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JP2002322539A - プレス成形性に優れた薄鋼板およびその加工方法 - Google Patents

プレス成形性に優れた薄鋼板およびその加工方法

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JP2002322539A
JP2002322539A JP2001333374A JP2001333374A JP2002322539A JP 2002322539 A JP2002322539 A JP 2002322539A JP 2001333374 A JP2001333374 A JP 2001333374A JP 2001333374 A JP2001333374 A JP 2001333374A JP 2002322539 A JP2002322539 A JP 2002322539A
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thin steel
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matrix
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Yoshimasa Funakawa
義正 船川
Takeshi Shiozaki
毅 塩崎
Takanobu Saito
孝信 斉藤
Eiji Maeda
英司 前田
Tetsuo Yamamoto
徹夫 山本
Yasuhiro Murao
安浩 村尾
Kaoru Sato
馨 佐藤
Kunikazu Tomita
邦和 冨田
Takashi Yamashita
敬士 山下
Hiroshi Masumoto
博司 益本
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高強度でありながら穴広げ率および全伸びの
いずれも良好であるプレス成形性に優れた薄鋼板を提供
すること。 【解決手段】組成が重量%で、C<0.10,Ti:
0.03−0.10,Mo:0.05−0.6を含み、
Feを主成分とする薄鋼板で、フェライト単相組織のマ
トリックスと、該マトリックス中に分散した粒径が10
nm未満の微細析出物とから実質的になり、550MP
a以上の引張強度を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の輸送機
材や構造材料に適した550MPa以上の強度を有する
プレス成形性に優れた薄鋼板およびその加工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近時、自動車等の輸送機材や構造材料に
は、高強度でありながらプレス成形性に優れた鋼板が要
求されている。
【0003】プレス成形性のよい鋼板として、Cを0.
003%程度まで低減し、フェライト単相組織をもつ極
低炭素鋼板がある。しかしながら、極低炭素鋼板では優
れたプレス成形性を有するものの強度は高々300MP
a程度であり、固溶強化元素を添加しても400MPa
程度までの強度しか得られない。
【0004】そこで高強度化のためにはCの添加が考え
られる。しかしながら、Cの添加によりパーライト組織
で高強度化した鋼では、パーライトは鋼の破壊の起点と
なることから、穴広げ率は30%程度と極めて低く、プ
レス成形性が良好とはいえない。また、パーライトで実
現することができる薄鋼板の強度は高々500MPa程
度である。同様に、炭素とともに炭化物形成元素である
TiやNbを添加した析出強化鋼も知られているが、こ
のような従来から存在する析出強化鋼にもパーライトが
存在し、そのパーライトが破壊の起点となるため、やは
り穴広げ率が極めて低い。
【0005】そこで、優れたプレス加工性と高強度とを
兼備した鋼板を得るために種々の研究がなされ、その結
果プレス加工性の良好な540MPa級の高張力鋼板と
して組織強化鋼が開発されている。これは、フェライト
地にベイナイト、マルテンサイトなどの組織を導入し、
加工性をフェライトで確保し、強度をベイナイトやマル
テンサイトで確保するものである。
【0006】しかしながら、フェライト−ベイナイト鋼
板では穴広げ率が、フェライト−マルテンサイト鋼板で
は全伸びが析出強化鋼よりも良好であるものの、穴広げ
率、全伸びをともに良好とするには至っていない。ま
た、このような組織強化鋼として、全伸びの良好な残留
オーステナイト鋼板も提案されているが、残留オーステ
ナイトは加工時にマルテンサイトとなることから、やは
り穴広げ率が低い。さらに、これらの組織制御による高
張力鋼板においては、550MPa以上の高強度を実現
するためには転位を多量に含んだベイナイトやマルテン
