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JP3796233B2 - 伝送速度変更方法およびそれを利用した基地局装置 - Google Patents

伝送速度変更方法およびそれを利用した基地局装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伝送速度変更技術に関する。特に通信中に伝送速度を変更する伝送速度変更方法およびそれを利用した基地局装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムでは、伝送路環境が時間と共に変動するが、その様な伝送路環境下で伝送速度を高める技術のひとつに適応変調方式がある。適応変調方式は、伝送路環境に応じて変調方式を制御し、例えば、伝送路環境が悪いと判断される場合には、高信頼度の変調方式を使用してデータを伝送し、一方、伝送路環境がよいと判断される場合には、多情報量の変調方式を使用してデータを伝送する。無線通信システムに含まれた基地局装置と端末装置が、TDD(Time Division Duplex)方式で通信している場合、一般的に上り回線のスロットと下り回線のスロットが、規則的に交互に送信される。
【0003】
また、それぞれのスロットは、伝送路環境の推定に使用されるプリアンブル、送信に使用した変調方式を示した変調方式情報、情報シンボルを含む。TDD方式において伝送路の可逆性が成り立つ場合、基地局装置はスロットを受信し、受信ベースバンド信号およびRSSI(Received Signal Strength Indicator)等の受信レベル情報から、伝送路のC/N(Carrier to Noise Ratio)や遅延スプレッド等を検出して、次の送信タイミングにおける伝送路環境を推定する。さらに、この推定結果に従って、送信に使用すべき変調方式を選択する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−290246号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者はこうした状況下、以下の課題を認識するに至った。従来の技術においては基地局装置が、端末装置との通信に使用する変調方式の変更を決定し、当該変更を端末装置に指示あるいは通知する。これに加えて、基地局装置と端末装置間の通信の変調方式を変更するためには、複数の信号を互いに送受信しなければならない場合がある。例えば、基地局装置が端末装置に指示したQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)から16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)への変更に応じて、端末装置が基地局装置に16QAMによる制御信号を複数回送信する。基地局装置は、当該制御信号を引き続きQPSKによって受信し、所定回数の受信誤りが生じた場合に、端末装置の変調方式の変更を認識する。さらに、リンク確立のために、基地局装置と端末装置の間で所定の信号を送受信する場合もある。
【0006】
また、基地局装置が複数の端末装置をTDMA(Time DivisionMultiple Access)で多重化していれば、一般的にひとつのフレームに含まれた所定のスロットを端末装置に割当てるが、多重化すべき端末装置の数がひとつのフレームに含まれたスロット数より多い場合、複数のフレームにわたって含まれる複数のスロットを複数の端末装置にそれぞれ割当てる。さらに上述の場合、ある端末装置には、複数の連続したフレームにわたってスロットを割当て、他の端末装置には、当該複数の連続したフレームにわたってスロットを割当てず、当該複数の連続したフレームの経過後にスロットを割り当てる端末装置を交換するようにスロット割当を制御することもある。例えば、第1の端末装置と第2の端末装置に対して、ひとつのフレームに含まれるひとつのスロットを100フレーム単位で交互に割当てる場合、1から100フレームでは、第1の端末装置にスロットを割当て、101から200フレームでは、第2の端末装置にスロットを割当て、201から300フレームでは、第1の端末装置にスロットを割当てる。
【0007】
上述のような有限の連続したフレーム単位で端末装置にスロットを割当て、かつ変調方式を変更するために複数の信号を送受信するような基地局装置が、スロットを割当てるべき連続したフレームの残り期間が短い場合に、変調方式を変更しようとすれば、変調方式の変更に必要な複数の信号の送受信によって、データを実質的に通信できるフレームの残り期間がさらに短くなってしまう。
【0008】
