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JP4918457B2 - 一成分現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、一成分現像用トナーおよび一成分現像装置に関するものであり、特にトナー供給室の一成分現像用トナーを供給ローラにより現像ローラへ供給した後、規制ブレードにより押圧してトナー薄層を形成し、該トナー薄層を用いて静電潜像を現像するための一成分現像用トナーおよび一成分現像装置に関するものである。さらに本発明は、電子写真技術を応用した複写機、プリンター等に使用する静電荷現像用トナー、およびそれを用いる画像形成方法に関し、特に、定着離型性を向上させつつトナーの流動の安定性による荷電・搬送・高離型性を満足させる静電荷現像用トナーおよび画像形成方法に関するものである。
従来、電子写真法では、感光体表面を帯電、露光して形成した静電潜像に有色トナーで現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写紙等の被転写体に転写し、これを熱ロール等で定着して画像を形成している。
電子写真や静電記録等で採用される乾式現像方式には、トナー及びキャリアからなる二成分系現像剤を用いる方式と、キャリアを含まない一成分系現像剤を用いる方式とがある。前者の方式は、比較的安定して良好な画像が得られるが、キャリアの劣化並びにトナーとキャリアとの混合比の変動等が発生しやすいことから長期間にわたっての一定品質の画像は得られにくく、また、装置の維持管理性やコンパクト化に難点がある。そこで、こうした欠点を有しない後者の一成分系現像剤を用いる方式が注目されるようになっている。
ところで、この一成分系現像剤を用いる方式においては、トナー供給室内のトナーがトナー搬送部材によって搬送され、かつ搬送されたトナーは押圧部材(規制ブレード)で押えつけられることでトナー帯電・トナー層厚の調整が行われる。この方式はコンパクト構成が達成できる反面、少ない部材での成立を求められることから各部材にニ成分現像で求められる以上の性能が求められている。特にトナーは攪拌部材が無くてもトナー供給室からスムーズに規制部へ動くだけの安定した流動性および押圧部材による圧力にも耐えうるだけの強靭性が必須である。
一方、定着においては現像領域の拡大に伴い、定着ロールと転写紙等との離型性を高めるための様々な検討がなされている。例えば、ポリエステル化合物(結着樹脂)、パラフィンワックス(離型剤)、色材及び荷電制御剤からなるトナー粒子(母体トナー)に、シリカ微粒子(外添剤)を添加したものであって、これのヘキサン抽出量とDSC最大ピークを規定した一成分系現像剤が提案されている(特許文献1参照)。また、結着樹脂、着色剤、硫黄原子を含有する樹脂及びワックスを含有するトナー粒子(母体トナー)に、オイル処理されたシリカ微粒子(外添剤)を添加したものであって、前記オイル処理されたシリカの1次粒径及びオイル処理量を規定した一成分系現像剤が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの一成分系現像剤は、外添剤の量が母体トナー100質量部に対して好ましくは0.2〜1.8質量部(実施例では1.2質量部)と少なく、また、トナー(一成分系現像剤)の凝集度についての検討はなされておらず、本発明者らが期待する程度の耐久性、荷電搬送安定性及びベタ画像追従性が得られないという問題があった。ここで、荷電搬送安定性とは、一成分現像における現像ローラ上のトナーの搬送量と帯電量の安定性を示し、搬送量と帯電量とを示す荷電搬送安定性が不安定になると現像状態も不安定になる。また、ベタ追従性とは、ベタ画像をプリントアウトする際の紙上の濃度安定性を示す。
特開2004−138644号公報 特開2005−49649号公報
本発明は上述のような問題を解決することを目的としている。すなわち、定着での離型性と一成分現像用トナーとしての強靭性と流動安定性を確保した一成分現像用トナーを提供することを目的とする。また、本発明は、優れたベタ追従性、荷電搬送安定性及び粒度分布を有する一成分現像用トナーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る一成分現像用トナー、プロセスカートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法は、具体的には下記(1)〜(14)に記載の技術的特徴を有する。
(1):ポリエステルを主成分とした結着樹脂と、色材と、離型剤とが配合されたトナー母体と、外添剤とを含む一成分現像用トナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂である第1結着樹脂と、ビニル系ポリエステル系樹脂である第2結着樹脂と、を含み、前記外添剤が、シリカからなり、且つ、前記トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれ、前記シリカが、平均粒径が30〜120nmの1種を含み、前記離型剤が、パラフィンワックスであり、当該一成分現像用トナー中に2.5〜7.0質量%含まれ、下記のヘキサンによる抽出量が15〜40mg/g、下記式で算出される凝集度が50〜90%であることを特徴とする一成分現像用トナーである。
凝集度(%):=((75μmふるい残量):+0.5*(45μmふるい残量):+0.2*(20μmふるい残量):):*50
〔ヘキサンによる抽出量〕
