<ref>淵田＼奥宮『機動部隊』448頁</ref>。源田によれば[[マラリア]]に感染して入院し、ほとんど戦局に寄与しなかったという<ref>[[#海軍航空隊始末記]]234頁</ref>。

==== 軍令部航空部員 ====
1942年（昭和17年）12月10日、[[軍令部]]第一部作戦課航空部員（大本営海軍参謀）就任<ref>[[#海軍航空隊始末記]]246頁</ref>。ガダルカナル島の撤退を意地や面子で決めかねていた大本営で源田は「近くに飛行場のないガ島での空中戦に勝算なし」と断言した<ref>杉江勇『福岡連隊史』p162</ref>。12月27日から源田は[[山本祐二]]中佐と共に陸軍とガダルカナル島撤退要領、ソロモン方面主戦の合同研究を3日間行い、12月末ガダルカナル島撤退作戦が決定された<ref>[[#海軍航空隊始末記]]241-243頁、戦史叢書77 大本営海軍部・聯合艦隊(3)昭和十八年二月まで 497頁</ref>。1943年2月から数度にわたり、敵に察知されることなくガダルカナル島からの撤退は成功した。

零戦が既に敵から十分研究されているであろうと考えた源田は、零戦とは別に異なる画期的な戦闘機を求めて高速戦闘機を模索するが、技術的に提案する知識がなかった。そこに同じ考えを秘めていた[[鶴野正敬]]技術大尉が現れ、高速戦闘機「[[震電]]」の開発に動き出した<ref>[[#海軍航空隊始末記]]237-241、250-251頁</ref>。要求性能で揉めたが、源田は「400ノットの高速戦闘機が欲しいのであまり付帯要求を付けないように」という指導的意見をして、鶴野は要求性能をまとめることができた<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』550頁</ref>。同機は試作機の製造までで終戦を迎えた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]250-251頁</ref>。また源田は、防御力を重視した[[B-17 (航空機)|B-17爆撃機]]に匹敵する大型攻撃機「[[連山 (航空機)|十八試大攻(連山)]]」の開発計画も進めた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]240.250頁</ref>。同機は試作機の飛行に成功したが資源の枯渇で中止された。

源田は航空機の防弾に取り組んでいたが、障害もあった。三福岩吉（艦爆搭乗員）によれば、[[一式陸上攻撃機]]の後継機である爆撃機「[[銀河 (航空機)|銀河]]」の防弾導入に対して、操縦性を求める[[江草隆繁]]から防弾装備の反対が起こり、江草をなだめるために源田が出向くこともあったという<ref>江草聖子『二つの時代 夫は艦爆の神様と言われて』光人社　惜別の人19頁</ref>。[[曽根嘉年]]によれば、[[1943年]]（昭和18年）夏に零戦の防弾とその重量による性能低下が焦点となり、会議は二分した際、源田は「大和魂で突貫しなくてはならない。どうも精神的な面もみんな緩んでいるようだ。ここはひとつそういう議論はやめて、うんと軽くていい飛行機を作ってもらって、我々は訓練を重ねて腕を磨き、この戦争を勝ち抜こうじゃないか」と言って会議を締めることもあったという<ref>NHKスペシャル「ドキュメント太平洋戦争エレクトロニクスが戦を制す」、NHK取材班『電子兵器「カミカゼ」を制す（太平洋戦争日本の敗因3）』角川文庫p139-144</ref>。
零戦の防弾は源田の任期から取り入れられ、同年末生産の消火装置装備に始まり、順に装備されている。

同年、横須賀海軍砲術学校において源田が出張して生徒達に航空講義をした際、「[[万里の長城]]」「[[ピラミッド]]」「大和、武蔵は世界の笑い物だ」と発言し教頭・[[黛治夫]]に取り消すように迫られた<ref>生出寿『ライオン艦長 黛治夫 ある型破り指揮官の生涯』光人社1988年80-81頁</ref>。

{{main|第一航空艦隊}}
7月1日、経済的理由や人員・機材不足から難航していた第一航空艦隊（一航艦）が再建された。航空母艦を建造する時間的経済的余裕がないこと、母艦機搭乗員は教育訓練が困難であること、空母の脆弱性から西南太平洋に散在する基地を[[不沈空母]]として活用する機動集中が可能な部隊という源田の構想の下行われた<ref>戦史叢書39大本営海軍部・聯合艦隊(4)第三段作戦前期178-181頁</ref>。この部隊の中核人員は[[真珠湾攻撃]]時の一航艦メンバーであったため「源田一家」と呼ぶ声もあった<ref>淵田＼奥宮『機動部隊』227頁</ref>。将来の主戦力として期待されたが、練成途中にクェゼリン、ルオットの玉砕があり翌年2月15日に連合艦隊への編入が決められた<ref>戦史叢書71大本営海軍部・聯合艦隊(5)第三段作戦中期207頁</ref>。

9月16日、源田は陸軍参謀・[[瀬島龍三]]との共同研究による大本営陸海軍部の合一に関する研究案を提出する。大本営の指揮系統一元化また航空兵力の一元化を提案した<ref>戦史叢書71大本営海軍部・聯合艦隊(5)第三段作戦中期296-297頁</ref>。

[[1944年]]（昭和19年）2月、米軍機動部隊が[[マーシャル諸島]]に来襲して[[マジュロ|メジュロ環礁]]を根拠地とすると、源田と[[藤森康男]]（潜水艦部員）を中心に[[雄作戦]]が立案された<ref>[[#海軍航空隊始末記]]269頁、[[#良い参謀良くない参謀]]161頁</ref>。マーシャル諸島泊地を目標とする真珠湾攻撃の再現する構想であり、航空作戦は、敵に油断はないため夜間、しかも搭乗員が未熟であることから月夜の奇襲とした（空襲に呼応し特四式内火艇で泊地水中攻撃も行う）<ref>戦史叢書71大本営海軍部・聯合艦隊(5)第三段作戦中期359、364-367頁、[[#海軍航空隊始末記]]270頁</ref>。
6月8日の満月の日を予定して連合艦隊に提案したが、3月30日の[[パラオ大空襲]]に起因して連合艦隊司令長官・[[古賀峯一]]が遭難死し（[[海軍乙事件]]）、計画は実現しなかった<ref>戦史叢書71大本営海軍部・聯合艦隊(5)第三段作戦中期頁</ref>。戦後、源田は「今考えると[[珊瑚海海戦]]あたりから敵にこちらの情報が読まれている節があり実施したとしても奇襲が成立せず当方が予期したような成果を挙げることが出来たか疑問である」と話している<ref>[[#海軍航空隊始末記]]271頁</ref>。

同年夏、連合艦隊司令官・[[豊田副武]]大将は立直しをはかり、[[マリアナ・パラオ諸島の戦い]]において米軍を迎撃すべく「あ号作戦」を計画した。軍令部側の源田は豊田の幕僚に淵田美津雄中佐がいたため航空作戦の計画がやりやすかったという<ref>[[#海軍航空隊始末記]]259頁</ref>。日本軍はあ号作戦の決戦海面に西カロリンを想定していた{{#tag:ref|源田も「あ号作戦計画においては、敵のマリアナ攻略はほとんど考えていない。敵の来攻方向は比島を目標とする西部ニューギニアと西カロリンであり、マッカーサーとニミッツの兵力が同時に別の方向に来攻するとは考えず、ニミッツの艦隊はマッカーサーの攻略部隊に応じるであろうと判断していた」と話している<ref>戦史叢書12マリアナ沖海戦323-325頁</ref>。偶然傍聴したという[[大井篤]]によれば、源田はカロリンと断言して航空のわからない人にはわからないと言ったという<ref>[[#生出・源田]]362頁</ref>。|group="注釈"}}が、米機動部隊のマリアナ来襲で6月19日に[[マリアナ沖海戦]]が勃発。同海戦では、[[小沢治三郎]]中将が[[アウトレンジ戦法]]を指揮して敗北しているが、この戦法に源田は反対で現地に出張した際に機動部隊の幕僚に忠告していた<ref name="#9">戦史叢書12マリアナ沖海戦390頁</ref>{{#tag:ref|理由は搭乗員が環境になじむための飛行が必要であり、航続距離一杯だと攻撃も窮屈になり、回収できる帰還機も回収できず、搭乗員への負担も大きく心理的にも悪影響として飛行距離は150海里から250海里が妥当と考えていた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]265-267頁</ref>。戦後[[大前敏一]]（第一機動艦隊参謀）は反対者はいなかったするが<ref name="#9"/>、[[奥宮正武]]（第2航空戦隊参謀）も源田が反対であったことを証言しており<ref>奥宮正武『太平洋戦争と十人の提督下』学研M文庫272頁</ref>、[[山本親雄]]（軍令部1課長）も源田は「搭乗員が技量未熟なことを考えて遠距離攻撃は慎むように注意しておいたのに」と残念そうだったという<ref>山本親雄『大本営海軍部　回想の大東亜戦争』朝日ソノラマ170頁</ref>。|group="注釈"}}。
また、角田覚治中将が指揮する第一航空艦隊も参戦したが、決戦前にすでに戦力を消耗しており、源田も「すでに練度の高い搭乗員から消耗されており大して実力があったとは思わない」<ref>戦史叢書12マリアナ沖海戦411頁</ref>「不沈の陸上基地も南洋諸島のように各基地が数百カイリ以上も離れて孤立し相互支援が十分に利かないところでは母艦群の圧倒的な兵力には抗じ得なかった」と話している<ref>[[#海軍航空隊始末記]]256頁</ref>。

マリアナ沖海戦での壊滅を受けて、海軍ではサイパン奪回作戦の甲案とマリアナ確保断念の乙案が検討された。甲案で源田は、陸海軍の保有する全戦闘機で一群300機の少なくとも三群を編成し、母艦や硫黄島経由でマリアナに片途飛行をやり、空戦後同地の飛行場に着陸、一基地に100機以上を配すれば、その時の制空権は概ね日本に帰すため、これを爾後三回同様のことを繰り返し、マリアナの制空権を一時的に奪回して、全艦艇と必要な輸送船を送り込んで、陸上から敵兵を海中に追い落とす作戦を提案した<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫306-307頁</ref>。乙案も陸海軍の航空兵力統一運用を重視しており、源田は乙案において陸海の統帥部の統一や航空機工業の統一にも言及した。日本は乙案を選択した<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 p31-33</ref>。

また7月10日、[[空地分離方式]]が導入された。もともと必要性は認められていたが、主として切羽詰まった作戦上の要求から、源田が中心になって推進した。いずれの決戦方面であれ、航空兵力を移動集中する必要があったが、航空隊移動の都度、基地員や物件を移動する従来の方式では間に合わないため、空地分離による円滑化を進めた。準備中に敵の来攻を受けたが、ともかく航空部隊の移動集中ができ、作戦実施が可能になったのはこの方式の成果であった<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 p286-288、戦史叢書37海軍捷号作戦(1)台湾沖航空戦まで72-73頁</ref>

マリアナ沖海戦の敗北後、[[城英一郎]]大佐、[[岡村基春]]大佐などから軍令部作戦課に特攻の意見具申があった<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期333頁</ref>。航空本部課長・[[伊東裕満]]も特攻兵器「[[桜花 (航空機)|桜花]]」の案とその搭乗希望者の署名を持ち込んで源田に軍令部側の採用を促した<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 333頁、御田重宝『特攻』講談社397頁</ref>{{#tag:ref|署名した堀江良二一飛曹によれば、軍令部側がそのようなものを作っても乗る搭乗員がいないと相手にしなかったため、発案者の[[大田正一]]少尉が説得のために署名を集めたという<ref>加藤浩『神雷部隊始末記』学習研究社65-66頁</ref>。民間協力などに源田の紹介状があったとする俗説があるが<ref>生出寿『一筆啓上瀬島中佐殿』徳間文庫</ref>、源田に持ち込まれる以前から民間協力などは存在する<ref>木俣滋郎『桜花特攻隊』光人社NF文庫24-26頁、秦郁彦『昭和史の謎を追う上』文春文庫512-513頁</ref>。また[[渡邉恒雄]]が源田を桜花の命名者と広言したが論拠はなく<ref>『昭和の戦争 保阪正康対論集』朝日新聞社236頁</ref>、命名は航空本部[[伊東裕満]]の発案で海軍省側が行った<ref>加藤浩『神雷部隊始末記』p70『海軍神雷部隊』戦友会編7頁、御田重宝『特攻』講談社400頁</ref>。|group="注釈"}}。
この時期に関して、源田は「マリアナ沖海戦後、前線の若手士官、下士官から覚悟があるので体当たり機の使用を始めさせてほしいと上申があったが、軍令部は十分に効果がある爆弾の開発があるまで待ってほしいとなだめていた。桜花も同じ時期に軍令部への説得、働きかけがあった」<ref>『丸』53巻5号171頁</ref>「余りにも数多い特攻兵器は、何を重点にして整備すべきか選択に迷うべき程であった。何もかも航空部隊に依存し飛行機がなければ、水上部隊は何事も出来なかった状況を憤慨し、「痩せ馬に荷を負わせ過ぎる」と言って水上、水中の特攻兵器を強調する人が居る反面、航空特攻を第一義とすべしという考えの人も相当に居た。殊に航空関係において然りである」と証言している<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫308-309頁</ref>。また、桜花の利点は炸薬量が多いのが魅力だったと話している<ref>秦郁彦『昭和史の謎を追う上』文春文庫510頁</ref>。8月5日、源田は軍令部会議で桜花案を報告、軍令部総長・[[及川古志郎]]と同第二部長・黒島亀人が承認して研究試作が開始した<ref>秦郁彦『昭和史の謎を追う下』文春文庫510頁、加藤浩『神雷部隊始末記』学習研究社66-67頁</ref>。しかし、源田の任期中は桜花を兵器として採用することはなかった<ref>戦史叢書88海軍軍戦備(2)開戦以後186頁　採用は1945年3月17日内令兵第八号</ref>。

