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JP3219510B2 - 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents

伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板

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JP3219510B2
JP3219510B2 JP35045192A JP35045192A JP3219510B2 JP 3219510 B2 JP3219510 B2 JP 3219510B2 JP 35045192 A JP35045192 A JP 35045192A JP 35045192 A JP35045192 A JP 35045192A JP 3219510 B2 JP3219510 B2 JP 3219510B2
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rolled steel
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鹿島高弘
塚谷一郎
横井利雄
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性の優れた高強度熱
延鋼板に関し、特に優れた伸びフランジ加工性を有し引
張強度が500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板では加工性が要
求されてきた。特に、自動車のメンバー類やバンパー等
のプレス成形においては、特に伸びフランジ加工性が必
要とされている。
【0003】従来、この伸びフランジ性を向上させる方
法として、フェライト+ベイナイト組織を有する鋼板
(特開昭58−42726号)、或いはフェライト+ベイ
ナイト+マルテンサイト組織を有する鋼板(特開昭57
−70257号)が知られている。また、この他にも、
フェライトに微細パーライトを分散させること(特開昭
57−23025号)、或いは微細セメンタイトを生成
させること(特開平4−88125号)を意図した鋼板が
ある。
【0004】しかし、これらの鋼板では、穴拡げ率(λ)
で示される伸びフランジ加工性に限界があることや、高
強度化に伴って伸びフランジ性が劣化するという欠点が
あった。このため、自動車のメンバー類の現状の加工成
形性を満足できず、高強度材の利用が難しく、薄肉化に
よる重量低減、燃費の向上が阻害されているのが現状で
ある。
【0005】本発明は、かゝる状況のもとで、高強度化
に伴う伸びフランジ加工性の劣化を防ぎ、高強度であっ
ても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意努力した結果、ラス状組織を有
し、かつ炭化物が生成していない転位密度の高いベイニ
ティック・フェライト組織を鋼中に生成させることによ
り、高い伸びフランジ加工性を付与できることを見い出
し、ここに本発明をなしたものである。
【0007】すなわち、本発明は、C:0.03〜0.
20%、Si:0.2〜2.0%、Mn:2.5%以
下、P:0.08%以下、S:0.005%以下を含
み、必要に応じて、更にNb:0.5%以下、Ti:
0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以
下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちの
1種又は2種以上、或いはCa:20ppm以下を含
み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であっ
て、ベイニティック・フェライトまたはこれとフェライ
トからなる組織が面積率で70%以上であることを特徴
とする伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板を要
旨としている。
【0008】
【作用】
【0009】以下に本発明を更に詳細に説明する。ま
ず、本発明における鋼の化学成分の限定理由を詳述す
る。
【0010】C:Cは強度確保のためにも、またベイニ
ティック・フェライト組織を得るために必要な元素であ
る。ベイニティック・フェライト組織を生成するために
はC量が0.03%以上必要であるが、点溶接性を考慮
して上限を0.20%とする。
【0011】Si:SiはフェライトにおけるC量の固溶
限を広げ、ベイニティック・フェライト組織を得るため
には必要な元素である。Siの添加によってフェライト
組織からベイニティック・フェライト組織の体積率が増
大する。この組織においては高強度化が達成でき、かつ
高強度材の局部変形時のボイド等が発生しにくく、穴拡
げ率を高めることができる。このベイニティック・フェ
ライト組織は、通常のフェライト組織に比べて転位密度
が高いが、変形能についてはベイナイト組織、微細炭化
物又はパーライト組織と違って、フェライト組織と類似
していると思われる。このベイニティック・フェライト
組織の生成のためには、Si量は0.2%以上が必要であ
る。しかし、2.0%を超えて添加すると、鋼表面に生
成する酸化スケールが過度になって製造上の困難を伴う
ため、上限を2.0%と定める。
【0012】Mn:Mnはベイニティック・フェライト組
織の生成に幾らかの寄与をする。しかし、過度に添加し
た場合には、ベイニティック・フェライト組織よりもベ
イナイト組織等の低温変態生成物を多く生成したり、S
i量とのバランスで残留γ組織を生成して伸びフランジ
性を低下させる。このため、添加量は2.5%以下とす
る。
【0013】P:Pは固溶強化のための元素として重要
である。高強度化のためにPを添加しても、ベイニティ
ック・フェライト組織による伸びフランジ加工性の向上
を低下させるものではない。しかし、過度に添加すると
点溶接性などの他の性質を劣化させるため、0.08%
以下とする。
【0014】S:Sは伸びフランジ加工性を劣化させる
硫化物を生成するため、可能な限り低減する必要があ
る。しかし、本発明における他の成分添加による伸びフ
ランジ加工性の向上度合いを考慮して、その上限を0.