一成分現像用トナー1.0gと25℃に調温したヘキサン10mLをガラス容器に入れ、10分間浸漬させた後の抽出物からヘキサンを揮発させて、測定された残留物の量を抽出量とする。
(2):ミラクルKCK(浅田鉄鋼株式会社製):により製造されたことを特徴とする上記(1)に記載の一成分現像用トナーである。
(3):前記色材は、前記結着樹脂100重量部に対して2〜15重量部含まれることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の一成分現像用トナーである。
(4):前記外添剤の前記トナー母体に対する付着強度が50〜70%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の一成分現像用トナーである。
(5):体積平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の一成分現像用トナーである。
(6):上記(1)〜(5)のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とする画像形成方法である。
(7):上記(1)〜(5)のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とする画像形成装置である。
(8):上記(1)〜(5)のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
(9):静電潜像を可視化する現像ローラと、前記現像ローラに一成分現像用トナーを供給する供給ローラと、前記現像ローラ及び前記供給ローラに隣接したトナー供給室と、を有する一成分現像装置を備える画像形成装置であって、前記一成分現像用トナーは、ポリエステルを主成分とした結着樹脂と、色材と、離型剤とが配合されたトナー母体と、外添剤とを含み、前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂である第1結着樹脂と、ビニル系ポリエステル系樹脂である第2結着樹脂と、を含み、前記外添剤が、シリカからなり、且つ、前記トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれ、前記シリカが、平均粒径が30〜120nmの1種を含み、前記離型剤が、パラフィンワックスであり、前記一成分現像用トナー中に2.5〜7.0質量%含まれ、下記のヘキサンによる抽出量が15〜40mg/g、下記式で算出される凝集度が50〜90%であり、前記トナー供給室は、振動付与手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
凝集度(%):=((75μmふるい残量):+0.5*(45μmふるい残量):+0.2*(20μmふるい残量):):*50
〔ヘキサンによる抽出量〕
一成分現像用トナー1.0gと25℃に調温したヘキサン10mLをガラス容器に入れ、10分間浸漬させた後の抽出物からヘキサンを揮発させて、測定された残留物の量を抽出量とする。
(10):前記一成分現像用トナーは、ミラクルKCK(浅田鉄鋼株式会社製):により製造されたことを特徴とする上記(9)に記載の画像形成装置である。
(11):前記色材は、前記結着樹脂100重量部に対して2〜15重量部含まれることを特徴とする上記(9)または(10)に記載の画像形成装置である。
(12):前記外添剤の前記トナー母体に対する付着強度が50〜70%であることを特徴とする上記(9)〜11)のいずれかに記載の画像形成装置である。
(13):前記一成分現像用トナーの体積平均粒径が6〜10μmであることを特徴とする上記(9)〜(12)のいずれかに記載の画像形成装置である。
(14):前記振動付与手段は、一端が固定され自由端が前記供給ローラに接触した樹脂フィルムであることを特徴とする上記(9)〜(13)のいずれかに記載の画像形成装置である。
本発明によれば、優れたベタ追従性、荷電搬送安定性を有する一成分現像用トナーを提供することができる。
また本発明によれば、優れたベタ追従性、荷電搬送安定性を有するプロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
本発明の一成分現像用トナーは、ポリエステルを主成分とした結着樹脂と、色材と、離型剤とが配合されたトナー母体と、外添剤とを含む一成分現像用トナーであって、前記外添剤が、前記トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれ、ヘキサンによる抽出量が10〜40mg/g、凝集度が50〜90%であることを特徴とする。
本発明の一成分現像用トナーについて、以下に詳述する。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は現像器内での耐ストレス性の観点から、ポリエステル系樹脂が良いが、離型剤(ワックス)の分散性をより高めるためポリエステルを主成分としたハイブリッドタイプでも良い。ここで、主成分とは重量比率で50%以上のものをいう。また、パラフィンとの相溶性を考慮するとスチレンアクリルのハイブリッドが良好である。