本発明者はこうした状況を認識して、本発明をなしたものであり、その目的は伝送効率を考慮して伝送速度を変更する伝送速度変更方法およびそれを利用した基地局装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、基地局装置である。この装置は、端末装置と可変の伝送速度で通信する通信部と、端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるチャネル割当部と、チャネルが割り当てられた期間中にあって、端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画する変更計画部と、チャネルが割り当てられた期間における、変更計画部によって伝送速度の変更が計画されるタイミングから、端末装置に対する伝送速度の変更の実行可否を決定する変更決定部とを含む。
【0010】
「チャネル」とは、基地局装置と端末装置などの無線装置間で通信を行うために設定される無線通信路のことをいい、具体的には、FDMA(Frequency Division Multiple Access)の場合は特定の周波数帯域を指し、TDMAの場合は特定のタイムスロットまたはスロットを指し、CDMA(Code Division Multiple Access)の場合は特定の符号系列を指すが、ここではこれらを区別しないものとする。
【0011】
以上の装置により、チャネルが割り当てられた期間と、伝送速度の変更が計画されるタイミングにもとづいて伝送速度の変更を決定するため、チャネルの時間的な有限性を考慮しつつ、伝送速度の変更を実行でき、伝送速度を改善可能である。
【0012】
端末装置に対する伝送路品質を導出する伝送路品質導出部をさらに含み、変更決定部は、チャネルが割り当てられた期間の長さと伝送速度の変更が計画されるタイミングから、伝送速度を変更した場合のチャネルの残り期間を導出し、さらに導出したチャネルの残り期間に応じて、導出した伝送路品質にもとづいた伝送速度への変更の実行を決定してもよい。
【0013】
「チャネルの残り期間を導出」とは、新たな計算を実行せずに、チャネルが割り当てられた期間の長さや伝送速度の変更が計画されるタイミングから、直接取得する場合も含むものとする。
【0014】
伝送路品質導出部は、端末装置に対する伝送路品質として、端末装置からの受信信号をもとに伝送路品質を測定してもよい。伝送路品質導出部は、端末装置に対する伝送路品質として、端末装置からの受信信号に含まれた伝送路品質に関する情報を検出してもよい。
「伝送路品質」は、信号の強度や信号の誤り率を含み、信号を伝送する伝送路の品質を示す指標であればよい。
【0015】
本発明の別の態様は、伝送速度変更方法である。この方法は、端末装置に対してチャネルを割り当てた期間内において、伝送速度の変更を計画するステップと、計画の実行可否を当該計画の実行に伴う伝送効率の低下分を加味して定められた基準により演算処理によって決定するステップとを含む。
以上の方法により、伝送速度の変更に伴う伝送効率の低下分を考慮して、伝送速度の変更を決定するため、実質的な伝送速度を改善できる。
【0016】
本発明のさらに別の態様も、伝送速度変更方法である。この方法は、端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるステップと、チャネルが割り当てられた期間中にあって、端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画するステップと、計画されたタイミングにおいて伝送速度を変更するか否かをチャネルが割り当てられた期間中の計画されたタイミングをもとに判断するステップとを含む。
【0017】
以上の方法により、計画されたタイミングにおいて伝送速度を変更するか否かをチャネルが割り当てられた期間中の計画されたタイミングをもとに判断するため、チャネルの時間的な有限性を考慮しつつ、伝送速度の変更を実行でき、伝送速度を改善可能である。
【0018】
端末装置に対する伝送路品質を導出するステップをさらに含み、計画されたタイミングにおいて伝送速度を変更するか否かをチャネルが割り当てられた期間中の計画されたタイミングをもとに判断するステップは、チャネルが割り当てられた期間の長さと変更計画部によって伝送速度の変更が計画されるタイミングから、伝送速度を変更した場合のチャネルの残り期間を導出し、さらに導出したチャネルの残り期間に応じて、導出した伝送路品質にもとづいた伝送速度への変更の実行を決定してもよい。
【0019】
端末装置に対する伝送路品質を導出するステップは、端末装置に対する伝送路品質として、端末装置からの受信信号をもとに伝送路品質を測定してもよい。端末装置に対する伝送路品質を導出するステップは、端末装置に対する伝送路品質として、端末装置からの受信信号に含まれた伝送路品質に関する情報を検出してもよい。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、プログラムである。このプログラムは、無線ネットワークを介した端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるステップと、チャネルが割り当てられた期間中にあって、端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画するステップと、計画されたタイミングにおいて伝送速度を変更するか否かをチャネルが割り当てられた期間中の計画されたタイミングをもとに判断するステップとを含む。
