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JP5298871B2 - 結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置 - Google Patents

結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置 Download PDF

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Description

この発明は結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置に関する。この発明の結像レンズはデジタルカメラやデジタルビデオカメラの撮影用レンズとして好適に用いることができるほか、銀塩写真カメラの撮影用レンズとして用いることができる。
従ってこの発明のカメラ装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、銀塩写真カメラとして実施できる。そして、このカメラ装置を撮影機能部として通信等の情報処理を可能とした携帯情報端末装置を実現できる。
デジタルカメラが広く普及し、性能も高くなってきており、カメラのタイプも多様化してきている。その中で「高性能な単焦点レンズを搭載した小型で高画質のコンパクトカメラ」を求めるユーザも多く、高性能であることに加えFナンバが小さい「大口径」のものの実現に対する期待が大きい。
「高性能」という面では、少なくとも1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放からコマフレアが少なく、高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、色収差が少なく「輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じない」ことや、歪曲収差が少なく直線を直線として描写可能なこと等が求められる。
また「大口径」という面では、ズームレンズを搭載した一般のコンパクトカメラとの差別化の面から、少なくとも「F2.4以下」さらには「F2.0以下」のFナンバを望む声も少なくない。
さらに「画角」については、35mm銀塩カメラ(いわゆるライカ版)換算の焦点距離で28mmに相当する「半画角:38度」以上が好ましい。
近来、これら「高性能・大口径・広画角」という要望とともに、「画角外に、太陽等の明るい光源がある時に、明るいゴーストが発生しないようにする」ことが強く求められるようになってきている。
デジタルカメラ用の結像レンズで「広角単焦点レンズ」の代表的なレンズ構成として、物体側に負の屈折力のレンズ群(前群)、像側に正の屈折力のレンズ群(後群)を配設した所謂「レトロフォーカスタイプ」がある。
レトロフォーカスタイプは、射出瞳位置を像面から遠ざけて「周辺光束がエリアセンサに対し垂直に近い角度で入射する」ようにでき、各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサに適した構成であるが、屈折力配置の非対称性が大きく、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差等の補正が不完全になりがちであり、物体側に配置される負の屈折力のレンズ郡内での反射による「明るいゴースト」が問題になり易い。
レトロフォーカスタイプの単焦点レンズは、従来から種々のものが知られているが、その中で、38度以上の半画角を持ち、F2.4以下の大口径を達成したものが特許文献1に記載されている。
特許文献1記載の結像レンズは大口径であるが、具体的な実施例レベルでは「球面収差がやや大きく、性能の面でなお改良の余地」がある。そして特に、画角外に明るい光源が存在するとき、この画角外の光源からの光線が、負の屈折力を持つ前群内で反射して「明るいゴースト」を発生させ易い。
この発明は上述した事情に鑑み、半画角:38度程度の広角、Fナンバ:2.0程度以下の大口径で比較的小型であり、画角外の光源による明るいゴーストを発生することのない結像レンズの実現を課題とする。
この発明はさらに、非点収差や像面湾曲、倍率色収差、コマ収差の色差、歪曲収差等を十分に低減して1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じず、直線を直線として歪みなく描写可能な高性能の結像レンズを可能ならしむることを課題とする。
また、かかる結像レンズを用いたカメラ装置・携帯情報端末装置の提供を課題とする。
この発明の結像レンズは、デジタルカメラ等の撮影用レンズとして使用可能な「単焦点の結像レンズ」であり、開口絞りと、この開口絞りの物体側に配置される第1レンズ群と、開口絞りの像側に配置され正のパワーを有する第2レンズ群とで構成される。
即ち、開口絞りの物体側に配置されるのが第1レンズ群であり、開口絞りの像側に配置されるのが第2レンズ群である。