10月、大西瀧治郎が第一航空艦隊長官に内定したときに軍令部で源田に戦力を持っていきたいと相談するが、源田はそれがないことを告げ、零戦150機の準備をすることを約束した。その際、源田は大西から場合によっては特攻を行うという決意を聞かされたという<ref>戦史叢書56 海軍捷号作戦(2)フィリピン沖海戦 109頁、森史朗『敷島隊の五人―海軍大尉関行男の生涯 (下)』文春文庫89頁</ref>。
大西は現地で特攻を開始、奥宮正武によれば特攻が開始されたときに軍令部で速報を手にした源田は沈痛な面持ちで「二機命中一機命中だぞ、わかるか、二機一機だぞ」と嘆いたという<ref>奥宮正武『海軍特別攻撃隊』朝日ソノラマ14頁</ref>。軍務に従い源田は発表方法について大西に意見を求める電文の起案を担当している<ref>御田重宝『特攻』講談社527-528頁、戦史叢書56 海軍捷号作戦(2)フィリピン沖海戦 108-109頁、戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 503-504、538頁</ref>{{#tag:ref|大海機密第261917番電 1944年10月13日起案,26日発信「神風攻撃隊、発表ハ全軍ノ士気昂揚並ニ国民戦意ノ振作ニ重大ノ関係アル処。各隊攻撃実施ノ都度、純忠ノ至誠ニ報ヒ攻撃隊名（敷島隊、朝日隊等）ヲモ伴セ適当ノ時期ニ発表ノコトニ取計ヒタキ処、貴見至急承知致度」発信[[中澤佑]]、起案源田実、「一航艦同意シ来レル場合ノ発表時機其ノ他二関シテハ省部更二研究ノコトト致シ度」海軍省人事局主務者の意見<ref>戦史叢書56 海軍捷号作戦(2)フィリピン沖海戦 108-109頁、戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 503-504、538頁</ref>。神風の名前が既にあるため大西が出発前にすでに名前を打ち合せていたという意見もある。しかし命名者の[[猪口力平]]は19日に提案したと証言し、[[門司親徳]]（特攻編成起案者）も起案日は源田の誤記で23日ではないかという<ref>御田重宝『特攻』講談社32頁、神立尚紀『特攻の真意──大西瀧治郎 和平へのメッセージ』文藝春秋126-127頁</ref>。源田はこの電文について日付は覚えていないが、神風特攻隊の名前はフィリピンに飛んだ際に大西から直接聞いたと証言している<ref>御田重宝『特攻』講談社32頁</ref>。この電文を特攻の指示、命名の指示と紹介する文献もあるが、現地で特攻の編成・命名が行われたのは20日であり、この電文が現地に発信されたのは26日であるため、この電文は特攻隊の編成や命名に影響を与えていない。また、連絡のためにこの電報を打ったのは軍令部であるが、内容の発表に関しては海軍省による案件である<ref>富永謙吾『大本営発表の真相史』自由国民社200-201頁海軍省発表</ref>。|group="注釈"}}。
11月、連合艦隊が特攻のために航空機300機の増援を軍令部に要請し、大西が練習航空隊からの抽出を要望したことに関連して、11月19日に航空本部や人事局との打ち合わせに行かされた源田は、抽出すると新規搭乗員の教育を停止しなければならないため、問題はそこまで犠牲を払って果たしてそれに見合う戦果が期待できるかどうかであり、影響を無理のない範囲でとどめておくには、教育の一部停止により抽出の兵力を当面作戦に投入しておき、それに次いで現在練成中の桜花隊を進出させるのが好ましいと反対した<ref>戦史叢書93 大本営海軍部・聯合艦隊(7)戦争最終期 90-91頁</ref>。

源田は特攻の命令や指導をしたことはないが、こういった時期に軍令部にいたため、源田も特攻に積極的だったと見る者もいれば<ref>源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年315-316頁、柳田邦男『零戦燃ゆ 渾身編』p208-209</ref>、源田は最後まで正攻法を訴えたため、特攻に消極的だったと見る者もいる<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング 209-210頁、小林道雄『白い太陽』文芸社p65</ref>{{#tag:ref|戦後、TV番組で軍令部での特攻隊における役割について質問された源田が「特攻隊ができたのは、私が軍令部員を辞めた後ですから、私は特攻隊とは関係がありません」と答えたことについて、既述のような事情から後に一部から非難の声もあったが<ref>[[#生出・源田]]391頁</ref>、源田の証言通り、軍令部が特攻の指導をするのは、辞任後の1945年2月10日[[第五航空艦隊]]編制からである<ref>戦史叢書17沖縄方面海軍作戦 708-709頁、加藤浩『神雷部隊始末記』p174-175</ref>。|group="注釈"}}。源田は「補給路を遮断せられ、本土の生産施設をも敵の爆撃機に蹂躙せられては、大勢挽回の望みはない。神風特攻隊も本土決戦の思想も、それ自身においては崇高であり、批判の対象にすることは適当ではないが、戦略的見地に立って見れば、救国の道に通ずるものではなかった」と見ている<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫305頁</ref>。

{{main|T攻撃部隊}}
あ号作戦以降、日米の航空戦力はますます懸隔して、日本がアメリカに対抗するためには敵の意表を突く何らかの方策による活路が求められた。日本の航空機はアメリカの空母群に到達する前に、電探（レーダー）と巧みに連携した戦闘機に捕捉され、到達しても重厚な対空砲火を受けることになる。また、日本は航空機生産力、搭乗員の練度から戦闘機隊の増強に実効性に自信を欠いた。そこで想定作戦場面（日本本土、台湾、比島、南西諸島）が台風常襲経路であり、かつ予期される敵進攻時期も過去の統計から10日から週1度の頻度で台風が発生する来襲期であることから機会到来は高確度であること、台風による悪天候で海面が荒れるため、敵戦闘機の出撃、対空砲火を制約・阻害でき、意表を突くことができることから源田によってT攻撃部隊が提案された<ref>戦史叢書37海軍捷号作戦(1)台湾沖航空戦まで307-309頁</ref>。

源田のT攻撃部隊案は、荒天により発着困難な昼間の攻撃を本旨として、機会がない場合は敵の活動が不十分な夜間に攻撃するというものだったが<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 290頁、戦史叢書37海軍捷号作戦(1)台湾沖航空戦まで309-310頁</ref>、提案された図上演習で、指揮権を持つ[[第二航空艦隊]]（二航艦）司令部側からは、[[T攻撃部隊]]による夜間攻撃を中核とする、昼間攻撃、薄暮攻撃の各種組み合わせを定めて、状況に応じて適用する戦法が示された。10月、T攻撃部隊が壊滅した[[台湾沖航空戦]]では二航艦の戦法が実行され、作戦指導、戦果報告、損害など索敵結果以外は二航艦の図上演習と類似した結果になった<ref>戦史叢書37海軍捷号作戦(1)台湾沖航空戦まで209-210頁</ref>。この戦果報告は過大に誤認されたものだったが、[[藤森康男]]によれば、疑念もあり軍令部作戦課は源田を中心にさらに検討を加えたが、さしあたり公的には現地部隊報告を基礎に資料作成するほか名案もなかったという<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 447頁</ref>。当時、源田は、ミッドウェー海戦での日本の失敗をアメリカが犯したのではないかと考えを述べた<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期 442頁</ref>。源田はこれで敵の進撃が止められると思ったという<ref>[[#海軍航空隊始末記]]310頁</ref>。

この航空戦の被害によって、[[捷号作戦]]におけるT攻撃部隊の活躍が期待できなくなり<ref>戦史叢書37海軍捷号作戦(1)台湾沖航空戦まで712頁</ref>、源田がT攻撃部隊で計画していた[[丹作戦]]の実行も不可能になった。この作戦は、部隊の練度から暗夜の攻撃が不可能と見ていたため、満月に近い黎明に攻撃するように工夫して、米機動部隊が停泊して活動が不十分な夜間に奇襲するというもので、源田が連合艦隊司令部とともに指導していた。米機動部隊のマーシャル帰投を想定していたが、9月28日、米機動部隊がサイパンに帰投・補給している情報を受け、「丹作戦に準ずる作戦」と改めてサイパンに帰投した機動部隊を目標にしたが、10月4日偵察を行うも発見せず、機動部隊は西に出動してしまい、作戦は次の月明期まで延期になっていた<ref>戦史叢書45大本営海軍部・聯合艦隊(6)第三段作戦後期541-547頁</ref>。

==== 第三四三海軍航空隊司令 ====
{{main|第三四三海軍航空隊}}
[[ファイル:Shiden-kai-front3, 2007.jpg|thumb|right|300px|343空で使用された「紫電改」。紫電改展示館（[[愛媛県]][[愛南町]]）]]
[[1944年]]（昭和19年）末、源田は、制空権を獲得できないこと、つまり戦闘機隊が負けていることが戦争に負けている原因とつくづく考えて、制空権を獲得して米の攻勢を食い止めることを期した[[第三四三海軍航空隊]]（以下、「343空」とする）を提案し、認められて12月25日に編制されると、[[1945年]]（昭和20年）1月15日、自ら343空司令に就任し、1月19日に松山基地に着任した<ref>[[#海軍航空隊始末記]]311頁、[[#海軍功罪]]110-111、戦史叢書17沖縄方面海軍作戦195-196頁</ref>{{#tag:ref|源田の就任まで峰松巌大佐が編制上の司令であったが、実際の司令代理は品川淳、川崎照次、志賀淑雄、下川有恒らが務めた<ref>「第343海軍航空隊戦時日誌 自昭和20年1月1日至昭和20年1月31日（戦闘第301飛行隊・戦闘第407飛行隊・戦闘第701飛行隊）」アジア歴史資料センター レファレンスコード C13120330500</ref>。|group="注釈"}}。

{{Quotation|戦争に負けているのは海軍が主役をしている海上戦に負けているからである。海上戦に負けるのは航空戦で圧倒されているからである。航空戦が有利に展開しない原因は、わが戦闘機が制空権を獲得出来ないからだ。つまり、戦闘機が負けるから戦争に負けるのだ。|源田実『海軍航空隊始末記』より<ref>戸高一成（呉市海事歴史科学館〔大和ミュージアム〕館長）[https://rekishikaido.php.co.jp/detail/1197 「史上最強の戦闘機隊｢343空」を生んだ、源田実の“合理的発想”」]『web歴史街道』2012年10月23日、2023年02月22日 更新（原出典は源田実『海軍航空隊始末記』）</ref>}}


343空は、戦闘機「[[紫電改]]」を集中配備して、編隊空戦、情報、通信を重視した源田の構想のもとで訓練された精鋭部隊として有名である。機材、人材に独占感もあり一部から非難もあったようだが、源田の情熱と実行力の賜物であった<ref>碇義朗『最後の戦闘機 紫電改―起死回生に賭けた男たちの戦い』光人社NF文庫255-256頁</ref>。今まで幕僚を務めてきた源田は「小さいながら初めて決定権を持ったことに大きな意義を感じた」<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社258頁</ref>「自身も戦闘機乗りであったことから冥土の土産に航空隊で暴れたいという気持ちであった」という<ref>[[#海軍航空隊始末記]]311頁</ref>。

