時計 スプリットセコンドの妙技
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タグ・ホイヤーの歴史を振り返ってみると、その名声の始まりは、スプリットセコンド クロノグラフ (フランス語でラトラパンテ) 機能をベースにしたスポーツ計時であったことが分かります。タグ・ホイヤーが最高峰のクロノグラフ機構を作り上げることを可能にしたのがこの複雑機構でした。タグ・ホイヤーのムーブメント・ディレクター、キャロル・カサピは、「目指したのは、この機構を『タグ・ホイヤー モナコ』に組み込むことでした」と説明します。「『クロノグラフ複雑機構の女王』と呼ばれるこのスプリットセコンド機能を私たちが腕時計に再度利用したことは、これまでありませんでした」。このビジョンの成果を発表するのに、Watches & Wondersほどふさわしい機会があったでしょうか? それでは、新作タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフに搭載されているムーブメントについて深く掘り下げてみることにしましょう。
スプリットセコンドの歴史
1900年代初頭まで話を戻します。ここからスプリットセコンド クロノグラフの歴史が始まります。この時期、タグ・ホイヤー (当時はホイヤー) は、スプリットセコンド クロノグラフを極めることにひたすら打ち込んでいました。このムーブメントは、当時重要な意味をもつ複雑機構と見なされていましたが、それは今も変わりありません。様々なストップウォッチやダッシュボードタイマーに、ホイヤーの進歩の証が見られます。特に際立った存在感を放っていた計器が「マイクログラフ」でした。1916年に発表されたマイクログラフは、1/100秒を記録することで、1920年代から30年代にかけて、最も有名なスポーツ大会で好んで使用される計時装置となりました。その後、同じく1/100秒の精度を持つラトラパンテ「マイクロスプリット」が登場します。
1960年代に入ると、ホイヤーのストップウォッチはモータースポーツのパドックで見かける定番となります。例えば、アイコニックな11.402モデル。1/10秒の精度での計時が可能なラトラパンテ クロノグラフで、レジェンドとしての地位を確立しています。スクーデリア・フェラーリと仕事をしていたホイヤーの社員、ジャン・カンピチェも、このモデルを愛用していました。時は進んで1989年。タグ・ホイヤーはクォーツのスプリットセコンド クロノグラフ腕時計を発表します。これは、特にアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、ゲルハルト・ベルガーといったレーシング界のレジェンドたちの間で、90年代を通じて絶大な人気となりました。そして現在。2024年、反骨精神あふれるモナコ コレクションにこの最新ムーブメントが搭載されました。道のりは長かったものの、タグ・ホイヤーにとっては、まさにスプリットセコンド “ほんの一瞬” のように感じます。
スプリットセコンド新時代
ブランドの中でもひときわ反骨精神が際立つタグ・ホイヤー モナコ。クロノグラフとスプリットセコンド コンプリケーションとの組み合わせは完璧に理にかなったものです。このTH81-00機械式スプリットセコンド クロノグラフ ムーブメントは100%チタン製。タグ・ホイヤー史上最軽量の自動巻クロノグラフ ムーブメントです。極めて洗練された複雑なメカニズムをもつこの機械式スプリットセコンド ムーブメントは、クロノグラフウォッチにさらなる機能性をもたらしています。タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフは、2つの時間間隔を同時に計測することができます。サーキットでラップタイムを計る時にも、様々なスポーツ競技を記録する場合にも対応できる、高精度と多用途性の両方を備えたラトラパンテ ムーブメントです。この機構をモナコに組み込むことで、タグ・ホイヤーは大きな飛躍を遂げようとしています。これまでにないスプリットセコンドの新時代へ、ようこそ。
新作クロノグラフ2点の詳細は、公式サイトをご覧ください。