005%とする。なお、後述するCa添加によるSの低
減は更に伸びフランジ加工性を高めるため、Caの添加
があっても差し支えない。
【0015】本発明においては、上記成分の他、必要に
応じて、高強度化のための成分であるNb、Ti、Cu、
Ni、Mo、Crの1種又は2種以上を添加でき、或いは
Ca添加によるS量低減処理を行うことができる。
【0016】Nb:Nbは炭窒化物形成元素であり、また
結晶粒を微粒化する効果があるため、強度の向上に有効
である。結晶粒の細粒化については、このことが更に伸
びフランジ加工性を改善する。しかし、過度に添加する
と再結晶温度を高め、必要な材質を得ることができない
ため、上限を0.5%とする。
【0017】Ti:TiはNbと同様の効果により、強度
の向上に有効である。しかし、C量及びN量とのバラン
スにおいて炭窒化物の形成する限度以上に添加すると、
固溶Tiが残存し特性の劣化を起こす。このため、上限
を0.5%とする。
【0018】Cu:Cuは固溶強化元素である他、疲労強
度特性を向上させるために有効である。またその後の熱
処理により、ε−Cu析出による強度上昇の効果があ
る。これらの効果は0.5%を超えると飽和するため、
上限を0.5%とする。
【0019】Ni、Mo:NiやMoは固溶強化元素として
有効である。しかし、多量に添加すると、延性を劣化さ
せるため、それぞれの元素の添加量の上限を0.5%と
する。
【0020】Cr:Crは炭化物を生成して鋼を高強度化
する元素として有効である。また、Mnなどと共に添加
すると、低温変態生成物の種類や量を調整できる。本発
明において伸びフランジ加工性は炭化物や低温変態生成
物が微量であれば劣化させることはないため、Crを添
加しても差し支えない。しかし、Crを多量に添加した
場合には生成した低温変態生成物が伸びフランジ加工性
を低下させるため、上限を0.5%とする。
【0021】Ca:Caは伸びフランジ加工性を劣化させ
る硫化物を低減するため、Caを添加しCaSとしてSを
除去する処理を施すことがある。通常、このCa処理を
施した場合にはおよそ20ppm程度のCaが残存するが、
このCaは伸びフランジ加工性を劣化させるものではな
い。
【0022】次に本発明における組織について説明す
る。
【0023】本発明の主要となる組織は、ベイニティッ
ク・フェライト組織である。その組織は、フェライト組
織と比較して、通常、転位密度が高くラス状の組織を有
している。しかし、ベイニティック・フェライト組織
は、ベイナイト組織がラス状の境界に炭化物を生成する
のに比べて、ベイナイトと類似したラス状組織を生成す
るものの、炭化物の生成はなく、ベイナイト組織とは異
なった組織である。
【0024】本発明らは、このベイニティック・フェラ
イト組織が鋼中に生成した場合、特に高強度材の場合に
はフェライト・ベイナイト鋼より更に伸びフランジ加工
性を高めることになることを見い出した。
【0025】フェライト組織は、転位も少なく、また延
性が高く、伸びフランジ加工性が良い。特に、ベイニテ
ィック・フェライト組織と共に生成した場合には、強
度、伸びフランジ加工性が共に良好である。
【0026】なお、これらの組織に加えて、微量の炭化
物やベイナイト組織などの低温変態があっても伸びフラ
ンジ加工性を低下させるものではない。したがって、こ
のような炭化物や低温変態組織などは皆無であるのが好
ましく、最大でも30%、より好ましくは5%以下が望
ましい。
【0027】次に本発明を実施例を示す。
【0028】
【実施例】
【0029】表1に実施例に用いた鋼種の各化学成分を
示す。これらの鋼は真空溶解にて溶製した。表1中の鋼
番でNo.1からNo.15まではC−Mn系鋼種であ
り、それぞれC量、Si量、Mn量、P量、S量の影響
を調べるためのものであり、No.16からNo.21
までは各添加合金元素の影響を調べるためのものであ
る。更に、No.22からNo.27まではCa処理に
よる影響を調べるためのものである。
【0030】これらの供試鋼について熱間圧延を行っ
た。ます、1200℃の温度にて30分保持後、熱延終
了温度を880℃とし、板厚30mmから板厚2.5mmま
で圧延した。更に50℃/sの冷却速度にて550℃か
ら250℃の温度範囲の巻取処理相当の温度まで冷却
し、その温度で1時間保持することとした。保持後は炉
冷にて常温まで冷却した。
【0031】伸びフランジ加工性は、上記の熱間圧延を
