Xi (携帯電話)
Xi (クロッシィ) は、NTTドコモが提供するLTEを使用した携帯電話・タブレット・データ通信向け通信サービスのブランド名称。2010年12月24日よりサービス開始[1][2]。
概要
通信規格には3.9Gに属する技術であるLTEが採用される(かつてNTTドコモはこの技術を「Super 3G」と称していた)。
NTTドコモの高速通信サービスの流れにおいては、mova(2G)、FOMA(3G)、FOMAハイスピード(3.5G) の流れを汲む、次世代の通信規格となる。また、3.9Gへの対応により2015年以降の展開が予定される4Gへの移行をスムーズに行う目的も持つ。このサービスでは屋外で下り最大37.5Mbps、さらに一部屋内では最大75Mbpsの速度を提供している(ただし、帯域幅表記は誤り訂正符号を含んでおり、これを除外すると31.3Mbpsと62.5Mbps[3])。これによりFOMAハイスピード(14Mbps)の約2.7倍の通信速度が得られ、ADSL並の速度になり、宅内における有線ブロードバンド通信との速度差がほぼ無くなるとされる[4]。
パケットのレイテンシ(遅延)はLTEを利用しているため小さく、FOMAハイスピードやUQ WiMAXの半分程度である。
展開
2010年12月のサービス開始に合わせ、LGエレクトロニクスからUSBスティック型のデータ通信カード、L-02Cが発売されるほか、富士通からも追ってExpressCard型端末F-06Cが発売された。2011年夏にはXi対応のモバイルWiFiルーターを、2011年秋にはタブレットを、2011年冬にはスマートフォン(音声通話サービスとのデュアル端末)も発売した[2]。ただし、音声とのデュアル端末発売後も、音声通話は当面FOMA網を利用するとしており、パケット通信のみの提供となる見通しである。
開始当初の提供エリアは東京23区(概ね山手線の内側、羽田空港など)、愛知県(名古屋市中心部と中部国際空港)、大阪府(大阪市中心部と関西国際空港、大阪国際空港)、千葉県(成田国際空港)、神奈川県(横須賀市の一部)[2]。
人口カバー率は、2011年4月現在、以下を目標としている[5]。2011年3月末は実績値。
- 2011年3月末 - 8% (約1,100局), エリアは上記の「開始当初の提供エリア」の通り
- 2011年7月1日 - 札幌市、仙台市、金沢市、高松市、広島市、福岡市で開始。東京都は23区全域に広がる。
- 2011年度末 - 25% (約7,000局)
- 2012年度末 - 60% (約20,000局)
- 2014年度末 - 98% (約50,000局)
かつてFOMA展開初期のエリアの狭さでの不評を買った事への反省から、サービス開始当初はXiとFOMAのデュアルモード端末での展開となり、Xiエリア外では自動的にFOMAハイスピード(下り14Mbps、上り5.7Mbps)、FOMAハイスピードのエリア外はW-CDMA(上下384kbps)での通信となる。
国際ローミング(海外ではW-CDMAを使用)にも対応する。一部機種は GSM, GPRS など2Gでの国際ローミングも対応。
歴史
- 2010年12月24日 - LGエレクトロニクス製「L-02C」発売開始
- 2010年12月24日 - サービス開始。東京都、愛知県名古屋市・常滑市、大阪府大阪市・豊中市・池田市・泉佐野市・泉南市、神奈川県横須賀市、千葉県成田市の一部から順次利用可能になる[6]。
- 2011年4月30日 - 富士通製「F-06C」発売開始
- 2011年6月30日 - LGエレクトロニクス製「L-09C」発売開始
- 2011年6月 10万契約突破
- 2011年7月1日 - サービスエリア拡大。北海道札幌市、宮城県仙台市、石川県金沢市、広島県広島市、香川県高松市、福岡県福岡市、でも利用が可能になる[7]。そのほか、東京都下、川崎市、京都市、神戸市等でも利用可能となる。[8] [9]
- 2011年9月8日 - サムスン電子製「GALAXY Tab 10.1 Tab LTE SC-01D」、富士通製「ARROWS Tab LTE F-01D」発表[10]
新たなXiデータ通信専用プランを発表[11] - 2011年10月18日 - サムスン電子製「GALAXY S II LTE SC-03D」、富士通製「ARROWS X LTE F-05D」、LGエレクトロニクス製「Optimus LTE L-01D」、NECカシオMC製「MEDIAS LTE N-04D」発表[12]
新たにXi向け音声通話定額プラン「Xiトーク24」と「Xiパケ・ホーダイ フラット」、「Xiパケ・ホーダイ ダブル」を発表[13] - 2012年1月25日 - バッファロー製「BF-01D」、LGエレクトロニクス製「L-03D」を発表。発売が予定されていたBF-01Cはキャンセルとなった[14]。
料金