「第1レンズ群」は、物体側から順に、第1Fレンズ群と、正のパワーを有する第1Rレンズ群とが、第1レンズ群中で最も広い空気間隔を隔して配置される。
「第1Fレンズ群」は、像側が凹面である第1負レンズを物体側に、物体側が凸面のメニスカス形状である第2負レンズを像側に配してなる。
そして、請求項1記載の結像レンズは、第1レンズ群における第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の空気間隔:A_1F-1R、第1レンズ群の全長:D_1、第1負レンズの焦点距離:f1_1、第2負レンズの焦点距離:f1_2が、条件:
(1) 0.5 < A_1F-1R/D_1 < 0.7
(2) 0.4 < f1_2/f1_1 < 0.8
満足する。
そして、開口絞りの像側に配置される第2レンズ群は「物体側に第2Fレンズ群、像側に第2Rレンズ群を配した構成」であり、第2Fレンズ群は「物体側から像側へ向かって順次、正レンズ・負レンズ・負レンズ・正レンズの4枚を配して構成」され、第2Rレンズ群は「少なくとも1枚のレンズで構成」されている。
請求項1記載の結像レンズは、第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの像側面の曲率半径:R22が、条件:
(3) 0.4 < R22/R12 < 0.8
を満足することが好ましい(請求項2)。
請求項1または2記載の結像レンズは、第1Fレンズ群の第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、この像側面における最大光線高さ:H12が、条件:
(4) 0.5 < H12/R12 < 0.8
を満足することが好ましい(請求項3)。
請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズは、第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの物体側面の曲率半径:R21が、条件:
(5) 0.2<(R21-R12)/(R21+R12)<0.4
を満足することが好ましい(請求項4)。
請求項2〜4記載の発明では「画角外の光源による明るいゴーストの発生を抑えつつ、より高性能な結像レンズ」が可能になる。
請求項1〜4の任意の1に結像レンズは、非球面を有することができるが、非球面を形成する位置としては、第1Fレンズ群の第2負レンズ(の物体側面及び/又は像側面)が好適である(請求項5)。
請求項5記載の発明では、より収差の発生を抑え、特に歪曲収差の良好な補正が可能である。
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおける「第1レンズ群における第1Rレンズ群」は、正レンズ1枚で構成されることができる(請求項6)。
請求項6記載の発明では、収差の発生を抑えつつ、より小型で高性能な結像レンズの実現か可能になる。
請求項1〜6の任意の1に記載の発明では、大口径化に伴う収差の発生を抑制し、より高性能の結像レンズの実現が可能である。
この発明のカメラ装置は、請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズを有するカメラ装置である(請求項7)。このカメラ装置は「銀塩写真カメラ」であることもできるが、好適には「撮影画像をデジタル情報とする機能を有するカメラ」即ちデジタルカメラであることができる(請求項8)。そして、このようなデジタルカメラとしての機能を持つカメラ装置を、撮影機能部として有する携帯情報端末装置(請求項9)を実施できる。
請求項7に記載の発明では、画角外において明るいゴーストが無く、半画角が38度程度と広角で、かつ、Fナンバ:2.0程度以下と大口径でありながら比較的小型で、非点収差や像面湾曲・倍率色収差・コマ収差の色差・歪曲収差等を十分に低減し、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有すると共に、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じず、直線を直線として歪みなく描写可能な高性能の結像レンズを撮影光学系として使用した小型で高画質のカメラを提供できる。
また、請求項8記載の発明では、上記小型・高画質のデジタルカメラを実現でき、請求項9記載の発明では、小型で高画質の携帯情報端末装置を提供できる。
以下、説明を補足する。
この発明の結像レンズは、上述の如く、開口絞りの物体側に第1レンズ群、像側に第2レンズ群を配したものであり、レンズタイプとしては「レトロフォーカスタイプ」に類するものである。
周知の如く、レトロフォーカスタイプの結像レンズは一般に、物体側に負・像側に正の屈折力を配置したものであり、屈折力配置の非対称性に起因する歪曲収差や倍率色収差等が発生し易く、これらの収差を如何にして低減させるかが大きな課題となる。
また、大口径化に伴い「コマ収差や、コマ収差の色差の補正」の困難性が増大する。
この発明の結像レンズは、発明者が上記の如き構成により、上記収差の良好な補正が可能であることを見出してなされたものである。