サイトなどの組織の体積分率を上げなければならず、高
強度化にともない急激に加工性が低下してしまう。
【0007】このような状況に鑑み、穴広げ率を向上さ
せるべく以下のような種々の技術が提案されている。
【0008】特開平6−172924号公報にはSi添
加で炭化物生成を抑制、Cr添加量制限により低温変態
相生成を抑制し、組織をベイニティックフェライト単相
とし、さらにNi、Moを固溶強化元素として用いたT
i添加高伸びフランジ加工性高張力熱延鋼板が開示され
ている。しかしながら、この技術の根幹をなすラス間に
炭化物析出をともなわないラス状組織であるベイニティ
ックフェライト組織では、転位密度を高めることにより
強度を補償しているため、全伸びは低くプレス成形性は
必ずしも良好とはいえない。
【0009】特開平7−11382号公報には、Cと結
合するTi、NbをCに対して原子比で0.5以上添加
し、固溶Ti、Nbで熱間圧延後のフェライト核生成を
抑制することで組織をアシキュラーフェライトとし、さ
らにCr、Moの固溶強化で強度を調整した高伸びフラ
ンジ性熱延鋼板が開示されている。しかしながら、ここ
で開示されているアシキュラーフェライトは強度843
MPaで伸びが15%と延性に乏しく、伸びが重要な張
出成形を行うとプレスわれを起こす。
【0010】一方、特開平11−152544号公報に
は、高加工性と高強度化をTi、Nb、Moの結晶粒微
細化効果で実現する方法が開示されている。しかしなが
ら、この技術では、平均のフェライト粒径を2μm以下
にすることから、伸びの劣化は避けられず、やはり張出
成形でわれが生じる。また、粒径が極めて微細であるこ
とから粒成長性が極めて高く、通常起こり得る板幅方向
の熱延条件の変動で2μmを超える粒が部分的に生じて
混粒組織となりやすく、板幅方向の強度変動が避けられ
ない。
【0011】さらに、特開平6−200351号公報に
は、ポリゴナルフェライトに対するパーライトや低温変
態相の面積比が15%以下でポリゴナルフェライト中に
TiCが分散した組織を有し、かつ、Moの固溶強化で
強度調整を行った伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼
板が開示されている。しかしながら、この公報に開示さ
れた鋼板では、TiCの析出をTiの多量添加により制
御するため、TiCは粗大化しており、事実上Ti添加
にともなう結晶粒微細化で高強度を達成している。ま
た、TiCにならないCが粒界にフィルム状に析出しや
すく、そのため実際には穴広げ率、全伸びともに安定し
ない。
【0012】このように穴広げ率を向上することを意図
した従来技術においても、フェライト単相鋼では結晶粒
微細化により強度を維持しており、穴広げ率は改善され
ても、全伸びは逆に低下し、穴広げ率と全伸びがともに
良好な高張力薄鋼板は未だ得られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、従来実現されていない、
高強度でありながら穴広げ率および全伸びのいずれも良
好であるプレス成形性に優れた薄鋼板およびその加工方
法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述したように、鋼のプ
レス成形性はフェライトが最も良いが、フェライトでは
550MPaを超える強度が実現されない。一方、この
ような強度を実現しようとしてフェライトにベイナイト
やマルテンサイトなどの組織を導入すると穴広げ率が低
くなり良好なプレス成形性が得られない。また、フェラ
イト単相鋼では組織微細化により穴広げ率を改善しても
全伸びは逆に低下してしまう。この点を解決すべく本発
明者らが鋭意研究を重ねた結果、フェライト単相組織の
マトリックスと、該マトリックス中に分散する極めて微
細な析出物とから実質的になる組織とすることにより、
従来実現されていない、高強度でありながら優れた穴広
げ率および全伸びを示す薄鋼板が得られることを見出し
た。また、C、TiおよびMoの含有量を特定の範囲に
規定することにより、および、微細析出物がTiとMo
とを含む炭化物とすることにより、その効果が高まるこ
とも見出した。
【0015】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものであり、以下のような構成を有するものであ
る。
【0016】(1) フェライト単相組織のマトリック
スと、該マトリックス中に分散した粒径が10nm未満
の微細析出物とから実質的になり、550MPa以上の
引張強度を有することを特徴とするプレス成形性に優れ
た薄鋼板。
【0017】(2) フェライト単相組織のマトリック
スと、該マトリックス中に分散した粒径が10nm未満
の微細析出物と、平均粒径が1μm未満で、体積分率が
全体の1%以下のFe炭化物とから実質的になり、55