行った後、縦横70mの正方形の試験片の中央に10mm
φの穴をあけ、先端角60°の円錐ポンチでこの穴を広
げて、穴の縁にクラックが発生する限定の穴径から計算
される穴拡げ率(λ値)で評価した。
【0032】各鋼種の熱延鋼板(400℃巻取処理)の機
械的特性を調べた結果を表2に示すと共に、図1及び図
2には400℃巻取処理を施した場合の各鋼種のλ−T
Sバランスを示す。なお、図中にはそれぞれの鋼板の組
織も表示した。更に、表3及び図3には、鋼番No.4、
No.7及びNo.8について、λ値に及ぼす巻取温度の影
響を示し、それぞれの鋼の組織によるλ値の違いを示し
た。
【0033】本発明例と比較例を対比するとわかるよう
に、同じ鋼種の鋼板でも、主たる組織として、ベイニテ
ィック・フェライト組織又はフェライトとベイニティッ
ク・フェライト組織が生成した熱延鋼板は、高強度化し
ても、λ値が高い。
【0034】図4及び図5は、それぞれNo.4及びNo.
8の鋼種のベイニティック・フェライト組織のTEM観
察した写真である。これらには、ラス状組織が観察され
るがその境界に炭化物の生成は認められない。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ベイニティック・フェライト組織を鋼中に生成させたも
のであるので、高強度化に伴う伸びフランジ加工性の劣
化を防ぎ、引張強度が500N/mm2級以上の高強度で
あっても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における各鋼種の熱延鋼板のλ−TSバ
ランスを示す図である。
【図2】実施例における各鋼種の熱延鋼板のλ−TSバ
ランスをしめす図である。
【図3】実施例におけるNo.4、No.7及びNo.8の鋼
種のλ値に及ぼす巻取温度の影響を示す図である。
【図4】No.4の鋼種のTEM観察によるベイニティッ
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
【図5】No.8の鋼種のTEM観察によるベイニティッ
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横井利雄 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓 2222番地1株式会社神戸製鋼所加古川研 究地区内 (56)参考文献 特開 平4−276024(JP,A) 特開 昭57−145965(JP,A) 特開 平4−325657(JP,A) 特開 昭58−42725(JP,A) 特開 平3−146640(JP,A) 特開 昭60−184630(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.03
    〜0.20%、Si:0.2〜2.0%、Mn:2.5
    %以下、P:0.08%以下、S:0.005%以下を
    含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であっ
    て、ベイニティック・フェライトまたはこれとフェライ
    トからなる組織が面積率で70%以上であることを特徴
    とする伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 更に、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%
    以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.
    5%以下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以上
    を含む請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 更に、Ca:20ppm以下を含む請求項1
    又は2に記載の熱延鋼板。
JP35045192A 1992-12-02 1992-12-02 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 Expired - Lifetime JP3219510B2 (ja)

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