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横浜清陵高1年生、来年度の修学旅行 行き先は自分たちで考える 費用高騰を逆手に…

2024年8月2日 07時44分

5月、旅行会社に自分たちで考えた希望を伝える生徒たち=いずれも横浜市南区の県立横浜清陵高校で

 自分たちの旅行だから、行き先は自分たちで考える。神奈川県立横浜清陵高校(横浜市南区)の1年生280人が、来年度の修学旅行でどこに行き何をしたいかを話し合い、業者に要望した。担任教諭たちが生徒の主体性を大切にしようと実施。費用の上限もあり最終的に業者が提示した候補地は1カ所となったが、生徒たちは宿泊先ホテルなどのプランを選び「自分たちで決めるのは楽しい」と笑顔だった。(神谷円香)
 同校で2年次にある修学旅行の手配は例年、1年以上前の入学前に学校側で行ってきた。今年の新入生にも当初は例年通り手配しようとした。しかし、生徒の人気も高く近年の恒例だった沖縄は物価高の影響で費用が高騰し困難に。それならと通常より手配が遅くなるリスクはあるが「教諭でなく生徒に行き先を考えてもらおう」と決めた。他県での取り組みも参考にした。
 生徒たちは4月の入学後、七つある各クラスで有志が修学旅行係になり、クラスごとに希望先とその理由を話し合った。5月20日、来校してもらった旅行会社3社の担当者の前で、係が生徒としての希望を伝達した。生徒たちが挙げた候補地は、九州南部・離島か北海道。北海道は夏と冬、両方の時期を候補にし、見積もりとホテルや日程のプラン提示を依頼した。
 「離島に行きたい意見がクラスで多かったから外さないでほしい」と訴えた係もいた。業者側からは「ホテルではなく民泊はありか」と質問も。生徒たちの民泊への意見は分かれていたが「2泊もすると別れる時に泣く。(受け入れ先は)交流したい、温かい人が多い」と事例を聞くと、印象が変わった生徒もいた。
 当初は、1年生全員の前でプレゼンテーションをしてもらい、どの業者のどのプランが良いかを生徒たちが選ぶ予定だった。だが、青森市で複数の旅行会社が関わる談合があり、神奈川県がプレゼン参加予定の業者も指名停止とした影響で、参加は1社のみとなった。さらに離島や冬の北海道は費用などの面から難しく、提示された行き先は夏の北海道のみとなった。

6月、旅行会社からのプランのプレゼンを聞く生徒たち

 それでも6月中旬、宿泊先や訪れるエリアの違う三つの選択肢を用意してプレゼンしてもらい、どれがいいか生徒全員が投票した。結果、宿泊はニセコエリアへの希望が半数近くを占め、ニセコ2泊、定山渓1泊というプランに決定。生徒の希望で選んだニセコの第一希望のホテルはキャンセル待ちとなったが、7月中旬、無事に予約が取れた。
 川田芳明さんは「行き先から決めるのはワクワクして面白そうだと思った」、今井理乃さんは「気づいたら決まっているのではない、良い経験になる」と係になった。鎌田祥仁さんは「入学して決めるまで時間がなかったけど、修学旅行は学校行事で大きなこと。自分たちで決めるのは楽しかった」。中村咲彩(さや)さんは「本当は、調べて良いところばかりだった九州に行きたかったけど、納得はした」と語った。
 企画を進めた担任の日下部凌教諭も「生徒にどう納得してもらうかを考えていた。生徒と学校、業者の調整が大変だったけれど、やりがいがあり楽しかった」と話した。「自分たちで決めた」と言える来夏の修学旅行は、行く前からかけがえのない経験になっている。

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