【0021】
無線ネットワークを介した端末装置に対する伝送路品質を導出するステップをさらに含み、計画されたタイミングにおいて伝送速度を変更するか否かをチャネルが割り当てられた期間中の計画されたタイミングをもとに判断するステップは、チャネルが割り当てられた期間の長さと変更計画部によって伝送速度の変更が計画されるタイミングから、伝送速度を変更した場合のチャネルの残り期間を導出し、さらに導出したチャネルの残り期間に応じて、導出した伝送路品質にもとづいた伝送速度への変更の実行を決定してもよい。
【0022】
無線ネットワークを介した端末装置に対する伝送路品質を導出するステップは、端末装置に対する伝送路品質として、無線ネットワークを介した端末装置からの受信信号をもとに伝送路品質を測定してもよい。無線ネットワークを介した端末装置に対する伝送路品質を導出するステップは、端末装置に対する伝送路品質として、無線ネットワークを介した端末装置からの受信信号に含まれた伝送路品質に関する情報を検出してもよい。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本実施の形態は、複数の端末装置を多重接続するために、端末装置に所定の期間にわたってタイムスロットを割り当て(以下、タイムスロットを割り当てた期間を「タイムスロット割当期間」という)、さらにタイムスロット割当期間の中で、それぞれ端末装置に対して適応変調する基地局装置に関する。ここで、基地局装置は、変調方式の変更処理に対して、端末装置との間で複数の信号を送受信する必要があるため、所定の期間を必要とする(以下、この期間を「変更処理期間」という)。
【0025】
本実施の形態に係る基地局装置は、上り回線の伝送路品質を受信した信号から測定し、測定した伝送路品質から上り回線の変調方式を決定するが、下り回線に適した変調方式を端末装置から通知され、通知された情報をもとに下り回線の変調方式を決定する。さらに、変調方式の変更を実行するタイミング(以下、「予定タイミング」という)とタイムスロット割当期間から、変調方式を変更した場合のタイムスロット割当期間の残り期間(以下、「残り期間」という)を導出し、残り期間が所定のしきい値以上の場合に、決定した変調方式に変更する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る通信システム100を示す。通信システム100は、端末装置10、基地局装置12、ネットワーク46を含む。また、端末装置10は、処理部14、変復調部16、RF部18、変調方式決定部20、品質測定部22、制御部24、端末用アンテナ26を含み、基地局装置12は、基地局用アンテナ28、RF部30、変復調部32、変調方式制御部34、品質導出部36、制御部38、記憶部40、タイムスロット制御部42、インターフェース部44を含む。また、信号として、期間情報200、タイムスロット情報202を含む。
【0027】
処理部14は、端末装置10の外部からデータを入出力するためのインターフェースとなる。また、受信したデータに誤りがある場合に、再送処理を実行する。さらに、端末装置10が誤り訂正機能を有する場合には、送信すべき情報の符号化および受信した情報の復号を実行する。
【0028】
変復調部16は、送信すべき情報を変調し、また受信した情報を復調する。ここでは、変復調部16によって処理される変調方式は、BPSK(BinaryPhase Shift Keying)、π/4シフトQPSK、16QAMのいずれかとし、さらに変調方式は、適応的に変更されるものとする。復調は、16QAMに対して同期検波するが、BPSKとπ/4シフトQPSKに対して遅延検波する。なお、変調方式は、後述の基地局装置12で決定され、変復調部16は、基地局装置12からの所定の指示信号に応じて、決定された変調方式に対応した処理をする。
【0029】
品質測定部22は、受信した信号の品質を適宜測定する。受信した信号の品質は、任意のものでかまわないが、ここでは、変復調部16で復調した信号あるいはRSSIから、受信した希望信号の強度、受信した干渉信号の強度、希望信号と干渉信号との強度の比などを測定する。あるいは、変復調部16で復調した信号の誤り率を測定してもよい。
【0030】
変調方式決定部20は、品質測定部22で測定した信号の品質から、当該測定した品質に応じた変調方式を決定し、決定した変調方式を基地局装置12に通知するための信号を生成する。例えば、信号の品質を希望信号と干渉信号との強度の比とする場合に、予め第1の基準値が第2の基準値より高いレベルにあるような第1の基準値と第2の基準値を規定して、それらを記憶しておき、測定した強度の比が第1の基準値以上であれば、変調方式を16QAMに決定し、測定した強度の比が第1の基準値より小さく第2の基準値以上であれば、変調方式をπ/4シフトQPSKに決定し、測定した強度の比が第2の基準値より小さければ、変調方式をBPSKに決定する。