0MPa以上の引張強度を有することを特徴とするプレ
ス成形性に優れた薄鋼板。
【0018】(3) 上記(1)または(2)におい
て、前記微細析出物の分布密度が1μm当たり5×1
個以上であることを特徴とするプレス成形性に優れ
た薄鋼板。
【0019】(4) 上記(1)から(3)のいずれか
において、重量%で、C<0.10%、Ti:0.03
〜0.10%、Mo:0.05〜0.6%を含み、Fe
を主成分とすることを特徴とするプレス成形性に優れた
薄鋼板。
【0020】(5) 上記(1)から(4)のいずれか
において、前記微細析出物がTiとMoとを含む炭化物
であることを特徴とするプレス成形性に優れた薄鋼板。
【0021】(6) 上記(4)において、C、Ti、
Moを以下の(1)式を満足するように含有し、かつ、
前記微細析出物がTiとMoとを含む炭化物であること
を特徴とするプレス成形性に優れた薄鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 1) ただし、上記(1)式中、C、Ti、Moは各成分の重
量%を表す。
【0022】(7) 上記(1)から(6)のいずれか
において、穴広げ率:80%以上、引張強度:700M
Pa以上であり、引張強度をTS(MPa)、伸びをE
L(%)、板厚をt(mm)としたときにTS×EL>
12000×t0.2を満たすことを特徴とするプレス
成形性に優れた薄鋼板。
【0023】(8) 上記(1)から(7)のいずれか
において、表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有することを
特徴とするプレス成形性に優れた薄鋼板。
【0024】(9) 上記(1)から(8)のいずれか
に記載の鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前
記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品
に加工する第2の工程とを有する薄鋼板の加工方法。
【0025】(10) 上記(9)において、前記プレ
ス成形品は、自動車用部品、特に自動車用足廻り部材で
あることを特徴とする薄鋼板の加工方法。
【0026】(11) 上記(1)から(8)のいずれ
かに記載の鋼板により製造された自動車用部品。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の薄鋼板は、フェライト単相組織のマト
リックスと、該マトリックス中に分散した粒径が10n
m未満の微細析出物とから実質的になり、550MPa
以上の引張強度を有するものである。これにより、高強
度でありながら、優れた穴広げ率および全伸びを示す薄
鋼板が得られる。
【0028】マトリックスをフェライト単相組織とした
のは、鋼の加工性はフェライトが最も良いからである。
ベイナイトやマルテンサイト、アシキュラーフェライ
ト、ベイニティックフェライトは転位密度が高く、加工
性は低い。また、パーライトは破壊の起点となるため全
体の塑性変形量を低減させてしまい、やはり加工性は低
い。残留オーステナイトは加工によりマルテンサイトに
変態することから、打ち抜き時に端面近傍にマルテンサ
イトを生じるため穴広げ率が低い。よって、本発明では
これらフェライト以外の相を実質的に含まないフェライ
ト単相組織のマトリックスとした。ここでフェライト単
相とは、完全に100%フェライト組織のものに限るも
のではなく、断面組織観察などで95%以上がフェライ
トであることを意図するものであり、98%以上が望ま
しい。
【0029】フェライト単相組織のマトリックスに微細
析出物を分散させたのは、転位密度を上げて高強度を実
現すると全伸びが低下するが、微細析出物での高強度化
はこのような不都合が生じ難いからである。また、微細
析出物の粒径を10nm未満としたのは、10nm以上
になると550MPa以上の強度を得難くなるからであ
る。また、10nm以上の析出物で強化しようとする
と、析出物の体積率を多くしなければならず、必然的に
析出物形成元素の添加量を上げなければならない。した
がって、実際には析出物形成元素の添加量を上げたこと
にともなうフェライトの細粒化で強度を維持することに
なり全伸びが低下してしまう。以上のことから本発明で
は微細析出物の粒径を10nm未満としたが、望ましく
は5nm以下であり、さらに高強度が必要な場合には3
nm以下とすることが望ましい。
【0030】本発明において、析出物は特に限定され
ず、炭化物や窒化物等種々のものが可能であるが、Ti
とMoとを含む炭化物であることが好ましい。これは、
拡散速度が遅いMoをTiとともに析出させるため、析
出物の成長速度が遅くなり、微細析出物を得やすいため
である。微細析出物がTiとMoとを含む炭化物である
場合には、TiとMoとの比Ti/Moが原子比で2.