本発明において好ましく使用されるポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においてはポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂(以下、単に「ビニル系ポリエステル樹脂」という)も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーである。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分が挙げられる。またビニル系樹脂の原料モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。ビニル系樹脂の原料モノマーを重合させる際の重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
バインダー樹脂としては上記のような各種ポリエステル系樹脂が好ましく使用されるが、中でも、オイルレス定着用トナーとしての分離性および耐オフセット性をさらに向上させる観点から、以下に示す第1バインダー樹脂および第2バインダー樹脂を使用することがより好ましい。
より好ましい第1バインダー樹脂は、上述した多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂、特に多価アルコール成分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を用い、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸およびフマル酸を用いて得られたポリエステル樹脂である。
より好ましい第2バインダー樹脂はビニル系ポリエステル樹脂、特にポリエステル樹脂の原料モノマーとしてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸およびコハク酸を用い、ビニル系樹脂の原料モノマーとしてスチレンおよびブチルアクリレートを用い、両反応性モノマーとしてフマル酸を用いて得られたビニル系ポリエステル樹脂である。
本発明においては第1バインダー樹脂の合成時に炭化水素系ワックスが内添されることが好ましい。第1バインダー樹脂に炭化水素系ワックスを予め内添するには、第1バインダー樹脂を合成する際に、第1バインダー樹脂を合成するためのモノマー中に炭化水素系ワックスを添加した状態で第1バインダー樹脂の合成を行えば良い。例えば、第1バインダー樹脂としてのポリエステル系樹脂を構成する酸モノマーおよびアルコールモノマーに炭化水素系ワックスを添加した状態で縮重合反応を行えば良い。第1バインダー樹脂がビニル系ポリエステル樹脂の場合には、ポリエステル樹脂の原料モノマーに炭化水素系ワックスを添加した状態で、当該モノマーを撹拌および加熱しながら、これにビニル系樹脂の原料モノマーを滴下して重縮合反応およびラジカル重合反応を行えばよい。
(離型剤)
一般に、ワックスの極性が低いほうが定着部材ローラとの離型性に優れている。本発明に用いられるワックスは、極性の無いパラフィンワックスが良い。
また、本発明の一成分現像用トナーは、ワックスを2.5〜7.0質量%含有することが好ましく、3.0〜6.5質量%含有することがより好ましい。ワックスの含有量が2.5質量%未満の場合、定着離型性が低下して紙の巻きつきが大きくなる。またワックスの含有量が7.0質量%より大きい場合、ワックス界面によるトナーの欠けが大きくなり粒度分布の安定性が低下する。
本発明におけるワックスの融点は、示差走査型熱量計(DSC)にて測定される昇温時のワックスの吸熱ピークであり、70℃〜90℃の範囲にあることが好ましい。90℃よりも高いと、定着プロセスにおけるワックスの溶融が不十分になり、定着部材との分離性が確保できなくなる。また70℃よりも低いと、高温高湿環境においてトナー粒子同士が融着するなど、保存安定性に問題が生じる。低温での定着分離性に余裕を持たせるためには、ワックスの融点は70℃〜85℃がより好ましく、さらに好ましくは70℃〜80℃の範囲である。
〔ワックスの吸熱ピーク〕
また、示差走査型熱量計(DSC)にて測定される昇温時のワックス吸熱ピークの半値幅は、7℃以下であることが好ましい。本発明におけるワックスの融点は比較的低いため、吸熱ピークがブロード、つまり低温域から溶融するようなワックスは、トナーの保存安定性に悪影響を及ぼす。
(着色剤)
本発明で使用される着色剤としては、従来からフルカラートナーの着色剤として使用されている公知の顔料及び染料が使用可能である。
例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。
トナー粒子中における着色剤の含有量としては全バインダー樹脂100重量部に対し2〜15重量部の範囲が好ましい。
着色剤は、使用される第1バインダー樹脂と第2バインダー樹脂との混合バインダー樹脂中に分散されたマスターバッチの形態で使用されることが分散性の観点から好ましい。マスターバッチの添加量は含有される着色剤の量が上記範囲内となるような量であればよい。マスターバッチ中の着色剤含有率は20〜40重量%が好適である。
(荷電制御剤)
本発明のトナーにおいて、従来からフルカラートナーで使用されている公知の荷電制御剤が使用可能である。
例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(外添剤)
本発明では、流動性や現像性を補助するための外添剤としてシリカが含有されていることが好ましい。シリカが含有されない場合、流動性の付与が十分ではないため、ベタ追従不良・荷電搬送安定性が低下する。
