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ヤマハ・VMAX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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VMAX(ブイマックス)とは、ヤマハ発動機が製造販売するオートバイ大型自動二輪車)。1985年に発売された1200ccクラスの第1世代と、2008年に発売された1700ccクラスの第2世代の二つのモデルがある。

モデル一覧

VMAX1200

初代モデル (3UF)
1989年式カナダ仕様(2LT)
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
車体型式 1FK,2LT,3UFほか
エンジン 1,198 cm3 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 76.9 mm × 66.0 mm / 10.5:1
最高出力 103kW 140PS/8,500rpm
最大トルク 11.7N・m 12.0kgf・m/7,500rpm
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正式呼称はVMX12である。車体種別はネイキッドタイプともアメリカンタイプともとれない独特なもの。エンジンはヤマハ・ベンチャーロイヤル水冷4ストローク70°V型4気筒DOHC1,198ccをベースに、新機構Vブーストシステムが組み込まれた。 GKダイナミクスによるマッチョなフォルムから0mphからの発進加速での速さを競い合うドラッグレース、アメリカンなモータースポーツに参加する競技車両を彷彿させる、それまでに無かった独特の魅力を醸し出す。発表当時、その加速力はポルシェをも凌ぐと言われ、ドラッグレースの距離0?1/4マイル(約402m)までの到達時間は10秒台に到達する実力を誇った。 発売からすでに30年以上経ったものの、日本の大型オートバイ市場の中でも根強い人気を保っている。また燃料タンク(本物はシートの下)や両サイドに張り出したエアダクトはダミーという、奇抜なデザインも人気になった。

アメリカのハーレー乗りが「クール」と認める唯一の和製アメリカンとも言われている[1]

Vブーストシステム

この車両最大の特徴は、Vブーストシステムと呼ばれる装置を搭載していたことであった。エンジンの回転数が6,000回転を超えた辺りからキャブレター下部にある、インテークマニホールドの前後を繋ぐバタフライバルブが開き始めて8,500回転で全開となり、1気筒当たりツインキャブ(2つのキャブレターが連結された状態)に変化し、高回転時のみ大口径キャブレターを装着した状態を作り出し、多量の混合気をシリンダー内に積極導入する仕組みである。実際、6,500回転あたりから豹変する強烈な吹け上がりは、当時の量産市販車世界最大の出力であった145psを実感させるに十分なものであった。最大145ps/9000rpm、12.4kg-m/7500rpmを発生し、「重量級の車体と脅威の加速力、Vブースト」がVMAXを表す言葉としてピッタリなものとなった。

輸出仕様

1985年より輸出車として製造されていたが、国内仕様の発売まで逆輸入車として販売され、バブル期の好景気も相まって相当数の個体が日本に出戻っている。 多数を占めるカナダ仕様の他、アメリカ仕様、ブローバイガス還元装置の付いたカリフォルニア仕様、ヨーロッパ仕様、高年式車では南アフリカ仕様がある。 カラーリング変更や細かな部分の年次改良は多岐にわたる。

  • 1985年、初期型の発売開始。最初期型のみ前後5本スポークのキャストホイール。エンジン形式には北米仕様の1FK、ブローバイ対策の付いたカリフォルニア仕様の1JH、カナダ仕様の1GRが用意された。
  • 1986年、マイナーチェンジ。リアホイールがディッシュタイプとなり、リアシートのデザインが変更される。欧州仕様(2EN)の輸出を開始(Vブースト無し、100ps/11.7kg-m)。
  • 1987年、北米仕様のマイナーチェンジ。前後ディッシュホイールに変更。
  • 1989年、欧州仕様のホイールがディッシュタイプに変更される。年式・仕向地によって型式・詳細な諸元が異なるが、この年式までのカナダ仕様が最も高出力と言われている。
  • 1990年、国内仕様の販売開始に併せ、点火時期の進角方式がアナログ式からデジタル式に変更され、ステアリング周りのメッキ処理などの変更を受ける。
  • 1991年、欧州仕様、騒音規制強化により出力が下がり(95.2ps/10.3kg-m)、ドライブシャフトのピニオンギアが国内仕様と同一になる。
  • 1993年、フロントフォークの大容量化、ブレーキの大径化などの変更を受ける(中期型)。
  • 1995年、オイルエレメントがカートリッジ式に変更となる。
  • 1998年、シフトドラムが改良される。
  • 2001年、フロントフォークにインナーチューブガードが採用される。同年4月1日以降の生産された個体は日本の排ガス規制の適合を受けることとなった為、一時輸入販売が途絶える。欧州仕様、ドライブシャフトのピニオンギアが他の輸出仕様と同一になる。
  • 2003年、北米仕様が現地の排ガス規制(ARB TIER1)に適合した仕様となり販売が継続される(最終型)。点火方式がCDIからTCI式に変更され、最高出力が下がる(アメリカ仕様135ps、カナダ仕様140ps)。この仕様が日本の平成10年排ガス規制に適合している事が確認され、再度逆輸入車として販売が開始される。南アフリカ仕様の販売開始。欧州仕様は本年を最後に生産を終了している。
  • 2004年、燃料蒸発ガス排出抑止装置(チャコールキャニスター)が装備される。
  • 2007年、カムプロファイルの変更により、アメリカの排ガス規制(EPA Class3)に適合。このモデルより、全車135psに統一され、ファイナルエディションをもって生産終了。国内仕様を含めた総生産台数は93,196台。