源田は編隊戦闘を重視して、四機一区隊、二機一組は乱戦でも離れないように指導した。[[B-29 (航空機)|B-29]]に対しても、1個編隊に3個飛行機隊をぶつけて分散しないように注意して、傷つき編隊から遅れた敵は2-3機に任せ、他は続けて無傷の敵を攻撃するように指導した<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング283頁</ref>。また、大編隊同士の空戦では肉眼で優位を占めるのは困難であり、小隊のように軽快な運動もできないため、空中指揮官が戦闘計画を頭に置き、初動において優位を占めて邀撃の効果を高められるように、直前の敵情を通知する偵察第4飛行隊を加えた<ref name="#10">戦史叢書17沖縄方面海軍作戦195-196頁</ref>。

源田は、指揮所、宿舎、整備補給拠点の分散設営、分散整備態勢の確立、指揮所通信網・情報収集機能の充実、特に航空隊レベルを超えた指揮通信網の整備を行った<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング57頁、零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』516頁</ref>。レーダー、見張り所、上級司令部をつないだ情報ネットワークの形成<ref>碇義朗『最後の戦闘機 紫電改―起死回生に賭けた男たちの戦い』光人社NF文庫254頁</ref>。最もいいタイミングで戦えるように米機動部隊の情報を送る連絡将校を陸海軍に派遣<ref>『日本海軍の功罪 五人の佐官が語る歴史の教訓』プレジデント社119頁</ref>。源田は、不良状態だった無線電話の実用化に注力して、343空通信科の努力と横空の技術支援で10倍の改善に成功している<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング57頁、碇義朗『最後の戦闘機 紫電改―起死回生に賭けた男たちの戦い』光人社NF文庫254頁</ref>。
[[山田良市]]は「この時ほど、日本海軍において、地対空、空対空の無線電話が活用され実績を挙げた例はほかにはないと思う」と語っている<ref name="#11">零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』516頁</ref>。

源田自ら空中指揮をとるつもりだったが地上からの方が総合的な判断できるため取りやめ<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社258-259頁</ref>、信頼できる空中指揮官に細部の戦闘指揮は一任した<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫323-324頁</ref>。爆撃の数と性質から妨害不可能な見送るべき敵編隊に対しても見敵必戦を通したが、正面から当たっても犠牲が出るだけであることからやみくもに戦わせず、空襲帰りで燃料を消費し、油断している敵の最後尾を捕えて攻撃した。撃墜されるという心理的効果だけでも与える狙いと撃墜による日本軍の士気向上という狙いから出撃させた<ref>[[#海軍航空隊始末記]]344-345頁、[[#海軍功罪]]120頁</ref>。

源田は、伝統や階級にとらわれず部下と接する司令であった。部下たちからはオヤジと呼ばれて敬愛され、源田の死後もそれは続いた<ref>宮崎勇『還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語』光人社NF文庫227頁、零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』516頁</ref>。
反骨者の[[菅野直]]も源田には心服しており、小島光造（菅野の中学・海兵同期）は「規則にうるさい上司だったら、菅野は秩序を乱す不届き者として見られ、彼自身くさってしまったかもしれない。源田さんはその辺を見抜き、とにかく戦闘に勝ってくれればよしとして細かいことは一切言わなかった。菅野もそうした源田さんの知遇に応えて、戦闘では抜群の働きをした」と語っている<ref>丸『最強戦闘機紫電改』光人社178-179頁、碇義朗『最後の撃墜王 紫電改戦闘機隊長菅野直の生涯』光人社NF文庫</ref>。
源田は菅野が未帰還となった際、「自分の弟を失ったような悲しみを覚えた」という。行方不明扱いで終戦を迎えた菅野に対し、源田は終戦後の9月20日に海軍大臣に二階級特進を具申して認められた<ref>丸『最強戦闘機紫電改』光人社180-181頁</ref>。[[志賀淑雄]]飛行長によれば、源田司令は扇の要のように隊を引き締め、笑う姿は慈父のようだったという<ref>碇義朗『最後の撃墜王―紫電改戦闘機隊長菅野直の生涯 』光人社NF文庫346頁</ref>。[[山田良市]]大尉は「見敵必勝は源田さんの持論であったようである。戦力を無駄に消耗させるような作戦指導は一度も行われなかった。無線電話による地上からの作戦指導は神業に近く、空中指揮官の信頼は絶大であった」「司令は部下に対しては、指導はしても叱責することはなかった。司令の統率は全隊員にまで及び、源田さんへの敬愛は今日（没後）も続いている。戦争末期、戦局が苦しい時、三四三空があれほどの戦果を挙げ得たのは、紫電改が優れていたというだけでなく、源田司令の比類ない作戦能力と統率力によるところが大きかった」と語っている<ref name="#11"/>。[[本田稔]]少尉は源田について「時に精神主義もとり入れられたが、考え方は常に科学的で合理的であった」と話している<ref>本田稔『本田稔空戦記』光人NF文庫221頁</ref>。

菅野ら隊員が少将や佐官参謀と問題を起こして帰った翌日、源田がその少将と談笑しており、小さくなった隊員に「お前ら昨日は元気が良かったそうだな」と声をかけただけでその件は問題にならなかった<ref>宮崎勇『還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語』光人社NF文庫219-220頁、碇義朗『最後の撃墜王 紫電改戦闘機隊長菅野直の生涯』光人社NF文庫p20-21</ref>。
また、[[宮崎勇 (軍人)|宮崎勇]]は菅野に連れ出され無断外出をして温泉へ行った際、温泉で源田とはち合わせたことがあった。無断外出は明らかな違反行為で小さくなった2人に源田は「温泉はいいのう、気をつけて帰れよ」と声をかけて咎めることはなく、菅野は「さすがおやじだ」と感心した様子だったという<ref>宮崎勇『還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語』光人社NF文庫280頁</ref>。長いブランクのある源田が「紫電改」に初搭乗した際、吹流しの風を計算した着陸を行い「そうとう余裕がなければできない」と隊員らは感心した<ref>碇義朗『最後の撃墜王―紫電改戦闘機隊長菅野直の生涯 』光人社NF文庫390-391頁</ref>。[[杉滝巧]]上飛曹によれば、源田から軍ではありえない下士官の直接報告を許され、熱心に話を聞いてくれたうえ、労いの言葉までかけてくれたという<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング339頁</ref>。

2月初旬、隊員に戦死した時に少しでも遺品を残せるように髪と爪を切って遺骨箱に残すことを命じて、自らも行う<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社260頁、ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング59頁</ref>。
2月中旬、源田は准士官以上に対し誓って制空権を獲得し戦局挽回を期すという決意を示して思想統一を行う<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』423頁</ref>。

新基軸のため、半年は実戦不参加で訓練の予定であったが、[[3月19日]]に米機動部隊が来襲して迎撃に参加する。源田は「古来これで十分という状態で挑めた戦の例などない。目標は敵戦闘機、爆撃機には構うな」と訓示する<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』422頁</ref>。300機あまりの米[[艦上機]]を迎え撃ち、このうち57機の撃墜を報告、これに対し味方の未帰還は13機という戦果をあげて初陣を飾った<ref>[[#海軍航空隊始末記]]330-331頁</ref>{{#tag:ref|未帰還自爆13機、大破4機、地上炎上5機、米軍側は撃墜50機を報告、判明している米損失は14機。当時の空戦は乱戦や重複などで戦果が誇大になるのが通例であった<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング5-6頁</ref>|group="注釈"}}。
連合艦隊司令長官・豊田副武から3月24日付で「機略ニ富ム戦闘指導ト尖鋭ナル戦闘実施トニヨリ、タチマチニシテ敵機六十余機ヲ撃墜シ全軍ノ士気ヲ昂揚セルハ、ソノ功績大ナリ」と感状が授与された<ref>宮崎勇『還ってきた紫電改』184頁</ref>。

4月、源田は特攻をさせるつもりはなかったが、[[第五航空艦隊]]の命令に従って、343空は沖縄戦で特攻の制空権確保に参加する<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング209-212頁</ref>。援護機としてではなく、制空権を取るために突撃啓開して経路を確保する戦法をとった<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング212頁</ref>。

第五航空艦隊から343空に特攻を出すように打診がきた際に、志賀淑雄は「私が先頭で行きます。兵学校出は全て出しましょう。予備士官は出してはいけません。源田司令は最後に行ってください。ただし条件として、命令してきた上級司令部参謀が最初に私と来るというなら343空はやります」と上申、源田も「全くだ」と同意して、その意思を上に伝えたが、それ以降343空には特攻の話が来なくなった<ref>NHK-TV「NHK特集 紫電改最後の戦闘機」1979年志賀インタビュー、ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング376頁、宮崎勇『還って来た紫電改―紫電改戦闘機隊物語』光人社NF文庫260頁、[[神立尚紀]]『零戦 最後の証言』、光人社NF文庫、2010年、ISBN 978-4769826712 p62</ref>。

5月、憲兵と揉め事を起こした[[小高登貫]]らを軍法会議にかけるために佐世保鎮守府の参謀から343空に隊員の引き渡しを要求されたが、源田は「いま九州の制空権は、どこの航空隊が握っているか知っているか。いうまでもなく、わが第三四三空である。その航空隊の搭乗員を軍法会議につれて行ったらあとは誰が九州の制空権をまもるのだ。どうしても欲しいというなら骨にしてから返す。帰りたまえ」と追い返し、隊員には「士気高揚のために、大いに暴れろ。責任はいっさい司令が取る」と励ました<ref>小高登貫『あゝ青春零戦隊』光人社186頁、ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング358-360頁</ref>。

戦争末期には、343空も衰弱したが、士気が衰えることはなかった<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング501-502頁、零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』43頁、丸『最強戦闘機紫電改』光人社170頁</ref>。
8月に入ると343空は飛行機、搭乗員等の補充要求を一切やめた。福知山に移り夜間攻撃だけを敢行する予定で、残った隊員と源田、志賀も出撃する予定であった<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング501-502頁</ref>。源田は自らの最後をいかに飾るかを考えるようになり、志賀が倒れた後は自分が空中指揮をとって戦うつもりで、飛行機乗りらしい最後を望んでいたという<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社292、297-298頁</ref>。

8月、海軍は広島、長崎に続く原爆投下を阻止すべく戦闘機隊に対し、B-29が単機で侵入した場合は体当たりで即時撃墜せよと命令を下した<ref>渡辺洋二『日本本土防空戦』徳間書店 264頁</ref>。343空司令の源田は第三の原爆はあってはならないと心に決め、「我が剣部隊も既に組織的な攻撃に対する機能は乏しくなった。もし今度、新型爆弾に対する情報が入ったら、俺が体当たり（特攻）をしてでも阻止してみせる。その時は本田分隊士、二番機をつとめてくれ」と話し、本田稔も決心した。二番機は源田の援護ではなく、源田の特攻でも落ちない場合にとどめをさす役割であった<ref>本田稔『本田稔空戦記』光人NF文庫279頁、ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング 502頁、井上和彦『最後のゼロファイター』双葉社</ref>。本田は源田の技量について、非常に腕がよく、操縦もとてもうまかったが、荒いのでついて行くのが大変だったと語っている<ref>井上和彦『最後のゼロファイター』双葉社</ref>。

8月15日、終戦を大村基地で迎える。源田は降伏に驚き、信じられなかったという。翌日に大分の第五航空艦隊司令部へ飛び、海軍総隊参謀副長・[[菊池朝三]]から聖旨が伝えられるが、源田、[[豊橋海軍航空隊|701空]]司令・[[榎尾義男]]、[[第七二二海軍航空隊|722空]]司令・[[岡村基春]]は納得せず、8月17日に横須賀、軍令部へ行き軍令部部長・[[富岡定俊]]少将から説明を受ける。源田は[[高松宮宣仁親王]]（同期）にも会い納得する<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング504頁</ref>。343空整備主任の古賀良一大尉によれば、15日以降の源田の指揮統率は戦時にもまして見事なもので、毅然とした源田の態度に隊員も励まされたという<ref>橋本ほか『海軍航空隊』潮書房出版33頁</ref>。