この発明の結像レンズにおいて開口絞りの物体側に配置される第1レンズ群は「第2レンズ群に付加したワイドコンバータのような役割」を果たすものと考えることができる。
第1レンズ群は、物体側から負の屈折力(第1Fレンズ群)、正の屈折力(第1Rレンズ群)が順に配設されるが、これらの間の間隔を条件(1)で示される範囲に設定することにより、十分な画角の確保と「球面収差を始めとする各種収差の補正」の両立を可能としている。
見方を変えると、第1Rレンズ群と第2レンズ群とを「開口絞りを挟んで対峙」させ、これら双方が持つ正の屈折力のバランスにより、コマ収差をコントロールするという側面もある。
この発明の結像レンズにおいては、第1レンズ群の第1Fレンズ群を「像側が凹面である第1負レンズと物体側が凸面であるメニスカス形状の第2負レンズ」で構成することにより、特定の面で過大な収差が発生するのを防ぎ、レンズ系全体として非点収差等をより良好に補正することを可能としている。
しかしながら、このように第1Fレンズ群を「像側が凹面である第1負レンズと物体側が凸面であるメニスカス形状の第2負レンズ」で構成した場合、第1負レンズの像側面と第2負レンズの物体側面が「同じ符号の曲率」を有するため、画角外の光源からの光線がこれらの面で反射して「明るいゴースト」を発生させやすい。
特許文献1に開示された結像レンズの、例えば実施例5では、第1負レンズの像側面と第2負レンズの物体側面による反射が、画角外光源の明るいゴーストを発生させやすい可能性がある。
即ち、上記実施例のレンズでは、第1負レンズの像側の凹面の傾斜角が大きいため「反射防止膜の均一な蒸着」が困難となり、この凹面での反射率が大きくなると考えられる。
また、第2負レンズの物体側の凸面では画角外光線の入射角が鈍角となるため反射率が高くなる。従って、これら凹面・凸面での「画角外光線の対する高い反射率」が、明るいゴーストを生成しやすい。
この発明においては、画角外の光源からの光線が第1負レンズの第2面(像側面)と第2負レンズの第1面(物体側面)とによる「画角外光源からの光線の反射光」が、有効像面領域(具体的には撮像素子の受光面)に入射しないようにするため、前記条件:(1)が満足されるようにする。
即ち、第1負レンズの第2面と第2負レンズの第1面で反射した「画角外光源からの光が、第1Rレンズ群や第2レンズ群に入射しないようにする。この目的のためには、第1Fレンズ群と第1Rレンズ群との間の空気間隔:A_1F-1Rを大きくすることが有効であるが、空気間隔:A_1F-1Rが、条件(1)の上限を超えるほどに大きくなると、結像レンズ系の全長が長くなり大型化してしまう。また、径方向の大型化を抑制するために、第1Fレンズ群のパワーを強くすると、軸外収差の補正等が困難になる。
条件(1)の下限値を超えると、第1負レンズの第2面と第2負レンズの第1面とによる「画角外光源からの光線の反射光」が第1Rレンズ群や第2レンズ群に入射しないようにしつつ、十分な収差補正を行なうことが困難になる。
また、条件(2)の上限値を超えると、第2負レンズの負のパワーが第1負レンズのパワーに対して相対的に弱くなり、条件(1)を満足する空気間隔:A_1F-1Rをもってしても、第1負レンズの第2面と第2負レンズの第1面での反射光によるゴーストや、第1負レンズの第2面と「第2負レンズの第2面」での反射光によるゴーストが発生しやすくなり、十分な収差補正をしつつゴーストを回避することが困難になる。
条件(2)の下限値を超えると、第2負レンズのパワーが、第1負レンズのパワーに比して大きくなりすぎ、特定の面で発生する過大な収差を含む全系の収差を、全体として十分に補正することが困難になる。
倍率色収差等を低減するためには、上記の条件(1)、(2)に加えて、第1Fレンズ群のレンズ材料のアッベ数:νldが、以下の条件:
ν1d>60
を満足することが好ましい。
第1Fレンズ群の負レンズ(第1負レンズ・第2負レンズ)は、軸外光が分離して通るため、倍率色収差を「どの像高においても低減する」ためには低分散な光学材料が必要である。
色収差のより良好な補正には、第1Fレンズ群の負レンズ(第1負レンズ・第2負レンズ)の材料の以上分散性:Δθg,F(アッベ数:νdを横軸,部分分散比:θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)を縦軸としたグラフにおいて、硝種:K7(株式会社オハラ硝種名:NSL7)と硝種:F2(株式会社オハラ硝種名PBM2)を結ぶ直線を標準線とするとき、当該硝種の標準線からの偏差。ng,nF,nCはそれぞれ,g線,F線,C線に対する屈折率))が、以下の条件:
Δθg,F > 0.025
を満足するのが好ましい。
第1レンズ群の負レンズ(第1負レンズ・第2負レンズ)を、この条件を満足する特殊低分散ガラスで構成することにより、色収差の2次スペクトルを効果的に低減し、より良好な補正状態を実現できる。
請求項2における条件(3)は、高性能を実現しつつ「画角外の光源による明るいゴーストの発生を抑える」条件であり、上限値を超えると、第1負レンズの第2面の凹面の光軸から高い位置でレンズ面の傾斜角が大きくなり、反射率が高くなって明るいゴーストを発生し易い。
