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{{出典の明記|date=2012年6月}}
{{基礎情報 文学作品
[[画像:Plutarch Han.jpg|thumb|[[1470年]]に出版された対比列伝]]
|題名 = 対比列伝
『'''対比列伝'''』(たいひれつでん、{{lang-la|Vitae Parallelae}}、{{lang-el|Βίοι Παράλληλοι}})は、[[ローマ帝国]]の著述家[[プルタルコス]]が著した[[古代ギリシア]]・[[古代ローマ|ローマ]]の著名な人物の[[伝記]]である。日本語訳名は『'''英雄伝'''』、『'''プルターク英雄伝'''』(プルタークはプルタルコスの英語名)で多く呼ばれる。
|原題 = {{lang-el|Βίοι Παράλληλοι}}
|画像 = Plutarch.gif
|画像サイズ = 200
|キャプション = 1565年にフランスで出版された対比列伝に描かれたプルタルコス
|訳題 = 英雄伝
|作者 = プルタルコス
|国 =
|言語 = ギリシア語
|ジャンル = 伝記
}}
『'''対比列伝'''』(たいひれつでん、{{lang-la|Vitae Parallelae}}、{{lang-el|Βίοι Παράλληλοι}})は、[[ローマ帝国]]のギリシャ人の著述家[[プルタルコス]]が著した[[古代ギリシア]]・[[古代ローマ|ローマ]]の著名な人物の[[伝記]]である。日本語訳名は『'''英雄伝'''』、『'''プルターク英雄伝'''』(プルタークはプルタルコスの英語名)で多く呼ばれる。
 
== 著作概要 ==
{{Quote|
『対比列伝』は、古代ギリシア・ローマの著名人たちを、人となりや言動の似た者で二人一組のセットで対比させてゆく伝記22編と、セットだが対比でない単独伝記4編からなる。
・・・ひとつには私は歴史を書くのでなく伝記を書くのであり、・・・画家が肖像画を描く場合、性格が示される顔や目の表情などをとらえ、他の部分はほとんど考慮しないように、私も大事業や戦闘は他人にまかせて、心の特徴に立ち入り、それによってそれぞれの伝記を記述しようと思う。
|プルタルコス|『対比列伝』アレクサンドロス、1(井上一訳){{sfn|村川|p=179}}}}
 
『対比列伝』は、人となりや言動の似た二人の人物を古代ギリシアとローマから一人ずつ選び、対比させてゆく伝記22編と、セットだが対比でない単独伝記4編からなる。
{{要出典範囲|一例で、[[ペロピダス]]と[[マルクス・クラウディウス・マルケッルス|マルケッルス]]はともに激しい気性でかっとなりやすい性格の猛将という点が、|date=2012年6月}}[[アギス4世|アギス]]と[[クレオメネス3世|クレオメネス]]と、[[ティベリウス・グラックス]]と[[ガイウス・グラックス]]はともに志半ばで倒れた悲劇の改革者という共通点・類似点がある。<ref name="murakami">プルタルコス『プルタルコス英雄伝 (上)』 の巻末解説。村川堅太郎編、[[ちくま学芸文庫]]、1996年</ref>
 
一例で、[[アリステイデス (将軍)|アリステイデス]]と[[マルクス・ポルキウス・カト]]は、ともに名家の出ではないのに実力で名声を得た点<ref>『対比列伝』アリステイデスとカトの対比、1</ref>、[[アギス4世|アギス]]と[[ティベリウス・グラックス]]、[[クレオメネス3世|クレオメネス]]と[[ガイウス・グラックス]]はともに志半ばで倒れた悲劇の改革者という共通点・類似点をあげている。<ref name="murakami">プルタルコス『プルタルコス英雄伝 (上)』 の巻末解説。ちくま学芸文庫、1996年</ref>
 