【0031】
RF部18は、変復調部16で処理されるベースバンドの信号と無線周波数の信号間の周波数変換、増幅、ADまたはDA変換等を行う。
端末用アンテナ26は、無線周波数の信号を送受信する。なお、端末用アンテナ26は、無指向性アンテナ、所定の指向性アンテナ、アダプティブアレイアンテナのいずれでもよく、ダイバーシティ機能を有していてもよい。
【0032】
制御部24は、端末装置10のタイミング処理、制御信号の処理等を実行する。
基地局用アンテナ28は、端末用アンテナ26と同様に無線周波数の信号を送受信する。なお、基地局用アンテナ28も、無指向性アンテナ、所定の指向性アンテナ、アダプティブアレイアンテナのいずれでもよく、ダイバーシティ機能を有していてもよい。
【0033】
RF部30は、後述の変復調部32で処理されるベースバンドの信号と無線周波数の信号間の周波数変換、増幅、ADまたはDA変換等を行う。
変復調部32は、送信すべき情報を変調し、また、受信した情報を復調する。変調方式は、BPSK、π/4シフトQPSK、16QAMのいずれかを適応的に選択する。ここでは、ひとつの端末装置10のみを図示しているが、複数の端末装置10と接続している場合には、端末装置10単位で変調と復調を実行する。
【0034】
インターフェース部44は、基地局装置12とネットワーク46とを接続する役割を担い、変復調部32で変調すべき情報の形式と変復調部32で復調した情報の形式と、ネットワーク46で通信される情報の形式との変換を実行する。ネットワーク46の一例はISDN(Integrated Services Digital Network)であるが、インターフェース部44はISDNに対応した物理的形状を有するものとする。
【0035】
タイムスロット制御部42は、基地局装置12が端末装置10を接続する場合、端末装置10に対してタイムスロットを割り当て、さらに割り当てたタイムスロットの指示をタイムスロット情報202に含めて、変復調部32に出力する。なお、端末装置10との通信がパケット通信であり、さらにひとつのフレームに含まれたタイムスロット数以上の端末装置を接続する場合、ひとつの端末装置10に対するタイムスロットの割当ては、タイムスロット割当期間において連続したフレームでタイムスロットを割り当てるが、タイムスロット割当期間経過後は割り当てず、再びタイムスロット割当期間において連続したフレームでタイムスロットを割り当てる。また、後述の通り、残り期間を計算する。
【0036】
品質導出部36は、上り回線の信号の品質として、受信した信号の品質を適宜測定する。受信した信号の品質としては、品質測定部22と同様に、変復調部32で復調した信号あるいはRSSIから、受信した希望信号の強度、受信した干渉信号の強度、希望信号と干渉信号との強度の比などを測定する。一方、下り回線の信号の品質として、端末装置10から受信した信号より、変調方式決定部20で決定した変調方式に関する情報を検出する。または、変調方式決定部20で決定した変調方式に関する情報の代わりに、品質測定部22で測定した信号の品質であってもよい。なお、以上の処理は、タイムスロット制御部42と同様に、端末装置10単位で実行する。
【0037】
変調方式制御部34は、品質導出部36で測定した上り回線の信号の品質および品質導出部36で検出した下り回線の信号の品質に適した変調方式を、上り回線および下り回線に対してそれぞれ決定する。信号の品質が希望信号と干渉信号との強度の比である場合、変調方式制御部34は、希望信号と干渉信号との強度の比を記憶部40に予め記憶した基準値と比較して、変調方式を決定する。図2に、記憶部40のデータ構造を示す。ここでは、前述の変調方式決定部20と同様にふたつの基準値を有し、それらをそれぞれ「A」と「B」とする。測定した希望信号と干渉信号との強度の比が「A」以上であれば、変調方式を16QAMに決定し、測定した希望信号と干渉信号との強度の比が「A」より小さく「B」以上であれば、変調方式をπ/4シフトQPSKに決定し、測定した希望信号と干渉信号との強度の比が「B」より小さければ、変調方式をBPSKに決定する。
【0038】
さらに、変調方式制御部34は、タイムスロット制御部42との間で入出力する期間情報200に含まれた残り期間に関する情報を検出し、残り期間がしきい値以上の場合に、現在使用している変調方式から、上述のごとく決定した変調方式への変更を決定するが、残り期間がしきい値より小さい場合に、決定した変調方式へ変更せずに、現在使用している変調方式の継続した使用を決定する。
制御部38は、基地局装置12のタイミング処理、制御信号の処理等を実行する。
【0039】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされた予約管理機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0040】