条件(3)の下限値を超えると、第2負レンズのパワーが大きくなりすぎ「特定の面で発生する過大な収差」を、全体として十分に補正することが困難になる。
請求項3における条件(4)は、結像レンズの性能を高性能に保ちつつ、画角外の光源による明るいゴーストをより有効に抑制する条件である。
条件(4)の上限値を超えると、第1負レンズの第2面である凹面の、光軸から高い位置でレンズ面の傾斜角が大きくなって反射率が高くなり、明るいゴーストを発生しやすい。また、下限値を超えると、第2負レンズのパワーを第1負レンズのパワーに対して相対的に大きくする必要を生じ、特定の面で過大な収差を発生しやすくなり、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になる。
より良好には、請求項4における条件(5)を満足することが好ましい。
条件(5)の上限値を超えると、第1負レンズの第2面の曲率が「第2負レンズの第1面の曲率」に対して相対的に大きくなり、第1負レンズと第2負レンズの間隔が大きくなるため、請求項1の条件(1)、(2)を満足させつつ「第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の空気間隔を確保する」のが困難になり、収差補正を十分に行いつつ第1Fレンズ群内で発生するゴースト光の回避が困難となる。
また、条件(5)の下限値を超えると、第2負レンズのパワーを「第1負レンズのパワーに対して相対的に大きくする」必要が生じ、特定の面で過大な収差を発生し易く、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になる。
高性能を実現するには、請求項5のように「第2負レンズに非球面を採用する」のがよい。第2負レンズにおいて「曲率の大きな像側面(第2面)を非球面とすることにより、歪曲収差の補正に大きな効果が得られる他、コマ収差等を補正する役割を持たせることもできる。
第1負レンズに非球面を採用してもよいが、第2負レンズの方が小径であるので、コストダウンを望める。
また、結像レンズを小型化する観点からは、請求項6のように、第1Rレンズ群を「正レンズ1枚のみ」で構成することが好ましい。また、第1Rレンズ群の正レンズは「高屈折・率低分散」の光学材料を用いることが好ましい。高屈折率光学材料を用いることにより、第1Rレンズ群を正レンズ1枚のみで構成しても過大な収差を発生させなくてすむ。さらに、低分散な光学材料を用いることで、軸上色収差・倍率色収差を全体として十分に補正することが可能になる。なお、より好ましくは、ndは第1Rレンズ群の正レンズの屈折率:nd、第1Rレンズ群の正レンズのアッベ数:νdが条件:
1.7<nd<1.9
35<νd<55
を満足するようにするのがよい。
小型・高性能の観点からは、
請求項1における条件(1)にするためには、第1負レンズと第2負レンズの空気間隔:A_1-2、第1レンズ群の全長:D_1が、条件:
(1A) 0.05<A_1-2/D_1 <0.3
を満足することが好ましい。
条件(1A)の下限値を超えると、第1負レンズと第2負レンズの空気間隔が小さくなりすぎて、第1負レンズの第2面が「有効なパワー」を持つことができず、第2負レンズのパワーが第1負レンズのパワーに対して相対的に大きくなりすぎるため、特定の面で過大な収差を発生しやすく、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になり、上限値を超えると、第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の間隔を確保することが困難になるため、第1Fレンズ群内での反射光によるゴーストを回避しつつ、結像レンズ全体として収差を十分に補正することが困難になる。
請求項1のように、第2レンズ群を「物体側から順に、第1の正レンズ、第1の負レンズ、第2の負レンズ、第2の正レンズを連続して配設した第2Fレンズ群」と「少なくとも1枚のレンズからなる第2Rレンズ群とで構成することにより、高性能を実現できる。
この場合、第2Fレンズ群は主要な結像作用を担い、収差補正上も最も重要なレンズ群である。第2Fレンズ群は「屈折力配置が正・負・正のいわゆるトリプレットを基本」とし、中央の負の屈折力を第1および第2の負レンズに2分割して「正・負・負・正」の4枚構成としている。
開口絞りが第2Fレンズ群の物体側に配置されることから、第1の正レンズ・第1の負レンズのペア」と「第2の負レンズ・第2の正レンズのペア」とで「軸外光線の高さ」が異なるので、これを利用して軸上色収差と倍率色収差の双方を有効に低減させることができる。
さらに、第2の負レンズの自由度を利用して「コマ収差の色差を低減する」ことも可能となった。
第2Rレンズ群には「収差のバランス取りと射出瞳距離のコントロール」の役目を持たせている。第2Rレンズ群に正の屈折力を持たせれば「射出瞳距離の確保」に効果があることは言うまでもないが、射出瞳距離が短くても良い場合には、第2Rレンズ群に負の屈折力を持たせ「レンズ全長の短縮」に寄与させることも可能である。