本発明の一成分現像用トナーに外添剤として用いられるシリカは、平均粒径が30〜120nmであることが好ましく、30〜70nmであることがより好ましい。シリカの平均粒径が30nm以下だと耐久による埋没が進みやすくなるため、ベタ追従不良・荷電搬送安定性が低下する。また、シリカの平均粒径が120nm以上だとトナー母体に固定化させることができないため安定した流動性が得られない。
また、本発明の一成分現像用トナーにはシリカに加えて、一般的に外添剤として広く知られている無機の微粒子を添加することが可能である。具体的には例えば金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛など)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラックなどを用いることができる。
(トナーの凝集度)
トナーの凝集度は50〜90%であることが好ましく、50〜70%であることがより好ましい。凝集度が50%未満であると、継続的に使用した場合の耐久性に劣り、流動性の変化が大きくなるためベタ追従不良が発生する。90%を超えると、トナー母体の影響を強く受けるため、これも耐久による流動の変化が大きくなりベタ追従不良が発生する。
トナーの凝集度は、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて下から目開き20/45/75μmの順にふるいを並べ、トナー2.0gを75μmふるいの上にセットする。振動振幅1.0mm、10秒間振動させたときのふるい残量を測定する。20μm/45μm/75μmの各ふるい残量から下記式を用いて算出して凝集度とする。
凝集度(%) = ((75μmふるい残量)+0.5*(45μmふるい残量)+0.2*(20μmふるい残量))*50
(体積平均粒子径)
本発明の一成分現像用トナーの体積平均粒子径は、6〜10μmであることが好ましい。6μm未満であるとクリーニング等のハンドリング性が低下し、10μmを超えるとハーフトーン画像の粒状性が大きく低下する。
トナー粒子の体積平均粒子径の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の体積平均粒子径の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を固形分にして2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dp)を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
(外添剤の付着強度)
本発明の一成分現像用トナーの外添剤の付着強度は、50〜70%であることが好ましく、50〜65%であることがより好ましい。50%未満であると遊離分が多いため流動の安定性に欠ける。70%を超えると耐久による埋没が進みやすくなるため、ベタ追従不良・荷電搬送安定性が低下する。
外添剤の付着強度は、10倍に希釈した界面活性剤溶液30mLにトナー2gを入れ十分に馴染ませた後、超音波ホモジナイザーを用いて40Wで1分間エネルギーを与えて、トナーを分離、洗浄後、乾燥させる処理を行い、蛍光X線分析装置を用いて処理前後の無機粒子の付着量の比を算出することにより得られる。蛍光X線分析は島津製作所社製波長分散型蛍光X線分析装置XRF1700を用いて上記処理により得られた乾燥トナーと処理前のトナーをそれぞれ2gに1N/cmの力を60秒間加えてトナーペレットを作成して無機微粒子固有の元素(たとえばシリカの場合はケイ素)を検量線法により定量して、上記処理後の無機微粒子量を、上記処理前の無機微粒子量で除すことで、外添剤付着強度を算出した。
(ヘキサン抽出量)
本発明の一成分現像用トナーのヘキサン抽出量は、10〜40mg/gであることが好ましく、15〜40mg/gであることがより好ましい。10mg/g未満であるとワックス溶出による定着離型性が低下して紙の巻きつきが大きくなる。40mg/gを超えるとワックス界面によるトナーの欠けが大きくなり粒度分布の安定性が無くなり、また、荷電サイトの減少による荷電搬送性低下が見られる。
ヘキサン抽出量の測定方法は、トナー1.0gと25℃に調温したヘキサン10mLをガラス容器に入れ、10分間浸漬させた後の抽出物からヘキサンを揮発させて、残留物の量を測定する。
(外添剤総量)
本発明の一成分現像用トナーの外添剤総量は、トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれることが好ましく、3.0〜4.5重量部であることがより好ましい。2.5重量部未満であると外添剤の埋まりこみが大きくなり、継続的に使用した場合の耐久性に劣り、流動性の変化が大きくなる。その結果ベタ追従不良・荷電搬送安定性が低下する。5.0重量部を超えると被覆率が高くなるためワックスの染み出しが低下して定着離型性が低下する。
外添剤総量の測定方法は、上述の外添剤付着強度測定時の処理前のトナーにおける定量値を用いる。
(一成分現像用トナーの製造方法)
本発明の一成分現像用トナーは、上記炭化水素系ワックスが内添された第1バインダー樹脂、第2バインダー樹脂、および着色剤を従来の方法で混合、混練、粉砕、分級し、所望の粒径を有するトナー粒子(着色樹脂粒子、トナー母体)を得て、該トナー粒子を外添剤と混合することにより得ることができる。
ここで、外添剤総量は、トナー母体と外添剤とを混合する工程において混合装置に仕込む外添剤の量で調整することができる。
ヘキサン抽出量は、ワックスの添加量と製造装置で調整することができる。特に混練工程の影響が大きく、本発明では混練装置としては池貝株式会社のPCM、栗本鉄工所のエクストゥルーダ、浅田鉄工株式会社製のミラクルKCKが好ましく、その中でも特に浅田鉄工株式会社のミラクルKCKが好ましい。