図3は、本実施の形態に係るフレームフォーマットを示す。当該フレームフォーマットでは、複数のフレームが連続的に配置されている。ここでは、これを「フレーム1」から「フレーム100」で示すが、その前後にも図示しないフレームが配置されている。なお、所定の端末装置10に対するタイムスロット割当期間を100フレームとすれば、図示した「フレーム1」から「フレーム100」がひとつのタイムスロット割当期間に相当する。また、ひとつのフレームが8個のタイムスロットによって構成されており、簡易型携帯電話システムと同一の構成になっている。ここでは、これを「スロット1」から「スロット8」で示す。
【0041】
さらに、8個のタイムスロットのうち、4個のタイムスロット、すなわち「スロット1」から「スロット4」が下り回線に使用され、残りの4個のチャネル、すなわち「スロット5」から「スロット8」が上り回線に使用される。変調方式制御部34は、「スロット1」から「スロット8」の変調方式をそれぞれ独立に決定する。基地局装置12は、ひとつの端末装置10に対して上り回線と下り回線の少なくともひとつのタイムスロットをそれぞれ割り当てるが、これを図示の通り「スロット2」と「スロット6」とする。
【0042】
図4は、タイムスロット制御部42の構成を示す。タイムスロット制御部42は、タイムスロット割当部50、タイムスロット管理部52、割当期間検出部54、カウンタ56、残り期間計算部58を含む。
【0043】
タイムスロット割当部50は、通信対象の複数の端末装置10に対してタイムスロットをそれぞれ割り当てる。また、割り当てたタイムスロットの指示を変復調部32に対して、タイムスロット情報202を介して行うとともに、新たなタイムスロットの割当ての要求を変復調部32からタイムスロット情報202によって受け付ける。
【0044】
タイムスロット管理部52は、タイムスロット割当部50で割り当てたタイムスロットに関する情報を管理する。管理する情報は、端末装置10に割り当てたタイムスロットの番号や、現在使用している変調方式を含み、さらにここでは、タイムスロット割当期間も含むものとする。図5は、タイムスロット管理部52で管理する割り当てたタイムスロットのデータ構造を示す。「ユーザID」は、端末装置10を識別するための記号を示す。ここでは、「AABBCCDD」のようにアルファベット記号によって端末装置10を識別するが、これは数字でもよく、また端末装置10に設定された電話番号であってもよい。「割当てスロット」は、ひとつの端末装置10に割り当てたタイムスロットを示し、例えば「#2、#6」は、下り回線に「スロット2」を割り当て、上り回線に「スロット6」を割り当てている。なお、上り回線と下り回線に複数のタイムスロットを割り当ててもよい。
【0045】
「スロット区分」は、タイムスロット割当期間を示す。ここでは、処理の簡略化のために、端末装置10単位で独立したタイムスロット割当期間を設定せずに、タイムスロット割当期間をふたつのグループ「α」と「β」に分類し、グループ単位でタイムスロット割当期間が交互に有効になるように設定する。例えば、「α」のタイムスロット割当期間が「フレーム1」から「フレーム100」に設定されれば、「β」のタイムスロット割当期間が「フレーム101」から「フレーム200」に設定され、さらに「α」のタイムスロット割当期間が、「フレーム201」から「フレーム300」に再び設定される。「変調方式(上)」は、上り回線に対して現在使用している変調方式であり、「変調方式(下)」は、下り回線に対して現在使用している変調方式である。
【0046】
割当期間検出部54は、タイムスロット管理部52で管理するタイムスロットに関する情報から、タイムスロット割当期間、特にタイムスロット割当期間の終了タイミングを検出する。タイムスロット割当期間は、上述のようにスロット区分「α」または「β」として記憶されているため、「α」または「β」から、当該スロット区分が終了するタイミングあるいは時刻に換算する。例えば、「α」から「フレーム100」で終了や、「フレーム300」で終了と導出する。
【0047】
カウンタ56は、フレーム単位でカウントを実行し、現在のタイミングやフレームの番号を管理する。ここでは、適応変調の動作タイミングをフレーム単位とするため、カウント値がそのまま変調方式の変更を計画するタイミング、すなわち前述の予定タイミングに相当する。
【0048】
残り期間計算部58は、タイムスロット割当期間の終了タイミングと予定タイミングから、残り期間を計算する。例えば、タイムスロット割当期間の終了タイミングが「フレーム300」であり、予定タイミングが「フレーム250」であれば、残り期間は「50」となる。残り期間計算部58は、計算した残り期間の結果を期間情報200に含めて出力する。また、期間情報200は、図1の変調方式制御部34が、タイムスロット管理部52から管理情報を抽出する場合にも使用される。
【0049】