第2Fレンズ群が、正・負・負・正の4枚のレンズで構成され、設計上十分な自由度を有するため、第2Rレンズ群は簡単な構成でも十分であり、結像レンズの小型化のためには1枚構成とするのが適当である。
また、第2Rレンズ群に非球面を設けることにより、主としてコマ収差をより良好に補正できるようになる。
なお,第1Fレンズ群と第2Rレンズ群の非球面はこれらをともに設けることにより「互いに収差補正の役割を補完し合い、より効果的に働かせる」ことが好ましい。
上記の如く、この発明によれば、半画角:38度程度の広角、Fナンバ:2.0程度以下の大口径で比較的小型で、画角外の光源による明るいゴーストを発生することのない結像レンズを実現でき、さらに、非点収差や像面湾曲、倍率色収差、コマ収差の色差、歪曲収差等を十分に低減して1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じず、直線を直線として歪みなく描写可能な高性能の結像レンズを実現でき、かかる結像レンズを用いた小型・高性能のカメラ装置・携帯情報端末装置を実現できる。
結像レンズに関する実施例1の光学配置図である。 結像レンズに関する実施例2の光学配置図である。 結像レンズに関する実施例3の光学配置図である。 結像レンズに関する実施例4の光学配置図である。 実施例1にかかる結像レンズの無限遠物体における収差曲線図である。 実施例2にかかる結像レンズの無限遠物体における収差曲線図である。 実施例3にかかる結像レンズの無限遠物体における収差曲線図である。 実施例4にかかる結像レンズの無限遠物体における収差曲線図である。 実施例1にかかる結像レンズの第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示し、破線は入射角:20度、実線は入射角:30度である。 実施例2にかかる結像レンズの第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示し、破線は入射角:10度、実線は入射角:15度である。 実施例3にかかる結像レンズの第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示し、破線は入射角:15度、実線は入射角:20度である。 実施例4にかかる結像レンズの第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示し、破線は入射角:30度、実線は入射角:35度である。 携帯情報端末装置の1実施形態を示す外観図であって、(A)は正面側斜視図、(B)は裏面側斜視図である。 携帯情報端末装置のシステム構造例を示すブロック図である。
図1〜図4に、結像レンズの実施の形態を4例示す。これらの実施の形態は、具体的には、それぞれ後述する実施例1〜4に関するものである。混同の恐れは無いと思われるので、これら図1〜図4を通じて同一の符合を用いる。
図1〜図4に示す結像レンズは、開口絞りSと、この開口絞りSの物体側(図1〜図4の左方)に配置される第1レンズ群Iと、開口絞りの像側(図1〜図4の右方)に配置される第2レンズ群IIとで構成される。
また、第1レンズ群Iは、物体側から順に、第1Fレンズ群1Fと、正のパワーを有する第1Rレンズ群1Rとが、第1レンズ群I中で「最も広い空気間隔」を隔して配置され、第1Fレンズ群1Fは、像側が凹面である第1負レンズL1を物体側に、物体側が凸面のメニスカス形状である第2負レンズL2を像側に配してなる。
また、第1Rレンズ群1Rは1枚の正レンズ(両凸レンズ)で構成されている。
開口絞りSの像側に配置された第2レンズ群IIは、「物体側に第2Fレンズ群2F、像側に第2Rレンズ群2Rを配して構成され、第2Fレンズ群は「物体側から像側へ向かって順次、正レンズ・負レンズ・負レンズ・正レンズの4枚を配して構成」され、第2Rレンズ群2Rは「1枚のレンズ」で構成されている。第2Fレンズ群2Fを構成する4枚のレンズのうち、物体側の正レンズ・負レンズの2枚は接合され、像側の負レンズ・正レンズの2枚も接合されている。
これら図1〜図4に実施の形態を示す結像レンズは、後述の実施例1〜4に示すように、条件(1)〜(5)を満足する。
図1〜図4において、第2Rレンズ群2Rの像面側に配設される平行平板Fは、光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、CCDセンサ等の撮像素子のカバーガラス(シールガラス)を想定して一枚の平行平面板として示したものである。
図13は「携帯情報端末装置」の実施の1形態を説明するための図である。
図13(A)は正面側と上部面とを示し、図13(B)は背面側を示す。
携帯情報端末装置は、結像レンズ1(以下、「撮影レンズ1」と言う。)として、上に説明した請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズ(具体的には後述の実施例1〜4の適宜のもの)を有する。
図14は「携帯情報端末装置」のシステム構成を示す図である。