源田は「隊員らは厳しい時期に勝利感を味わって帰還していた、彼らは過酷な戦局の清涼剤のような働きをした、分が悪いと感じたのは8月ごろからだった」<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫333-334頁</ref>「あと4つ同じような部隊があれば敵進攻を相当制止できただろう」<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫333頁</ref>「圧倒的不利な条件下ではまあまあの戦いが出来た」<ref>源田実他『日本海軍の功罪 五人の佐官が語る歴史の教訓』プレジデント社118頁</ref>「自衛官としてアリゾナ州ウィリアムス基地に招待された時、隊員たちの報告以上の戦いぶりを聞かされた」<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫334頁</ref>「ミッドウェーの敗戦で自らの仏心を戒め心を鬼にして見敵必戦を心がけていたが、出撃時は無事でいてくれと願っており矛盾した心境であった」<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』418頁</ref>「部下には厳しい戦いをさせた、恨んでいる者もいるかもしれないが仕方がない」と語っている。戦後、343空の部下やその遺族たちと集まった際には、自身の指揮下で死なせてしまった部下について謝罪した<ref>[[#海軍功罪]]124頁</ref>。

19日、錬成部隊のあった松山で源田は「陛下の一言いかんともできない。重臣たちがそそのかしたものなら徹底抗戦のつもりだったが、自由もよい、民主もよい、今日から源田は一個人である。もうこうして諸君らと会うこともないだろう。国家再建は容易ではないだろうが頑張ってもらいたい」と訓示する<ref>[[島川正明]]『島川正明空戦記録』光人NF文庫322-323頁</ref>。本部隊のあった大村基地では「盡忠の誠足らず、事は是に至った。自ら軍令部に入り今回の放送は、陛下御自らの大御心であることが充分納得出来て今帰って来た。之以上戦を続けるとは不忠の臣となる。諸君は直ちに帰郷して祖国再建に立ち上がって欲しい。恐らくこの世の中で諸君と再び会うことはないと思う、皆元気で自分の志に進んで欲しい」と訓示する<ref>なにわ会ニュース84号13頁　平成13年3月掲載</ref>。高松宮の言葉「陛下を悲しませる行動はいけない。次の世代に譲れる日本の繁栄を復興するために自重せよ」も伝える<ref>ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング505頁</ref>。源田は戦争中に3度がっかりした瞬間があり、ミッドウェーで四空母を失った時、マリアナ沖海戦敗北、終戦と回想している<ref>[[#海軍航空隊始末記]]201頁、[[#海軍功罪]]289頁</ref>。

10月、佐世保鎮守府付。11月、予備役編入 。

=== 戦後 ===
1945年8月17日源田は、軍令部部長[[富岡定俊]]少将より[[皇統護持作戦]]を受けた。敗戦によって[[国体]]に危機が迫った場合、皇族を匿い皇統を守る作戦であった。准士官以上で、源田とともに自決する志願者を集い作戦参加者を選別した（妻帯者や長男は帰らされた）<ref>神立尚紀『零戦最後の証言―海軍戦闘機と共に生きた男たちの肖像』光人社NF文庫67-71、250-251頁</ref>。生涯をかける他言無用の任務であることの説明があり、23名で盟約を結んだ{{#tag:ref|源田実、[[志賀淑雄]]、古賀良一、品川淳、光本卓雄、成松孝男、小林秀江、[[山田良市]]、磯崎千利、黒葛原伉、大村哲哉、向井壽三郎、中西健造、加藤種男、瀬木春雄、堀光雄、[[本田稔]]、村中一夫、渡邉孝士、中島大次郎、大迫壮三郎、荒木直哉、松村正二、[[中島正]]（追記）<ref>神立尚紀『零戦最後の証言―海軍戦闘機と共に生きた男たちの肖像』光人社NF文庫78-79頁</ref>|group="注釈"}}。
この際に下士官以下の隊員も自決に参加しようとしたが、源田は「皆ありがとう。俺と一緒に死んでくれるのはありがたい。しかしよく聞け。若い下士官はまだまだこれから人生がある。日本はこの戦争には負けたが、必ずや生きていれば二度目のお召しがあるだろうから、それまで郷里にて待て」「絶対に死ぬな」と諌めて帰省させた<ref>井上和彦『撃墜王は生きている』小学館、笠井智一『最後の紫電改パイロット』潮書房光人社</ref>。

[[熊本県]][[五家荘]]村（現在の[[八代市]]東部）を候補地として隊員は復員したが、皇室の存続が決まり活動は終了する。富岡は終戦から2年ほどして作戦の解消を伝えた。源田は解消を側近には伝えたが徹底はしなかったため、活動実態のない形だけの盟約が残った。杉ノ井旅館で集まったが、解散の辞を用意するも人払いができず、切り出すことができなかった<ref>秦郁彦『裕仁天皇五つの決断』講談社152頁、神立尚紀『零戦最後の証言―海軍戦闘機と共に生きた男たちの肖像』光人社NF文庫77-79頁</ref>。1981年1月7日[[東郷神社]][[和楽殿]]に招集し源田より同志生存者17名を前に[[皇統護持作戦]]の終結が正式に伝達された<ref name="#12">なにわ会ニュース84号13頁 平成13年3月掲載</ref>。源田から「計画が発動されなかったことが最大の成功だった。我々は目的を達し使命を果たした。我々の行動は無駄ではなかった」と解散の訓示が行われた<ref>秦郁彦『裕仁天皇五つの決断』講談社154頁</ref>。

[[1946年]]（昭和21年）12月、極東軍事裁判において、第二聯合航空隊参謀として、爆撃に関する根本方針（[[支那事変]]）<ref>国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02121100 爆撃に関する根本方針 </ref> と第一航空艦隊参謀として、[[真珠湾攻撃]]の立案と実施<ref>国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02142100 真珠湾攻撃の立案と実施 </ref>について供述する。

同年から[[川南工業]]で働く{{#tag:ref|このため、[[三無事件]]の際に関係を疑う者もいた。|group="注釈"}}。正規海軍将校のため[[公職追放]]となり<ref>{{citation
| 和書
| title = 公職追放に関する覚書該当者名簿
| editor = 総理庁官房監査課
| publisher = 日比谷政経会
| year = 1949
| id = {{NDLJP|1276156}}
| page = [{{NDLDC|1276156/144}} 11]
| ref = harv
}} </ref>、追放解除後の[[1953年]]（昭和28年）6月1日、東洋装備株式会社取締役社長に就任。源田はこの面での才能はないと感じたという<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年96-98、257-258頁</ref>。

==== 航空自衛隊 ====
[[File: JASDF General Minoru Genda.jpg |thumb|200px|航空幕僚長時代の源田（1962年）]]
[[File:Japan air self defense force Kawasaki T-4 Blue Impulse RJAH Wide to Delta Loop.JPG|right|thumb|300px|源田が創設した「[[ブルーインパルス]]」。写真は展示飛行中のT-4]]
1953年（昭和28年）、[[防衛庁]]入庁、[[航空幕僚監部]]装備部長として、[[航空自衛隊]]に入隊する。自衛隊人事を作っていた初代[[航空幕僚長]]・[[上村健太郎]]が[[佐薙毅]]を副長に依頼するとき、佐薙が「源田をとるなら」という条件を出したため要請された。戦前源田が対米強硬派の艦隊派であったことを理由に旧海軍の権力者が反対し人事をやり直すように指示すると上村は「佐薙も源田も必要だ。駄目なら私も辞退する」と言って人事を通した<ref>増田弘『自衛隊の誕生』中公新書231頁、前間孝則『戦闘機屋人生―元空将が語る零戦からFSXまで90年』講談社151-152</ref>。
空自で副官を務めた金子正生空将は、「源田を唯我独尊の人で好かれるタイプではなかったかもしれない、最も近くで見ていたが、戦時のイメージを大切にしていたようで人前で酒を飲まず、私生活を見せない人で最後まで何者かわからなかった、しかし自分にとっては大きな存在であったという<ref name="blue">武田頼政『ブルーインパルス』2011年79-80頁</ref>」。座間高明によれば「源田は空自でも地上にいるような人ではなく現場に入ってくる実行派の人であったという<ref name="blue"/>」。

装備部長としては国産ジェット機[[T-1 (練習機)|T-1]]の開発を後押しした<ref>前間孝則『戦闘機屋人生―元空将が語る零戦からFSXまで90年』講談社173頁</ref>。[[1955年]]（昭和30年）、航空自衛隊[[第1航空団|航空団]]司令。[[1956年]]（昭和31年）、臨時航空訓練部長、[[空将]]。源田は隊員に対し「一日も早く米軍ジェット機の操縦をものにしろ」と命じ、率先してジェット機の操縦資格を取得した<ref>前間孝則『戦闘機屋人生―元空将が語る零戦からFSXまで90年』講談社p157</ref>。航空自衛隊パイロットの育成に力を注ぎ、空自発祥の地である浜松第一航空団を「源田航空団」と呼ぶ声もあった<ref name="#13">武田頼政『ブルーインパルス』2011年15頁</ref>。[[1957年]]（昭和32年）8月1日、源田は航空集団初代司令に就任する。飛行機が高い事故損耗率を記録していたため自ら安全検閲のため各基地を巡回した。[[1958年]]（昭和33年）、[[航空総隊]]司令。[[1959年]]（昭和34年）6月1日、飛行教育集団（後の[[航空教育集団]]）を編成する<ref>『航空自衛隊の翼wings』イカロスp146</ref>。

1959年（昭和34年）7月18日、航空幕僚長就任。12月、米空軍[[サンダーバーズ]]の日本公演を見た源田は航空自衛隊による[[ブルーインパルス]]の構想を打ち出す。源田はブルーインパルスの育ての親となる[[稲田淳美]]をバックアップし、当時疑問視された編隊飛行訓練を公的に訓練可能とし事故も名誉ある扱いに処置し、選定された者のみ行うよう規制もした<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年76-78頁</ref>。東京オリンピックで陸海自衛隊には協力分野があるが空自にはなかったため、源田は空に五輪を描くことを発案する。当時の技術的な事情から困難でパイロットからも不可能だと思われていた<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年14頁</ref>。源田は実現のためブルーインパルスの演技に政治家やJOC、財界人など関係者を招待した。当時事情を知らなかった隊員は冷ややかだったが、後に源田のおかげで五輪フライトが実現できたことを知ったという<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年18頁</ref>。源田は自衛官退職時に引き継ぎ事項へ五輪を描くことを入れた<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年17頁</ref>。後の国会議員時代に源田は東京オリンピック開催準備委員長・[[津島壽一]]に五輪フライトを提案し実現した<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年19頁</ref>。

第2代[[航空幕僚長]]・[[佐薙毅]]のときに起こった[[F-104 (戦闘機)#日本|FX機種選定問題]]は、1958年（昭和33年）4月5日の国防会議でグラマン製G-98J-11に内定するが、当時資料研究だけで他国のような試験がなく根拠に乏しかったため政治問題へ発展し、6月15日にグラマンの内定が取り消される<ref>木村秀政『飛行機の本 世界記録に挑んだ半生』新潮社196-198頁</ref>。第3代航空幕僚長に就任した源田{{#tag:ref|源田がロッキード派だったため選任されたロッキード人事とも言われる<ref>武田頼政『ブルーインパルス』2011年90-92頁</ref>。|group="注釈"}}は「個人的には[[ロッキード]]を選ぶ」と発言するも、「乗ってみなければわからない」として、1959年（昭和34年）8月、FX機種選定の為、官民合同の調査団の調査団長として渡米しカリフォルニア州モハーヴェ砂漠[[エドワーズ空軍基地]]で二ヵ月半にわたる調査が行われ源田自身も試験飛行を行った<ref>碇義朗『激闘 海軍航空隊 「零戦」の柴田武雄と「紫電改」の源田実』光人社NF文庫325-326頁、木村秀政『わがヒコーキ人生』日経新聞社</ref>。
55歳でマッハ2の戦闘機を乗りこなすのはアメリカでも例がなく称賛の的になっていた<ref>木村秀政『飛行機の本 世界記録に挑んだ半生』新潮社203頁</ref>。

帰国後、提出された報告書に基づいて政府が再選定した結果、F-104C<ref name="#14">第033回国会 内閣委員会 第10号</ref>、F-104Gを日本向けに改装した型を採用する事が決定し、11月6日国防会議によってロッキード[[F-104 (戦闘機)|F-104]]J（180機）・複座型DJ（20機）が選定された<ref>国立公文書館 分館-01-015-00・平2総00459100、菊池征男『航空自衛隊の戦力』学研M文庫132-133頁</ref>。源田は、世界で[[ミサイル万能論|ミサイル万能主義]]が台頭しアメリカからも機銃は必要ないと説明されたが、戦闘機の至近距離での攻撃や運動性の高さによる回避運動などを考慮してF-104には機銃装備を施した{{#tag:ref|予算の関係で200機中80機となった|group="注釈"}}。後にベトナム戦争の戦訓を得て世界も機銃の必要性に気付いた<ref name="#15">源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年95-97頁</ref>。

