JP5298871B2 - 結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置 - Google Patents
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Description
レトロフォーカスタイプは、射出瞳位置を像面から遠ざけて「周辺光束がエリアセンサに対し垂直に近い角度で入射する」ようにでき、各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサに適した構成であるが、屈折力配置の非対称性が大きく、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差等の補正が不完全になりがちであり、物体側に配置される負の屈折力のレンズ郡内での反射による「明るいゴースト」が問題になり易い。
この発明はさらに、非点収差や像面湾曲、倍率色収差、コマ収差の色差、歪曲収差等を十分に低減して1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じず、直線を直線として歪みなく描写可能な高性能の結像レンズを可能ならしむることを課題とする。
即ち、開口絞りの物体側に配置されるのが第1レンズ群であり、開口絞りの像側に配置されるのが第2レンズ群である。
「第1Fレンズ群」は、像側が凹面である第1負レンズを物体側に、物体側が凸面のメニスカス形状である第2負レンズを像側に配してなる。
(1) 0.5 < A_1F-1R/D_1 < 0.7
(2) 0.4 < f1_2/f1_1 < 0.8
を満足する。
そして、開口絞りの像側に配置される第2レンズ群は「物体側に第2Fレンズ群、像側に第2Rレンズ群を配した構成」であり、第2Fレンズ群は「物体側から像側へ向かって順次、正レンズ・負レンズ・負レンズ・正レンズの4枚を配して構成」され、第2Rレンズ群は「少なくとも1枚のレンズで構成」されている。
(3) 0.4 < R22/R12 < 0.8
を満足することが好ましい(請求項2)。
(4) 0.5 < H12/R12 < 0.8
を満足することが好ましい(請求項3)。
(5) 0.2<(R21-R12)/(R21+R12)<0.4
を満足することが好ましい(請求項4)。
この発明のカメラ装置は、請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズを有するカメラ装置である(請求項7)。このカメラ装置は「銀塩写真カメラ」であることもできるが、好適には「撮影画像をデジタル情報とする機能を有するカメラ」即ちデジタルカメラであることができる(請求項8)。そして、このようなデジタルカメラとしての機能を持つカメラ装置を、撮影機能部として有する携帯情報端末装置(請求項9)を実施できる。
この発明の結像レンズは、上述の如く、開口絞りの物体側に第1レンズ群、像側に第2レンズ群を配したものであり、レンズタイプとしては「レトロフォーカスタイプ」に類するものである。
ν1d>60
を満足することが好ましい。
色収差のより良好な補正には、第1Fレンズ群の負レンズ(第1負レンズ・第2負レンズ)の材料の以上分散性:Δθg,F(アッベ数:νdを横軸,部分分散比:θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)を縦軸としたグラフにおいて、硝種:K7(株式会社オハラ硝種名:NSL7)と硝種:F2(株式会社オハラ硝種名PBM2)を結ぶ直線を標準線とするとき、当該硝種の標準線からの偏差。ng,nF,nCはそれぞれ,g線,F線,C線に対する屈折率))が、以下の条件:
Δθg,F > 0.025
を満足するのが好ましい。
請求項2における条件(3)は、高性能を実現しつつ「画角外の光源による明るいゴーストの発生を抑える」条件であり、上限値を超えると、第1負レンズの第2面の凹面の光軸から高い位置でレンズ面の傾斜角が大きくなり、反射率が高くなって明るいゴーストを発生し易い。
条件(3)の下限値を超えると、第2負レンズのパワーが大きくなりすぎ「特定の面で発生する過大な収差」を、全体として十分に補正することが困難になる。
条件(4)の上限値を超えると、第1負レンズの第2面である凹面の、光軸から高い位置でレンズ面の傾斜角が大きくなって反射率が高くなり、明るいゴーストを発生しやすい。また、下限値を超えると、第2負レンズのパワーを第1負レンズのパワーに対して相対的に大きくする必要を生じ、特定の面で過大な収差を発生しやすくなり、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になる。
条件(5)の上限値を超えると、第1負レンズの第2面の曲率が「第2負レンズの第1面の曲率」に対して相対的に大きくなり、第1負レンズと第2負レンズの間隔が大きくなるため、請求項1の条件(1)、(2)を満足させつつ「第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の空気間隔を確保する」のが困難になり、収差補正を十分に行いつつ第1Fレンズ群内で発生するゴースト光の回避が困難となる。
また、条件(5)の下限値を超えると、第2負レンズのパワーを「第1負レンズのパワーに対して相対的に大きくする」必要が生じ、特定の面で過大な収差を発生し易く、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になる。
第1負レンズに非球面を採用してもよいが、第2負レンズの方が小径であるので、コストダウンを望める。
1.7<nd<1.9
35<νd<55
を満足するようにするのがよい。
請求項1における条件(1)にするためには、第1負レンズと第2負レンズの空気間隔:A_1-2、第1レンズ群の全長:D_1が、条件:
(1A) 0.05<A_1-2/D_1 <0.3
を満足することが好ましい。
なお,第1Fレンズ群と第2Rレンズ群の非球面はこれらをともに設けることにより「互いに収差補正の役割を補完し合い、より効果的に働かせる」ことが好ましい。
図1〜図4に示す結像レンズは、開口絞りSと、この開口絞りSの物体側(図1〜図4の左方)に配置される第1レンズ群Iと、開口絞りの像側(図1〜図4の右方)に配置される第2レンズ群IIとで構成される。
図13(A)は正面側と上部面とを示し、図13(B)は背面側を示す。
携帯情報端末装置は、結像レンズ1(以下、「撮影レンズ1」と言う。)として、上に説明した請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズ(具体的には後述の実施例1〜4の適宜のもの)を有する。
図14に示すように、装置は撮影レンズ1と受光素子(撮像素子)13を有し、撮影レンズ1によって形成される撮影対象物の像を受光素子13によって読取るように構成されている。
受光素子13からの出力は中央演算装置11の制御を受ける信号処理装置14によって処理されてデジタル情報に変換される。即ち、携帯情報端末装置は「撮影画像をデジタル情報とする機能」を有している。
デジタル情報化された撮影画像は、中央演算装置11による制御により、液晶モニタ7に表示することができ、また、半導体メモリ15に記憶させることができる。また、通信カード等16を介して外部に通信して送ることもできる。
