コロナウイルスに負けないぞシリーズも、はや9回目。ここ何回かは、外国の力を借りてのコロナ撃退でした。ネタが尽きて来たので、今回も、苦しい時の外国頼みでいきます(^^;)
ニュージーランド(Aotearoa,アオテアロア)の先住民、マオリ(Maori)の木彫、テコテコ(Teko teko)です。マオリ語はなじみが薄いですが、ローマ字読みでOKですから、発音はいたって簡単です。
テコテコは、建物の屋根の上などに立って前庭を見渡し、訪問する人をチェックします。良い訪問者であれば、その人を守るのです。もちろん、コロナはシャットアウト(^.^)
高さ 38㎝、30.5㎝、25.5㎝
テコテコ(または、テコ)は、木彫の人像(人に似た像)です。
これは、Iwi(イゥイ、部族)の祖先を表しているといわれています。
マオリ社会はイゥイ社会です。いくつかのイゥイがあり、皆、どれかに属していることになっています。しかし、マオリは最もうまく西洋に順化した先住民だと言われているように、ほとんどが都市部にすみ、独自のスタイルはすたれ、白人(Pakeha、パケは)と同じ生活をしています。白人との混血がすすみ、マオリとしての意識も低下しています。現在、ニュージーランド各地で、マオリの伝統文化にふれる事ができますが、すべて観光用のものです。
しかし、20世紀後半、衰退する一途のマオリ文化を再興しようとする動き(マオリ ルネッサンス)が、ニュージーランド全土で興ってきました。
木彫もその一つです。マオリの建物は、かつて、見事な彫刻で装飾されていました。その技術は消えかかっていたのですが、1967年、有名な観光地、ロトルアにマオリ美術工芸学校が設立され、マオリ彫刻を担う若者を育成するようになりました。
今では、街のショップで、たくさんのマオリ彫刻が売られています。奇っ怪な顔に貝の目、そして表面は綺麗に仕上げてあるが普通です。
3つのテコテコを、大きい順に紹介します。
左端の一番大きな品です。典型的なテコテコです。製作地不明。
裏側も手抜きがありません。
横から見ても様になります。
人智を超えた力を秘めているような・・・
鑿の運びはするどいです。日本の木彫作家のように、鑿跡をしっかり残してあるのも、マオリ彫刻では珍しい。
やはり、作家の品でした。しかも、今となってはかなりの初期作。作品に力があります。
真ん中のテコテコです。
顔に入れ墨が入ったマオリの男性像です。
らしい模様が入っていますが、彫りがあまい。
後ろもおざなり。表面はつるつるに磨かれています。
後頭部に張り紙が・・・Hand Curved in Rotorua, New Zealand. Timber: Matai
ロトルアで作られた典型的なお土産品ですね。マタイ(Matai)は黒松の一種、カウリ(Kauri)とともに、ニュージーランドの木工品の代表的素材です。
最後の品です。
小さいですが、これまでの2つとは雰囲気が違います。
裏側も全く同じ彫り。
表裏がないのですね。台は、後からつけたもの。
素朴な彫りです。表面仕上げも無し。素人が彫ったものか?
一部、虫食いや朽ちがみられます。
頭から伸びているネジは何でしょうか?
小テーブルの脚?それとも、ネジでいくつかをつないでポウポウ(Poupou、柱)としたのか?
いずれにしても、実際に使われていた品だと思われます。
80-100年前の物です。博物館へ入るほどの品ではなかったので、たまたま私のもとへやって来たのでしょう。
先の二つのテコテコは玄関先に、この品は机の上に置いて、コロナ退散を託すことにしましょう。