料金プランは当初2種類が用意されるが、Xiサービスエリアの問題を考慮し、2012年9月末まではキャンペーン期間として割引料金が提供される。「Xiデータプランにねん」は2年毎に契約を更新するもので、解約時には途中解約金が発生する。Xi料金プランはXi(LTE)端末だけではなく3G(FOMA)端末にも適用可能である[15]。また外部機器のデータ接続(テザリング)使用でもフラット定額料金の割り増しは行われない。
Xi 対応のタブレット端末の発売とともにフラット型と2段階型の定額プランの提供が発表された[16]。
携帯電話
- 音声通話
- タイプXiにねん - 月額780円、30秒あたり21円
- タイプXi - 月額1,560円、30秒あたり21円
- Xiカケ・ホーダイ - 月額700円、ドコモへの通話が無料
- パケット通信
- 定額契約なし - 0.63円/KB
- Xiパケ・ホーダイ フラット - 月額5,985円(2012年4月30日までは4,410円、2012年9月30日までは4,935円)
- Xiパケ・ホーダイ ダブル - 月額2,100円〜6,510円(2012年4月30日までは4,935円、2012年9月30日までは5,460円)
テザリングなどの規制はない。2012年10月からのパケット通信7GB制限ルールは転送量規制参照。
タブレット
2012年10月からのパケット通信7GB制限ルールは転送量規制参照。下記料金に加えて、spモード (月315円) の契約が必要。
料金プラン | 通信料金 | 従量分 |
---|---|---|
Xiデータプラン フラット にねん | 4,410円 | (定額) |
Xiデータプラン フラット | 5,880円 | |
Xiデータプラン2 にねん | 2,500円(無料通信分9,524KB含む)〜4,935円 | 1KBあたり 0.2625円 |
Xiデータプラン2 | 3,970円(無料通信分9,524KB含む)〜6,405円 |
料金プラン | 通信料金 | 従量分 |
---|---|---|
Xiデータプラン フラット にねん | 4,935円 | (定額) |
Xiデータプラン フラット | 6,405円 | |
Xiデータプラン2 にねん | 2,500円(無料通信分9,524KB含む)〜5,460円 | 1KBあたり 0.2625円 |
Xiデータプラン2 | 3,970円(無料通信分9,524KB含む)〜6,930円 |
料金プラン | 通信料金 | 従量分 |
---|---|---|
Xiデータプラン フラット にねん | 5,985円 | (定額) |
Xiデータプラン フラット | 7,455円 | |
Xiデータプラン2 にねん | 2,500円(無料通信分9,524KB含む)〜6,510円 | 1KBあたり 0.2625円 |
Xiデータプラン2 | 3,970円(無料通信分9,524KB含む)〜7,980円 |
データ通信専用機種
2012年10月からのパケット通信7GB制限ルールは転送量規制参照。下記料金に加えて、mopera U などのプロバイダ接続が必要。
料金プラン | データ量 | |||
---|---|---|---|---|
0〜3,177KB | 3,177KB超〜15,667KB | 15,667KB超〜 | ||
Xiデータプランにねん | 1,000円 | 1KBごとに0.315円加算 | 4,935円 | |
Xiデータプラン | 2,470円 | 6,405円 |
料金プラン | データ量 | |||
---|---|---|---|---|
0〜3,177KB | 3,177KB超〜17,335KB | 17,335KB超〜 | ||
Xiデータプランにねん | 1,000円 | 1KBごとに0.315円加算 | 5,460円 | |
Xiデータプラン | 2,470円 | 6,930円 |
料金プラン | データ量 | |||
---|---|---|---|---|
0〜3,177KB | 3,177KB超〜20,667KB | 20,667KB超〜 | ||
Xiデータプランにねん | 1,000円 | 1KBごとに0.315円加算 | 6,510円 | |
Xiデータプラン | 2,470円 | 7,980円 |
転送量規制
端末種別に関係なく、同じルールで運用している。
- サービス開始当初
- サービス開始当初は、「また、特にご利用の多いお客様(当日を含む直近3日間のデータ通信量が約380MB以上)は、それ以外のお客様と比べて通信が遅くなることがあります。なお、一定時間内または1接続で大量のデータ通信があった場合、長時間接続した場合、一定時間内に連続で接続した場合は、その通信が中断されることがあります。」[17]としていた。
- 〜2012年9月30日
- 「また、特にご利用の多いお客様(当日を含む直近3日間のデータ通信量が約1GB以上)は、それ以外のお客様と比べて通信が遅くなることがあります。」という表記になり、380MBから1GBに増えた。
