先回、日本画家、長谷川朝風のはがき絵を紹介しました。
サラっと描いた物ですし、あまりにも小さいので、本来の絵画はどのようなものか、今一つ分かり難かったと思います。
そこで、今回の品です。
全体、63.8㎝x143.0㎝、本紙、45.2㎝x50.5㎝。昭和30年1月。
長谷川朝風(はせがわちょうふう、明治三四(1901)年ー昭和五二(1977)年):岐阜県生れ。日本画家。名は慎一。安田靱彦に師事。院展を中心に活躍。俳人としても知られる。
厳寒の陸奥、鄙びた温泉を描いた作品です。
中心になるのは馬。
何ともやさしい筆致です。
孫の手を引くおばあさん、先に家路を急ぐのは兄でしょうか。
視点は、歩いていく人とともに山奥へ。
雪に埋もれた山里を、温もりにあふれた情感で描いた作品ですね。
本人の箱書によると、
この絵は、院展出品作を縮小して描いたものです。
図録を繰ってみると、
昭和21年の院展出品作のようです(図録掲載品は草稿)。
作者、長谷川朝風は、故玩館脇の輪中堤を南東へ5㎞、墨俣一夜城近くの出身です。今は、地元でも知る人は少なくなりました。