0≧Ti/Mo≧0.2の範囲が好ましく、1.5≧T
i/Mo≧0.7がさらに好ましい。この範囲でTiと
Moとを含む炭化物は極めて微細となり、本発明の効果
が最大となる。
【0031】上述したように微細析出物が強度に寄与
し、粗大析出析出物は強度に寄与しないため、析出物は
微細なほど好ましく、そのため本発明ではフェライト単
相組織のマトリックスと、マトリックス中に分散した粒
径が10nm未満の微細析出物とから実質的になること
を規定しているが、微細析出物の全てが10nm未満で
ある必要はない。微細析出物のうち10nm未満の析出
物数が全析出物数の90%以上であれば所望の高強度を
実現することができる。この場合、析出物の残りの10
%未満が10nm以上となるが、10nm以上の割合は
5%未満がより好ましい。また、10nm以上の析出物
が大きすぎると析出物形成元素をいたずらに消費するこ
とから、10nm以上の析出物が存在する場合でもその
大きさは50nm以下にすることが好ましい。
【0032】また、このような析出物とは別に、少量の
Fe炭化物を含有していても本発明の効果は損なわれな
い。しかしながら、平均粒径が1μm以上のFe炭化物
を多量に含む場合、Fe炭化物は打ち抜き時のボイドの
発生を助長することから穴広げ率が低下する。そこで本
発明においては含有されるFe炭化物の大きさの上限を
1μmとし、含有体積率を全体の1%以下とする。以
下、これを実験によって説明する。
【0033】種々のFe炭化物粒径、体積率を得るた
め、C=0.03〜0.2%、Ti=0.03〜0.2
5%、Mo=tr.〜0.8%を含む鋼を用いて、仕上
温度900℃、巻取温度500℃〜800℃で熱間圧延
を行い、板厚2.3mmの熱延鋼板を作製した。得られ
た鋼板のFe炭化物の平均粒径と体積率を組織写真より
画像解析で求めるとともに、穴広げ率を求めた。平均粒
径については面積に対して円相当直径で計算した。図1
は、Fe炭化物平均粒径と穴広げ率との関係を示すグラ
フであるが、Fe炭化物の平均粒径が1μmを超えると
穴広げ率が80%未満となり、劣化する傾向があること
がわかる。図2はFe炭化物の体積率と穴広げ率との関
係を示すグラフであるが、Fe炭化物の体積率が1%を
超えると穴広げ率が80%未満となり、穴広げ率が劣化
することがわかる。
【0034】なお、Fe炭化物の含有体積率のより好ま
しい範囲は0.5%以下であり、さらに好ましくは0.
2%以下である。
【0035】引張強度を550MPa以上としたのは、
本発明が対象とする自動車等の輸送機材や構造材料等の
用途では550MPa以上が要求されるからである。引
張強度のより好ましい値は700MPa以上であり、7
80MPa以上の高強度とすることが一層望ましい。
【0036】上記微細析出物の分布密度は、1μm
たり5×10個以上であることが好ましい。微細析出
物の分布密度は高強度を得るために重要な要素であり、
鋼中に微細析出物を均一に分散析出させることが好まし
い。上記微細析出物の分布密度が1μm当たり5×1
個未満であると高強度が得難くなる。望ましくは1
μm当たり1×10個以上であり、さらに高強度が
必要な場合には1μm 当たり2×10個以上が望ま
しい。以下、このことを実験結果によって説明する。
【0037】種々の微細析出物密度を得るため、C=
0.03〜0.2%、Ti=0.03〜0.25%、M
o=tr.〜0.8%を含む鋼を用いて、仕上温度90
0℃、巻取温度500〜800℃で熱間圧延を行い、板
厚2.3mmの熱延鋼板を作製した。得られた熱延鋼板
の強度と微細析出物密度との関係を図3に示す。微細析
出物密度が1μmあたり5×10個以上で550M
Paの強度が実現され、1×10個以上で700MP
a以上、2×10個以上で780MPa以上の強度が
実現されることがわかる。
【0038】本発明は、上記組織が形成されればよく、
その成分組成は特に限定されないが、Cを0.10%以
上含有させると強度を担う微細析出物が粗大化しやすく
なり、高強度化を目的に含有させたCにより逆に強度が
低下しやすくなることから、Cを0.10%未満とする
ことが好ましい。また、析出物形成元素のうち、少量の
添加で高強度を得やすいTiを添加することが望まし
い。この場合に、Ti添加量が0.03%未満ではTi
炭化物量が少なくなり550MPa以上の強度の強度が
得られにくくなり、逆に、0.10%を超えて添加する
とフェライト粒が微細化し、全伸びが低下しやすくなる
ことから、Ti量は0.03〜0.10%が好ましい。
また、MoもTiとともに微細な析出物を形成し、鋼の
高強度化に寄与する元素であり、添加することが望まし
い。この場合に、Mo添加量が0.05%未満ではMo