凝集度は、ワックスの添加量と外添条件により調整することができる。外添剤量が増えると凝集度は低くなり、ワックスの添加量が多いと高くなる。また、外添剤粒子径にも依存しており、小粒径外添剤を用いると凝集度は低くなる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を少なくとも含み、好ましくはクリーニング工程を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は後述の画像形成装置により実施することができ、該画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、好ましくはクリーニング手段を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
ここで、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段;第1の実施の形態>
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の一成分現像用トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、前記現像手段により行うことができる。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一部を構成する現像装置(第1の実施の形態)とプロセスカートリッジユニットの断面図である。
現像装置は、トナーを収容するトナー収容室(101)と、トナー収容室(101)の下方に設けられたトナー供給室(102)から構成され、トナー供給室(102)の下部には、現像ローラ(103)と、現像ローラ(103)に当接して設けられた層規制部材(104)および供給ローラ(105)が設けられる。
したがって、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジは、少なくとも、電子写真感光体と、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の一成分系トナーを用いる現像手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるものである。
現像ローラ(103)は感光体ドラム(2)に接触して配置され、図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが印加される。トナー収容室(101)内にはトナー攪拌部材(106)が設けられ、反時計回りの方向で回転する。
トナー攪拌部材(106)は軸方向において、その先端部が開口部近傍を通過しない部分(106A)では、回転駆動によるトナー搬送面の面積を大きくしてあり、収容されたトナーを充分に流動させ攪拌する。また、その先端部が開口部近傍を通過する部分(106B)では、回転駆動によるトナー搬送面の面積を小さくした形状をしてあり、過剰な量のトナーを開口部(107)へ導くことを防止している。
開口部(107)近傍のトナーは、トナー攪拌部材(106B)によって適度にほぐされ、自重によって開口部(107)を通過しトナー供給室(102)へと落下移動する。供給ローラ(105)の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室(102)内に運ばれてきたトナーを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ(103)との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止している。発泡材料は10〜1014Ωの電気抵抗値に設定される。
供給ローラ(105)には、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の供給バイアスが印加される。この供給バイアスは、現像ローラ(103)との当接部で予備帯電されたトナーを現像ローラ(103)に押し付ける方向に作用する。ただし、オフセットの方向はこれに限ったものではなく、トナーの種類によってはオフセットを0もしくはオフセットの方向を変えてもよい。
供給ローラ(105)は反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーを現像ローラ(103)の表面に塗布供給する。現像ローラ(103)には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに表面にはトナーと逆の極性に帯電し易い材料からなる表面コート層が設けられる。弾性ゴム層は、感光体ドラム(2)との接触状態を均一に保つ為に、JIS−Aで50度以下の硬度に設定され、さらに現像バイアスを作用させるために10〜1014Ωの電気抵抗値に設定される。表面粗さはRaで0.2〜2.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。
現像ローラ(103)は反時計回りの方向に回転し、表面に保持したトナーを層規制部材(104)および感光体ドラム(2)との対向位置へと搬送する。層規制部材(104)は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ(103)表面に10〜100N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーを薄層化すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。
