桐島聡
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桐島 聡 | |
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警視庁が公開した顔写真（1973年撮影） | |
| 生誕 |
1954年1月9日 日本・広島県深安郡神辺町（現:福山市） |
| 死没 | 2024年1月29日（70歳没） |
| 国籍 | 日本 |
| 罪名 | 爆発物取締罰則違反 |
| 刑罰 | 6 |
桐島 聡（きりしま さとし、1954年（昭和29年）1月9日[1] - 2024年（令和6年）1月29日[2]）は、1970年代の日本のアナーキズム系新左翼過激派である東アジア反日武装戦線のメンバー[3]。同派による連続企業爆破事件の容疑者として全国に指名手配されていた[1]。
人物・来歴
経歴
広島県深安郡神辺町（現・福山市）出身[4]。広島県立尾道北高等学校卒業後、1972年4月に明治学院大学法学部に進学。明治学院大学在学中に黒川芳正や宇賀神寿一と出会い、東アジア反日武装戦線に「さそり」班として参加し、連続企業爆破事件の複数のテロ事件に関与した[3]。身長は160cm位で強度の近視、足が細い、広島弁、顔にニキビの跡がある、唇が厚いなどの特徴を持つ[1][5][6]。
連続企業爆破事件への関与
1975年4月18日、東京の銀座の韓国産業経済研究所の入口に手製の時限信管付爆弾を仕掛け翌日に爆発させた[5][7]。これによってビルの一部が損壊した[6]。警視庁は本事件を中央区内連続企業爆破事件とも呼んでいる[1]。爆弾は同グループが出版した腹腹時計に掲載したもので、同グループで薬剤師資格を持つ大道寺あや子が勤務先から横領した薬品などを使って製造したものが使われた[8]。現在指名手配されている直接の容疑は、このオリエンタルメタル社・韓産研爆破事件における爆発物取締罰則違反であるが、それ以外にも、共犯である黒川らの刑事裁判で、
- 鹿島建設爆破事件（1974年12月23日。死傷者なし）[9]
- 間組本社ビル（9階・6階）及び大宮工場同時爆破事件（1975年2月28日。桐島が共謀した本社ビル9階爆破で1人が加療4か月の骨折・熱傷等）[9]
- 間組江戸川作業所爆破事件（1975年4月27日。1人が加療約1年3か月を要する頭部外傷等）[9]
- 間組京成江戸川橋工事現場爆破事件（1975年5月4日。死傷者なし）[9]
に桐島が共謀・実行で関与したことが認定されている[9]。ほとんどの事件で桐島と行動を共にした黒川には無期懲役[10]、宇賀神には懲役18年[11]が確定している。
逃亡
1975年5月19日に東アジア反日武装戦線の主要メンバー7人が逮捕されたのを契機に逃亡。直後に黒川が所持していた桐島の家の鍵からまだ警察が把握していなかった桐島の存在が明らかとなり、桐島は警視庁公安部に爆発物取締罰則違反で指名手配された[7]。1989年と1990年、警察庁は過激派の爆弾犯、誘拐犯ら10人を指定の公開手配とした中の1人に桐島を挙げた[5]。1987年だけで警視庁は桐島を含めた10名を掲載した手配チラシを700万枚印刷し全国に配布した[5]。
半世紀近くも生死を含め行方がわからず、東アジア反日武装戦線のメンバーの中で、一度も逮捕されていない唯一のメンバーであった[3][7][12]。また東アジア反日武装戦線の中で、前科がないただ一人の人物でもあった。
公訴時効について
間組本社ビル等爆破事件に関しては、共犯者の佐々木規夫と大道寺あや子が起訴後にダッカ日航機ハイジャック事件により国外逃亡したため、刑事訴訟法254条2項により共犯者の公判が継続中という扱いで公訴時効が停止したままである。
また、佐々木・大道寺が関わっていないオリエンタルメタル社・韓産研爆破事件では、共犯者の浴田由紀子が同じ経緯で国外逃亡した後、身柄拘束されて2004年8月に判決が確定し、そこから桐島の公訴時効が再開されることとなった（当時の爆発物取締罰則1条での公訴時効は15年）。しかし、2010年の法改正によって、桐島の公訴時効は、犯行時から起算して、1975年6月10日に浴田が起訴されて[13]2004年8月に判決が確定するまでの期間を除いた上で、25年になった（刑事訴訟法250条2項）。そのため、公訴時効の完成は2029年と見られる。
これ以外の事件では、すでに桐島の公訴時効が完成していると考えられている。ただし、桐島が国外にいた可能性が出てきたため[14]、逃亡期間によっては時効は完成していない。
身柄確保