{{要出典範囲|著作は文学・文化的価値のみならず[[史料]]としても評価が高く、古代ギリシア・ローマ史研究の第一級の史料として扱われている|date=2012年6月}}(ただし、プルタルコス自身は歴史書として書いたのではなく、伝記として書いたと明記している)。だが完全な形で残っているというわけではなく、最初に書かれたと言われる[[エパメイノンダス]]と[[スキピオ・アフリカヌス]]の伝記は全て散佚している。<ref name="murakami" /><br>
<br>
[[イギリス・ルネサンス演劇]](16-17世紀[[イングランド]]の劇作家)を担った[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]は、主に本書に基づきよりローマ史劇たる『[[ジュリアス・シーザー (シェイクスピア)|ジュリアス・シーザー]]』、『[[アントニーとクレオパトラ]]』、『[[コリオレイナス]]』などを執筆した。
 
日本語訳は複数あるが([[村川堅太郎]]編、[[ちくま学芸文庫]] 全3巻ほか)、入手し易い訳本はいずれも部分訳である。全訳版は1950年代に出された[[岩波文庫]]([[河野与一]]訳)のものが存在する。
 
『プルタルコス英雄伝』(全6巻予定)が2007年より、<[http://www.kyoto-up.or.jp/jp/seiyokoten2.html#a_4ki 西洋古典叢書]>[[京都大学学術出版会]]で、刊行中([[柳沼重剛]]ほか訳、2015年に第4巻刊)。
 
== 収録人物 ==
この並び順で各ギリシア人とローマ人は対応し、それにしたがって対比が付されている。なお、名前の後ろに※が付いている人物は対比がない。なお、人物名の[[音韻]]は[[古代ギリシア語]]および[[ラテン語|古代ラテン語]]に沿って、[[河野与一]]翻訳の「プルターク英雄伝」のタイトルに準じたものとしている。
 
