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巻き取り (携帯電話)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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携帯電話PHSにおける巻き取り(まきとり)とは、近いうちに運営を停止する予定のサービス又は事業者と契約しているユーザーを、他のサービスや事業者への移行を促すことである。

旧世代サービスから新世代サービスへの移行による巻き取り

携帯電話の巻取りとしては最も多いもので、第1世代移動通信システム第2世代移動通信システム及び、第2世代移動通信システム/第2.5世代移動通信システム第3世代移動通信システムへの移行の際に用いられた。この場合、機種変更代金が通常より安く設定され(無料となる場合もある)、SIMカードを用いない機種では機種手数料も無料化される。

前者はNTT大容量方式1999年3月31日に、TACS方式2000年9月30日に終了することで、PDCcdmaOneIDODDIセルラーグループ(現auKDDI沖縄セルラー電話))のみ)への移行が段階的に進められた。

後者は第3世代移動通信システムの台頭に伴い、PDCの廃止が段階的に進められた。auは2003年3月31日に、ソフトバンクモバイル2010年3月31日に、NTTドコモ2012年3月31日限りでPDC方式が廃止された。それに伴い、各社ともCDMA 1X/CDMA 1X WINSoftBank 3GFOMA/Xiへの移行を進めてきた。このうちソフトバンクモバイルは2008年3月31日の新規受け付け停止に先立って、2006年10月24日より開始された番号ポータビリティではSoftBank 6-2への転入を不可とする措置が取られていた。

尚、auでは800MHz帯再編により、2012年7月22日を以て、2007年夏までに発売された機種(一部を除く)が使用不可となった。これに伴い、無料及び特別価格で機種変更可能な機種の用意及び、au ICカード未搭載機種からの変更の際の機種変更手数料無料化などの措置を取っていた。

ネットワーク最適化に伴う既存サービス低下に伴う場合

2011年9月5日に、ソフトバンクモバイルが、ボーダフォン旧日本法人時代、Vodafone 3Gとして販売した一部端末に関して、同年11月以降に実施されるネットワーク更新に伴う品質低下を理由に、対象機種をSoftBank 001SHないしはSoftBank 740SCに交換・回収を行う措置を取った[1]。対象端末は、Vodafone 902SHVodafone 802NVodafone 802SEVodafone 802SHVodafone 703Nとなり、発表から同年11月までにソフトバンクショップへの持ち込みで実施した。これまでの期間に応じなかった顧客に関しては、交換対応を実施せず、現在は、一般のキャンペーンなどで対応する形を取っている(機種変更・LTEなどへの契約変更手数料に関しては、キャンペーン対象であっても徴収される)。

この他にもVodafone Global Standard端末や初期の段階でVodafone 3Gとして販売された端末については、後述ノキアの端末を含めた回収や巻き取り対象となった端末も比較的多く存在する。

2015年には、SoftBank 3Gとなってからのものを含めたシャープ製端末で、2016年以降に時計の不具合が発生し、メールの送受信時刻も正しく打刻できないことを理由に、機種変更を勧める告知を行っている[2]。対象端末は、いずれもボーダフォン日本法人からソフトバンクモバイルに移行と前後する時期に発売された古い端末であり、ソフトウェア更新に非対応のもの含まれており、いずれも2016年以降のタイムテーブルに対応できないため、機種そのものの使用中止を呼び掛けている形となる。巻き取りは、今般の件に対応した優遇措置をとらず、一般のキャンペーンの範囲で実施する[3]

周波数帯削減に伴う既存サービス低下に伴う場合

2013年6月からは、イー・アクセスDC-HSDPAサービス向けに利用している帯域の半分をLTE用へ、同年8月中旬以降順次転用し、その後はHSPA+レベルの速度までしか出せなくなることから、LTEとのデュアルモードとなっていない4機種については、巻き取り対象として、EMOBILE LTE(又は、EMOBILE 4G)の端末への買い替えの優遇措置を取り始めた。ただし、HSPA+レベルまでの速度であれば従来通り利用可能であることから、積極的な巻き取りとまではいっておらず、2013年8月現在、同社の回線を利用するMVNO事業者については、巻き取りを行っていないところも存在する。

また、2014年10月には、UQコミュニケーションズが、翌年春以降モバイルWiMAXの帯域30MHzのうち20MHzをWiMAX 2.1WiMAX 2+)に転用すると発表し、あわせてWiMAX 2+への切り替えキャンペーンを開始した[4]が、MVNO事業者の中には発表直前にWiMAXのキャンペーンを打つところがある[5]など、混乱もみられた。

