Jiyu ni naru tame no gijutsu liberal arts (Q115103441)

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Book in Japanese. Yamaguchi, 2021
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Jiyu ni naru tame no gijutsu liberal arts
Book in Japanese. Yamaguchi, 2021

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    自由になるための技術リベラルアーツ (Japanese)
    ジユウ ニ ナル タメ ノ ギジュツ リベラル アーツ
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    2021
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    p.1 / はじめに / 「リベラルアーツ」 / 日本語では「教養」と訳されることが多いのですが、本来意味するところは「"自由" になるための "手段"」に他なりません。己を縛り付ける固定観念や常識から解き放たれ、 "自らに由って (よって)" 考えながら、すなわち、自分自身の価値基準を持って動いていかなければ、新しい時代の価値は創り出せない。 (Japanese)
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    p.1 / はじめに / 「リベラルアーツ」 / 日本語では「教養」と訳されることが多いのですが、本来意味するところは「"自由" になるための "手段"」に他なりません。己を縛り付ける固定観念や常識から解き放たれ、 "自らに由って (よって)" 考えながら、すなわち、自分自身の価値基準を持って動いていかなければ、新しい時代の価値は創り出せない。 (Japanese)
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    p.1 / はじめに / 「リベラルアーツ」 / 日本語では「教養」と訳されることが多いのですが、本来意味するところは「"自由" になるための "手段"」に他なりません。己を縛り付ける固定観念や常識から解き放たれ、 "自らに由って (よって)" 考えながら、すなわち、自分自身の価値基準を持って動いていかなければ、新しい時代の価値は創り出せない。 (Japanese)
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    p.247 / 第7章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / 「金より人の命じゃないか」 / 文化人類学者のルース・ベネディクトは有名な『菊と刀』の中で、欧米の「罪の文化」に対し、日本は「恥の文化」であると分析しています。欧米ではキリスト教と聖書が行動の規範になっていて、それに背くことが「罪」であると考え、罪を犯さないよう自分の行動を律します。日本では神や仏よりも他人の目、世間に対する意識のほうが強いために、世間の「恥」とならないように行動するわけです。倫理や道徳というものが神との関係で決まるのか、他者との関係で決まるのかという違いですね。 (Japanese)
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    第5章 人としてどう生きるか / 対談 平井正修 / 自分の心と対話し、自分自身を見つめ直す / p.174 / 平井 / 山岡鉄舟 先生は、禅というものは武人が行えば武道になり、芸人が行えば芸道になり、商人が行えば商道になると書いておられます。茶道、華道、剣道、柔道など、「道」というものの真髄は、それらを通して人格を磨き完成させていくところにあります。単に技術や強さを追い求めるだけではない。それが「道」に通底する精神ですね。仏教ではよく「自利利他」と言いますが、自分も他人も利することをめざす精神は、おそらくビジネスの世界においても大切なことでしょう。 (Japanese)
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    第6章 組織の不条理を超えるために / 対談 菊澤研宗 / 首謀者がはっきりしない日本型組織 / p.182 / 菊澤 / この問題は今に始まったことではなく、丸山眞男(※)が指摘しているように、旧日本軍の失敗の原因でした。 / (※)丸山眞男1914-1996 年。日本の政治学者、思想史家。1946年雑誌「世界」に発表した論文「超国家主義の論理と心理」で戦前の日本の政治構造や精神風土を分析。戦後の民主主義思想を主導した。大阪出身。『日本政治思想史研究』『現代政治の思想と行動』『日本の思想』『忠誠と反逆』など著書多数。 (Japanese)
    カール・ポパー
