[go: nahoru, domu]

コンテンツにスキップ

ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワダツジンから転送)
ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説
Ultra Q The Movie: Legend of the Stars
監督 実相寺昭雄
脚本 佐々木守
ナレーター 石坂浩二
音楽 石井眞木
撮影 中堀正夫
編集 井上治
製作会社 松竹
セガ・エンタープライゼス
東北新社
円谷映像
配給 松竹
公開 1990年4月14日
上映時間 106分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(ウルトラキュー ザ ムービー ほしのでんせつ)は、松竹セガ・エンタープライゼス東北新社円谷映像により共同制作され、松竹系で1990年4月14日に封切りされた劇場映画[1]

概要

[編集]

円谷プロダクションによる特撮テレビ番組『ウルトラQ』のリメイク版。制作は円谷プロから独立した円谷粲が設立した円谷映像が手がけ、同社の第1作となった[2][3]。監督は『ウルトラ』シリーズや『帝都物語』を手掛けた実相寺昭雄。脚本は実相寺とも数多く『ウルトラ』シリーズを手掛けた佐々木守

監督:実相寺、脚本:佐々木で、1982年ATGと円谷プロの共同で製作が計画されていた劇場映画企画『ウルトラマン 怪獣聖書』が元になっている[4][1]羽衣伝説浦島太郎伝説を題材としている点は、佐々木が脚本を担当したテレビドラマ『三日月情話』と共通している[5]

本作品は当初、監督:金子修介、脚本:伊藤和典と、後に平成『ガメラ』3部作を手掛ける2人を中心にじんのひろあきも加わって映画化が企画されていたが、実現には至らなかった[注釈 1][6]。内容はガラモンカネゴンなどの人気怪獣を登場させる3話の短編によるオムニバス形式といった3部作の構想のものだったが[1]、当時はウルトラシリーズ登場キャラクターの商品化権はバンダイが独占していたため、映画のスポンサーであるセガは映画に登場する怪獣の商品を販売することはできず、セガとしてはそのような状況で過去の怪獣を登場させるメリットが少なく、この脚本は採用されなかった[7]。しかし映画の公開スケジュールは既に確定していたため、ウルトラファンに絶大な支持を得ていて、そしてすでにアイデア(NG企画『ウルトラマン怪獣聖書』)を持っていた実相寺昭雄に引き継がれることになった。

監督、脚本以外のスタッフもかつてのウルトラシリーズに参加していたスタッフが多数参加[2]。本作品の製作時(1989年から1990年)、特撮の世界にもすでにCGが導入されていた時期ではあったが、オープニングタイトルに使った以外は全て昔ながらのミニチュア・セットや着ぐるみ、光学合成、トリック撮影(吊り操演など)でまかなわれた。また、初期のウルトラシリーズに出演していた往年の俳優たちのカメオ出演的な配役や、故人ながらもウルトラシリーズの脚本家として知られた金城哲夫と『ウルトラQ』の一ノ谷博士(江川宇礼雄)が一ノ谷研究所の肖像として登場している。

公開第3週より『ウルトラQ 五郎とゴロー』『ウルトラQ 1/8計画』か、一部劇場ではアニメ映画の『機動警察パトレイバー the Movie』がカップリング上映されている[2]

ストーリー

[編集]

古代遺跡の発掘現場などで、謎の連続殺人事件が発生する。現場にはなぜか、海水が残され、被害者は3センチの穴が胸を貫通していた。そんな折、古代史番組の取材中にテレビ局クルー・浜野が謎の失踪を遂げる。同僚の万城目たちは浜野の足取りを辿る。

登場怪獣

[編集]
諸元
ワダツジン
身長 不明
体重 不明
ワダツジン
太古の昔に地球へやってきた異星人で、その姿は羽衣伝説浦島太郎竹取物語などの伝承として伝えられている。安曇族、ワダツミノミコトとの関連も仄めかされる。星野真弓という女性に姿を変えて、事件の調査をすすめる万城目らの前に現れて警告を発した。人間の姿の他に土偶のモデルとなったと思われる遮光器土偶型と、全身に縄文土器に似た模様があるミラーメタル型の2つの姿をもつ。両形態とも超速海水弾を武器とする[8][3]
  • 原型となったのは『ウルトラマン怪獣聖書』に登場するカナンガ星人で、土偶姿のデザインのモデルとなっている。
諸元
薙羅(ナギラ)
別名 古代神獣
身長 50 m[8][3]
体重 3万1千 t[8][3]
出身地 椿塚遺跡周辺[3]
古代神獣 薙羅(ナギラ)
弥生時代から地底に眠っていた怪獣。ハサミ状の尾の先端を地表に出して、自然や古代遺跡を破壊する開発を阻止していた。ワダツジンとはテレパシーで繋がっており、星野真弓が警察に逮捕された際に出現した。角が前に向くと口から青い熱線を吐く[8]。終盤ではワダツジンの宇宙船で共に宇宙へ行った。

キャスト

[編集]

スーツアクター

[編集]

スタッフ

[編集]

漫画版

[編集]

さいとう・たかをと「さいとう・プロ」によってミニ劇画化され、劇場で来客特典として配られた[2]

また、御茶漬海苔によるコミカライズ版が『MONSTER COMIC 怪獣伝説』(朝日ソノラマ、1990年、ISBN 978-4-257-90109-9)に収録されている。

映像ソフト化

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 本作品には平成『ガメラ』3部作で特技監督を務めた樋口真嗣絵コンテで参加している。

出典

[編集]
  1. ^ a b c UPM vol.06 2020, p. 26, 「ULTRA Q The After」
  2. ^ a b c d 白書 1991, p. 231, 「ウルトラマンシリーズ劇場用作品オール解説 ウルトラQ・ザ・ムービー」
  3. ^ a b c d e 画報 下巻 2003, p. 75, 「COLUMN/07 もうひとつの「ウルトラQ」 『ウルトラQ・ザ・ムービー 星の伝説』」
  4. ^ 『キャラクター大全 総天然色ウルトラQ下巻』(講談社)P. 110。
  5. ^ 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、333頁。ISBN 4-7669-2706-0 
  6. ^ 「じんのひろあきインタビュー」『前略、押井守様。』野田真外編著、フットワーク出版、1998年、p127-p128。ならびに、上島春彦「注目の作家たち 金子修介」『<日本製映画>の読み方 1980-1999』フィルムアート社、1999年、p70
  7. ^ 金子修介『ガメラ監督日記』小学館、1998年、60-61頁。ISBN 978-4-09-387242-3 
  8. ^ a b c d 白書 1991, p. 122, 「劇場用ウルトラ怪獣」
  9. ^ 「綴込特別付録 宇宙船 YEAR BOOK 2002」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、170頁、雑誌コード:01843-05。 

参考文献

[編集]
  • 宇宙船編集 編『不滅のヒーロー ウルトラマン白書』(第3版)朝日ソノラマ、1991年9月30日。ISBN 4-257-03322-3 
  • 竹書房/ブレインナビ 編『ウルトラマン画報 光の戦士三十五年の歩み』 下巻、竹書房、2003年5月9日。ISBN 4-8124-0999-3 
  • 『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK』 vol.06《ウルトラQ》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2020年9月26日。ISBN 978-4-06-521105-2 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]