を含む炭化物の量が少なくなり550MPa以上の強度
が得られにくくなり、逆に0.6%を超えると低温変態
相が形成され、穴広げ性が低下しやすくなることから、
Mo量は0.05〜0.6%が好ましい。さらに、鋼中
のCと(Ti+Mo)との原子数比、すなわち、(C/
12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}の値が
0.5〜1.5となるように、C、Ti、Moの含有量
を調整すると、TiとMoとを含む炭化物が微細に析出
しやすくなる。その結果、高強度でありながら優れたプ
レス成形性が容易に得られるようになる。したがって、
上記原子比が0.5〜1.5を満たすことが望ましい。
さらに、この原子比が0.8〜1.3を満たすことがよ
り望ましい。
【0039】また、本発明の薄鋼板において、穴広げ率
の好ましい範囲を80%以上とする。通常、剪断面はそ
のまま加工されるため、穴広げ率は重要な要素であり、
その値はプレスわれの原因とならない80%以上が好ま
しい。さらに良好な穴広げ性が要求される場合には10
0%以上とすることが望ましい。
【0040】引張強度をTS(MPa)、伸びをEL
(%)とした場合に、TS・ELの値は材料の吸収エネ
ルギーの指標となり、プレスわれの生じ難さを把握する
ために有効であるが、鋼板の強度ごとに要求される値が
異なる。また、ELは板厚に依存する値である。したが
って、強度レベルごとに、全伸び不足によるプレスわれ
の問題が生じない板厚tの関数として表されたTS・E
Lの好ましい範囲が存在する。板厚の異なる薄鋼板のE
LはOliverの式で換算が可能であり、板厚の0.
2乗に比例する。そこで、TS・ELの下限値の板厚t
(mm)による補正についてはt0.2とした。TS・
ELの下限値の係数としては、自動車の足回り部品であ
るアームのプレス型を用いた実験により決定した。すな
わち、板厚3.2mmで、種々のTS・ELの値を有し
強度が700MPa以上の鋼板を用意し、1200to
nプレス機で実際にプレスを行い、成型部品に割れが生
じたかどうかでプレスの具合を目視評価した。TS・E
Lの値が12000×3.2 0.2=15143以上の
鋼板では割れは認められずプレス成形可能であった。こ
の結果を導いた実験結果について説明する。
【0041】C=0.04%、Ti=0.09%、Mo
=0.2%を含む鋼を溶製し、熱間圧延を行った。板厚
は3.5mm〜2.7mmまで変化させた。得られた鋼
板の引張特性をJIS5号試験片で評価した。鋼板のT
Sは710MPa〜850MPaであった。同時に、1
200tonプレス機で自動車の足回り部品であるアー
ムを作製した。プレスではプレス割れの有無を目視で評
価し、割れのないものを○、割れの認められたものを×
とした。得られたプレス結果と引張試験値より計算で求
めたTS×EL/t0.2との関係を図4に示す。図4
よりTS×EL/t0.2が12000を超えるとプレ
ス割れが生じなくなることがわかる。以上より、引張強
度がより好ましい700MPa以上の場合には、TS×
ELの値が12000×t0.2以上であることが好ま
しいことがわかる。
【0042】通常、穴広げ性の要求される加工は板厚が
6mm以下の鋼板であり、かつ本発明の効果は6mm以
下の板厚の鋼板でより大きなものとなる。よって、本発
明を適用する鋼板の板厚は6mm以下が望ましい。
【0043】本発明の薄鋼板には、表面に溶融亜鉛系め
っき皮膜を形成し、溶融亜鉛系めっき鋼板としたものも
含む。本発明の薄鋼板は良好なプレス成形性を有するこ
とから、溶融亜鉛系めっき皮膜を形成しても良好なプレ
ス成形性を維持することができる。ここで、溶融亜鉛系
めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした溶融めっきで
あり、亜鉛の他にAl、Cr等の合金元素を含んだもの
を含む。このような溶融亜鉛系めっきを施した本発明の
高張力熱延鋼板は、めっきままでもめっき後合金化処理
を行ってもかまわない。めっき前焼鈍温度については、
450℃未満ではめっきがつかず、750℃超えでは強
度低下が生じやすい。そのため、焼鈍温度は450℃以
上、750℃以下が好ましい。
【0044】本発明の鋼板の製造方法は、特に規定する
ものではないが、オーステナイト域で熱間圧延を終了す
ることが好ましい。これは、仕上温度がAr変態点を
下回ると粗大粒が発生し、全伸びが低下するとともに、
フェライト域圧延では析出物がひずみ誘起現象を起こ
し、粗大化するためである。ランナウトテーブルの冷却
パターンについては特に規定はなく、どのような冷却パ
ターンを用いても本発明の効果に差違はない。巻取りに
ついてはフェライト単相とするため570℃以上の巻取