- 2012年10月1日〜
- 月7GBまでは制限無しで、それを超えると、通信速度が128kbpsに制限されるか、転送量2GBごとに2,625円の追加料金を払うか選択する形となった。1KBあたり約0.001円である。
ドコモUIMカード
Xi向けのUIMカードとしてFOMAカードから数えて第4世代となる「ドコモUIMカード」が提供されている。機種によっては「ドコモminiUIMカード」が提供される。カードの色は赤となる。
-
ドコモminiUIMカード AX04(赤色)
-
ドコモminiUIMカード
端末
型番ルールはFOMA端末の2008年冬から採用されている型番ルールと同様に扱われる。
端末型番 | 発売開始日 | Xi最大下り速度 | FOMAハイスピード最大下り速度 | GSM,GPRS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
L-02C | 2010年12月24日 | 75Mbps | 7.2Mbps | ○ | USB接続型端末 |
F-06C | 2011年4月30日 | ExpressCard型端末 | |||
L-09C | 2011年6月30日 | × | モバイルWi-Fiルーター | ||
BF-01C | 発売中止 | ||||
GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D | 2011年10月15日 | 14Mbps | ドコモ タブレット | ||
ARROWS Tab LTE F-01D | 2011年10月19日 | 7.2Mbps | ○ | ||
GALAXY S II LTE SC-03D | 2011年11月24日 | 14Mbps | docomo NEXT series | ||
Optimus LTE L-01D | 2011年12月15日 | ||||
ARROWS X LTE F-05D | 2011年12月17日 | 7.2Mbps | |||
MEDIAS LTE N-04D | 2012年2月10日予定 | 14Mbps | |||
BF-01D | 2012年3月予定 | ○ | モバイルWi-Fiルーター | ||
L-03D | 2012年3月予定 | ○ | USB接続型端末 |
脚注
- ^ “NTT DOCOMO Announces “Xi” LTE Service Brand”. NTTドコモ (2010年7月29日). 08月19日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ a b c “「Xi」(クロッシィ)サービスを提供開始”. NTTドコモ (2010年11月8日). 11月8日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ 「WiMAXはDC-HSDPAよりも速い」、UQコミュニケーションズがイーモバ対抗を鮮明に - ニュース:ITpro
- ^ “5つのポイントで知るLTEの実像:ITpro”. 日経BP (2010年10月14日). 11月02日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ 約3年で人口カバー率98%目指す:ドコモ、「Xi」エリア拡充計画を急加速──「ヘビーユーザーこそXiを」の狙い - ITmedia +D PC USER
- ^ 報道発表資料 「Xi」(クロッシィ)サービスを提供開始 お知らせ NTTドコモ
- ^ 報道発表資料 Xi(クロッシィ)エリアを全国主要6都市へ拡大 お知らせ NTTドコモ
- ^ Xiエリア図関東甲信越
- ^ Xiエリア図 関西
- ^ 「Xi」(クロッシィ)に対応したタブレット2機種を開発|NTTドコモ報道発表2011年9月8日
- ^ 新たなXiデータ通信専用プランを提供開始|NTTドコモ報道発表 2011年9月8日
- ^ 報道発表資料 : 2011-2012冬春モデルに24機種を開発 | お知らせ | NTTドコモ
- ^ 報道発表資料 : 音声通話に対応したXi向け料金プラン等を提供開始 | お知らせ | NTTドコモ
- ^ 報道発表資料 Xi対応データ通信専用端末2機種を開発
- ^ 【山田祥平のRe:config.sys】 なんちゃってXiで三文の得をかなえるドコモの本気
- ^ 新たなXiデータ通信専用プランを提供開始
- ^ ご注意事項 - サービス・機能 - NTTドコモ
関連項目
- Xi AVANT 普及後の近未来を描いた短編3Dアニメーション(神山健治監督作品)
- ULTRA PHONE SoftBankが展開するULTRA SPEED対応スマートフォン。
外部リンク
- LTEサービス「Xi」(クロッシィ) NTTドコモ
- スタジオXi Xiに関するニュースサイト