図6は、変調方式の変更処理手順を示すフローチャートである。前述のとおり、変調方式の変更処理は、フレーム単位で実行されるものとする。タイムスロット管理部52は、割り当てたタイムスロットに関する情報からスロット割当待ちユーザの存在を確認する。例えば、ひとつのフレームで3ユーザの端末装置10にタイムスロットを割り当てる基地局装置12の場合、タイムスロット管理部52で記憶された端末装置10の数が4以上ならば、スロット割当待ちユーザが存在するといえる。スロット割当待ちユーザがあれば(S10のY)、割当期間検出部54がタイムスロット管理部52からタイムスロット割当期間を検出する(S12)。カウンタ56は、予定タイミングを検出する(S14)。残り期間計算部58は、タイムスロット割当期間と予定タイミングから残り期間を計算する(S16)。
【0050】
変調方式制御部34は、残り期間としきい値を比較し、残り期間がしきい値以上であれば(S18のY)、品質導出部36で導出した伝送路品質より新たな変調方式を取得する(S20)。また、タイムスロット管理部52において、スロット割当待ちユーザがない(S10のN)という結果が得られれば、変調方式制御部34は新たな変調方式を取得する。それまで使用していた変調方式と新たに取得した変調方式が同一でなければ(S22のN)、変調方式変更処理を実行する(S24)。一方、変調方式制御部34で比較した残り期間がしきい値以上でなければ(S18のN)、あるいはそれまで使用していた変調方式と新たに取得した変調方式が同一であれば(S22のY)、変調方式を変更しない(S26)。
【0051】
図7は、通信開始処理のシーケンス図である。当該処理は、適応変調を実行しないが、適応変調のための前処理に相当する。端末装置10は、基地局装置12に対して新たな接続を確立するために、LCH(Link channel)確立要求を出力する(S30)。基地局装置12のタイムスロット制御部42が、当該端末装置10にタイムスロットを割り当てた場合、すなわちLCHを割り当てた場合、端末装置10にLCH割当を出力する(S32)。端末装置10は、通信プロトコルのさらに上位レイヤでの同期を確立するために、割り当てられたタイムスロットで、基地局装置12に対して同期バーストを出力する(S34)。
【0052】
また、基地局装置12は端末装置10に対して、同期バーストの応答を出力する(S36)。端末装置10と基地局装置12の間で所定の情報が交換可能になれば、端末装置10と基地局装置12は、処理可能な変調方式の情報交換するなど処理を含んだ機能ネゴシエーションを実行する(S38)。端末装置10と基地局装置12は、初期的に定められたπ/4シフトQPSKで通信する(S40)。この段階においては、伝送路品質に関する処理を実行していないため、適応変調も実行していない。
【0053】
図8は、下り回線の変調方式変更処理のシーケンス図である。端末装置10と基地局装置12は、図7のステップ40と同様に、π/4シフトQPSKで通信する(S50)。端末装置10の品質測定部22は、受信した信号から伝送路品質を測定する(S52)。変調方式決定部20は、測定した伝送路品質から、基地局装置12に要求すべき変調方式を16QAMと決定する(S54)。さらに、端末装置10から基地局装置12に対して、要求すべき変調方式の情報が含まれた変調方式切替要求信号を送信する(S56)。基地局装置12のタイムスロット制御部42と変調方式制御部34は、スケジューリング条件を判定し(S58)、すなわち、タイムスロット制御部42で計算した残り期間がしきい値以上であるかを判定する。
【0054】
変調方式制御部34は、π/4シフトQPSKから16QAMへの変調方式の変更を決定する(S60)。基地局装置12は、端末装置10に決定した変調方式への変更を指示するために、変調方式通知信号を送信する(S62)。端末装置10と基地局装置12の間で、変調方式を切り替えるために、再同期処理等を含んだ変調方式切替処理を実行する(S64)。その後、端末装置10と基地局装置12は、16QAMで通信する(S66)。なお、ステップ58で、残り期間がしきい値以上でないと判断されると、変調方式制御部34は、変調方式の変更を実行しない。その結果、ステップ62とステップ64の処理が省略され、当該処理に要する期間にわたってもデータを通信できるために、伝送効率の劣化を防げる。
【0055】
図9は、上り回線の変調方式変更処理のシーケンス図である。端末装置10と基地局装置12は、図7のステップ40と同様に、π/4シフトQPSKで通信する(S70)。基地局装置12の品質導出部36は、受信した信号から伝送路品質を測定する(S72)。タイムスロット制御部42と変調方式制御部34は、スケジューリング条件を判定し(S74)、すなわち、タイムスロット制御部42で計算した残り期間がしきい値以上であるかを判定する。変調方式制御部34は、測定した伝送路品質から、π/4シフトQPSKから16QAMへの変調方式の変更を決定する(S76)。
【0056】