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    第7章 ポストコロナ社会における普遍的な価値とは / 対談 矢野和男 / データを活用して複雑な現象を理解する / p.221 / 矢野 / 理論があっても実際の観測データによる反証ができなければ科学とは言えませんから。 / 山口 / カール・ポパー(※)の提唱した 反証可能性 ですね。 / (※)カール・ポパー (1902-1994)オーストリア出身イギリスの哲学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授を歴任。科学哲学や社会哲学、政治哲学について提唱を行った。特に科学的言説には 反証可能性 (仮説が間違っていることが証明される可能性) が必要条件であると提唱したことや オープンソサエティ (開かれた社会) についての思想も広く知られている。 (Japanese)
    反証可能性
    仮説が間違っていることが証明される可能性
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    第7章 ポストコロナ社会における普遍的な価値とは / 対談 矢野和男 / データを活用して複雑な現象を理解する / p.221 / 矢野 / 理論があっても実際の観測データによる反証ができなければ科学とは言えませんから。 / 山口 / カール・ポパー(※)の提唱した 反証可能性 ですね。 / (※)カール・ポパー (1902-1994)オーストリア出身イギリスの哲学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授を歴任。科学哲学や社会哲学、政治哲学について提唱を行った。特に科学的言説には 反証可能性 (仮説が間違っていることが証明される可能性) が必要条件であると提唱したことや オープンソサエティ (開かれた社会) についての思想も広く知られている。 (Japanese)
    パラダイムシフト
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    終章 「武器」としてのリベラルアーツ / 「領域横断の武器」としてのリベラルアーツ / p.283 / 米国の科学史家で パラダイムシフト という言葉の生みの親になった トーマス・クーン はその著書『科学革命の構造』の中で、パラダイムシフトは多くの場合「その領域に入って日が浅いか、あるいはとても若いか」のどちらかの人物によってなされていると指摘しています。 (Japanese)
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    第1章 リベラルアーツはなぜ必要なのか / OSとしてのリベラルアーツ / p.25 / 17世紀の哲学者スピノザは、人間の最も本質を指し示すものとして、「コナトゥス」という言葉を用いました。もともとは古代ギリシャ哲学に由来する概念ですが、自分が自分であろうとする力、モメンタム (推進力) といった意味です。 (Japanese)
    17世紀の哲学者スピノザは、人間の最も本質を指し示すものとして、「コナトゥス」という言葉を用いました。この言葉にはいろいろな解釈がありますが、僕は、人間の "人となり" -- 、つまり、何がものすごく好きなのか、何に特別なこだわりを持っているのか、何にいちばん時間をかけてきたのか、逆に何がものすごく嫌いなのか、何にいちばん腹を立てたのか。そういう、人間の喜怒哀楽や心・感情が強く動かされる部分について表現した言葉だと理解しています。 (Japanese)
    17世紀にオランダのハーグで活躍した哲学者のスピノザは、人であれモノであれ、それが「本来の自分らしい自分であろうとする力」を コナトゥス と呼びました。コナトゥスという言葉はもともとラテン語で「努力、衝動、傾向、性向」といった意味です。 / スピノザは、その人の本質は、その人の姿形や肩書きではなく、コナトゥスによって規定されると考えました。当然のことながら、コナトゥスは多様であり、個人によって異なります。 / さて、私たちは「良い・悪い」という評価を、社会で規定された絶対的尺度として用いていますが、スピノザによればそれらの評価は相対的なものでしかなく、文脈に依存して決定されます。 (Japanese)
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    第1章 リベラルアーツはなぜ必要なのか / 人間の奥深さを知るということ / p.27 / 例えば、「もののあはれ」という言葉があります。本居宣長が 源氏物語 を読んで そこに通底する感覚を指し示したひと言で、あっさりと言い表せるものではありませんが、人間という計り知れない本性に思いをはせることで初めて体感できる深い知恵であり、現代にも共有できるものだと思います。 (Japanese)
    山口 / 国学者の本居宣長は『源氏物語』を「この物語、もののあはれを知るよりほかなし」と評しました。この「あはれ」というのは、もともとは感嘆詞ですね。ある人の振る舞いを見て「あぁ、われ」 -- 人間とはこんな度しがたいことをするものなのか とため息をつく。そうした情緒的な心の動きを表す言葉が、人間の悲哀や情趣を表すようになり、それが源氏物語の根底にあるのだと。これは日本文学に限った話ではなく、文学作品というものの底流には、そうした「もののあはれ」があるのではないかと思います。 (Japanese)
