桶
桶(おけ)とは、容器の一種である。 木製の桶とプラスチック製の桶が最も一般的である。
樽と桶の区別について
日本の樽と桶は良く似た形であるが、樽は胴体の材料として板目材の板を使用する。フタ付きの物を「樽」、フタ無しの物を「桶」と呼ぶと言う説もある。例外も多いが、酒樽などは保存のためフタが閉じられた状態が常であり、風呂桶はフタが開けられた状態で使用することが普通である。
桶の歴史
木で作る円筒形容器の最古の形態は、木の幹をくりぬいた「刳桶」で、古くは弥生時代の遺跡からも出土する。続いて「曲桶」が発明され、平安時代には一般に広まった。これは、「曲物」(まげもの)とも呼ばれ、薄い板を円状に曲げ接着されたものであった。当初は麻糸をしまうための笥として用いられたとも言われ、「麻笥」・「麻の笥」と書く古い表記も存在する。しかしこれらは強度的に弱く、またあまり大きなものは作れなかった。
中国から輸入された桶に影響を受け誕生したものが「結桶」(ゆいおけ)と呼ばれる、現在の木製の桶である。直径に合わせて湾曲した刃を持つ特殊な道具で割ったヒノキ・スギなどの細長い板を円状に並べ、竹などをらせん状に束ねた「箍」(たが)で結う結物構造となっており、接着剤等は使用しない。江戸時代には各家庭に必ずあるものになった。この桶は江戸時代の食料などの保存・運搬に多大な影響を与えた。
なお、もともと「棺桶」は、このような製法による棺(座棺)をイメージした言葉であり、現在主流である箱型の棺(寝棺)にこの言葉を用いるのは不適当である。
現代日本では運搬や保存の用途で木製の桶が用いられる機会は減り、プラスチック容器にとって代わられた。現在日常的に用いられるのは風呂桶(バスタブ)や湯桶(ゆおけ。用途によっては洗面器とも)などである。広告媒体を兼ねて銭湯に置かれるケロリン桶が有名である。
また、楽器としてもパーカションの一種として使われ、檜製の湯桶を裏底を表にして棒等の支えを裏に取り付けて、パーカッションセットに組み込んでいる。裏底をドラムの様にドラムスティックで叩いて音を出す。たま (バンド)の石川浩司が演奏していた事で知られている。
慣用句
- たがが弛む
- 風が吹けば桶屋が儲かる
- ドベネックの桶 - 植物学における比喩表現