次期戦闘機調査団団長として渡米した源田は階級章の慣習の違い{{#tag:ref|当時航空幕僚長の[[階級章]]は他の空将と同じく3つ星であったし、日本軍大将も3つ星。アメリカ軍式では3つ星は「中将」相当のもので、航空幕僚長と同格の米空軍参謀総長は4つ星の階級章で「大将」であった。|group="注釈"}}で、幕僚長章を左胸に着けるのみで、3つ星の源田は4つ星だが対等の米空軍参謀総長（大将）より格下の「中将」の待遇を受けたため抗議したが認められず、現地で源田は星章を一つ増やして4つ星の階級章を付けた。この行動は規定違反として報道されて問題となり、対応を求められた航空幕僚監部の担当者が色々調べた結果、[[海上保安庁長官]]の階級章が違うことを見つけ、なんとか変更にこぎつけ<ref>[https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:htBxA1JrFUIJ:1pen1kusho3.blog.fc2.com/-entry-70.html+&cd=8&hl=ja&ct=clnk&gl=jp 古志山人閑話　戦士の戦史・おまけで自衛隊ネタ話]</ref>、[[1962年]]（昭和37年）12月1日、「自衛隊法施行規則の一部を政正する総理府令」（昭和37年総理府令第67号）<ref>『官報』本紙 第10788号（昭和37年12月1日）</ref>により[[統合幕僚会議議長]]と陸海空各幕僚長は4つ星（又は金帯に線3本）の大将相当の階級章を付けるようになった。

同年4月、航空自衛隊の創設、日米安保への貢献で、[[ジョン・F・ケネディ]]アメリカ大統領より[[レジオン・オブ・メリット]]勲章(勲功章)を授与される<ref name="#16">国立公文書館 分館-01-039-00・平3総00413100</ref>。また日本飛行連盟名誉会長を務めていた源田は、[[赤十字飛行隊]]の創設に携わり、翌年11月3日に初代隊長に就任。[[1986年]]（昭和61年）3月末まで務める。赤十字飛行隊は[[日本赤十字社]]本社直轄の特殊奉仕団として様々な災害において活躍している<ref>[http://jfa1953.org/projects/redcross-flying/ 日本飛行連盟 赤十字飛行隊]</ref>。

==== 参議院議員 ====
FX機種選定の政争をおさめた功績から防衛庁長官・[[赤城宗徳]]は定年まで1年の源田に退職して国会議員への立候補を薦め、源田はそれに応じて1962年（昭和37年）7月、自衛官を退官し<ref>碇義朗『激闘 海軍航空隊 「零戦」の柴田武雄と「紫電改」の源田実』光人社NF文庫326-327頁</ref>、[[第6回参議院議員通常選挙|参議院議員選挙]]に立候補する。

[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]公認で[[全国区]]から出馬し第5位で当選。以降4期24年務め永年在職議員に表彰される<ref name="#17">自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年260頁</ref>。元343空の部下が議員秘書や選挙対策責任者を務める<ref>秦郁彦『裕仁天皇五つの決断』講談社153頁、なにわ会ニュース84号13頁 平成13年3月掲載</ref>など選挙は旧海軍や自衛隊の応援を基盤とした<ref name="#18">碇義朗『激闘 海軍航空隊 「零戦」の柴田武雄と「紫電改」の源田実』光人社NF文庫327頁</ref>。源田は日本の繁栄と存続、日本文化の保存と発展を信念にし、時流に合わせて自らを翻すような変節がなかったため、様々な誤解を受け攻撃された。特に全体主義者たちからは恰好の的にされていた<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年261-262頁</ref>。

元343空隊員・[[加藤種男]]は「6年毎の選挙に関西地区の選対責任者として司令の防衛作戦の活動に御協力申し上げた事を心の誇りとして来た」という<ref name="#12"/>。[[三島由紀夫]]は、今後ますます重要になる日本の安全保障問題を考えると深い体験と専門知識を持ち国際的な視野を持った源田のような政治家を持つかどうかで日本の将来が大きく変わると応援した<ref name="#19">三島由紀夫『三島由紀夫全集 35』新潮社129頁</ref>。[[児玉誉士夫]]は「政治家に選挙費用を出すのはアホウのやることだ。例外は源田実だけだ」と話していた<ref>『週刊朝日』1976年4月2日号、20頁</ref>。[[瀬島龍三]]を児玉に紹介したのは源田と考える者もいる<ref>{{Cite book|和書|editor=共同通信社社会部|editor-link=共同通信社|year=1999|title=沈黙のファイル : <small>「瀬島龍三」とは何だったのか</small>|publisher=新潮社|isbn=4-10-122421-8|page=47}}</ref>。[[渡邉恒雄]]は「僕が[[記者クラブ]]にいた頃、源田さんは記者会見で気に入らない質問をされると『文句があるなら、俺の[[T-33 (航空機)|T-33]]練習機に乗れ。俺が戦闘機の操縦を、おまえらに教えてやる』と言っていた」という<ref name="昭和の戦争">『昭和の戦争 保阪正康対論集』、[[朝日新聞社]]、2007年、p236</ref>。

防衛・憲法・天皇問題などに取り組み、戦争の愚かさ、核の恐ろしさを強く説いていた<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年261-261</ref>。職業軍人の経歴から[[文民統制]]の問題もあり入閣することはなかった。参議院議員、自民党党務として弾劾裁判所裁判長、国防部会長、宇宙開発特別委員会委員長、安全保障特別委員長、科学技術特別委員長、航空対策特別副委員長、安全保障調査会顧問、基地対策特別委員会顧問などを歴任する<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年259-260頁</ref>。軍人時代の習慣で5分前行動を守り<ref>[[#海軍航空隊発進]]342-343頁</ref>、空中勤務体験は国会でも貴重とされた。[[末国正雄]]（海兵同期）によれば源田は「国会や議事堂ほど日本語の通じない場所はない」と話していたという<ref name="#18"/>。

[[1965年]]（昭和40年）、[[京都産業大学]]創立発起人に名を連ねる<ref>『謀略の昭和裏面史<small>特務機関＆右翼人脈と戦後の未解決事件！</small>』別冊宝島Real、[[宝島社]]、2006年、261頁</ref>。

[[1960年代]]後半、[[中華人民共和国]]が核を保有したことを受けて危機感を持った源田を中心とする政治家は外務省に安全保障の観点から核燃料サイクルによる核戦力のオプションについての議論を働きかける。[[矢田部厚彦]]（外務省国連局科学課長）によれば外務省でも防衛外交上必要と考えていたという。また源田らの議論について「日本が核兵器を持とうという議論ではなく、将来有事の際に核のオプションを失ってはいけない。安全のためいつでも核武装できる体制を維持していこうという議論であった」という。源田は信念を持っていたが、議員会館に呼び出されて断念させられた<ref>NHK ETV特集「核燃料サイクル“迷走”の軌跡」2012年6月17日放送</ref>。[[1969年]]（昭和44年）3月1日、源田は米海軍協会の招きで渡米、講演や記者会見で「日本も原爆を持っていたら使用しただろう、日本本土にも米（軍）の核持ち込みを認めるべき」と発言した。3月3日、社会党など野党側が源田の原爆発言を追及し、3月12日に首相・[[佐藤栄作]]も源田の発言は不謹慎とした。源田は個人の考え方を述べたもので間違っていたとは思わないと表明し佐藤に国会運営で迷惑をかけたと陳謝、自民党国防部会長を辞任した<ref name="#20">中国新聞</ref>。またアメリカの核の傘に入ると言いながら有事も持ち込ませない、領空も領海も入らせないと言うがどうやってその傘は日本を守るのかと訴えていた<ref>昭和57年03月12日96回参議院 予算委員会  6号 源田実答弁</ref>。

一部に、米空軍[[カーチス・ルメイ]]大将の叙勲に、推薦などで関わったとする陰謀論があるが、推薦は防衛庁長官・[[小泉純也]]と外務大臣・[[椎名悦三郎]]の連名で推薦されており、閣僚ではない源田は、推薦・選考・決定などに参加していない<ref>総理府賞勲局監修『栄典事務手続き 第4次改定版』96-97頁</ref>{{#tag:ref|叙勲は行政分野であり唯一の外部機関有識者会議にも源田は入っていない<ref>総理府賞勲局監修『勲章』毎日新聞社157頁</ref>。叙勲はルメイ来日を契機とした防衛庁の判断に基づく国際慣例による佐藤内閣の決定であることが明かされている<ref>「昭和39年12月15日47回衆議院 外務委員会 1号 総理府事務官賞勲局長岩倉規夫政府委員の答弁」、総理府賞勲局監修『栄典事務手続き 第4次改定版』96-97頁</ref>。|group="注釈"}}。

[[1970年]]（昭和45年）3月、[[長沼ナイキ事件|長沼ミサイル訴訟]]の弁護団が、源田を証人とするよう申請すると認められ<ref>「源田氏を証人に 弁護団側の要求通る」『朝日新聞』昭和45年（1970年）3月13日夕刊、3版、11面</ref>、10月の第6回口頭弁論で元航空幕僚長として航空自衛隊の実情を証言した<ref name="#20"/>。

[[1974年]]（昭和49年）12月16日、源田は皇室への侮辱が横行していることを問題視して参議院議長・[[河野謙三]]に対し質問主意書を提出する。内閣総理大臣は告訴権を持ちながら何の対応もとっていないことを批判し皇室侮辱文章を告訴するか何らかの対応をとるように求めている<ref>第74回国会（臨時会）質問主意書質問第四号皇室の尊厳維持に関する質問主意書昭和四十九年十二月十六日</ref>。
[[一世一元の制]]<ref>国立公文書館 本館-4E-006-00・平16内閣00011100</ref>、[[建国記念の日]]政府行事実施<ref>第77回国会（常会）答弁書 答弁書第三号 内閣参質七七第三号 </ref>についての質問主意書も提出している。[[1976年]]（昭和51年）5月3日には[[日本青年協議会]]主催の「5・3政府主催記念行事糾弾国民大会<ref group="注釈">改憲政党であるはずの自由民主党（三木武夫内閣）が憲法記念行事を開催しようとしたため、これに反対して開いた集会。[[日本青年協議会]]</ref>で源田は「日本民族は原爆の3つや4つ落としても降伏するような民族ではなかった。戦争をやめたのは、天皇陛下のご聖断が下されたからだ。このご聖断で日本民族は救われた。我々は天皇制を護持しなければならない」という要旨の発言をした。5月11日[[全国労働組合総連合|広島県労働組合会議]]議長・今田正義が「原爆の3つや4つ…」と発言した源田に辞任要求した<ref>『社会労働委員会議録』国会資料頒布会129頁、中国新聞</ref>。

愛媛県西条市の楢本神社神主・石川梅蔵の願いを受けて、源田は[[関行男]]特攻慰霊碑の建立に尽力し、1975年（昭和51年）3月21日、建立された同碑の除幕も行った{{#tag:ref|「人類六千年の歴史の中で、神風特別攻撃隊ほど人の心をうつものはない。「壮烈鬼神を哭かしむ」とはまさにこのことである。この種の攻撃を行った物は、わが日本民族を除いては見当たらないし日本民族の歴史においても、組織的な特攻攻撃は国の命運旦夕に迫った大東亜戦争末期以外にはない。憂国の至情に燃える若い数千人の青年が自らの意志に基づいて絶対に生きて還ることのない攻撃に赴いた事実は、真にわが武士道の精髄であり、忠烈万世に燦たるものがある」という碑文の中から「青年が自らの意志に基づいて赴いた」という部分を取って批判する者もいる<ref>『日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦』 NHKスペシャル取材班 266-270頁</ref>。|group="注釈"}}。

1977年7月23日、靖国神社で343空の合同慰霊式が行われ、源田は元司令として隊員、遺族の前で挨拶を行い、343空の活躍などを語った後、「自分がもっとしっかりしていれば、これほど犠牲が出なかったように思うのです」と絶句しつつ涙を流し、亡くなった隊員たちについて語った<ref>笠井智一『最後の紫電改パイロット』潮書房光人社209-210頁</ref>。