2024年1月25日、桐島聡と見られる男が入院している旨の情報提供が警視庁になされたことを受け、警視庁公安部による男の特定作業が開始された[15]。翌日、男が神奈川県鎌倉市の病院に偽名で入院しているところを警視庁公安部によって、その身柄を確保された[16]。男は既に事情聴取に対して、事件の関係者しか知り得ない当時の状況などについて話しており、こうした状況から、警視庁公安部は男が桐島である可能性が高いとみて、現在、DNA型の鑑定を進めている[17][18][19]。男は桐島を名乗っているが、50年近く逃亡していたことから、特定作業は困難を極めるとの見方もある[15]。偽名で入院しており、末期がんを患っていて、治療が行われていたが、25日までに自らが桐島であるという説明を始めたことから、職員が通報した[20]。男は「最期は本名で迎えたい」などと話しているという[21]。その後、数日で危篤状態となった[22]。その後の捜査の結果、数十年前から「ウチダヒロシ」という偽名を使って生活をしていたことが判明。神奈川県藤沢市内の土木関係の企業で数十年前から住み込みで働いていたことも判明した[23]。身元の確認が進められている最中の1月29日朝、男は入院先の病院で胃癌のため死去した[2]。
関連項目
脚注
出典
- ^ a b c d 警視庁 公開捜査一覧 中央区内連続企業爆破事件 2018年6月18日
- ^ a b 桐島聡容疑者と名乗る人物 死亡を確認 入院先の病院で NHK、2024年1月29日
- ^ a b c 「【プリズム】連続企業爆破事件発生から25年 遺族の心痛よそになお闘争を主張」『産経新聞』1999年8月30日、東京朝刊、27面。
- ^ 桐島聡容疑者「岡山に女と一緒にいる」の電話から４９年不明…鎌倉の病院に名乗る男読売新聞2024年1月26日
- ^ a b c d 「警察庁が過激派の爆弾犯、誘拐犯ら10人を公開手配」『毎日新聞』1987年11月1日、東京朝刊、22面。
- ^ a b 「警視庁、容疑者9人を公開手配 過激派などの重要事件」『朝日新聞』1990年10月1日、東京朝刊、30面。
- ^ a b c 「連続企業爆破 2被告の死刑確定 殺意あったと認定 最高裁が上告棄却」『読売新聞』1987年3月24日、東京夕刊、1面。
- ^ 26歳女の正体 東京を襲った爆破テロ 2015.05.22 フジテレビ みんなのニュース 報道／ニュース／報道特集 テレビ番組放送データ 富士ソフト株式会社
- ^ a b c d e 東京地裁昭和54年11月12日判決刑事裁判月報11巻11号1383頁
- ^ 読売新聞1987年3月24日夕刊1面
- ^ 1990年3月1日31面
- ^ 49年の連続企業爆破事件 宇賀神被告の控訴棄却。一審通り懲役18年－東京高裁が判決 1988年08月26日 北海道新聞朝刊全道 27頁 朝社 (全918字)
- ^ 読売新聞1975年6月11日1面
- ^ https://www.iza.ne.jp/article/20240127-DSKGVT5KC5OP3HGKSRJLX4HT6E/
- ^ a b “病院で発見 指名手配 桐島聡（70）か 逃亡から約50年 潜伏先は”. テレ朝news. 2024年1月26日閲覧。
- ^ “指名手配の桐島聡容疑者?神奈川で入院 本人と認め、病院側が通報”. 毎日新聞. 2024年1月26日閲覧。
- ^ “【独自】1974年にかけて起きた連続企業爆破事件の「東アジア反日武装戦線」メンバー 桐島聡容疑者（70）の身柄確保 警視庁公安部”. TBS NEWS DIG. (2024年1月26日) 2024年1月26日閲覧。
- ^ NHK (2024年1月26日). “「東アジア反日武装戦線」指名手配の桐島聡容疑者か 身柄確保”. www3.nhk.or.jp. NHK NEWS WEB. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
- ^ “連続企業爆破事件で指名手配の桐島聡容疑者か 男を入院中の病院で発見”. www.sankei.com. 産経新聞 (2024年1月26日). 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
- ^ “桐島聡容疑者か 身柄確保 70年代の連続企業爆破事件で指名手配”. 2024年1月26日閲覧。
- ^ “桐島聡容疑者を名乗る男「最期は本名で迎えたい」男は末期がん”. NHK. (2024年1月27日) 2024年1月27日閲覧。
- ^ “【独自】桐島聡容疑者を名乗る男が“危篤” ここ数日で容体悪化…末期がん患い偽名で入院｜FNNプライムオンライン”. FNNプライムオンライン (2024年1月27日). 2024年1月27日閲覧。
- ^ “桐島容疑者とみられる人物 「ウチダヒロシ」名乗り生活か”. (2024年1月28日) 2024年1月28日閲覧。