日本国内仕様

1990年に750ccを超えるオートバイの販売が解禁され、その運輸省型式指定第1号である日本国内仕様が販売開始。当時、上限100馬力の自主規制がなされた事からVブーストは搭載されず98ps/11.3kg-mにデチューンされ、側方反射板がない等の差異を持って販売が開始された。数値上はパワーダウンされてはいたが、キャブレターやファイナルギア比などに低中速域での加速を重視したセッティングがなされ、ストップ&ゴーの多い日本の道路事情では6000rpmからしか作動しないVブーストシステム搭載モデルよりもむしろ使い勝手が良かった。 さらに国内仕様に後付でVブーストシステムを搭載するキットや、本来バルブで開閉するバイパス部分を常時開いたままにさせるフルタイムVブーストシステムなどがリリースされ、国内仕様を輸出仕様以上に仕上げることも可能となった。

  • 1990年、国内仕様の販売開始。型式3UF。
  • 1993年、輸出仕様と同様、フロントフォーク及びブレーキ周りに大規模な変更を受ける。また、ヘッドライトが常時点灯となり、ハザードスイッチ付となる。
  • 1995年、輸出仕様と同様にオイルエレメントが変更され、シートベルトが廃止される。
  • 1999年、国内仕様最後のマイナーチェンジ。自動二輪車にも排ガス規制が適用される事となり、平成10年排ガス規制に適合しない継続生産の猶予期間である2000年に生産終了。国内仕様の生産台数は4,165台で、総生産台数の僅か22%と少数である。

VMAX (RP22J)

2代目モデル (RP22J)
Paris - Salon de la moto 2011
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
車体型式 EBL-RP22J
エンジン P626E型 1,679 cm3 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 90.0 mm × 66.0 mm / 11.3:1
最高出力 147.2kW 200PS/9,000rpm
最大トルク 166.8N・m 17.0kgf・m/6,500rpm
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VMAXは長い間モデルチェンジを受けることなく販売され続けていたが、近年は各地のモーターショーでプロトタイプが展示されていたことから新型の発売が期待されるようになり、2008年6月5日に23年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型の日本国外仕様が発表された。

新型VMAXは完全新設計で、車体やエンジンの構造などは同社のスーパースポーツであるYZF-R1の技術を応用して設計されている。エンジンは初代と同じV4ながら65°に変更され、排気量は1679ccに増大されており、フューエルインジェクションが装備されたため最大の特徴であったVブーストシステムは廃止になったが、その替わりとして吸気系統の部品であるファンネルの長さを可変させる YCC-I を搭載させ、出力は200ps(147kw)と大幅に増強された。

初代の弱点とされた車体構造も見直され、オールアルミフレームに52mmフロントフォークを装備させ、ブレーキもABS仕様となっている。ただし剛性確保のため車両重量は310kgと、さらに大柄となった。

ヤマハ発動機は日本国内規制に適応する仕様も開発し、2009年4月20日に19年ぶりに発売。車体構成は日本国外仕様とほぼ同じだが、自動車排出ガス規制加速騒音規制に対応すべく、エンジン出力を低減したほか、サイレンサーの口径も小さくさせ、二重パイプを採用した。これらの事から日本国内仕様の出力は、日本国外仕様の最大値である200psより低下したものの、初代の日本国外仕様を上回る151psを確保し馬力規制撤廃後のオートバイにおいて最大の出力となる数値となった。なお、日本国内仕様は、180km/h以上の速度を出せない仕様となっている。

国内仕様の新車販売は、車両の取り扱いなどに関するメーカーの研修を受けた者(VMAXアドバイザーと呼ばれる)が在籍し、尚且つ諸々の条件(店舗の面積、清潔感、整備施設、立地条件、過去のヤマハ車取り扱い実績、など)をクリアしたVMAX取扱店(ほぼ正規販売店のYSPのみ)に限られている。また、販売契約の成立を条件にメーカーから出荷されるため、VMAX取扱店であっても新車が在庫として店舗に並ぶことはない。これは販売店の判断で極端な値引きを行う、新古車として販売されるなど、ブランドイメージの低下を防ぐためである。このため、実車に触れる機会を提供するべく、メーカーおよび販売会社主催で試乗会や展示会が開かれることがある。また、購入後3年間は定期点検、油脂類の交換やロードサービスが無料で受けられる、1年間の盗難保険が付帯する等、最高級車種としての差別化が図られている。

なお逆輸入車については、初代モデルより日本国内販売を行なってきた販売店のプレストコーポレーションが「平成20年9月から適用された排出ガス基準強化規制と騒音規制の可否確認が取れない」という理由で逆輸入を行わないことを公表したが、のちに他の並行輸入業者(http://www.lirica.co.jp/) が日本国外仕様車両でも日本国内における規制への適合が行えることを確認したため[要出典]、新型VMAXの逆輸入車も日本国内で販売されることになった。

脚注

  1. ^ 渡辺敏史『近頃のバイク馬鹿読本』ネコ・パブリッシング
  2. ^ YAMAHA・EU VMAX(2011年11月7日時点のアーカイブ

関連項目

  • ヤマハ・FZX
  • 人造人間ハカイダー - 作中でハカイダーが搭乗するバイク「ギルティ」のベース車。
  • 仮面ライダークウガ - 作中でクウガが乗るバイク「トライゴウラム」、「ビートゴウラム」、「ライジングビートゴウラム」のベース車。
  • Fate/Zero - 作中でセイバーが乗るバイクとして初代モデルが登場している。
  • ゴーストライダー2 - 作中でジョニー・ブレイズ役のニコラス・ケイジが駆るバイクとして2代目モデルが登場している。
  • スプリガン - 作中で主人公・御神苗優が日常の足として愛用するバイクとして登場している。
  • ファイナルファンタジーVII - ゲーム中でクラウドが神羅ビルから脱出する時に乗るバイク、ハーディ=デイトナのベース車

外部リンク