1978年に行われた、[[共産主義]]国家の中華人民共和国との[[日中平和友好条約]]締結、それと同時に自由主義国である中華民国（台湾）との[[日華平和条約]]を無期限に破棄を行う国会採決に反対したのは衆議院で[[林大幹]]・[[浜田幸一]]・[[中山正暉]]の3名、参議院では源田と[[玉置和郎]]の2名だけであった。この5人は台湾では「[[三勇者二賢人]]」と取り上げられた<ref>浜田幸一『石原慎太郎くんへキミは「NO」と言えない 』ぶんか社</ref>。

[[1978年]]（昭和53年）11月、愛媛県南宇和郡城辺町（現・南宇和郡愛南町）久良湾の海底で1945年（昭和20年）7月24日の未帰還機と思われる343空の紫電改が発見される。しかし諸々の危険性から引き上げに各方面は消極的であった。元343空隊員や遺族からの引き上げてほしいという願いを代表し、源田と自衛艦隊司令官・[[相生高秀]]（元343空副長）が各方面に働き掛け、引き上げられることになった。343空関係者が集まり、慰霊式が執り行われ、源田は「紫電改は浮上した今何事も語らずただ黙々と翼を休めております…」から始まる弔辞を読んだ<ref>碇『紫電改の六機』光人NF文庫41-51頁</ref>。この紫電改は愛南町南レク馬瀬山公園の紫電改展示館に保存・展示されている。

[[画像:Minamitakai Hospital 20240530.jpg|thumb|南高井病院（源田実終焉の地）]]
[[1986年]]（昭和61年）7月、議員引退。旧海軍勤務が24年だったことから「これ以上やれば海軍に義理がたたない」という理由からだった。引退の弁は「足るを知れば恥ずかしからずとどまるを知れば危うからず」「腹八分目」「物事はほどほどに」であった。コメントを求められると悪口も言えんと言葉は少なかったが国防に関しては「海外派兵はやらない、原子力潜水艦は作らない、それで通りますか」と語った<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年カラー</ref>。1989年第15回参議院議員選挙において右翼系政治団体[[大行社政治連盟]]の選挙推薦人となった。

晩年の数年間は、[[厚木市]]愛名の自宅近辺を愛犬と散歩する姿がよく見かけられた。体調を崩し[[343]]空の思い出の地である松山で療養していたが、85歳の誕生日を迎える前日、44回目の[[終戦の日]]でもある[[1989年]]（平成元年）8月15日、[[愛媛県]][[松山市]]南高井町の南高井病院で[[脳血栓]]のため死去<ref name="#21">愛媛新聞</ref>。{{没年齢|1904|8|16|1989|8|15}}。

== 人物 ==
[[富岡定俊]]少将は「源田は海軍航空界の中でひときわ光っていた。彼は疑いもなく他の人に10年も先んじていた」という<ref>ゴードン・プランゲ『トラトラトラ 太平洋戦争はこうして始まった』並木書房p31</ref>。[[草鹿龍之介]]中将は後輩の中でも源田と淵田は俊英の双璧と評価する<ref>文藝春秋編『完本・太平洋戦争〈上〉』1991年202頁</ref>。[[淵田美津雄]]大佐によれば「源田の特色中の特色は決して飛行機の能力以上のことはしないこと。源田はどこから見ても最高の航空士官だったので全てのものが敬意を払った」<ref>ゴードン・プランゲ『トラトラトラ 太平洋戦争はこうして始まった』並木書房p33</ref>「操縦技術は当時の第一人者であり、かつて飛行機献納運動が盛んだったころ、源田トリオの演ずる離れ業は、見る者の心胆を寒からしめた。人呼んで源田サーカスと称した。しかし、彼は単にパイロットとしてだけの存在ではなかった。その着眼点の良さ、見識の高さははるかに時流を抜いていた」という<ref name="#22">淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫152頁</ref>。[[志賀淑雄]]少佐は源田について「実に立派な戦闘機乗りの先輩でした。彼ほど飛行機を愛し、また戦闘機を自らも操縦して、あれだけの見事な戦略、戦術を考案された方は外にはいないと思っております」と話している<ref>第141回海軍兵学校第七十六期有志勉強会記録（平成三年七月十三日）</ref>。

相沢八郎上飛曹によれば源田は不要なことは語らない不言実行の実践型の人、航空機の化身、予言者で昭和初期に源田から聞かされた話はいずれも実現していったという<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』20-22頁</ref>。山田良市大尉は、最も制空権の必要性を感じていたのは日本では源田、ドイツでは[[アドルフ・ガーランド]]だろうという<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』426頁</ref>。[[高山捷一]]技師は零戦開発から自衛隊までざっくばらんに気軽にきたんの無いやり取りができたと話している<ref>前間孝則『戦闘機屋人生―元空将が語る零戦からFSXまで90年』講談社p156</ref>。[[柴田武雄]]大佐は理論よりも感情が先走った批判をしていた<ref>亀井宏『ミッドウェー戦記』光人社109頁、森史郎『零戦の誕生』光人社48-49頁</ref>{{#tag:ref|悪魔大王の悪魔界を征する信念力を無意識に人間界に戦力として通用するという錯覚が源田の根源<ref>[[#源田実論]]30、42頁</ref>、源田式判断法（柴田命名）で知的暗黒界の何者かに責任転嫁し成功は高言するため何か責任があれば全て源田の責任である<ref>[[#源田実論]]33-35頁</ref>など。|group="注釈"}}が、度を過ぎていたため柴田は水交会海兵第52期幹事会から呼び出され注意を受け、以降おとなしくなった<ref>碇義朗『激闘 海軍航空隊 「零戦」の柴田武雄と「紫電改」の源田実』光人社NF文庫328頁</ref>。[[三島由紀夫]]は源田を人にこびた妥協がなく明快で簡潔、男らしく国民に自覚と責任を求め、根本で話し、俗耳に入りやすいようなことは言わないと評価する<ref name="#19"/>。[[石原慎太郎]]は様々な政治家を知っているが源田だけは感銘を受ける言葉があり本物の逸品という<ref>石原慎太郎『わが人生の時の会話』幻冬舎文庫73-74頁</ref>。

鋭い容貌と空の人であることから[[鳥人]]や猛禽類、特に[[鷹]]にたとえられることが多い<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』21頁、石原慎太郎『わが人生の時の会話』幻冬舎文庫73頁</ref>。戦後サインを求められると、色紙に座右の銘である孫子や論語の文句も説明つきで書き添えていた<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年262頁</ref>。動物が好きで、[[JKC]]（日本愛犬クラブ）会長も務め、秋田犬、猫、鷹などを飼っており、亡くなると庭の隅に墓を設けていた<ref name="#23">零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』517頁</ref>。戦時より毎朝仏壇に向かい、数珠を手にし、過去帳を開いて、その前日戦死、殉職した部下の名を呼びかけて読経する事が日課であった。戦後もかつての部下の冥福を祈って続けられ、また特攻で命を落とした兵士達も含めて、全ての氏名や出撃日（命日）を記録した資料や遺言を大切に保存して納め、生涯を閉じるまで続けていた<ref>零戦搭乗員会『零戦、かく戦えり!』516頁、[[#海軍功罪]]124頁、『日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦』 NHKスペシャル取材班 266-270頁</ref>。[[山田良市]]（343空隊員）は「源田司令に魅力を感じたのはこういった真摯さと人間的奥深さのためでもあった」という<ref name="#23"/>。

源田は、戦前パイロットとしても技量抜群で源田サーカスとして親しまれた編隊を率いて公演も行っていた<ref>堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫182頁、淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫152頁</ref>。源田は海軍時代の平時訓練において生死に関わる飛行作業を10回行い飛行機は9機破壊したことがあり、どれも欲を伴う操作によるものだったと反省している<ref>[[#海軍航空隊発進]]52頁</ref>。早い段階で能力を評価されて上層部に引き抜かれたため戦闘の機会がなく、戦闘機搭乗員としての実戦経験はない<ref>碇義朗『最後の撃墜王―紫電改戦闘機隊長菅野直の生涯 』光人社NF文庫476頁</ref>。50代でF86F<ref name="#13"/>、ロッキードF104、グラマンスーパータイガー、コンベアF102、F106、ノースロップF5なども乗りこなした<ref>木村秀政『わがヒコーキ人生』日経新聞社189頁</ref>。日本飛行連盟名誉会長も務める。源田はパイロットに生きがいを感じていたと話し、晩年「今でも自由に職業を選べるのならまた戦闘機パイロットを選ぶ」と語った<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年99-100頁</ref>。

== 航空戦略 ==
源田は早くから航空戦力の価値に気付き[[航空主兵論]]を主張し戦艦無用論を唱えた人物の一人である。当時源田らの戦艦無用論は極端すぎると見られていたが、太平洋戦争の経過がその見通しがほぼ正しかったことを証明した<ref>奥宮正武『大艦巨砲主義の盛衰』朝日ソノラマ344頁</ref>。戦後源田は海軍が大艦巨砲主義から航空へ切り替えられなかったのは、組織改革での犠牲を嫌う職業意識の強さが原因だったと指摘し、「大砲がなかったら自分たちは失業するしかない。多分そういうことでしょう。兵術思想を変えるということは、単に兵器の構成を変えるだけでなく、大艦巨砲主義に立って築かれてきた組織を変えるとことになるわけですから。人情に脆くて波風が立つのを嫌う日本人の性格では、なかなか難しいことです」と語っている<ref>[[#海軍功罪]]300頁、[[#海軍航空隊発進]]185頁</ref>{{#tag:ref|[[原勝洋]]によれば戦後も『日米全調査戦艦大和』を差し出した原に源田議員は「大和は嫌いなんだ」と一喝し退散させ、大艦巨砲主義と戦っていたころの面影を見せたという<ref>[[#海軍航空隊始末記]]370頁</ref>。|group="注釈"}}。

源田は「航空戦の有利とは制空権の獲得であって、戦闘機同士の戦闘で勝るという事であり、味方を自由にし相手の集団行動を不可能とさせることを目的とし爆撃機への攻撃は二次的なもの」<ref name="#15"/>「戦闘機での勝敗は撃墜数ではなく最後に戦場の支配権をどちらが握ったか、上空にどちらが残っているかという制空権の獲得にある」という<ref>[[#海軍航空隊発進]]117頁、[[#海軍功罪]]111頁</ref>。欧米機が行った垂直降下による離脱は、他の性能を犠牲にして機体の強度を増さなければならないので必ずしも得策とは言えない、逃げることを予期して機体を設計する手もない、優秀な技量の搭乗員なら再度の低高度での会敵で撃墜できるという<ref>[[#海軍航空隊発進]]128頁</ref>。また、後期に日本機が劣勢になったのは、米軍機が緊密な連携をもってこちらを集団で個別撃破していることにあったという<ref name="#10"/>。

源田は支那事変において、「制空隊」の考案をはじめとする戦闘機の集団使用、遠距離進撃などで、それまで主として防御用と見られていた戦闘機を積極的に遠距離に進攻させて、軽視されていた戦闘機の価値を認識させた<ref>堀越二郎・奥宮正武『零戦』学研M文庫182頁、淵田美津雄・奥宮正武『ミッドウェー』学研M文庫152頁、森史郎『零戦の誕生』光人社109-114頁</ref>。源田はこの空中戦闘の主導権を「制空権」と名付けた<ref>碇義朗『鷹が征く 大空の死闘 源田実VS柴田武雄』光人社144頁</ref>。源田の名は米軍にまで伝わり、戦闘機を集団的に縦横に駆使して制空権をとり、攻撃隊の攻撃を容易にする戦術的用法や、空母部隊を集団的に使用する戦略的な用法は「ゲンダイズム」と称された<ref name="#22"/>。

