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800MHz帯

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800MHz帯(はっぴゃくメガヘルツたい)は、およそ 770~960MHz の周波数範囲の周波数帯である。波長は、35cm程度である。ゴールデンバンド[1]やプラチナバンド等と呼ばれる。

用途

主に、ワイヤレスマイク携帯電話自動車電話 (UMTS800/850、GSM850/900、CDMA850、NTTドコモKDDI/沖縄セルラー電話au)) 、MCA無線パーソナル無線無線IDタグFPUSTLに使われている。米国では、FCCが1974年に、セルラー電話用に割り当てて、1983年の商用サービス以来、今日でも携帯電話に使われている帯域である。

歴史

  • 1970年代以前 固定多重無線等に利用。
  • 1970年 800MHz帯アナログ自動車電話方式の開発開始。
  • 1974年 米国連邦通信委員会(FCC)が800MHz帯をセルラーバンドとして携帯電話用に割り当てる。2事業者枠で当初、片側10MHz、両側で20MHzの設定。
  • 1975年 800MHz帯の実現性を確認
  • 1976年 電電公社が800MHz帯アナログ自動車電話方式を実用化。
  • 1979年 世界初のアナログ自動車電話サービスを電電公社が開始(下り860~885MHz、上り915~940MHz)。
  • 1982年 MCA無線サービス開始(下り850~860MHz、上り905~915MHz)。パーソナル無線許可(903~905MHz)。
  • 1986年 NTTが航空機公衆電話サービスを開始(下り830~832MHz、上り885~887MHz)。
  • 1987年 日本シティメディアテレターミナルサービスを開始(下り838~843MHz、上り893~898MHz)。MCA無線がナロー化(下り834~838MHz、850~860MHz、上り889~893MHz、905~915MHz)。
  • 1988年 IDO(日本移動通信、現・au)がNTT大容量方式アナログ自動車電話サービスを開始(下り860~870MHz、上り915~925MHz)。NTTがNTT大容量方式アナログ自動車電話サービスを開始(下り870~887MHz、上り925~942MHz)。東京湾マリネットサービス開始(下り832~834MHz、上り887~889MHz)。コンビニエンスラジオフォンサービス開始。
  • 1989年 関西セルラー電話(現・au)がTACS方式アナログ自動車電話サービスを開始(下り860~870MHz、上り915~925MHz)。
  • 1991年 IDOがTACS方式アナログ携帯・自動車電話サービスを開始(下り843~846MHz、860~870MHz、上り898~901MHz、915~925MHz)。
  • 1992年 世界初デジタル携帯・自動車電話サービスとしてドイツGSM900を開始(上り890~915MHz、下り935~960MHz)。
  • 1993年 NTTドコモがPDC方式デジタル携帯・自動車電話サービスを開始(下り810~818MHz、上り940~948MHz)。北米でD-AMPS方式デジタル携帯・自動車電話サービスを開始(上り824~849MHz、下り869~894MHz)。
  • 1994年 IDOがPDC方式デジタル携帯・自動車電話サービスを開始(下り818~826MHz、上り948~956MHz)。
  • 1998年 DDIセルラー電話グループ(現:KDDI/沖縄セルラー電話 auブランド)がcdmaOneデジタル携帯・自動車電話サービスを開始。
  • 1999年 IDOがcdmaOneデジタル携帯・自動車電話サービスを開始。
  • 2000年 NTTドコモがテレターミナルサービスを廃止。周波数は自社のPDC方式デジタル携帯・自動車電話サービスに転用。
  • 2002年 KDDI/沖縄セルラー電話がCDMA 1XCDMA2000)のサービス(Band Class 3、旧800MHz(L800MHz)帯)を開始。
  • 2005年 NTTドコモがW-CDMA方式(FOMAプラスエリア、Band 6)IMT-2000携帯電話サービスを開始。
  • 2006年 KDDI沖縄セルラー電話(au)が新周波数(Band Class 0 Band Subclass 2、新800MHz(N800MHz)帯)の使用を開始。
  • 2008年 空港MCA無線が使用を終了エラー: {{予定}}は廃止されましたので使用しないでください。
  • 2012年3月31日 NTTドコモのmovaが使用を終了予定。
  • 2012年7月22日 KDDI/沖縄セルラー電話(au)が旧800MHz(Band Class 3、L800MHz)帯の使用を終了予定[2]
  • 2012年12月 KDDI/沖縄セルラー電話(au)が、新800MHz帯(Band 18)や1.5GHz帯にて、LTEサービスを開始予定[3]

アンテナ

アンテナの長さは、λ/2アンテナで17cm程度、λ/4アンテナで8cm程度であるので、携帯用の機器への搭載が容易である。もちろん、周波数がさらに高くなればより短くなるので、さらに搭載が容易になるが、電波の飛びが悪くなってくるため、携帯性と電波の飛びの点で(移動体通信において)、最も実用上のバランスが取れているのが、この周波数帯である。

