奥井潔
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奥井 潔(おくい きよし、1924年11月10日[1] - 2000年12月16日)は、日本の英文学者・英語教師。東洋大学名誉教授。駿台予備学校英語科講師。
経歴
[編集]1924年台湾生まれ。1943年学徒出陣。チモール島へ出征。海軍に所属し、回天要員の生き残りと自ら語っていた。復員後、東京大学文学部英文科にて中野好夫の指導を受け、1952年卒業。1954年から半世紀近くにわたって駿台で教鞭をとり続けた。文学的な文章の読解を得意としており、その講義はしばしば受験用の英文解釈の域を超えて、人生論・道徳論などに及び、多感な年齢の受験生への啓蒙的役割を果たした。駿台で授業を受けた四方田犬彦によれば、「旧制高校の教授はかくや」という独特の雰囲気を持ち、効率一点主義の講師陣の中にあって異彩を放っていたという。伊藤和夫を駿台に紹介した。東洋大学文学部長などを務め、東京大学、法政大学、埼玉大学、東京女子大学、慶應義塾大学などの講師も歴任。1995年に東洋大学名誉教授。
2000年12月16日、急性上部消化管出血のため死去[1]。
毎年3月に「駿台を巣立つ諸君へ」と題して奥井が担当した教養講演などでは、小林秀雄の思想的影響が濃く見られた。
島田謹二とも師弟関係にあった。また、今井宏 (予備校講師)も、奥井の授業を受けたと、自身の講義(今井宏のC組・英語基礎力完成教室)において述べている。
著書
[編集]翻訳
[編集]- サマセット・モーム 「『サミング・アップ』第16章 訳と解説(本誌第 22 集「サマセット・モーム頌」付録)』『東洋大学紀要 文学部篇』(通号24、1970年12月)
- T.S.エリオット 「英訳ヴァレリイ選集(ジャクスン・マシュー編)第7巻『詩論集』 1958年刊序言」『白山英米文学』 (通号 10、1985.03)
- 『D.H.ロレンス紀行・評論選集 2 エトルリアの故地』(小川和夫監修、南雲堂、1987年)、全5巻
注釈
[編集]- W.キャザー『ハリスお祖母さん(英米名作選集 40)』(清水書院、1967年)
論文
[編集]- 「エドガー・ポォ頌」『比較文学比較文化: 島田謹二教授還暦記念論文集』(弘文堂、1961年)
- 「サマセット・モーム頌」『東洋大学紀要 文学部篇』(通号21、1967年12月)
- 「知的な信者の精神 -- T.S.エリオット一斑」『吉川美夫教授古稀記念論文集』(文建書房、1971年)
- 「『マルテの手記』について - リルケ管見」『東洋大学紀要 教養課程篇』(通号10、1972年1月)
- 「ウィリアム・ブレイク『恋の秘密』について」『白山英米文学』(通号4、1979年3月)
- 「グレアム・グリーン管見 -1- 『失われた幼年時代』」『白山英米文学』(通号6、1981年3月)
- 「イギリスのモラリスト達」『駿台フォーラム』(1)(1982年)ISSN: 02895579
- 「グレアム・グリーン管見 -2-」『白山英米文学』(通号8、1983年3月)
- 「小説鑑賞 -グレアム・グリーンの短篇」 『駿台フォーラム』(3)(1984年)
- 「ロレンスの紀行文学 --『エトルリアの故地』をめぐって」『白山英米文学』(通号12、1987年3月)
- 「サマセット・モーム頌 -- イギリスのエゴチスト」『白山英米文学』(通号13、1988年3月)
- 「無垢の歌(一)『クリスマス・キャロル』について -スクルージの降伏-」『駿台フォーラム』(8)(1990年)
- 「サマセット・モームの『蟻ときりぎりす』」『駿台フォーラム』(14)(1996年)
- 「ウィリアム・ブレイク頌」『駿台フォーラム』(15)(1997年)
座談会・講演
[編集]- (佐藤良明、田村哲夫、大島保彦、高橋善昭)「特別座談会: 英語教育と大学入試」『駿台フォーラム』(16)(1998年)
- (秋山仁、大島保彦、最首悟)「特別座談会〜教養教育のゆくえ〜」『駿台フォーラム』(17)(1999年)
- 「詩歌鑑賞」『文化の森: 東洋大学短期大学日本文学研究会講演集』(東洋大学短期大学日本文学科、1998年)
追悼文
[編集]- (高橋善昭、入不二基義)「追悼・伊藤和夫先生」『駿台フォーラム』(15)(1997年)
- 藤田宏・安藤達朗・長内芳子・池間昌男・松山恒見・筒井正明・高橋善昭・山本義隆・大島保彦 「追悼-奥井潔先生-」『駿台フォーラム』(19)(2001年)