源田の空母艦隊の用兵思想は、空母を集中運用することで、奇襲のために接敵行動中無線封止を行い<ref>[[#海軍航空隊始末記]]60-61頁</ref>、大兵力を集中し一挙に敵を撃滅し上空警戒により敵を阻止するというものである<ref name="#6"/>。集中運用の利点は、航空隊の統一指揮がやり易く空中集合も容易に行えるため、[[支那事変]]の戦訓より攻撃は集中しなければ効果が薄く飛行機隊の空中集合が必要だが、海上での集合は困難であり、また電波誘導などを行えば敵に所在が露見して隠密行動ができず奇襲が困難になるという問題が解決し、また各艦が近いため計画変更・修正の連絡を取りながらの隠密行動も可能になる点にある。発見された場合、敵機の襲撃を受け空母が一網打尽になるリスクもあるが、空母を守る直掩戦闘機や対空砲火も集中できるという利点で補う<ref>[[#海軍功罪]]294-295頁、[[#海軍航空隊始末記]]60-61頁、源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年57-60頁</ref>。孫子の兵理にも適っており「敵を待ち反撃で攻撃ということから、集中は待つを恃む分散は来たらざるを恃むであり、人に遅れて発し人に先んじて至る」という<ref name="#24">源田実『真珠湾作戦回顧録』文春文庫1998年57-60頁</ref>。真珠湾攻撃では長所を発揮し米海軍も戦争後半で採用して効果を発揮した<ref name="#25">[[#海軍航空隊始末記]]61頁</ref>。「ミッドウェーで50機編隊をほぼ撃墜し1本の魚雷も命中させず、マリアナでは敵が使いこちらがやられており集中配備自体は有効だった」という<ref name="#24"/>。しかしミッドウェー海戦では弱点も露呈した形になっており戦闘機と防御砲火の用法について深く研究すべきだったという<ref name="#25"/>。

源田はミッドウェー以後は心を鬼にして見敵必戦を信条にした<ref name="#8"/>。海軍大学生のころは批判的であり楠木正成の例を挙げて論証したこともあるが、天才の機微を誰もが判断できるものではなく見敵必戦は必勝ではないが勝機を逃すことがなく、攻勢の利もあるという<ref>源田実『海軍航空隊始末記 戦闘篇』文藝春秋新社16-18頁</ref>。

== 政治思想 ==
源田は、核兵力などによるバランス戦略は新兵器、新戦術の導入で容易に崩れる不安定なもので平和のためには自由国家が科学技術水準においてリードし続ける必要があり、近代戦略においては兵力の質の向上、各国の結束が重要であるとする<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年8-9頁</ref>。防衛概念を改め防衛費と防衛予算の差額を科学技術開発の予算に充当し、人材育成開発の導入を主張した。科学水準の高さが画期的な防衛強化につながる。国民の生活水準も向上するし文化・福祉において日本が世界に不可欠となれば攻める国もなくなる。戦争根絶の第一歩は科学による後手必勝、受けの戦略の確立にあるという考えを持っていた<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年93-95頁</ref>。

核の根絶については全国家、全個人に全廃を確実に守らせることは困難で、国家レベルでできたとしても核の知識まで抹殺することは不可能であるため、一部の人間に核武力で支配される可能性もある。また共産圏を取り残した核廃絶運動は危険でありその運動自体利用される可能性があり、国民の発言の自由が制限された共産圏へも間接的にでも核廃絶を訴えていくべきだという<ref>自由派青年の集い編『平和の探究 兵器に託す未来はない』善本社1990年p238-242</ref>。

== 栄典 ==
* [[賞杯|銀杯一組（菊紋）]]
* [[レジオン・オブ・メリット]]
* [[勲二等]][[瑞宝章]]
* [[従三位]][[勲二等]][[旭日重光章]]

== 年譜 ==
* [[1904年]]（明治37年）8月16日、[[広島県]][[山県郡]][[加計町]]（現・山県郡[[安芸太田町]]）の酒造・農業を営む源田春七の六男二女の次男として生まれる<ref>源田実『海軍航空隊始末記』文春文庫372頁、太平洋戦争研究会『47都道府県「日本陸海軍」人物ファイル』PHP文庫235頁</ref>。
* [[1921年]]（大正10年）
** 広島第一中学校（現・[[広島県立広島国泰寺高等学校|県立広島国泰寺高校]]）を卒業。
** 8月26日、[[海軍兵学校 (日本)|海軍兵学校]]に海兵52期入校。水雷・砲術学校普通科学生。
* [[1924年]]（大正13年）7月24日、236名中17番で海軍兵学校を卒業、少尉候補生。
* [[1925年]]（大正14年）12月、 少尉 。
* [[1927年]]（昭和2年）
** 4月、砲術学校普通科卒業。
** 7月、水雷学校普通科卒業 。「[[出雲 (装甲巡洋艦)|出雲]]」乗組。
** 12月、中尉。
* [[1928年]]（昭和3年）12月、[[霞ヶ浦海軍航空隊|霞ヶ浦航空隊]]に入隊、飛行学生拝命。
* [[1929年]]（昭和4年）12月、第19期飛行学生を首席で修了、恩賜の銀時計拝受（横須賀航空隊付）<ref name="#1"/>。
* [[1930年]]（昭和5年）2月、「[[赤城 (空母)|赤城]]」乗組。12月、 大尉（横須賀航空隊付）。
* [[1931年]]（昭和6年）
** 6月、「赤城」乗組。
** 12月、霞ヶ浦航空隊分隊長。
* [[1932年]]（昭和7年）12月、[[横須賀海軍航空隊]]付<ref>アジ暦「横空機密第164号の28.4.20 90式艦上戦闘機90式機上作業練・・・」</ref>。
* [[1933年]]（昭和8年）12月、「[[龍驤 (空母)|龍驤]]」分隊長（兼横空付教官）<ref>アジ暦「職課1 兵科士官1 自1月至9月(5)」 </ref>。
* [[1934年]]（昭和9年）11月、横須賀海軍航空隊分隊長。
* [[1935年]]（昭和10年）
**「単座機による急降下爆撃の教育訓練に就て」昭和9年度の恩賜研学資金受賞<ref>アジ暦「官房第1947号 10.5.8 昭和9年恩賜研学資金受賞者の件 海軍大尉源田 實 外9名」</ref>。
** 10月31日、海軍大学校入学、 海軍大学校甲種学生<ref>アジ暦「官房機密第1700号 昭和10.7.13 甲種学生候補者最終試験に関す・・・」</ref>。
* [[1936年]]（昭和11年）11月15日、少佐<ref name="#3"/>、第2連合航空隊参謀<ref name="#4"/>。
* [[1937年]]（昭和12年）
** 7月、海軍大学校を優等卒業、35期次席<ref> [[海軍大学校卒業生一覧]]</ref>。
** 7月28日、第二連合航空隊参謀<ref>昭和12年7月28日付 海軍辞令公報 号外 第11号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072072100 で閲覧可能。</ref>。
** 9月、[[上海]]勤務<ref name="#26">極東国際軍事裁判供述書 国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02121100</ref>。
** 12月、[[南京]]勤務<ref name="#26"/>。
** 12月30日、横須賀海軍航空隊教官<ref>昭和12年12月30日付 海軍辞令公報 号外 第114号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072073000 で閲覧可能。</ref>。
* [[1938年]]（昭和13年）1月7日、横須賀海軍航空隊飛行隊長兼教官<ref>昭和13年1月7日付 海軍辞令公報 号外 第117号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072073300 で閲覧可能。</ref>。
** 4月15日、兼海軍砲術学校教官兼海軍水雷学校教官兼海軍通信学校教官兼海軍航海学校教官<ref>昭和13年4月15日付 海軍辞令公報 号外 第168号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072073700 で閲覧可能。</ref>。
** 12月15日、英国在勤帝国大使館附武官輔佐官兼海軍航空本部造兵監督官<ref>昭和13年12月15日付 海軍辞令公報 号外 （部内限） 第273号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072074800 で閲覧可能。</ref>。
* [[1940年]]（昭和15年）9月1日、命帰朝<ref>昭和15年9月2日付 海軍辞令公報 （部内限） 第521号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072078800 で閲覧可能。</ref>。
**11月1日、[[第一航空戦隊]]参謀<ref>昭和15年11月1日付 海軍辞令公報 （部内限） 第550号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072079300 で閲覧可能。</ref><ref>極東国際軍事裁判供述書「1940年11月1日第一航空戦隊参謀」国立公文書館本館-4B-021-00・平11法務02142100、「15年11月中佐、第一航空戦隊参謀」国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02121100</ref> （「[[加賀 (空母)|加賀]]」乗組<ref>極東国際軍事裁判供述書 国立公文書館 本館-4B-021-00・平11法務02142100 </ref>）。
** 11月15日、任海軍中佐<ref>昭和15年11月15日付 海軍辞令公報 （部内限） 第554号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072079400 で閲覧可能。</ref>。
* [[1941年]]（昭和16年）4月1日、[[第一航空艦隊]]航空甲参謀<ref>極東国際軍事裁判供述書「1941年4月1日第一航空艦隊参謀」国立公文書館本館-4B-021-00・平11法務02142100</ref>。
* [[1942年]]（昭和17年）7月14日、瑞鶴飛行長<ref name="jirei19420714" />。
**10月10日、軍令部出仕、臨時[[第十一航空艦隊 (日本海軍)|第十一航空艦隊]]参謀被仰付<ref>昭和17年10月10日付 海軍辞令公報 （部内限） 第961号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072087300 で閲覧可能。</ref>。
**11月15日、臨時十一航空艦隊参謀被免<ref>昭和17年11月5日付 海軍辞令公報 （部内限） 第978号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072087900 で閲覧可能。</ref>。
**12月10日、軍令部第1部第1課部員<ref>外山操編纂『 陸海軍将官人事総覧（海軍編）』芙蓉書房p239</ref>兼海軍技術会議議員。大本営海軍参謀被仰付<ref>昭和17年12月11日付 海軍辞令公報 （部内限） 第1009号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072088500 で閲覧可能。</ref>。
* [[1944年]]（昭和19年）7月8日、命陸海軍航空技術委員会委員<ref>昭和19年7月13日付 海軍辞令公報 乙 （部内限） 第16号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072127600 で閲覧可能。</ref>。
**8月19日、兼[[大日本帝国陸軍|陸軍]][[参謀本部 (日本)|参謀本部]]部員、大本営陸軍参謀<ref>昭和19年8月22日付 軍事機密 陸軍異動通報 第170号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C12120917900 で閲覧可能。</ref><ref>昭和19年9月8日付 秘海軍辞令公報 甲 第1588号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072100900 で閲覧可能。</ref>。
**10月15日、任海軍大佐<ref>昭和19年10月15日付 秘海軍辞令公報 甲 第1620号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072101600 で閲覧可能。</ref>。
* [[1945年]]（昭和20年）1月15日、[[第三四三海軍航空隊]]司令兼副長、大本営海軍参謀被免<ref>昭和20年1月20日付 秘海軍辞令公報 甲 第1698号。[[アジア歴史資料センター]] レファレンスコード C13072103000 で閲覧可能。</ref>。免兼職陸軍参謀本部部員、大本営陸軍参謀<ref>昭和20年1月27日付 軍事機密 陸軍異動通報 第21号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C12120932400 で閲覧可能。</ref><ref>昭和20年2月17日付 秘海軍辞令公報 甲 第1724号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072103400 で閲覧可能。</ref>。
**1月18日、免兼職第三四三海軍航空隊副長<ref>昭和20年1月24日付 秘海軍辞令公報 甲 第1702号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072132400 で閲覧可能。</ref>。
**6月27日、兼[[第三五二海軍航空隊]]司令<ref>昭和20年7月8日付 秘海軍辞令公報 甲 第1850号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072105900 で閲覧可能。</ref>。
**7月8日、免兼職第三五二海軍航空隊司令<ref>昭和20年7月16日付 秘海軍辞令公報 甲 第1858号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072106100 で閲覧可能。</ref>。
**10月7日、 佐世保鎮守府附<ref>昭和20年11月2日付 海軍辞令公報 甲 第1971号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072108100 で閲覧可能。</ref>。
**11月25日、予備役<ref>昭和20年12月4日付 第二復員省辞令公報 甲 第3号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072157700 で閲覧可能。</ref>。
* [[1953年]]（昭和28年）6月1日東洋装備株式会社取締役社長就任
* [[1954年]]（昭和29年）[[防衛庁]]入庁。[[航空幕僚監部]]装備部長。
* [[1955年]]（昭和30年）航空自衛隊[[航空団]]司令。
* [[1956年]]（昭和31年）臨時航空訓練部長、空将。ジェット機の操縦資格を取得。
* [[1957年]]（昭和32年）[[航空集団]]司令。
* [[1958年]]（昭和33年）[[航空総隊]]司令。
* [[1959年]]（昭和34年）
** 7月18日、第3代[[航空幕僚長]]。
** 8月、FX機種選定の調査団の団長として渡米。
** 12月11日、第33回[[国会]]に委員外の出席者として出席<ref name="#14"/>。
* [[1962年]]（昭和37年）
** [[レジオン・オブ・メリット]]勲章(勲功章)叙勲<ref name="#16"/>
** 4月7日、航空幕僚長辞任、退官。
** 7月、[[第6回参議院議員通常選挙]]に[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]公認で[[全国区]]から出馬し第5位で当選。以降4回全国区から当選<ref>日外アソシエーツ『新訂 現代政治家人名事典』199頁</ref>。
** 日本飛行連盟名誉会長就任
* [[1963年]]（昭和38年）11月3日赤十字飛行機隊初代隊長（～昭和61年3月31日）
* [[1968年]]（昭和43年）自民党政調会国防部会長<ref name=人名>日外アソシエーツ『新訂 政治家人名事典 明治~昭和』231頁</ref>
* [[1974年]]（昭和49年）勲二等瑞宝章叙勲<ref name=人名/>
* [[1981年]]（昭和56年）勲二等旭日重光章叙勲<ref name=人名/>
* [[1984年]]（昭和59年）裁判官弾劾裁判所裁判長<ref name=人名/>
* [[1986年]]（昭和61年）
**7月22日、永年在職議員表彰<ref name="#17"/>
**7月、引退<ref name=人名/>
* [[1989年]]（平成元年）8月15日、[[愛媛県]][[松山市]]南高井病院で[[脳血栓]]のため死去。<ref name="#21"/>。享年84。叙・[[従三位]]<ref>『官報』本紙　第192号（平成1年9月18日）</ref>。