温度で巻取るのが好ましい。570℃未満では組織が転
位を多く含んだベイニティックフェライトやベイナイト
になることからやはり全伸びが低下してしまう。また、
巻取温度が700℃超ではパーライトが生成しやすくな
るため、巻取温度を700℃以下とすることが好まし
い。
【0045】また、本発明の鋼板は、熱延鋼板でも冷延
鋼板でもよく、いずれも同様な効果が得られる。熱延鋼
板の場合、スケールのついた状態でも酸洗材でもその特
性に差異はない。調質圧延についても通常行われる条件
であれば問題はない。また、上記溶融亜鉛めっきは、酸
洗後であってもスケールのついたままであってもよい。
電気めっきを施したものでもかまわず、化成処理を施し
たものであっても特に問題はない。鋳造後直ちにまたは
補熱を目的とした加熱を施した後にそのまま熱間圧延を
行う直送圧延を行ったものであっても本発明の効果に影
響はない。また、粗圧延後に仕上圧延前もしくは仕上圧
延中に圧延材を加熱または保熱しても、粗圧延後に圧延
材を接合して行う連続圧延を行っても、また、圧延材の
加熱と連続圧延とを同時に行っても本発明の効果は損な
われない。
【0046】本発明の薄鋼板は、機械加工性、特に優れ
た穴広げ率および全伸びを有するので、これをプレス成
形した場合、その特質が活かされ、自動車用部材、特に
サスペンションアーム等の足廻り部材のような高いプレ
ス成形性が要求される部材を良好な品質で製造すること
ができる。以下に具体的に、本発明に係る薄鋼板の加工
方法、換言すればプレス成形品の製造方法について説明
する。
【0047】図6は、本発明に係る薄鋼板の加工方法の
作業フローの一例を示すフローチャートである。この作
業フローは、通常、本発明に係る鋼板を製造することま
たはその製造された鋼板を例えばコイルにして目的場所
に搬送することを前工程としており、まず、本発明に係
る薄鋼板を準備することから始まる(S0、S1)。こ
の鋼板に対してプレス加工を施す前に、鋼板に対して前
処理的な加工を施すこともあれば(S2)、裁断機によ
り所定の寸法や形状に加工することもある(S3)。前
者のS2の工程では、例えば鋼板の幅方向の所定箇所に
切り込みや穿孔を行い、引き続くプレス加工を終えた段
階またはそのプレス加工の過程で、所定の寸法および形
状のプレス成形品または被プレス加工部材として切り離
すことができるようにしておく。後者のS3の工程で
は、最終的なプレス成形品の寸法、形状等を予め考慮し
て、所定の寸法および形状の鋼板部材に加工(したがっ
て裁断)するようにしておく。その後、S2およびS3
の工程を経由した部材には、プレス加工が施され、最終
的に目的とする寸法・形状の所望のプレス成形品が製造
される(S4)。このプレス加工は、通常は多段階で行
われ、3段階以上7段階以下であることが多い。
【0048】S4の工程は、S2およびS3の工程を経
由した部材に対してさらに所定の寸法や形状に裁断する
工程を含む場合もある。この場合の「裁断」という作業
は、例えば、少なくともプレス加工の過程で、S2およ
びS3の工程を経由した部材の端部のような最終的なプ
レス成形品には不要部分を切り離す作業であっても構わ
ないし、また、S2の工程で設けられた鋼板の幅方向の
切り込みや穿孔に沿って被プレス加工部材を切り離す作
業であっても構わない。
【0049】なお、図6中、N1ないしN3は、鋼板、
部材、プレス成形品を、機械的にあるいは作業員による
搬送作業である場合がある。
【0050】こうして製造されるプレス成形品は、必要
に応じて次工程に送られる。次工程としては、例えば、
プレス成形品にさらに機械加工を施し、寸法や形状を調
整する工程、プレス成形品を所定場所に搬送し、格納す
る工程、プレス成形品に表面処理を施す工程、プレス成
形品を用いて自動車のような目的物を組み立てる組立工
程がある。
【0051】図7は、図6に示した作業を実際に行う装
置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブ
ロック図である。この図においては、本発明に係る薄鋼
板はコイル状で準備されており、プレス加工機によりプ
レス成形品が製造される。プレス加工機は多段プレスを
行う機種のものであるが、本件発明はこれに限定されな
い。
【0052】プレス加工機の前段に、裁断機その他の前
処理機械を設置する場合(図7の(a))もあれば、設
置しない場合(図7の(b))もある。裁断機が設置さ
れる場合には、コイルから供給される長尺の本発明に係
る鋼板から、必要な寸法または形状の部材を裁断し、こ
の部材がプレス加工機においてプレス加工され、所定の
プレス成形品となる。鋼板の幅方向に切り欠きや穿孔を
施す前処理機械が設置される場合には、プレス加工機に
