田中真理
田中 真理(たなか まり、1951年〈昭和26年〉8月1日 - )は、日本の女優。東京都目黒区出身[1]。初期には田中マリ名義で活動していた時期がある。身長166cm(1975年7月)[2]。
来歴・人物
編集実家は目黒区内の薬局[1]。父親の高橋宇一朗は秋田県横手市の崇念寺住職・高橋義雄とロシア人妻の二男[3]。ヴィクトル・スタルヒンの後妻の高橋久仁恵は伯母[4]。中学2年生の時に「劇団こじか」に入団[1]。
高校在学中の1967年、スカウトされて日活に入社[1]。1969年、田中マリの名で『女番長 仁義破り』にて映画デビュー。最初の契約は1年間だったということで、契約切れの後は日活を離れたが、高校卒業後、日活と再契約して田中真理となり[1]、テレビにも進出。当時人気の高かったバレーボールを題材にしたスポ根ドラマ「サインはV」で、主人公の宿敵チーム「レインボー」の選手として出演、その後東京12チャンネルの『ワン・ツウ・アタック!』、『レッツ・ゴー・ミュンヘン!』に出演した。
日活がロマンポルノへと路線を転向した1971年、『セックス・ライダー 濡れたハイウェイ』(蔵原惟二監督)でポルノ映画の主役を飾る。白川和子、片桐夕子に次ぐ「ロマンポルノの星」として売り出され、初期ロマンポルノを代表するスターへと成長する。
しかし、ロマンポルノ出演2作目の『ラブ・ハンター 恋の狩人』(山口清一郎監督)が、上映最終日の1972年1月28日、同時上映の2作品とともに猥褻図画として警視庁に摘発される。また同年4月公開の主演作『愛のぬくもり』(近藤幸彦監督)も、公開期間中の1972年4月28日に摘発を受けた。関係者の一人として田中も厳しい取調べを受けるが、出演作がたて続けに摘発されたことから「警視庁のアイドル」という別称をうけた。その後のいわゆる「日活ロマンポルノ裁判」の過程で、田中は「エロスの女闘士」として反体制の象徴のような存在となっていく。1972年、ポルノ女優で初めて企業の広告に起用される(ホテル阪神チェーンのポスター)[4]。
翌1973年に出演した山口清一郎監督の『恋の狩人 欲望』が、係争中の事件をなぞるような作品であったため、会社側は過敏に反応。次回作としてクランクイン直前であった『恋の狩人 淫殺』は製作中止となった。その後、田中は退社、山口は解雇となった。田中の日活ロマンポルノでの実質的な活動期間は1年半ほどの短いものであった。
しばしのブランクの後、1977年には「同志」山口清一郎監督のATG作品『北村透谷 わが冬の歌』に出演。テレビ出演も増え、NHKのドラマ『愛の二章 水の女』で主役を演じ、『Gメン75』の第1話へゲスト出演など民放ドラマにも多く出演、本格派女優への脱皮を図ったが、1980年代初頭を最後に芸能活動から離れている。
1981年に照明マンだった幼なじみの夫と結婚し、1女をもうけた。父親が経営していた「田中薬局」を継ぎ、子育てに励んだ[5]。
娘に手がかからなくなると介護ヘルパーの仕事を始めたが、腰椎すべり症のため仕事を辞めて、今は2人の孫にも囲まれて悠々自適の生活を送っている。
「日活ロマンポルノ裁判」は、1978年6月23日、東京地方裁判所が無罪判決を下すも、検察側が控訴。1980年7月18日、東京高等裁判所により再び無罪判決が下され、検察は上告を断念した。
出演作品
編集映画
編集- 女番長 仁義破り (1969年 日活)
- 皆殺しのスキャット (1970年、大映)
- 蜘蛛の湯女 (1971年 大映)
- セックス・ライダー 濡れたハイウェイ (1971年 日活)
- ラブ・ハンター 恋の狩人 (1972年 日活)
- しなやかな獣たち (1972年 日活)
- ラブハンター 熱い肌 (1972年 日活)
- 愛のぬくもり (1972年 日活)
- 雨のヘッドライト (1972年 日活)
- おんな天国 子だね貰います (1972年 日活)
- 夜汽車の女 (1972年 日活)
- 好色家族 狐と狸 (1972年 日活)
- 女子学生 セクシー・ダイナマイト (1972年 日活)
- 妻三人 狂乱の夜 (1972年 日活)
- 官能教室 愛のテクニック (1972年 日活)
- 新・色暦大奥秘話 -やわ肌献上- (1972年 日活)
- 戦国ロック 疾風の女たち (1972年 日活)
- 女子大生 SEX方程式 (1973年 日活)
- 実録白川和子 裸の履歴書 (1973年 日活)
- 女子大生SEX方程式 同棲 (1973年 日活)
- 恋の狩人 欲望 (1973年 日活)
- 北村透谷 わが冬の歌 (1977年 三映社 / ATG)
テレビドラマ
編集- サインはV (1969年10月-1970年8月、TBS)第35話・第37話・第40話 〜 第45話 ※田中万里 名義