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    第1章 リベラルアーツはなぜ必要なのか / 人間の奥深さを知るということ / p.27 / イギリスは 1814 年、 ナポレオン戦争 処理後の戦後処理を決める ウィーン会議 において、ナポレオンが占領した欧州各国にあった領地を「民族自決」という大義の下、各国に返還するという英断を下しました。 (Japanese)
    戦後処理の主眼は、復古による革命勢力の抑圧と、勢力均衡の原理による安定した国際秩序の創出に置かれた。 (Japanese)
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    戦後処理の主眼は、復古による革命勢力の抑圧と、勢力均衡の原理による安定した国際秩序の創出に置かれた。 (Japanese)
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    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / 経済的成熟から人間的成熟へ / p.45 / 山口 / 私は ... じつは、 『本質を見抜く「考え方」』 は私が以前身を置いていたコンサルタント業界では必読書といわれているのです。私もコンサルタントになるとき、「まずこれを読みなさい」と、先輩から渡されました。 (Japanese)
    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / 大英帝国の繁栄を支えた知恵 / p.56 / 山口 / 先生はご著書の中で、イギリスが選択や進路を決定する際の「知恵」として、「早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する」ということを書かれています。 (Japanese)
    ノルマン・コンクエスト
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    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / 日本人が持つ、連続性への無意識の強い自信 / p.58 / 中西 / 確かにイギリスの歴史には驚くべき連続性があり、過去一千年にわたってほとんど変わっていないといえます。現在のイギリス王室の始まりは 1066 年の ノルマン・コンクエスト にあり、議会制も 1215 年の マグナカルタ (大憲章) の時代から続いています。貴族制度 も厳然と残っていますし、さまざまな古い習慣をイギリス人は意識的に残そうとします。 (Japanese)
    マグナカルタ (大憲章)
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    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / 日本人が持つ、連続性への無意識の強い自信 / p.58 / 中西 / 確かにイギリスの歴史には驚くべき連続性があり、過去一千年にわたってほとんど変わっていないといえます。現在のイギリス王室の始まりは 1066 年の ノルマン・コンクエスト にあり、議会制も 1215 年の マグナカルタ (大憲章) の時代から続いています。貴族制度 も厳然と残っていますし、さまざまな古い習慣をイギリス人は意識的に残そうとします。 (Japanese)
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    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / イギリスのコモンセンス文化を支えてきたもの / p.67 / 山口 / イギリスの憲法は 不成典憲法 として知られていますが、株式の上場に関するルールでも日本では事細かく決められているのに対し、イギリスではほとんど示されていないそうです。要するに「良識の範囲内で」ということなのですね。このようにコモンセンスを重視する風潮もイギリスの特徴ではないでしょうか。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 日本が行き詰まっている理由 / p.85 / 出口 / そうですね。もう少し丁寧に述べると、明治維新が成功したのは、その前に幕政を統括していた 阿部正弘 *1 という偉大な政治家が、「開国・富国・強兵」という三本柱のグランドデザインを提示し、その後で中国でいえば 毛沢東 のような 西郷隆盛 が早く下野したので、大久保利通 という 鄧小平 のような人が実験を握って、幕末の「尊王攘夷」を 阿部正弘 のグランドデザインへと上手に切り替えたからです。 / *1 阿部正弘 江戸時代末期の備後福山藩第7代藩主。江戸幕府の老中首座を務め、幕末の動乱期にあって 安政の改革 を断行したが、老中在任のまま39才で急死した。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 日本が行き詰まっている理由 / p.86 / 出口 / その典型が 1936 年の ロンドン軍縮会議 からの脱退です。 ... ですからじつは軍縮条約というのはアメリカを縛っているものだったわけです。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 「女性」「ダイバーシティ」「高学歴」 / p.89 / 出口 / レヴィ・ストロース 以降の 文化人類学者 が繰り返し証明しているように、人間は生まれ育った数十年の社会の意識を反映している存在です。 (Japanese)