おいてその切り欠きや穿孔に沿って裁断が行われても構
わない。前処理機械を設置しない場合には、プレス加工
機において鋼板がプレス加工される過程で、裁断が行わ
れ、最終的に所定の寸法、形状を有するプレス成形品が
製造される。なお、図7における「裁断」の意味は、図
6における裁断と同じである。
【0053】こうして製造されるプレス成形品は、その
原材料として穴広げ率および全伸びに優れている本発明
に係る薄鋼板を使用しているので、良好な品質で無理な
くこれを製造することができる。このような特長は、プ
レス成形品が自動車用部材、特にサスペンションアーム
等の足廻り部材である場合に特に有用である。
【0054】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成の鋼を溶解
し、表1に示す条件で熱間圧延を行った。得られた鋼板
の組織および析出物を透過型電子顕微鏡(TEM)によ
り観察するとともに、JIS5号試験片を切り出して引
張試験を行い、さらに穴広げ率を測定するとともに、実
際にプレス成形を行いプレス成形性を評価した。表1に
各鋼板の化学成分、熱延条件、マトリックスの組織、析
出物の径、析出物の分布密度を示し、表2に板厚、引張
特性、穴広げ率、プレス成形結果を示す。なお、表1の
A値は、上記(1)式の(C/12)/{(Ti/4
8)+(Mo/96)}の値を示す。
【0055】電子顕微鏡試料はツインジェット法を用い
た電解研磨法で作成し、加速電圧200kVで観察し
た。微細析出物が母相に対して計測可能なコントラスト
になるように母相の結晶方位を制御し、析出物の数え落
としを最低限にするために焦点を正焦点からずらしたデ
フォーカス法で観察を行った。また、析出物粒子の計測
を行った領域の試料の厚さは電子エネルギー損失分光法
を用いて、弾性散乱ピークと非弾性散乱ピーク強度を測
定することで評価した。この方法により、粒子数の計測
と試料厚さの計測を同じ領域について実行することがで
きる。粒子数の測定は、試料の0.5×0.5μmの領
域4箇所について行い、1μm当たりに投影されて観
察される粒子数として算出した。この値と試料厚さから
1μm当たりの析出物粒子の数を算出した。また、析
出物はエネルギー分散型X線分析法(EDX)により分
析した。
【0056】穴広げ率は、130mm角の板を切りだ
し、鉄連規格に沿って10mmφの穴を打ち抜いた後
に、頂角60度の円錐ポンチをバリと反対側から押し上
げ、亀裂が発生した時点の直径の広がりを元径の割合と
して求めた。
【0057】プレス成形性は、1200tonプレス機
を用いて実際に自動車の足回りに用いられるローアアー
ムをプレスし、プレス部品のプレスわれを調査すること
により評価した。われは目視で評価し、表2ではプレス
できたものを○、われを生じたものを×で示した。
【0058】No.1〜3は本発明例、No.4、5は
比較例である。No.1〜3は、本発明のフェライト単
相組織のマトリックスに粒径10nm未満の微細析出物
が分散した組織を有していた。No.1の鋼板の電子顕
微鏡写真を図5に示す。この写真より10nm未満の微
細析出物が高密度でフェライトマトリックス中に均一に
分散しているのが確認される。EDX分析の結果より、
これらの微細析出物はTiとMoを含む炭化物であるこ
とを確認した。また、No.1〜3では、800MPa
以上という高強度を有しながら、優れた穴広げ性と全伸
びを示し、プレス結果も良好であった。これに対し比較
例のNo.4は組織がベイナイト(B)であり、全伸び
が低く、プレスでわれが生じた。No.5は組織がフェ
ライト+パーライト(F+P)であり、穴広げ率が低
く、プレスでわれが生じた。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】(実施例2)表3に示す成分の鋼を125
0℃に加熱後、仕上げ温度890℃、巻取温度640℃
で熱間圧延を行い、板厚約1.6mmの鋼板を作製し
た。それら鋼板を酸洗後、合金化溶融亜鉛めっきを施し
た。得られためっき鋼板について、組織観察を行い、鋼
板の組織を同定した。また、電子顕微鏡を用いて微細炭
化物の析出状態を観察し、析出物の平均粒径を求めた。
さらに得られた鋼板からJIS5号試験片および穴広げ
穴広げ試験片を採取し、引張試験および穴広げ試験を行
った。表3に、組織、析出物の平均粒径および分布密
度、引張強度(TS)、伸び(El)、穴広げ率(λ)
を併記する。なお、表3においても、A値は、上記
(1)式の(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/
96)}の値を示す。
【0062】表3に示すように、本発明例であるNo.