基地局装置12は、端末装置10に決定した変調方式への変更を指示するために、変調方式通知信号を送信する(S78)。端末装置10と基地局装置12の間で、変調方式を切り替えるために、再同期処理等を含んだ変調方式切替処理を実行する(S80)。その後、端末装置10と基地局装置12は、16QAMで通信する(S82)。なお、ステップ74で、残り期間がしきい値以上でないと判断されると、変調方式制御部34は、下り回線の場合と同様に、変調方式の変更を実行しない。その結果、ステップ78とステップ80の処理が省略され、当該処理に要する期間にわたってもデータを通信できるために、伝送効率の劣化を防げる。
【0057】
以上示した本実施の形態での変調方式制御部34で残り期間と比較すべきしきい値について、一例を示す。ここでは、「タイムスロット割当期間」を「100フレーム」、図8のステップ64や図9のステップ80の「変調方式切替期間」を「10フレーム」、「変調方式がπ/4シフトQPSKの場合のひとつのタイムスロットで送信可能データサイズ」を「160ビット」、「変調方式が16QAMの場合のひとつのタイムスロットで送信可能データサイズ」を「320ビット」とする。チャネル割当期間を通してπ/4シフトQPSKを使用した場合、16000ビットを送信可能である。
【0058】
一方、チャネル割当期間のうち、zフレームで変調方式をπ/4シフトQPSKから16QAMに変更した場合、π/4シフトQPSKで送信したデータ数は、160×zビットとなり、16QAMで送信したデータ数は、320×(90−z)ビットとなる。π/4シフトQPSKで送信したデータ数と16QAMで送信したデータ数の和が、すべてπ/4シフトQPSKで送信したデータ数より大きくなれば、変調方式の変更によって伝送効率が向上すため、zを計算すると、zが80より小さければよくなる。その結果、しきい値は、21となる。つまり、変調方式制御部34は、残り期間が21フレーム以上の場合に、変調方式をπ/4シフトQPSKから16QAMに変更する。
【0059】
以上の構成による基地局装置12の動作を説明する。タイムスロット割当部50は、通信対象の端末装置10に対して、タイムスロットを割り当てる。また、タイムスロット管理部52は、割り当てたタイムスロットを管理する。割当期間検出部54は、タイムスロット管理部52から当該端末装置10に対するタイムスロット割当期間を検出し、検出したタイムスロット割当期間から、当該タイムスロット割当期間の終了タイミングを特定する。
【0060】
カウンタ56は、カウントを実行し、端末装置10に対して適応変調を実行する予定タイミングを出力する。残り期間計算部58は、タイムスロット割当期間の終了タイミングと、予定タイミングから残り期間を計算する。変調方式制御部34は、残り期間がしきい値より小さければ、変調方式を現在のものから変更しない決定をする。一方、残り期間がしきい値以上であれば、品質導出部36から上り回線と下り回線の伝送路品質をそれぞれ取得し、取得した伝送路品質から、新たに使用されるべき変調方式を決定する。また、決定した変調方式は、端末装置10に通知する。最終的に、変復調部32は、変更した変調方式によって、変復調処理を実行する。
【0061】
本実施の形態によれば、基地局装置は、所定の端末装置に割り当てたタイムスロットの残り期間を導出し、導出したタイムスロットの残り期間と変調方式の変更処理に要する期間を比較してから変調方式を変更するため、変調方式の変更によって、データの伝送効率が向上しない場合には、変調方式を変更せず、データの伝送効率の劣化を防止できる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
本実施の形態において、通信システム100は、簡易型携帯電話システムを対象とした。しかしこれに限らず例えば、TDMA方式を採用したセルラー型の携帯電話システムなどであってもよい。本変形例によれば、様々な通信システムに対して本発明を適用可能になる。つまり、端末装置に対して割当てたチャネルに時間的制限があればよい。
【0064】
本実施の形態において、変復調部32や変調方式制御部34は、伝送速度の適応的な変更処理として、BPSKや16QAMなどの異なった変調方式を処理対象としている。しかしこれに限らず例えば、誤り訂正の符号化率を処理の対象としてもよく、さらに変調方式と誤り訂正の符号化率を組み合わせたものを処理も対象としてもよい。本変形例によれば、伝送速度をより詳細に設定可能になる。つまり、複数種類の伝送速度が実現されればよい。
【0065】
本実施の形態において、品質導出部36や変調方式制御部34によって上下回線の変調方式は、独立して制御されている。しかしこれに限らず例えば、品質導出部36は、受信した信号から上り回線の伝送路品質を測定し、変調方式制御部34は、測定した伝送路品質から上下回線共通の変調方式を決定してもよく、あるいは品質導出部36で測定したひとつの伝送路品質から、変調方式制御部34が上下回線それぞれに対して設けられたしきい値より上下回線の変調方式をそれぞれ決定してもよい。本変形例によれば、変調方式の決定に必要な処理を軽減できる。つまり、実際の伝送路品質に基づいて変調方式が決定されればよい。
【0066】