{| class="wikitable" style="font-size:95%; line-height:1.4em;"
{{col-begin}}
|-style="line-height:1.25em; white-space:nowrap;"
{{col-break}}
! ギリシア人 !! ローマ
|-
#[[テーセウス]]
|[[テーセウス]]||[[ロームルス]]
#{{仮リンク|スパルタのリュクルゴス|en|Lycurgus of Sparta|label=リュクールゴス}}
|-
#[[ソロン|ソローン]]
|[[リュクルゴス (立法者)|リュクールゴス]]||[[ヌマ・ポンピリウス|ヌマ]]
#[[テミストクレス|テミストクレース]]※
|-
#[[ペリクレス|ペリクレース]]
|[[ソロン|ソローン]]||[[プブリウス・ウァレリウス・プブリコラ|プーブリコラ]]
#[[アルキビアデス|アルキビアデース]]
|-
#[[ティモレオン|ティーモレオーン]]
|[[テミストクレス|テミストクレース]]※||[[マルクス・フリウス・カミルス|カミッルス]]※
#[[ペロピダス|ペロピダース]]
|-
#{{仮リンク|アリステイデス (将軍)|en|Aristides|label=アリステイデース}}
|[[ペリクレス|ペリクレース]]||[[クィントゥス・ファビウス・マクシムス|ファビウス・マクシムス]]
#[[メガロポリスのフィロポイメン|フィロポイメーン]]
|-
#[[ピュロス|ピュッロス]]※
|[[アルキビアデス|アルキビアデース]]||[[ガイウス・マルキウス・コリオラヌス|マルキウス・コリオラヌース]]
#[[リュサンドロス (提督)|リュサンドロース]]
|-
#[[キモン|キモーン]]
|[[ティモレオン|ティーモレオーン]]||[[ルキウス・アエミリウス・パウルス・マケドニクス|アエミリウス・パウルス]]
#{{仮リンク|ニーキアス|en|Nicias}}
|-
#[[カルディアのエウメネス|エウメネース]]
|[[ペロピダス|ペロピダース]]||[[マルクス・クラウディウス・マルケッルス|マルケッルス]]
#[[アゲシラオス2世|アゲーシラオース]]
|-
#[[アレクサンドロス3世|アレクサンドロス]]※
|[[アリステイデス (将軍)|アリステイデース]]||[[マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス|大カトー]]
#{{仮リンク|フォキオン|en|Phocion|label=フォーキオーン}}※
|-
#[[アギス4世|アーギス]]と[[クレオメネス3世|クレオメネース]]
|[[メガロポリスのフィロポイメン|フィロポイメーン]]||[[ティトゥス・クィンクティウス・フラミニヌス|フラーミニーヌス]]
#[[デモステネス]]
|-
#[[デメトリオス1世 (マケドニア王)|デーメートリオス]]
|[[ピュロス|ピュッロス]]※||[[ガイウス・マリウス|マリウス]]※
#[[シュラクサイのディオン|ディオーン]]
|-
#{{仮リンク|アラトス (シキュオン)|en|Aratus of Sicyon|label=アラートス}}と[[アルタクセルクセス2世|アルタクセルクセース]]※
|[[リュサンドロス (提督)|リュサンドロース]]||[[ルキウス・コルネリウス・スッラ|スッラ]]
{{col-break}}
|-
ローマ人
|[[キモン|キモーン]]||[[ルキウス・リキニウス・ルクッルス|ルークッルス]]
#[[ロームルス]]
|-
#[[ヌマ・ポンピリウス|ヌマ]]
#|[[プブリウニキアス|ニーキアス]]||[[マルクス・ウァレキニウス・プブリコッスス|プーブリコッスス]]
|-
#[[マルクス・フリウス・カミルス|カミッルス]]※
#|[[カルデアのエウメネス|エウメネース]]||[[クイントゥス・ファビセルトリス・マクシムス|ファビセルトーリス・マクシムス]]
|-
#{{仮リンク|ガイウス・マルキウス・コリオラヌス|en|Gaius Marcius Coriolanus|label=マルキウス・コリオラヌース}}
#|[[ルキウアゲシラオ2世|ゲーシラオース]]||[[グナミリウス・ポンペイルス・マケドニクス|アエミリウス・パポンペーイス]]
|-
#[[マルクス・クラウディウス・マルケッルス|マルケッルス]]
#|[[マルアレサンドロ・ポルキ3世|アレクサンドロス]]※||[[ガイウス・カト・ケンソリウス・カエサル|トーエサル]]
|-
#[[ティトゥス・クィンクティウス・フラミニヌス|フラーミニーウス]]
|{{仮リンク|フォキオン|en|Phocion|label=フォーキオーン}}※||[[マルクス・ポルキウス・カト・ウティケンシス|小カトー]]※
#[[ガイウス・マリウス|マリウス]]※
|-
#[[ルキウス・コルネリウス・スッラ|スッラ]]
|[[アギス4世|アーギス]]と[[クレオメネス3世|クレオメネース]]||[[ティベリウス・グラックス]]と[[ガイウス・グラックス]]
#[[ルキウス・リキニウス・ルクッルス|ルークッルス]]
|-
#[[マルクス・リキニウス・クラッスス|クラッスス]]
#|[[デモステネス]]||[[マルイントゥス・セルゥッリウス・キケロ|セルトキケロリウス]]
|-
#[[グナエウス・ポンペイウス|ポンペーイウス]]
|[[デメトリオス1世 (マケドニア王)|デーメートリオス]]||[[マルクス・アントニウス|アントーニウス]]
#[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]※
|-
#[[マルクス・ポルキウス・カト・ウティケンシス|小カトー]]※
|[[シュラクサイのディオン|ディオーン]]||[[マルクス・ユニウス・ブルトゥス|ブルートゥス]]
#[[ティベリウス・グラックス]]と[[ガイウス・グラックス]]
|-
#[[マルクス・トゥッリウス・キケロ|キケロー]]
|{{仮リンク|アラトス (シキュオン)|en|Aratus of Sicyon|label=アラートス}}と[[アルタクセルクセス2世|アルタクセルクセース]]※||[[ガルバ]]と[[オト|オトー]]※
#[[マルクス・アントニウス|アントーニウス]]
|}
#[[マルクス・ユニウス・ブルトゥス|ブルートゥス]]
#[[ガルバ]]と[[オト|オトー]]※
{{col-end}}
 