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    Early life and education / Descartes spent the period 1619 to 1628 traveling in northern and southern Europe, where, as he later explained, he studied “the book of the world.” (English)
    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 人・本・旅を通じて学ぶヒント / p.98 / 出口 / 旅は言うまでもなく、 ... あのデカルトも、大学の本を読みつくした後、世の中の人々の考え方を知るべく旅に出たように、たくさんの人に会い、たくさんの本を読み、たくさんの場所に行くこと以外に学ぶ道はありませんし、その学びは一生続くものです。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 人・本・旅を通じて学ぶヒント / p.98 / 出口 / リーダーは、判断を誤れば組織の多くの人を死なせかねないという責任ある立場にいるのですから、当然、人以上に勉強しなければなりません。オットー・ビスマルク は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と述べましたが、これは時間軸の問題で、愚者はごく短い自分の経験からしか学ばないが、賢者は時間軸を伸ばして先人や他人の経験からも学ぶことで失敗を防ぐ という意味です。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / アズハル大学の三信条 / p.100 / 出口 / そうですね。大学の理想のあり方は、10世紀の終わりにカイロに創立された世界最古の大学の一つ、アズハル大学 の教育信条に集約されていると思います。それは、「入学随時」、「受講随時」、「卒業随時」の3信条です。わからないことがあればいつでもおいで、自分の勉強したいことだけ学べばいい。そして疑問が解けたらいつでも卒業していい。その代わり、またわからないことが生じたら、いつでも学びにおいで。これこそが、リカレント教育をも含めた教育というものの真髄です。グローバルに、かつ勉強したければいつでも学べる というのが大学の理想の姿なのだと思います。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / アズハル大学の三信条 / p.101 / 出口 / それは ... 「Knowledge is Power (知識は力なり)」という フランシス・ベーコン の言葉を知らなければいけません。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 考える力の差が結果を分ける / p.108 / 出口 / 考える力を鍛えるには、料理でレシピ本を参考にするのと同じように、最初は模倣から入ります。ただし、よいレシピを真似しなければ料理は上達しないように、まずは アダム・スミス、デカルト、ヒューム、アリストテレス といった、優れた考える力を持った先人が書いた古典を丁寧に読み込むことです。思考のプロセスを追体験して、思考パターンを学ぶことから入るのです。そしてそれを自分なりにアレンジしながら、考える力を鍛えるほかありません。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 数字・ファクト・ロジックに基づいて考える / p.112 / 出口 / 江戸時代の ... 実は明治になってから、これも 1940年体制 と同じように、天皇を国民国家のコアとしてイエ制度 とセットで神格化する過程で、日本の神道には理論も何もなくて役に立たないので、この 朱子学 を使ったわけです。これは 小島毅 先生の『天皇と儒教思想』 (光文社新書, 2018) という本に書かれています。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 宗教と国民性との深い関係 / p.124 / 山口 / 組織の性格を決める要素の一つに人と人の上下関係があります。オランダの社会心理学者、 ヘールト・ホフステード は1967年から1973年にかけて大規模な調査を行い、世界40の国・地域における組織文化と国民性を定量的に測定、指数化しました。その指数の一つが権力格差 (上下関係の強さ) です。 ... これを普通に並べてみるだけだとあまり規則性は見えないのですが、宗教を軸に見てみると、ローマ・カトリック、もっと言うと ギリシャ正教 の影響の強い文化圏と、プロテスタント の影響の強い文化圏で グループ分けができるのです。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 戒律がないから法律をつくった / p.131 / 橋爪 / 旧約聖書 は ユダヤ教の聖書 (タナハ) で、その中に書かれていることは、信仰と生活のあらゆることに関する律法となっています。キリスト教ではそれらが効力停止の状態になっているため、律法はありません。だから、人間が法律やルールをつくり、ビジネスのセオリーもつくらなければならないのです。