- キイハンター 第100話 「妖婆と宝石泥棒」 (1970年2月28日、TBS / 東映)- パトリシア ※田中万里 名義
- 江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎 第19話「呪いの黄金仮面」(1970年8月15日、12ch / 東映) ※田中麻里 名義
- ワン・ツウ アタック! (1971年4月3日-6月26日、12ch / 東宝)- 小野静子
- レッツ・ゴー・ミュンヘン! (1971年7月3日-10月2日、12ch / 東宝)- 小野静子
- 時間ですよ第2シリーズ (1971年7月21日ー1972年3月15日、TBS)- ホステス
- 白い影 (1973年7月13日-10月12日、TBS) 第3話 〜 第5話・第9話 〜 第13話 - 花城純子
- Gメン'75(TBS / 東映)
- 第1話「エアポート大捜査線」(1975年) - 朝倉節子
- 第34話「警視庁の中のスパイ」(1976年) - セツコ
- 第242話「美女たちの密室殺人」(1980年) - 木村エリコ
- 新幹線公安官 第2シリーズ 第15話「逃亡への死定券」(1978年7月10日、ANB / 東映) - 中西順子
- 特捜最前線(ANB / 東映)
- 第72話「指名手配・再会した女!」(1978年)
- 第132話 「殺意のフラメンコ!」 (1979年)
- ドラマ人間模様 愛の二章・水の女 (1978年8月27日、NHK)
- 桃太郎侍 第104話「月の出の母子唄」 (1978年10月8日、NTV / 東映)
- 太陽にほえろ! 第325話「波止場」(1978年、NTV / 東宝) - 中町よう子
- 孤独の賭け(1978年11月20日-1979年1月15日、12ch / 東映)- 倉沢時枝
- ライオン奥様劇場 / まどう (1979年1月8日-2月23日、CX) - マヤ
- 同心部屋御用帳 江戸の旋風IV 第25話「愛と復讐の罠」(1979年5月10日、CX / 東宝)- お夕
- 必殺仕事人 第3話「仕事人危うし! 暴くのは誰か?」 (1979年6月1日、ABC / 松竹)- お衣
- 日本名作怪談劇場 第13話「怪談 高野聖 白夜に浮かぶ魔性の女」(1979年9月12日、12ch / 歌舞伎座テレビ)
- 銭形平次 (CX / 東映)
- 第707話 「青柳同心恋す」(1980年2月20日)- お涼
- 第757話 「見かえり坂慕情」(1981年3月4日)- おしの
- ミラクルガール 第3話「アムステルダムに消えた美女」(1980年4月7日、12ch / 東映)- 大道寺由香
- 服部半蔵 影の軍団 第18話 瞳の中の殺人者」 (1980年7月28日、KTV / 東映) - お園
- 大空港 第62話「刑事は殺シで勝負する!? 名刑事と珍刑事の敵地侵入!」 (1979年11月26日、CX / 松竹)- 上村紀子
- 土曜ワイド劇場 (ANB)
- 江戸川乱歩の黄金仮面II 桜の国の美女 (1980年4月12日)-浅沼由貴
- 怪奇シリーズ第三夜恐怖の人喰い鱶 鱶女 (1980年8月9日)
- 斬り捨て御免! 第1シリーズ 第8話「魔性の女にひそむ業」(1980年5月28日、TX / 歌舞伎座テレビ)- うた
- 江差の女 (1980年9月29日-12月30日、THK)
- 柳生あばれ旅 第11話 「夜霧に情が燃えた-見附-」 (1980年12月23日、ANB / 東映)
- 加山雄三のブラック・ジャック 第2話「春一番」(1981年1月15日、ANB / 松竹)
- 銀河テレビ小説 復活 (1981年1月5日-1月30日、NHK)
- 江戸を斬るVI 第28話「おゆき誘拐・危機一髪」(1981年8月24日、TBS)- お仙
ディスコグラフィー
編集田中真理を題材とした作品
編集脚注
編集- ^ a b c d e 平凡パンチ 1972年8月28日号 p.130 - 133「気になるヤツ」
- ^ 「テーマ大特集 身長物語 背の高さのお話 ノッポさんのユカイな考察 スタアのノッポさん」『スタア』1975年7月号、平凡出版、176–179頁。
- ^ 『日本のなかのロシア ロシア文化と交流史跡を訪ねる』長塚英雄、東洋書店、2005、p53
- ^ a b 「NEWS MAKERS ポルノを使う清潔ホテルの変身商法」『週刊ポスト』1972年9月8日号、小学館、36頁。
- ^ “日活RP女優・田中真理、孫2人に囲まれ悠々自適の日々”. NEWSポストセブン. 2024年6月12日閲覧。
- ^ てしろぎ, たかし; 久麻, 當郎 (2022-09-01). R★P ロマンポルノ1 (第2版 ed.). ICE. ISBN 978-4-295-31325-0