図14に示すように、装置は撮影レンズ1と受光素子(撮像素子)13を有し、撮影レンズ1によって形成される撮影対象物の像を受光素子13によって読取るように構成されている。
受光素子13からの出力は中央演算装置11の制御を受ける信号処理装置14によって処理されてデジタル情報に変換される。即ち、携帯情報端末装置は「撮影画像をデジタル情報とする機能」を有している。
デジタル情報化された撮影画像は、中央演算装置11による制御により、液晶モニタ7に表示することができ、また、半導体メモリ15に記憶させることができる。また、通信カード等16を介して外部に通信して送ることもできる。
この通信カード等16による通信機能を除いた部分は、携帯情報端末装置における撮影機能部である「カメラ装置」を構成する。
以下に結像レンズの具体的な実施例を4例示す。全実施例において最大像高:4.90mmである。半画角:ωは、実施例1において39.0度、実施例2において39.1度、実施例3において39.1度、実施例4において39.1度である。
図5〜図8に順次、実施例1〜4に関する収差図を示す。
これらの図において、球面収差の破線は正弦条件を表し、非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。「d」はd線、「g」はg線に対する収差曲線図である。
収差図に示すように、各実施例は、収差が高いレベルで補正され、球面収差、軸上色収差は問題にならないほど小さい。非点収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されていることも図5〜図8に示す収差図より明らかである。
即ち、これら図5〜図8に示すように、各実施例とも、コマ収差やその色差の乱れも最周辺部まで良く抑えられており、歪曲収差も絶対値で2.0%以下となっている。従って、半画角:38度程度と広角で、Fナンバ:2.0程度以下と大口径でありながら、非常に良好な像性能を確保できている。
また、図9〜図12は、各実施例にかかる結像レンズにおいて、第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面の反射光に対する光線追跡結果を示している。これらの図は、上に説明したように、「破線で示す入射角の小さい光線」と、「実線で示す入射角のより大きい光線」の追跡結果を示しているが、これらの光線は、何れも「入射角が半画角内の光線」であり、第1負レンズの第2面と、第2負レンズの第1面で反射して受光領域に到達するが「明るいゴーストとして目立つ」ことは無い。
そして、実線で示す追跡結果は、上記反射光が受光領域に到達する「入射角の限界」を示しており、入射角が実線のものよりも大きくなり、特に画角外のものとなったときには、上記各面による反射光は第1Rレンズ群に入射せず、受光領域に到達することが無い。従って「画角外光源からの光による明るいゴースト」は発生しない。
実施例における各記号の意味は以下の通りである。
f:全系の焦点距離
F:Fナンバ
ω:半画角
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
「非球面」は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、円錐乗数:k、上記各非球面係数を用いて、周知の次式で表現される。
X=CH2/[1+√(1-(1+K)C2H2)]
+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10+A12・H12+A14・H14+A16・H16+A18・H18
「実施例1」
f=6.02 F1.81
実施例1のデータを表1に示す。
Figure 0005298871
「非球面」
非球面は上記表中において「*印」を付した面である。以下においても同様である。
第4面
K=-0.45000,A4=-3.25734E-04,A6=-9.32912E-06,A8=7.29745E-08,
A10=-6.48034E-09
第14面
K=-2.92559E-04,A4=2.21131E-06,A6=-1.61322E-07,A8=2.26618E-09
上の表記において例えば「2.26618E-09」は「2.26618×10-9」を意味する。以下においても
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表2に示す。
Figure 0005298871
「実施例2」
F=6.00 F1.80
実施例2のデータを表3に示す。
Figure 0005298871
「非球面」
第4面
K=-0.40000,A4=-4.07064E-04,A6=-9.23532E-06,A8=-7.96701E-08,
A10=-3.61167E-09,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
K=0.0,A4=-3.58070E-04,A6=5.60374E-07,A8=-1.61334E-07,
A10=1.41953E-09
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表4に示す。