逆に考えると、ユダヤ教やイスラム教のように律法に縛られないので、聖書の教えを逸脱しない範囲で自由に法律をつくることもできるし、ビジネスを行うこともできる。だからこそ、キリスト教社会から近代化が進んだとも言えます。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 戒律がないから法律をつくった / p.132 / 山口 / 社会学の古典、 マックス・ウェーバー の『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』では、「予定説」をはじめとした プロテスタント の教義や考え方が資本主義の発展を後押ししたという、壮大な仮説が語られています。 ... / 橋爪 / たぶん ウェーバー の考えたとおりなのだろうとは思います。カルヴァン派 の教義である 予定説 は、 最後の審判 でその人が神の国へ行けるかどうかはあらかじめ決まっているという考え方です。この教義を信じれば、人々は勤勉に働き、経済や社会が発展していくというのがウェーバーの仮説です。ちょっと聞いただけでは理解しにくいかもしれないけれど、自分は神の国へ行くことが決まっていると確信したいからこそ勤勉に働く、という論理ですね。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 偶像崇拝はなぜ禁じられているのか / p.137 / 橋爪 / もちろんです。一神教では神は世界をつくった創造主ですから、世界の外側に確かに存在しているものなのです。この世界の中には、神がつくったものか、あるいは人間がつくったものしかない。偶像は人間がつくるものです。人間がつくったものを人間が崇めたら、人間が自分自身を崇めていることになりますから、それは一神教では許されないわけです。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 偶像崇拝はなぜ禁じられているのか / p.138 / 橋爪 / そうです。神は一人しかいないので区別する必要がない。名前がないのだから神も名乗りようがないわけです。そこで、いろんな翻訳はあるけれども、「I am what I am」というふうに言ったのです。煙に巻かれたようではあるけれども。 (Japanese)
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    第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり / 対談 橋爪大三郎 / 自分を超えるために必要な言葉の力 / p.149 / 橋爪 / 経典を読んでみてください。般若心経は多くの人が知っているでしょうが、少し特殊な経典ですので、まずは初期経典から読むべきでしょう。ブッダ の『真理のことば (ダンマパダ)』は、読んでみるとあまりに平易で、これがお経なんだろうか、と感じますが、よく読むととても奥深い。あとは『ほんとうの法華経』という、私と 植木雅俊 先生との共著があります。法華経は大乗教の中心となる経典です。その内容を翻訳者である植木先生が丁寧に解説してくださっていますから、お薦めできます。 (Japanese)
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    第6章 組織の不条理を超えるために / 対談 菊澤研宗 / 「目的合理性」だけではうまくいかない / p.187 / 山口 / 先生が以前からおっしゃっているように、カントの「理論理性」と「実践理性」の違いですね。カントの 理論理性 はウェーバーの 「目的合理性」 であり、これに従って行動するのは因果法則に従っているだけだというわけです。一方の 実践理性 は「価値合理性」であり、主観的な価値判断を行う理性です。ここでリーダーに必要なのは 実践理性 のほうというわけですね。 (Japanese)
    ジェフリー・フェファー
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    第6章 組織の不条理を超えるために / 対談 菊澤研宗 / システムに適合した人だけが出世する / p.189 / 山口 / ハーバードの先生に、ジェフリー・フェファー という組織論の研究者がいて、彼は「出世と人格は関係ない」「出世と能力は関係ない」といった身も蓋もないことを言っています。出世するためには、まず上司に媚を売ったり、権力を持っている人を見抜くことが重要だと言っている。 / 私は彼の書籍を読んでいると非常に腹立たしくなってくるのですが、何が腹立たしいかというと、研究者としての態度です。 ... ジェフリー・フェファー の場合は後者の態度で、いまのシステムではこうすれば出世するということを学生に教える。これでは問題のあるシステムの拡大再生産にしかならないわけです。 (Japanese)