図5〜図8に順次、実施例1〜4に関する収差図を示す。
これらの図において、球面収差の破線は正弦条件を表し、非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。「d」はd線、「g」はg線に対する収差曲線図である。
また、図9〜図12は、各実施例にかかる結像レンズにおいて、第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示している。これらの図は、上に説明したように、「破線で示す入射角の小さい光線」と、「実線で示す入射角のより大きい光線」の追跡結果を示しているが、これらの光線は、何れも「入射角が半画角内の光線」であり、第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面で反射して受光領域に到達するが「明るいゴーストとして目立つ」ことは無い。
f:全系の焦点距離
F:Fナンバ
ω:半画角
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
「非球面」は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、円錐乗数:k、上記各非球面係数を用いて、周知の次式で表現される。
+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10+A12・H12+A14・H14+A16・H16+A18・H18
「実施例1」
f=6.02 F1.81
実施例1のデータを表1に示す。
非球面は上記表中において「*印」を付した面である。以下においても同様である。
K=-0.45000,A4=-3.25734E-04,A6=-9.32912E-06,A8=7.29745E-08,
A10=-6.48034E-09
第14面
K=-2.92559E-04,A4=2.21131E-06,A6=-1.61322E-07,A8=2.26618E-09
上の表記において例えば「2.26618E-09」は「2.26618×10-9」を意味する。以下においても
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表2に示す。
第4面
K=-0.40000,A4=-4.07064E-04,A6=-9.23532E-06,A8=-7.96701E-08,
A10=-3.61167E-09,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
K=0.0,A4=-3.58070E-04,A6=5.60374E-07,A8=-1.61334E-07,
A10=1.41953E-09
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表4に示す。
第4面
K=-0.40000,A4=-3.72757E-04,A6=-5.62333E-06,A8=-2.23363E-07,
A10=-7.20448E-10,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
A4=-3.07134E-04,A6=2.41618E-06,A8=-1.97489E-07,
A10=2.81138E-09 。
条件式のパラメータの値を表6に示す。
第4面
K=-0.40000,A4=-4.16841E-04,A6=-9.42561E-06,A8=-1.58154E-07,
A10=-3.26524E-09,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
A4=-2.85929E-04,A6=1.93947E-06,A8=-1.43395E-07,
A10=2.11542E-09 。
条件式のパラメータの値を表8に示す。
II 第2レンズ群
1F 第1Fレンズ群
1R 第1Rレンズ群
S 絞り
2F 第2Fレンズ群
2R 第2Rレンズ群
Claims (9)
- 開口絞りと、この開口絞りの物体側に配置される第1レンズ群と、上記開口絞りの像側に配置され正のパワーを有する第2レンズ群とで構成され、
上記第1レンズ群は、物体側から順に、第1Fレンズ群と、正のパワーを有する第1Rレンズ群とが、上記第1レンズ群中で最も広い空気間隔を隔して配置され、
上記第1Fレンズ群は、像側が凹面である第1負レンズを物体側に、物体側が凸面のメニスカス形状である第2負レンズを像側に配してなり、
上記第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の空気間隔:A_1F-1R、上記第1レンズ群の全長:D_1、上記第1負レンズの焦点距離:f1_1、上記第2負レンズの焦点距離:f1_2が、条件:
(1) 0.5 < A_1F-1R/D_1 < 0.7
(2) 0.4 < f1_2/f1_1 < 0.8
を満足し、且つ、開口絞りの像側に配置される第2レンズ群が、物体側に第2Fレンズ群、像側に第2Rレンズ群を配して構成され、
上記第2Fレンズ群が、物体側から像側へ向かって順次、正レンズ・負レンズ・負レンズ・正レンズを配して構成され、
上記第2Rレンズ群が、少なくとも1枚のレンズで構成されることを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1記載の結像レンズにおいて、
第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの像側面の曲率半径:R22が、条件:
(3) 0.4 < R22/R12 < 0.8
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1または2記載の結像レンズにおいて、
第1Fレンズ群の第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、この像側面における最大光線高さ:H12が、条件:
(4) 0.5 < H12/R12 < 0.8
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの物体側面の曲率半径:R21が、条件:
(5) 0.2<(R21-R12)/(R21+R12)<0.4
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1〜4の任意の1に結像レンズにおいて、
第1Fレンズ群の第2負レンズが非球面を有することを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1レンズ群における第1Rレンズ群が、正レンズ1枚で構成されていることを特徴とする結像レンズ。 - 請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズを有するカメラ装置。
- 請求項7記載のカメラ装置において、
撮影画像をデジタル情報とする機能を有することを特徴とするカメラ装置。 - 請求項8のカメラ装置を撮影機能部として有する携帯情報端末装置。
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