6は、平均粒径が2nmであり、実質的に粒径が10n
m未満であるため、溶融亜鉛系めっきを行ってもElお
よびλとも良好な値を示すのに対し、比較例のNo.
7,8は析出物が大きすぎλが低い値となった。
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高強度でありながら穴広げ率および全伸びのいずれも良
好であるといった、従来とは全く異なる優れたプレス成
形性を有する薄鋼板が提供される。したがって、本発明
に係る薄鋼板は、自動車等の輸送機材や構造材料等に用
いられる鋼板として極めて工業的価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe炭化物平均粒径と穴広げ率との関係を示す
グラフ。
【図2】Fe炭化物の体積率と穴広げ率との関係を示す
グラフグラフ。
【図3】鋼板の強度と微細析出物密度との関係を示すグ
ラフ。
【図4】プレス結果と引張試験値より計算で求めたTS
×EL/t0.2との関係を示すグラフ。
【図5】本発明に係る薄鋼板の金属組織を示す透過型電
子顕微鏡写真。
【図6】本発明に係る薄鋼板の加工方法の作業フローの
一例を示すフローチャート。
【図7】図6に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部
材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 孝信 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 前田 英司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山本 徹夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 村尾 安浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 馨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 冨田 邦和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 敬士 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 益本 博司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト単相組織のマトリックスと、
    該マトリックス中に分散した粒径が10nm未満の微細
    析出物とから実質的になり、550MPa以上の引張強
    度を有することを特徴とするプレス成形性に優れた薄鋼
    板。
  2. 【請求項2】 フェライト単相組織のマトリックスと、
    該マトリックス中に分散した粒径が10nm未満の微細
    析出物と、平均粒径が1μm未満で、体積分率が全体の
    1%以下のFe炭化物とから実質的になり、550MP
    a以上の引張強度を有することを特徴とするプレス成形
    性に優れた薄鋼板。
  3. 【請求項3】 前記微細析出物の分布密度が1μm
    たり5×10個以上であることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載のプレス成形性に優れた薄鋼板。
  4. 【請求項4】 重量%で、C<0.10%、Ti:0.
    03〜0.10%、Mo:0.05〜0.6%を含み、
    Feを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求
    項3のいずれか1項に記載のプレス成形性に優れた薄鋼
    板。
  5. 【請求項5】 前記微細析出物がTiとMoとを含む炭
    化物であることを特徴とする請求項1から請求項4のい
    ずれか1項に記載のプレス成形性に優れた薄鋼板。
  6. 【請求項6】 C、Ti、Moを以下の(1)式を満足
    するように含有し、かつ、前記微細析出物がTiとMo
    とを含む炭化物であることを特徴とする請求項4に記載
    のプレス成形性に優れた薄鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 1) ただし、上記(1)式中、C、Ti、Moは各成分の重
    量%を表す。
  7. 【請求項7】 穴広げ率:80%以上、引張強度:70
    0MPa以上であり、引張強度をTS(MPa)、伸び
    をEL(%)、板厚をt(mm)としたときにTS×E
    L>12000×t0.2を満たすことを特徴とする請
    求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプレス成形
    性に優れた薄鋼板。
  8. 【請求項8】 表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に
    記載のプレス成形性に優れた薄鋼板。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれかに記載
    の鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材
    にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工
    する第2の工程とを有する薄鋼板の加工方法。
  10. 【請求項10】 前記プレス成形品は、自動車用部品で
    ある請求項9に記載の薄鋼板の加工方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項8のいずれかに記
    載の鋼板により製造された自動車用部品。
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