さらに層規制部材(104)には、摩擦帯電を補助する為に、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の規制バイアスが印加される。感光体ドラム(2)は時計回りの方向に回転しており、従って現像ローラ(103)表面は感光体ドラム(2)との対向位置において感光体ドラム(2)の進行方向と同方向に移動する。薄層化されたトナーは、現像ローラ(103)の回転によって感光体ドラム(2)との対向位置へ搬送され、現像ローラ(103)に印加された現像バイアスと感光体ドラム(2)上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体ドラム(2)表面に移動し現像される。感光体ドラム(2)上に現像されずに現像ローラ(103)上に残されたトナーが再びトナー供給室(102)内へと戻る部分には、封止シール(108)が現像ローラ(103)に当接して設けられ、トナーは現像装置外部に漏れでないように封止される。
現像ローラ(103)の表面を構成するゴム弾性体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、これらの2種以上のブレンド物などが挙げられる。これらの中でも、エピクロルヒドリンゴムとアクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ゴムとのブレンドゴムが好ましく用いられる。
本発明で用いる現像ローラは、例えば、導電性シャフトの外周にゴム弾性体を被覆することにより製造される。導電性シャフトは、例えば、ステンレスなどの金属で構成される。
<現像工程及び現像手段;第2の実施の形態>
図2は本発明の画像形成装置の一部を構成する現像手段である現像装置の第2の実施の形態における構成を示す概略図である。
本実施の形態では、トナー撹拌部材106aをトナー収容室101に、トナー撹拌部材106bをトナー供給室102に設け、さらに振動付与手段109を供給ローラ105に接した状態で設けている。また、トナー撹拌部材106が2つ設けられている点、及び振動付与手段109が設けられている点を除き、上述した第1の実施の形態と基本的構成・作用については同様である。
振動付与手段109は樹脂フィルムからなり、供給ローラ105に近接するトナー供給室102に取り付けられており、供給ローラ105の回転により振動付与手段109が振動し、トナー供給室102内のトナーに振動を与える。振動は供給ローラ105と樹脂フィルムとの摩擦により始まり、この振動によってトナー供給室102内のトナーの流動が始まる。
本発明において、樹脂フィルムはPET、ポリイミド、ポリプロピレンフィルムなどからなることが好ましく、その中でもPETが特に好ましい。
樹脂フィルムの構成は、厚さは0.07〜0.13mmが良く、特に0.09〜0.11mmが好ましい。また、自由長は5.0〜10.0mmがよい。5.0mm未満だと振動が十分ではなく、10.0mmより長くてもトナーに与える振動が十分でなくなる。
ここで、図2において、振動付与手段109は供給ローラ105の湾曲方向と異なる方向に湾曲しているが、振動付与手段109は供給ローラ105の湾曲方向と同じ方向に湾曲する構成であっても良い。
振動付与手段109によりトナーに運動エネルギーが与えられ、トナー供給室102内のトナー流動がより安定する。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用いる場合と、直接印刷用紙に転写する工程があるが、共に本発明の画像形成方法となる。
即ち、モノクロ転写と、カラー転写方式で異なるが、カラー転写の場合は該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器に用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、カラー対応に場合は転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を前記定着手段で用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真用トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成方法を実施するものであり、前記静電潜像担持体として、感光体ドラムと、前記帯電手段としての帯電ローラと、前記露光手段としての露光装置と、前記現像手段としての現像装置から直接記録媒体(印刷紙)から定着に、また中間転写体を介した現像手段、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置と、前記除電手段としての除電ランプと、定着工程を備えた画像形成方法である。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
〔第1バインダー樹脂の作成〕