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    第6章 組織の不条理を超えるために / 対談 菊澤研宗 / 儲けよりも理念をとったグーグル社 / p.192 / 山口 / 菊澤先生は、組織の不条理につながる「合理的な」判断とは、サイモン (※) の言う「限定合理性」であるとおっしゃっていますね。つまり、損得計算をして合理的に判断しようとするけれども、人間には認識能力の限界があるために、ある目的に対して限られた合理性しか持ち得ない。その結果、悪手になるような判断をしてしまうことがある。この限定合理性の壁を越えるカギが、カントの言う「自律的行動」にあると、以前から説かれています。これは、前回おっしゃっていた主観的な価値判断と同義であると思います。 / (※) ハーバート・アレクサンダー・サイモン (1916-2001)アメリカの政治学者・認知心理学者・経営学者・情報科学者。心理学、AI、経営学、組織論、言語学、社会学、政治学、経済学、システム科学などに影響を与えた。AI研究のパイオニアとも言われる。大組織の経営行動と意思決定に関する生涯にわたる研究で、1978年にノーベル経済学賞を受賞した。 (Japanese)
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    第8章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / 宗教的拘束がなかった古代ローマの社会 / p.250 / ヤマザキ / 固有の宗教に対する信仰がなかった古代ローマには、ギリシャの神話を基軸にしたローマ神話が国民の生活に浸透していました。ギリシャ神話にはキリスト教的な厳格な倫理規範がありません。神の法のような拠り所もないし、そもそも神達の荒唐無稽な物語は 人間が生き方の規範を求めるような次元のものではない。最終的に人々が信用するようになっていくのは、人間が状況に応じて自然に生み出していくルール、法律なのです。その点はすごく今の日本と似ていると思います。 (Japanese)
    第8章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / 宗教的拘束がなかった古代ローマの社会 / p.251 / ヤマザキ / 古代ローマと日本の共通点として私が聞かれるのはお風呂のことばかりですが(笑)、実はそのような「宗教的拘束がない社会」、「世間が戒律をつくる」という点が大きいのです。古代ローマの人々は、大きな国土を保有し、経済が回り、国威が保たれていることが重要で、命は二の次という姿勢がはっきりしていました。だからあれだけの大国になれたと言えるのかもしれませんが。 (Japanese)
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    第8章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / 専門家以外の意見を聞かないのは思考停止 / p.254 / 山口 / ローマ帝国のユニークなところは、シビライズ (文明化) するけれど カルチャー (文化) は残す、征服した地域の土着の宗教や文化を全部受け入れる戦略をとったことですよね。 / ヤマザキ / そうです。「Clementia (寛容)」が帝政ローマの一貫したテーゼでした。帝国のテリトリーを増やすときには、「君たちの文化を壊さないし、信じている宗教をやめろとも言わない。ただローマという文明を新しく受け入れて、舗装道路を敷き、古代ローマの神殿を建ててもらいたい」という姿勢で臨むのです。ローマが提供した文化で属州民に喜ばれたものの代表例が浴場ですね。そういった姿勢が巨大帝国を形成できた要因の一つだったのだと思います。「寛容性」というのは、いろいろな意味で強力な武器になりえるのです。 (Japanese)
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    東海道新幹線 車台振動 航空エンジニア終章 「武器」としてのリベラルアーツ / 「領域横断の武器」としてのリベラルアーツ / p.283 / 東海道新幹線を開発する際、鉄道エンジニアが長いこと解決できなかった車台振動の問題を解決したのは、その道の素人であった航空エンジニアでした。 (Japanese)
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    第5章 人としてどう生きるか / 対談 平井正修 / 自分の心と対話し、自分自身を見つめ直す / p.173 / 山口 / 戦前の日本に滞在した オイゲン・ヘリゲル というドイツの哲学者が、東北帝国大学で教鞭を執っていた際に、弓道の精神を極めることで禅というものを理解していった体験をつづった『弓と禅』という有名な著作があります。彼は、禅の精神性が日本文化の根底にあるものと通じることを見いだしたわけですが、やはり禅を通して到達する普遍的な真理は、日本文化に限らず、ビジネスやスポーツなど、他の分野を極めることにも通じるものですね。 (Japanese)
    第二次世界大戦回顧録
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    第2章 歴史と感性 / 対談 中西輝政 / なぜチャーチルはナチスとの対決を選択できたのか / p.51 / 中西 / 『第二次大戦回顧録』が評価されたのでしたね。平和賞ではなく、文学賞を受賞したことが作品のレベルを物語っていると思います。今日の実証史学的な見地からすると、内容に問題がないわけではありませんが。 (Japanese)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / アズハル大学の三信条 / p.102 / 出口 / 日本の現状を見ていると、 ジョージ・オーウェル の有名な『1984年』に登場する「ビッグ・ブラザー」率いる政党のスローガンが想起されます。三つのスローガンのうちの一つが「Ignorance is Strength (無知は力である)」なのですが、まさにそのような状況です。 (Japanese)