Figure 0005298871
「実施例3」
f=6.00 F1.90
実施例3のデータを表5に示す。
Figure 0005298871
「非球面」
第4面
K=-0.40000,A4=-3.72757E-04,A6=-5.62333E-06,A8=-2.23363E-07,
A10=-7.20448E-10,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
A4=-3.07134E-04,A6=2.41618E-06,A8=-1.97489E-07,
A10=2.81138E-09 。
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表6に示す。
Figure 0005298871
「実施例4」
f=6.00 F1.99
実施例4のデータを表7に示す。
Figure 0005298871
「非球面」
第4面
K=-0.40000,A4=-4.16841E-04,A6=-9.42561E-06,A8=-1.58154E-07,
A10=-3.26524E-09,A12=-3.61500E-11,A14=2.19580E-14,A16=8.93836E-15,
A18=-1.95337E-15
第14面
A4=-2.85929E-04,A6=1.93947E-06,A8=-1.43395E-07,
A10=2.11542E-09 。
「条件式のパラメータの値」
条件式のパラメータの値を表8に示す。
Figure 0005298871
I 第1レンズ群
II 第2レンズ群
1F 第1Fレンズ群
1R 第1Rレンズ群
S 絞り
2F 第2Fレンズ群
2R 第2Rレンズ群
特開2006−349920号公報

Claims (9)

  1. 開口絞りと、この開口絞りの物体側に配置される第1レンズ群と、上記開口絞りの像側に配置され正のパワーを有する第2レンズ群とで構成され、
    上記第1レンズ群は、物体側から順に、第1Fレンズ群と、正のパワーを有する第1Rレンズ群とが、上記第1レンズ群中で最も広い空気間隔を隔して配置され、
    上記第1Fレンズ群は、像側が凹面である第1負レンズを物体側に、物体側が凸面のメニスカス形状である第2負レンズを像側に配してなり、
    上記第1Fレンズ群と第1Rレンズ群の空気間隔:A_1F-1R、上記第1レンズ群の全長:D_1、上記第1負レンズの焦点距離:f1_1、上記第2負レンズの焦点距離:f1_2が、条件:
    (1) 0.5 < A_1F-1R/D_1 < 0.7
    (2) 0.4 < f1_2/f1_1 < 0.8
    を満足し、且つ、開口絞りの像側に配置される第2レンズ群が、物体側に第2Fレンズ群、像側に第2Rレンズ群を配して構成され、
    上記第2Fレンズ群が、物体側から像側へ向かって順次、正レンズ・負レンズ・負レンズ・正レンズを配して構成され、
    上記第2Rレンズ群が、少なくとも1枚のレンズで構成されることを特徴とする結像レンズ。
  2. 請求項1記載の結像レンズにおいて、
    第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの像側面の曲率半径:R22が、条件:
    (3) 0.4 < R22/R12 < 0.8
    を満足することを特徴とする結像レンズ。
  3. 請求項1または2記載の結像レンズにおいて、
    第1Fレンズ群の第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、この像側面における最大光線高さ:H12が、条件:
    (4) 0.5 < H12/R12 < 0.8
    を満足することを特徴とする結像レンズ。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
    第1Fレンズ群の、第1負レンズの像側面の曲率半径:R12、第2負レンズの物体側面の曲率半径:R21が、条件:
    (5) 0.2<(R21-R12)/(R21+R12)<0.4
    を満足することを特徴とする結像レンズ。
  5. 請求項1〜4の任意の1に結像レンズにおいて、
    第1Fレンズ群の第2負レンズが非球面を有することを特徴とする結像レンズ。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
    第1レンズ群における第1Rレンズ群が、正レンズ1枚で構成されていることを特徴とする結像レンズ。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズを有するカメラ装置。
  8. 請求項7記載のカメラ装置において、
    撮影画像をデジタル情報とする機能を有することを特徴とするカメラ装置。
  9. 請求項8のカメラ装置を撮影機能部として有する携帯情報端末装置。
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