== 著作一覧 ==
* 『海軍航空隊始末記 発進篇』 [[文藝春秋]]新社、1961年、新版1975年
** 新版『海軍航空隊、発進』（[[文春文庫]]、1997年）、ISBN 4-16-731004-X
* 『海軍航空隊始末記 戦闘篇』 文藝春秋新社、1962年、新版1975年
** 新版『[[海軍航空隊]]始末記』（文春文庫、1996年）、ISBN 4-16-731003-1
* 『指揮官 <small>人間掌握の秘訣</small>』 [[時事通信社]]「時事新書」、1968年
** 『指揮官 <small>魅力あるリーダーとは</small>』 善本社、1975年
* 『[[真珠湾攻撃|真珠湾作戦]]回顧録』 [[読売新聞社]]、1972年
** 新版『真珠湾作戦回顧録』（文春文庫、1998年）、ISBN 4-16-731005-8
** 新版『真珠湾作戦回顧録』（文春学藝ライブラリー）、2021年、ISBN 4-16-813095-9
* 『源田実語録 <small>防衛と人生を考える</small>』 善本社、1973年
* 『統率力 <small>源田実の経営戦略</small>』 [[読売新聞]]社、1973年
* 『敗中勝機を識る』 善本社、1978年 - 時事論集
* 『風鳴り止まず』 [[産経新聞出版|サンケイ出版]]、1982年
** 新版『[[パールハーバー]] <small>運命の日 [[太平洋戦争|日米開戦]]の真実</small>』（[[幻冬舎文庫]]、2001年）、ISBN 4-344-40131-X。
** 新版『風鳴り止まず　真珠湾編』（[[PHP研究所|PHPエディターズ・グループ]]、2020年）、ISBN 4-569-84681-5
* 『平和の探究 兵器に託す未来はない』 善本社、1990年 - 遺著、自由派青年の集い編 
*{{Cite book|和書|author=千早正隆ほか|authorlink=千早正隆|year=1994|title=日本海軍の功罪 {{small|五人の佐官が語る歴史の教訓}}|publisher=プレジデント社|isbn=4-8334-1530-5|ref=海軍功罪}}
** 源田実「グラマンも恐れた三四三『紫電改』部隊」／聞き手[[野中郁次郎]]「参謀が語る連合艦隊の蹉跌」

;協力
* 『[[世界の空軍 AIR FORCE'77]]』（1976年、[[東映]]） - 技術指導

== 演じた俳優 ==
* [[三橋達也]] - 『[[太平洋の翼]]』（1963年、東宝）※赤城の航空参謀という役名。『[[トラ・トラ・トラ!]]』（1970年、[[20世紀フォックス]]）
* [[佐藤允]] - 『[[連合艦隊司令長官 山本五十六]]』（1968年、[[東宝]]）
* ロバート・イトー - 『[[ミッドウェイ (1976年の映画)|ミッドウェイ]]』（1976年、[[ユニバーサル・ピクチャーズ|ユニバーサル映画]]）
* [[斉藤真|齋藤真]] - 『[[連合艦隊 (映画)|連合艦隊]]』（1981年、東宝）
* [[ケイリー＝ヒロユキ・タガワ]] - 『[[パール・ハーバー (映画)|パール・ハーバー]]』（2001年、[[ウォルト・ディズニー・スタジオ|ブエナビスタインターナショナル]]）※吹き替えは[[大塚明夫]]が担当
* [[ピーター・シンコダ]] - 『[[ミッドウェイ (2019年の映画)|ミッドウェイ]]』（2019年、セントロポリス・エンターテインメント）

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注釈" />
=== 出典 ===
{{Reflist|3}}

== 参考文献 ==
* [https://www.jacar.archives.go.jp アジア歴史資料センター（公式）]（防衛省防衛研究所）
**Ref.C04016622800「霞空教第1号の21卒業式施行の件」
**Ref.C05023333200「横空機密第164号の28.4.20 90式艦上戦闘機90式機上作業練・・・」
**Ref.C05022600400「職課1 兵科士官1 自1月至9月(5)」
**Ref.C05034044900「官房第1947号 10.5.8 昭和9年恩賜研学資金受賞者の件 海軍大尉源田 實 外9名」
**Ref.C05034008200「官房機密第1700号 昭和10.7.13 甲種学生候補者最終試験に関す・・・」
**Ref.C05034784400「第1御召艦及供奉艦 審判官 青軍 赤軍(2)」

<!--ウィキペディア推奨スタイル、著者五十音順-->
* [[碇義朗]]『鷹が征く <small>大空の死闘 源田実VS柴田武雄</small>』（光人社、2000年） ISBN 4-7698-0955-7
**『激闘 海軍航空隊 <small>「零戦」の柴田武雄と「紫電改」の源田実</small>』（光人社NF文庫、2007年） ISBN 978-4-7698-2555-5 上記『鷹が征く』の文庫版
* 海辺和彦『日本大使館付駐在武官』 徳間書店 1993年 ISBN 4-19-860044-9
* {{Cite book|和書|author=生出寿|authorlink=生出寿|year=1995|month=8|title={{small|航空作戦参謀}} 源田実|publisher=徳間書店|isbn=4-19-890357-3|ref=生出・源田}}光人社NF文庫、2020年
* {{Cite book|和書|author=亀井宏|authorlink=亀井宏|year=1995|month=2|title=ミッドウェー戦記 {{small|さきもりの歌}}|publisher=光人社|isbn=4-7698-2074-7|ref=亀井戦記}}
* {{Cite book|和書|author=源田実|year=1982|month=11|title=風鳴り止まず|publisher=サンケイ出版|isbn=|ref=風鳴り止まず}}
* {{Cite book|和書|author=源田實|year=1996|month=12|title=海軍航空隊始末記|publisher=文春文庫|isbn=4-16-731003-1|ref=海軍航空隊始末記}}
* {{Cite book|和書|author=源田實|year=1997|month=8|title=海軍航空隊、発進|publisher=文春文庫|isbn=4-16-731004-X|ref=海軍航空隊発進}}
* {{Cite book|和書|author=柴田武雄|authorlink=柴田武雄|year=1975|month=1|title=源田実論|publisher=思兼書房|isbn=|ref=源田実論}}
* {{Cite book|和書|author=杉本健|year=1985|month=8|title=海軍の昭和史 {{small|提督と新聞記者}}|publisher=文春文庫|isbn=4-16-739301-8|ref=海軍の昭和史}}
* <!-- トダカ2014-05 -->{{Cite book|和書|author=戸高一成|authorlink=戸高一成|coauthors=|year=2014|month=5|title=[証言録]　海軍反省会6|publisher=株式会社PHP研究所|isbn=978-4-569-81841-2|ref=海軍反省会六}}<br/>海軍反省会記録第五十三回「海軍航空軍備計画」（昭和59年4月16日）
* [[秦郁彦]]『昭和史の謎を追う 上』（文春文庫、1999年） ISBN 4-16-745304-5
* {{Cite book|和書|author=淵田美津雄|authorlink=淵田美津雄|year=2007|month=12|title=真珠湾総隊長の回想 {{small|淵田美津雄自叙伝}}|publisher=講談社|isbn=978-4-06-214402-5|ref=淵田自叙伝}}
* 淵田美津雄、[[奥宮正武]]『機動部隊』（学研M文庫、新版2008年） ISBN 978-4-05-901222-1
* [[淵田美津雄]]、奥宮正武『ミッドウェー』〈学研M文庫、新版2008年） ISBN 978-4-05-901221-4
* 高木晃治、ヘンリー境田『源田の剣』（ネコパブリッシング、2003年／双葉社、2014年） ISBN 978-4-575-30701-6
* {{Cite book|和書|author=帆足孝治|year=2005|month=9|title={{small|世界の海を渡った豪華絢爛の翼}} 飛行艇の時代|publisher=イカロス出版株式会社|isbn=4-87149-737-2|ref=飛行艇の時代}}
* [[堀越二郎]]、奥宮正武『零戦』（学研M文庫、新版2013年）ISBN 978-4-05-900812-5
* {{Cite book|和書|author=牧島貞一|year=2002|title=続・炎の海 {{small|激撮報道カメラマン戦記}}|publisher=光人社|isbn=4-7698-2339-8|ref=続 炎の海}}
* [[森史朗]]『運命の夜明け <small>真珠湾攻撃 全真相</small>』（[[潮書房光人新社|光人社]]、2003年、文春文庫、2006年）ISBN 978-4-16-771712-4
* {{Cite book|和書|author=吉田俊雄|authorlink=吉田俊雄|year=1996|month=9|title=良い参謀、良くない参謀 {{small|8人の海軍サブリーダーを斬る！}}|publisher=光人社|isbn=4-7698-0786-4|ref=良い参謀良くない参謀}}
* 『<small>歴史群像 太平洋戦史シリーズ1</small> 奇襲ハワイ作戦』（[[学研ホールディングス|学習研究社]]、1995年） ISBN 4-05-401257-4

== 関連項目 ==
* [[将官・佐官出身の国会議員の一覧]]
* [[真珠湾攻撃]]
* [[ミッドウェー海戦]]
* [[第三四三海軍航空隊]]
* [[太平洋の嵐 (ゲーム)]] - PCゲーム。パッケージの題字が源田の筆。

== 外部リンク ==
* [https://web.archive.org/web/20160304221854/http://www.jacar.go.jp/DAS/meta/listPhoto?IS_STYLE=default&ID=M2006090100364952440& 官房第1947号 10.5.8 昭和9年恩賜研学資金受賞者の件 海軍大・・・][https://archive.ph/qFzs3]（国立公文書館 アジア歴史資料センター）
*[https://web.archive.org/web/20150602032516/http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20100716153819122_ja ヒロシマの記録1963 3月] 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター2011年10月7日 閲覧
*[https://web.archive.org/web/20150602031519/http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20100716114742720_ja ヒロシマの記録1970 10月] 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター2011年10月7日 閲覧
*[https://web.archive.org/web/20160305031847/http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20100705134724964_ja ヒロシマの記録1976 5月] 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター2011年10月1日 閲覧
*[https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=103304889X01019591211 第033回国会 内閣委員会 第10号] 2011年10月2日 閲覧
*[https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/077/meisai/m077003.htm 質問主意書第77回国会（常会）質問主意書情報] 参議院ホームページ 2011年10月14日 閲覧
*[https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/077/touh/t077003.htm 質問主意書第77回国会（常会）答弁書] 参議院ホームページ 2011年10月14日 閲覧

{{先代次代|[[航空幕僚長]]|第3代：1959年- 1962年 |[[佐薙毅]]|[[松田武]]}}
{{先代次代|[[航空総隊司令官| 航空総隊司令]]|初代：1958年 - 1959年|創設|[[松前未曾雄]]}}
{{裁判官弾劾裁判所裁判長}}
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{{航空幕僚長|第3代：1959年-1962年}}
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{{DEFAULTSORT:けんた みのる}}
[[Category:大日本帝国海軍大佐]]
[[Category:大日本帝国海軍搭乗員]]
[[Category:全国区選出の参議院議員]]
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[[Category:昭和時代の参議院議員]]
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[[Category:1989年没]]