    DOUBLETHINK ... The paradox is expressed most succinctly in the novel in the three Party slogans: /War is Peace, Freedom is Slavery, and Ignorance is Strength/. The term is widely used to describe a capacity to engage in one line of thought in one situation (at work, in a certain group, in business, etc.) and another line in another situation (at home, in another group, in private life), without necessarily sensing any conflict between the two. ... W.D.L. (English)
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    第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に / 対談 出口治明 / 考える力の差が結果を分ける / p.108 / 山口 / そのためには、例えば、デカルトがみずからの常識を疑い、問いを立てるプロセスを書いた『方法序説』のような本を読み、追体験していくことで、ある種の型を覚えることが大事だということですね。 (Japanese)
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    no value
    注記 ダイヤモンド社 2000年刊の加筆修正
    組織の不条理 (Japanese)
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    第8章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / 重視すべきは「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」 / p.256 / 山口 / トマス・ア・ケンピス という中世の思想家は、著作の『キリストに倣いて』の中で、「誰がそう言ったかを尋ねないで、言われていることは何か、それに心を用いなさい」と書いています。 (Japanese)
    THE FIRST BOOK ADMONITIONS PROFITABLE FOR THE SPIRITUAL LIFE / CHAPTER V / Of the reading of Holy Scriptures It is ... Ask not, who hath said this or that, but look to what he says. (English)
    第1巻 霊的な人生に益となる考え / 第5章 聖書を読むこと ですから、 ... 誰が語っているかを尋ねたりせず、何を語っているかに注目しなさい。 (Japanese)
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    公共性の構造転換第8章 パンデミック後に訪れるもの / 対談 ヤマザキマリ / イタリア人は人を信じない / p.258 / 山口 / ドイツの哲学者 ユルゲン・ハーバーマス が『公共性の構造転換』の中で、「公共性」が民主主義を発展させたけれど、その構造が変質して大衆化し、政治もそれに迎合するものとなっていったと指摘しています。 / 近代以降は公民としての権利だけを持ち続けて思考しない大衆とともに、私的な利害と妥協によって政治が動くようになっていった。だから公共性というもののさらなる転換が必要であるというのが彼の考えです。 ***** 人間性を取り戻すきっかけに (Japanese)
    no value
    教養の再生のために
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    終章 「武器」としてのリベラルアーツ / 「領域横断の武器」としてのリベラルアーツ / p.282 / テクノロジーはどうしても必然的に専門化を要請します。 (中略) もし教養という概念を科学的知識のスペシャリゼーションというものと対立的に考えれば、勝負は見えていると思う。それは教養の側の敗北でしかない。しかし教養というものは、専門領域の間を動くときに、つまり境界をクロスオーバーするときに、自由で柔軟な運動、精神の運動を可能にします。専門化が進めば進むほど、専門の境界を越えて動くことのできる精神の能力が大事になってくる。その能力を与える唯一のものが、教養なのです。だからこそ科学的な知識と技術・教育が進めば進むほど、教養が必要になってくるわけです。 / 加藤周一他『教養の再生のために』 (Japanese)

    Identifiers

     
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