無線回路

以前は、非常に高価なマイクロ波用の部品を使う必要があり、安価に提供することが出来なかった。また、部品形状が大きかったのはもちろん、集中定数回路分布定数回路を組み合わせて構成されるのが普通であったため、大型であった。近年はIC化や部品の小型化が急速に進んだため、安価で小型になった。なお、現在でも周波数が高くなれば高くなるほど部品は高価になるので、この点に関しても最もバランスが取れているのが、この周波数帯である。[要出典]

送受周波数配置

日本では長らく、移動機の送信周波数が受信周波数よりも高い周波数配置であった。これは世界の標準とは逆である。自動車電話を導入する際、自動車電話から送信された送信波が、テレビ受像機に対してイメージ混信を生じさせる可能性があったためである。当時、電電公社と郵政省が伊勢でおこなったフィールド実験では、ほとんど差異はなかったが、安全側に振る判断がされた。当時から、この配置は常識に反する物であったが、当時の関係者の判断で決まった。なお、他国においてもイメージ混信の可能性はあったが、日本に倣うことは無かった。

周波数再編

2012年7月24日までに800MHz帯について、歴史的経緯からばらばらに各社に割り当てられていた周波数を整理して再割り当てが実施されることになっている。

前述のテレビ受像機への干渉対策として上下周波数が逆転している問題も解消され、国際ローミング端末の開発も容易となることが期待される。

同時にauの新800MHz帯に対応しない端末(全てのcdmaOneシリーズおよびCDMA 1X(CDMA2000 1X))シリーズ、ごく一部を除くCDMA 1X WINシリーズの2003年冬モデル~2007年夏モデル、au ICカードを用いない端末)は2012年7月23日以降に使用不可となり[4][5]、movaも2012年3月31日にサービスを終了予定。

また、再割り当て後の周波数帯に干渉する空港無線電話や、mova、auの一部帯域も段階的に停波されており、影響を受けない範囲でFOMAプラスエリアやau新800MHz帯など、再編後の周波数に合わせた運用が順次開始されている。

なお、KDDI/沖縄セルラー電話連合(各au)は、2012年をめどに新800MHz帯にてLTEサービスを行う意向を表明している(新規獲得の1.5GHz帯をサブバンドの位置づけで併せて利用)。ドコモは、FOMAプラスエリアの帯域を拡張し、従来のUMTSバンド6を包括したUMTSバンド19としても利用可能とする予定。

ソフトバンクモバイルの松本副社長(現・取締役特別顧問)及びイー・アクセスのエリック・ガン社長は、この周波数(900MHz帯)の取得に大変強い意欲を見せている(海外では、3GPPが策定したUMTS/LTEのBAND8として使用されている帯域に当たる)。日本では、上り900~915MHz・下り945~960MHzの15MHz幅1ブロック[6]を予定しており、落選した事業者は2015年に割当を検討している700MHz帯を目指すことになるが、ソフトバンクモバイルのみこの帯域に固執しており(すでに見切り発車的に、一部販売済み端末のBand8対応(ただし、現時点では国際ローミング時にのみ利用可能)と基地局の900MHz帯対応工事に着手している)、イー・アクセスは700MHz帯となることもやぶさかではない意向を、2011年8月に総務省に提出した意見書の中で明らかにしているが、意見書公開直後に、900MHz帯を獲得できた場合については、同周波数帯域では世界初となるLTE向けに利用し、MVNO事業者にも利用させる意向を表明している。ドコモ・KDDI/沖縄セルラー電話も、いずれかの領域の一方の獲得意向で検討しており、どちらかの周波数帯に固執する考えは無い模様。ただし、日本における700MHz帯の配置は難航しており、諸外国とのハーモナイズを重要視した場合は、2社にのみ割当可能性もあるとし、900MHz帯を含めた応募事業者の中から落選する事業者も出てくる可能性もあるとしている。2011年12月時点で、総務省が、700MHz帯全体で最低30MHz幅×2分は確保できる見込みとしており、10MHz幅×2を3ブロックにして900MHz帯に落選した3事業者すべてに割り当てるか、15MHz幅×2を2ブロックとして2事業者に割り当てるかなど、ハーモナイズや帯域幅が増やせる可能性を含めた具体的なブロック区分けを今後検討する方針としている。

2012年1月27日に、900MHz帯の申請を締め切り、4グループとも申請を提出したが、イー・アクセスについては、以前公表してきた当初からLTE向けにすべて利用する方針を覆す形で、当初利用可能な5MHz幅×2分を差当W-CDMA/HSPA+向けに利用し、2015年に利用可能となる残り10MHz幅×2をLTE向けに利用する計画を公表した。ソフトバンクモバイルは、従来の公表どおり、当初の5MHz幅×2分をW-CDMA/HSPA+向けとして、1.5GHz帯を利用できないiPhoneなどの帯域逼迫対策に利用することを明らかにしている。エヌ・ティ・ティ・ドコモおよびKDDI/沖縄セルラー電話は、当初からいずれもLTEで利用するとしている。

関連項目

脚注

外部リンク