BeSTA
BeSTA(ベスタ)は、NTTデータが開発した「次世代バンキングアプリケーション」のパッケージ・ソフトウェアである。
正式名称は「NTTデータ標準バンキングシステム(ベスタ:BeSTA-Banking application engine for STandard Architecture)」。主に全国地方銀行協会加盟行向けの勘定系システム用ソフトウェアパッケージである。
概要
特徴はマルチプラットフォームで、稼動するコンピュータ(ベンダー)を選ばないが、日立製作所のメインフレームで稼動させている場合が多いとされる。個別提供の他、多数の共同化プロジェクトや共同センターのベースとなるパッケージ・ソフトウェアとしても使われているとされる。
2006年9月には、上位・中堅地方銀行向け国際系システムである「BeSTA-FX」も発表された。「BeSTA-FX」は、「NTTデータ地銀共同センター」の国際系システムをベースとしており、アウトソーシングサービスも提供する。
BeSTAを採用したシステム共同化には、「NTTデータ地銀共同センター」、「MEJAR」、「STELLA CUBE]」、「BeSTAcloud」がある(詳細は後述)。また2005年9月のNTTデータ・日立製作所・富士通による共同発表「オープン系サーバーで動作する次世代勘定系パッケージの共同開発」でも、ベースに採用される可能性があるとも報道されている。
BeSTAには、勘定系のほかに、営業系システムであるBeSTAlinkが開発される計画となっている。
その他、日立製作所の勘定系パッケージNEXTBASEもソフトウェアとしてはBeSTAがベースである。
ソフトウェア形態の共同化パッケージとしては、他社製品では、日本ユニシスのTRITONなどがある。
2013年には、あおぞら銀行がBeSTAcloudへのリプレースを明らかにしたことにより、地方系金融機関以外への門戸を広げる方針に転換することを明らかにしている。
採用行
NTTデータは、2008年4月に足利銀行の地銀共同センターへの参加を発表した際に「BeSTA利用行は22行(予定行含む)」と発表した。この数には、日立製作所から提供されているNEXTBASE採用行は数に含めていないと考えられる。
NTTデータ地銀共同センター
MEJAR
正式名称は、NTTデータ 3行共同利用システム。「MEJAR」は、Most Efficient Joint Advanced Regional banking-system(最も効率的な先進的地方銀行共同システム)の略から取った名称。NTTデータ地銀共同センターとの共同開発。3行とも従前は富士通メインフレームだったこともあり、富士通メインフレームで稼働させている[1]。2011年11月には、やはり同社メインフレームの勘定系システムを独自に採用している七十七銀行がMEJAR稼動3行との勘定系共同化を検討していることを明らかにし、その後、MEJARへのリプレースを2016年1月に行う方針であることを明らかにしている[2]。
STELLA CUBE
NTTデータが1997年5月より運用している勘定系パッケージ・STARシリーズの一つ「スターエース(STAR-ACE)」(富士通メインフレーム)の後継システムとして、2008年3月19日に発表された。発表時は「NTTデータ次期共同センター(仮称)」とされていたが[5]、 2009年6月26日に「NTTデータ基幹系共同センター(名称:STELLA CUBE)」と発表された。
上述の「地銀共同センター」とは別物だが、同様に日立製作所のメインフレームでBeSTAをベースに稼働。2011年10月11日の東京都民銀行を皮切りに、順次移行し、2012年7月17日に移行が完了した。2013年5月になされた仙台銀行リプレースに伴い、STARシリーズの勘定系は、本システムに統一され、STAR-21およびSTAR-ACEの運用が停止され「STARシリーズ」ブランドは終了した。今後は、仙台銀行と同じ金融持株会社傘下にあるきらやか銀行が、2015年5月をめどにリプレースを予定するなど他行のリプレースにより、採用行を追加していく方針である。
BeSTAcloud
フィデアホールディングス向けに、新たにクラウドシステムにて開発された勘定系システム。開発発表当時、NTTデータ地銀共同センターを利用していた荘内銀行の現行内容の移行しやすさなどから、日立製作所によるメインフレームで構築(当初は、STELLA CUBE移行が検討されるも、STELLA CUBEはすでに既存のベースシステム(STAR-ACE)があったことから、荘内銀行側移行の際の煩雑さ・コストアップなどの問題もあった[6])。2014年3月17日に荘内銀行が移行し、2014年5月7日には北都銀行のリプレースがなされた。今後の同HD傘下行の増加も視野に入れて、別パッケージの形となった。
2013年7月31日、あおぞら銀行が、同システム導入を発表。導入時期は2015年度下期としている[7][8]。
その他形態
NEXTBASE
労働金庫勘定系システム(アール・ワンシステム)
全国の労働金庫が共同で運用している勘定系システムについては[9]、従来は独自開発により富士通メインフレームで稼動していたが、2014年1月5日に、BeSTAのアーキテクチャに労働金庫の特有機能をカスタマイズした版を採用し稼働を開始した。自前のセンターでNTTデータへの委託運用を行っている。
関連事項
脚注
注釈
出典
- ^ NTTデータ地銀共同センターと横浜銀行、北陸銀行、北海道銀行との共同開発に関する合意について 株式会社NTTデータ 2007年3月23日
- ^ 4行とのシステム共同利用に関する基本契約締結について 株式会社NTTデータ 2012年5月11日
- ^ 「ITpro 横浜銀行が勘定系を刷新、共同利用型の新システムを全面稼働」『日経コンピュータ』2010年1月4日
- ^ a b 「ITpro 北陸銀、北海道銀、鹿児島銀が勘定系システムを刷新」 『日経コンピュータ』2011年5月10日
- ^ 神奈川銀行、但馬銀行、東京都民銀行、東北銀行、富山銀行、長野銀行が「NTTデータ次期共同センター」の採用を決定 NTTデータ・ニュースリリース
- ^ また、NTTデータ地銀共同センターを継続使用し、北都銀行がそれに合わせた場合、北都銀行と競合する秋田銀行と同じシステムとなるため、それはそれで経営戦略上の問題もあった。
- ^ 勘定系システムの更改について (PDF) 株式会社あおぞら銀行 2013年7月31日
- ^ あおぞら銀行がNTTデータの勘定系クラウド導入決定、「3度目の正直」なるか 『日経コンピュータ』2013年8月1日
- ^ 総合事務センター 労働金庫連合会
外部リンク