技適失効に伴う場合

ノキアNTTドコモ及び旧ボーダフォン日本法人(当初は、ソフトバンクモバイルに社名変更後に発売されたSoftBankブランドの端末も含まれていた)向けに発売した端末が、スプリアスに関する技適要件の経過期間満了に伴って、旧条件で技適通過した端末については、2015年11月30日を以て、日本国内での使用を不可とし、以降の日本国内での使用が違法状態となるため、ドコモは巻き取りを行って機種変更の優遇措置をとっている。ソフトバンクについては優遇措置を取らず、一般のキャンペーンの利用で他のSoftBank 3G端末への機種変更・LTEスマートフォンへの契約変更を案内する対応をとる(機種変更・契約変更手数料は別途徴収される)。

ドコモの場合は、ノキアの端末はNM850iGのみが対象となるが、他のメーカーでも、モトローラM1000富士通F2611が同様の理由により巻き取り対象となった[6]

ソフトバンク(発表当時は、ソフトバンクモバイル)は、当初はノキア全機種を使用不可とする対象と発表していたが、SoftBank 705NKSoftBank X01NKSoftBank X02NKは、新条件で技適を通過していたことから、2015年10月22日に巻き取り対象から削除された[7]

このため、ソフトバンクのノキア端末に関する巻き取り対象は、ボーダフォン時代の全機種とソフトバンクモバイルが発売したNokia N82となった(J-フォン時代までの端末は、前述の理由により、すでに巻き取りが実施されていた)。

なお、ノキアが直接販売した端末(スタンダードバージョン)すべてと今回の巻き取り対象とならなかったドコモの2機種とSoftBankの3機種は、2015年ではなく2022年11月30日に技適失効となるため、それまでは使用可能となっている。

なお、ノキア・ジャパンでは、技適の適用が日本国内での利用に対して効力を有することから、今般の技適失効後も、日本国外での利用については引き続き可能としており、海外ローミング用の端末としては可能としている。

スタンダードバージョンの端末については、技適オペレータ(携帯電話事業者)向けの端末とは違った形で申請・認可を受けることから、技適失効期日に差異が生じるとしている。

事業者の撤退・廃業による巻き取り

携帯電話・PHS事業者がサービスそのものを終了する場合、存続している事業者へ移行させることを「巻き取り」と呼ぶ場合がある。

このタイプの巻取りは、2008年3月31日限りで終了したツーカーや、PHSサービスを終了したアステルドコモPHSで実施された。前者は2006年6月30日の新規受け付け終了に先立ち、2005年10月11日からauへの移行手続きを開始した(10月18日11月1日は受付中断)。サービス終了後もau以外へのMNPを2008年6月30日まで、auへの同番移行を2008年9月30日まで実施していた。後者はウィルコムへの番号や契約期間の引き継ぎ(電話番号の同番継承は、ドコモPHSとアステル沖縄のみ。契約期間の継承は、沖縄以外のアステル各社の中には、別途の手続を要する場合もあった)のほか、ドコモPHSからmova/FOMAへの移行も優遇されていた(PHSのMNP実施前だったため、電話番号は変更された)。

事業停止ではないが、ソフトバンクの宮内謙社長が、「PHSの新機種はもう無いと思っていただきたい」という趣旨の発言を、2015年10月の新モデル発表の際にしており、このためか、Y!mobileブランドで出しているPHSからSoftBankブランドへの同番移行に際して、他社からのMNPに次ぐ優遇価格での提供を行っており(旧イー・アクセス契約やY!mobileブランドのスマートフォンは、毎月の割引にとどまらず、基本料金などの面でも優遇は一切行わない状態となっている)、先だってキャリアメールメールアドレスもそのまま利用可能とする対応をとっている。

註釈

  1. ^ Vodafone 902SH/802N/802SE/802SH/703Nをご利用中のお客さまへソフトバンクモバイル、2011年9月5日(2015年10月30日閲覧)
  2. ^ SHARP社製一部携帯電話をご利用中のお客さまへ大切なご案内ソフトバンク株式会社、2015年10月9日(2015年11月8日閲覧)
  3. ^ ソフトバンクのシャープ製フィーチャーフォンの一部で日時表示に不具合ケータイ Watch2015年10月9日11:36(2015年11月8日閲覧)
  4. ^ 「WiMAX 2+ 史上最大のタダ替え大作戦」の実施について UQコミュニケーションズ、2014年10月27日(2014年11月2日閲覧)。
  5. ^ WiMAXが下り最大40Mbpsから13.3Mbpsへ、GMO「究極割」はキャンセル受付を開始 INTERNET Watch(インプレス)、2014年10月27日(2014年11月2日閲覧)。
  6. ^ ドコモからのお知らせ 「F2611」 「M1000」 「NM850iG」をご愛用のお客様へのお知らせNTTドコモ、2014年12月9日(2015年10月30日閲覧)
  7. ^ ノキア製一部機種をご利用のお客さまへ ご利用に関する大切なご案内ソフトバンクモバイル、2015年3月2日(2015年10月30日閲覧) 一部の巻き取り対象端末の削除に関しては2015年10月22日に修正されたとする記述がある。

関連項目