==日本語訳==
== 訳書・訳者一覧(含重訳・生薬) ==
[[ファイル:Plutarch Han.jpg|thumb|[[1470年]]に出版された対比列伝]]
ギリシャ語で書かれているが、古代から様々な言語に翻訳されている。下記の「戦前期の重訳」も含め多くの出版がある。
*『[https://www.iwanami.co.jp/book/b270671.html プルターク英雄伝]』([[河野与一]]訳、[[岩波文庫]] 全12巻、初版は1952-56年)- 全訳文庫版
* {{Cite book|和書|ref={{sfnref|村川}}|author= |others=[[村川堅太郎]]編|title=プルタルコス 英雄伝|publisher=[[筑摩書房]]|series=[[世界古典文学全集]]23|volume=|year=1966|ISBN=4-480-20323-0}}
**『プルタルコス英雄伝』(村川堅太郎編、新版・[[ちくま学芸文庫]] 上中下、1996年)- 入手し易い原典訳(各・部分訳)
*プルタルコス『英雄伝』[[京都大学学術出版会]]〈[[西洋古典叢書]] 全6巻〉([[柳沼重剛]]・城江良和訳<ref>前半3巻は柳沼訳、後半3巻は城江訳</ref>、2007年 - 2021年)- 全訳新版
*『新訳アレクサンドロス大王伝 『プルタルコス英雄伝』より』([[森谷公俊]]訳・註、[[河出書房新社]]、2017年)
 
=== 戦前期の重訳・抄訳版 ===
* 森晋太郎(全5巻)『[http://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?featureCode=books&searchWord=%E6%A3%AE%E6%99%8B%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%80%80%E8%8B%B1%E9%9B%84%E4%BC%9D&viewRestricted=0 プリューターク英雄伝]』尚友館
* 森晋太郎(全5巻)『[https://dl.ndl.go.jp/pid/777324 プリューターク英雄伝]』(尚友館、1904-1905年)
* 新見吉治(全1巻)『[http://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?featureCode=books&searchWord=%E6%96%B0%E8%A6%8B%E5%90%89%E6%B2%BB%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%82%B9&viewRestricted=0 プルタルコス偉人伝]』早稲田大学出版部
* 新見吉治(全1巻)『[https://dl.ndl.go.jp/pid/987937 プルタルコス偉人伝]』(早稲田大学出版部、1905年ごろ)
* 緒方維岳(全1巻)『[http://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?featureCode=books&searchWord=%E7%B7%92%E6%96%B9%E7%B6%AD%E5%B2%B3%E3%80%80%E4%BC%9D&viewRestricted=0 プリユターク英雄伝粋]』久友社
* 大山千代雄緒方維岳(全1巻)『[httphttps://dl.ndl.go.jp/searchpid/searchResult?featureCode=books&searchWord=%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E5%8D%83%E4%BB%A3%E9%9B%84%E3%80%80%E4%BC%9D&viewRestricted=0777329 プリターク英雄伝]』 大日本雄弁会(久友社、1905年)
* 高橋五郎大山千代雄(全41巻)『[httphttps://dl.ndl.go.jp/searchpid/searchResult?featureCode=books&searchWord=%E9%AB%98%E6%A9%8B%E4%BA%94%E9%83%8E%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%AF&viewRestricted=0947431リュターク英雄伝]』国民文庫刊行 (大日本雄弁、1913年)
* 高橋五郎(全4巻)『[https://dl.ndl.go.jp/pid/950212/1/418 プルターク英雄伝]』(国民文庫刊行会、1914-1915年)改版あり
* [[鶴見祐輔]]訳『プルターク英雄伝』 改造社(全6巻)、新版・潮出版社(潮文庫 全8巻)
 
==脚注==
{{reflist}}
 
{{wikisource|en:Lives (Dryden translation)|英語訳の対比列伝}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:たいひれつてん}}
[[Category:2世紀の書籍]]
[[Category:2世紀の哲学書]]
[[Category:古代ローマの書籍]]
[[Category:古代ギリシア]]