ビニル系モノマーとして、スチレン600g、アクリル酸ブチル110g、アクリル酸30g及び重合開始剤としてジクミルパーオキサイド30gを滴下ロートに入れた。ポリエステルの単量体のうち、ポリオールとして、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1230g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン290g、イソドデセニル無水コハク酸250g、テレフタル酸310g、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸180g及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド7g、ワックスとしてパラフィンワックス(融点73.3℃、示差走査型熱量計で測定される昇温時の吸熱ピークの半値幅は4℃)を510g(仕込モノマー100重量部に対して16.5重量部)、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットル四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で窒素雰囲気下に、160℃の温度で撹拌しつつ、滴下ロートよりビニル系モノマー樹脂と重合開始剤の混合液を一時間かけて滴下した。160℃に保持したまま2時間付加重合反応を熟成させた後、230℃に昇温して縮重合反応を行わせた。重合度は、定荷重押出し形細管式レオメータを用いて測定した軟化点により追跡を行い、所望の軟化点に達したときに反応を終了させ、樹脂H1を得た。樹脂軟化点は130℃であった。
〔第2バインダー樹脂の作成〕
ポリオールとして、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2210g、テレフタル酸850g、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸120g及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド0.5gを、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットル四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で窒素雰囲気下230℃に昇温して縮重合反応を行わせた。重合度は、定荷重押出し形細管式レオメータを用いて測定した軟化点により追跡を行い、所望の軟化点に達したときに反応を終了させ、樹脂L1を得た。樹脂軟化点は115℃であった。
〔トナー粒子の作成〕
第1および第2バインダー樹脂からなるバインダー樹脂100質量部(第1バインダー重量111に対して第2バインダー重量100の割合)に対して、LR−147(荷電制御剤、日本カーリット社製)を1.75部、C.I.Pigment Red 57−1を4質量部含有相当のマスターバッチをヘンシェルミキサーで十分混合した後、1軸押し出し混練機(KCK42型:浅田鉄工株式会社製)を使用して、混練温度100℃、処理量70kg/hの条件で溶融混練し、得られた混練物を冷却プレスローラーで2mm厚に圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチックエ業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ:100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、着色樹脂粒子1を得た。この着色樹脂粒子1の粒子径は8.0μmであった。さらに第一バインダー樹脂と第二バインダー樹脂の比率を表1のように変えて着色粒子2〜18を得た。
さらに、得られた着色樹脂粒子1〜18 100質量部に対して無機微粒子を所望の量(質量部)添加し、ヘンシェルミキサーで混合処理しマゼンタトナー粒子1〜18を得た。用いた無機微粒子の名称と、処方量とを表1に示す。また、得られたマゼンタトナー粒子1〜18について、上述の評価方法での評価及び後述の画像評価を行う。結果は表1に併せて示す。
〔画像評価〕
リコー社製カラーレーザープリンターIPSIO CX2500を用いて画像評価を行った。評価項目と評価基準を以下に示す。現像器構成は現像器構成_振動付与手段に記載の実施例構成と同様にして供給ローラに接触するようにケーシングに樹脂マイラーを貼り付けたタイプと樹脂マイラー無しの2種類の現像器で評価を行った。
・ベタ追従不良
黒ベタ画像を連続2枚採取したときの2枚目後端と1枚目先端の濃度差を目視でチェックし、下記評価基準に従い評価した。
(評価基準)
◎ 特に優れる
○ 問題なし
× 品質上問題あり
・荷電搬送安定性
画像濃度1%、1P/J(1印刷ジョブあたり1枚印刷)で5000枚ランニングしたときの荷電搬送量の安定性をチェックし、下記評価基準に従い評価した。
(評価基準)
◎ 特に優れる
○ 問題なし
× 品質上問題あり
・分離性
ベタ画像採取時の定着システムにおける紙の巻きつきを下記評価基準に従い評価した。
(評価基準)
◎ 特に優れる
○ 巻きつきは無く通過
× ローラに巻きつきジャム
・粒度分布安定性
画像濃度1%、1P/Jで5000枚ランニングしたときの粒径分布の安定性をチェックし、下記評価基準に従い評価した。
(評価基準)
◎ 特に優れる
○ 問題なし
× 品質上問題あり
以上の評価結果によれば、本発明の一成分現像用トナー、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法は、優れたベタ追従性、荷電搬送安定性を有することがわかる。
本発明に係る画像形成装置の一部を構成する現像装置とプロセスカートリッジユニットの断面図である。 本発明に係る画像形成装置の一部を構成する現像装置の第2の実施の形態における構成を示す概略図である。