本実施の形態において、残り期間計算部58は、予定タイミングとチャネル割当期間から、残り期間を計算する。しかしこれに限らず例えば、カウンタ56によるカウントの代わりにチャネル割当期間を所定の値から減算するように制御して、当該減算したチャネル割当期間の値がそのまま残り期間を示すようにしてもよい。本変形例によれば、処理をより簡略にできる。すなわち、所定の規則にもとづいて残り期間が確認できればよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば伝送効率を考慮して伝送速度を変更する伝送速度変更方法およびそれを利用した基地局装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る通信システムを示す構成図である。
【図2】 図1の記憶部のデータ構造を示す図である。
【図3】 図1のフレームフォーマットを示す図である。
【図4】 図1のタイムスロット制御部の構成を示す図である。
【図5】 図4のタイムスロット管理部のデータ構造を示す図である。
【図6】 図1の変調方式の変更処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図1の通信開始処理のシーケンス図である。
【図8】 図1の下り回線の変調方式変更処理のシーケンス図である。
【図9】 図1の上り回線の変調方式変更処理のシーケンス図である。
【符号の説明】
10 端末装置、 12 基地局装置、 14 処理部、 16 変復調部、18 RF部、 20 変調方式決定部、 22 品質測定部、 24 制御部、 26 端末用アンテナ、 28 基地局用アンテナ、 30 RF部、 32 変復調部、 34 変調方式制御部、 36 品質導出部、 38 制御部、 40 記憶部、 42 タイムスロット制御部、 44 インターフェース部、 46 ネットワーク、 50 タイムスロット割当部、 52 タイムスロット管理部、 54 割当期間検出部、 56 カウンタ、 58 残り期間計算部、 100 通信システム、 200 期間情報、 202 タイムスロット情報。

Claims (6)

  1. 端末装置と可変の伝送速度で通信する通信部と、
    前記端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるチャネル割当部と、
    前記チャネルが割り当てられた期間中にあって、前記端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画する変更計画部と、
    前記チャネルが割り当てられた期間における、前記変更計画部によって伝送速度の変更が計画されるタイミングから、前記端末装置に対する伝送速度の変更の実行可否を決定する変更決定部と、
    を含むことを特徴とする基地局装置。
  2. 前記端末装置に対する伝送路品質を導出する伝送路品質導出部をさらに含み、
    前記変更決定部は、前記チャネルが割り当てられた期間の長さと前記伝送速度の変更が計画されるタイミングから、伝送速度を変更した場合のチャネルの残り期間を導出し、さらに前記導出したチャネルの残り期間に応じて、前記導出した伝送路品質にもとづいた伝送速度への変更の実行を決定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記伝送路品質導出部は、前記端末装置に対する伝送路品質として、前記端末装置からの受信信号をもとに伝送路品質を測定することを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
  4. 前記伝送路品質導出部は、前記端末装置に対する伝送路品質として、前記端末装置からの受信信号に含まれた伝送路品質に関する情報を検出することを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
  5. 端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるステップと、
    前記チャネルが割り当てられた期間中にあって、前記端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画するステップと、
    計画されたタイミングにおいて前記伝送速度を変更するか否かを前記チャネルが割り当てられた期間中の前記計画されたタイミングをもとに判断するステップと、
    を含むことを特徴とする伝送速度変更方法。
  6. 無線ネットワークを介した端末装置に対して、所定の期間にわたりチャネルを割り当てるステップと、
    前記チャネルが割り当てられた期間中にあって、前記端末装置に対する伝送速度を変更すべきタイミングを計画するステップと、
    計画されたタイミングにおいて前記伝送速度を変更するか否かを前記チャネルが割り当てられた期間中の前記計画されたタイミングをもとに判断するステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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