符号の説明
2 感光体ドラム
101 トナー収容室
102 トナー供給室
103 現像ローラ
104 層規制部材
105 供給ローラ
106 トナー攪拌部材
107 トナーを開口部
108 封止シール
109 振動付与手段

Claims (14)

  1. ポリエステルを主成分とした結着樹脂と、色材と、離型剤とが配合されたトナー母体と、
    外添剤とを含む一成分現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂である第1結着樹脂と、ビニル系ポリエステル系樹脂である第2結着樹脂と、を含み、
    前記外添剤が、シリカからなり、且つ、前記トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれ、
    前記シリカが、平均粒径が30〜120nmの1種を含み、
    前記離型剤が、パラフィンワックスであり、当該一成分現像用トナー中に2.5〜7.0質量%含まれ、
    下記のヘキサンによる抽出量が15〜40mg/g、下記式で算出される凝集度が50〜90%であることを特徴とする一成分現像用トナー。
    凝集度(%)=((75μmふるい残量)+0.5*(45μmふるい残量)+0.2*(20μmふるい残量))*50
    〔ヘキサンによる抽出量〕
    一成分現像用トナー1.0gと25℃に調温したヘキサン10mLをガラス容器に入れ、10分間浸漬させた後の抽出物からヘキサンを揮発させて、測定された残留物の量を抽出量とする。
  2. ミラクルKCK(浅田鉄鋼株式会社製)により製造されたことを特徴とする請求項1に記載の一成分現像用トナー。
  3. 前記色材は、前記結着樹脂100重量部に対して2〜15重量部含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の一成分現像用トナー。
  4. 前記外添剤の前記トナー母体に対する付着強度が50〜70%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一成分現像用トナー。
  5. 体積平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の一成分現像用トナー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とする画像形成方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の一成分現像用トナーを用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  9. 静電潜像を可視化する現像ローラと、前記現像ローラに一成分現像用トナーを供給する供給ローラと、前記現像ローラ及び前記供給ローラに隣接したトナー供給室と、を有する一成分現像装置を備える画像形成装置であって、
    前記一成分現像用トナーは、ポリエステルを主成分とした結着樹脂と、色材と、離型剤とが配合されたトナー母体と、外添剤とを含み、
    前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂である第1結着樹脂と、ビニル系ポリエステル系樹脂である第2結着樹脂と、を含み、
    前記外添剤が、シリカからなり、且つ、前記トナー母体100重量部に対して2.5〜5.0重量部含まれ、
    前記シリカが、平均粒径が30〜120nmの1種を含み、
    前記離型剤が、パラフィンワックスであり、前記一成分現像用トナー中に2.5〜7.0質量%含まれ、
    下記のヘキサンによる抽出量が15〜40mg/g、下記式で算出される凝集度が50〜90%であり、
    前記トナー供給室は、振動付与手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
    凝集度(%)=((75μmふるい残量)+0.5*(45μmふるい残量)+0.2*(20μmふるい残量))*50
    〔ヘキサンによる抽出量〕
    一成分現像用トナー1.0gと25℃に調温したヘキサン10mLをガラス容器に入れ、10分間浸漬させた後の抽出物からヘキサンを揮発させて、測定された残留物の量を抽出量とする。
  10. 前記一成分現像用トナーは、ミラクルKCK(浅田鉄鋼株式会社製)により製造されたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記色材は、前記結着樹脂100重量部に対して2〜15重量部含まれることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
  12. 前記外添剤の前記トナー母体に対する付着強度が50〜70%であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記一成分現像用トナーの体積平均粒径が6〜10μmであることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 前記振動付与手段は、一端が固定され自由端が前記供給ローラに接触した樹脂フィルムであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の画像形成装置。
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