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遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金蒔絵小鼓紋三(四、五?)段重箱

2022年03月18日 | 能楽ー工芸品

小鼓紋金蒔絵が施された重箱です。

23.5㎝x22.0㎝、高 26.4㎝。江戸時代後期。

非常に豪華な金蒔絵が施されています。特注品かも知れません。

三段になっています(本来は四段の可能性が高い)。外が黒漆金蒔絵なのに対して、内側は朱塗りです。縁は、金泥。

以前紹介した段重の中に、下段の箱が他の箱より高い品がありました。今回の重箱も、下から、9.0㎝、7.9㎝、7.8㎝となっています。全体のバランスをとるために、下が厚くなっているのですね。また、縦横方向も長さに少し差があります。幅広い側が正面なのでしょう。

四側面の蒔絵を、反時計回りに見ていきます。

90度回すと。

裏正面。

さらに90度。

四面の模様が、横方向にぐるっと繋がっていることがわかります。もちろん、各面、三段の蒔絵も縦方向に繋がっています。つまり、この小鼓紋金蒔絵重箱は、箱側面全部をキャンバスにして、金蒔絵で小鼓を描いているのです。

各面を拡大して見ます。

 

 

 

かなり本格的な蒔絵です。

蓋にも豪華な蒔絵が施されています。上手の重箱で時々見られるように、この重箱にも同じ模様の蓋がもう一枚付いています。

 

.

写真では見ずらいですが、皮の部分には細かな装飾が施され、胴の内側や皮の中央は梨地になっています。四側面よりも力が入った蒔絵です。

しかし、蓋の図柄は完結していません。また、側面上部の模様も途中までです。本来なら、両者は繋がっているはずです。ところが、蓋の向きを変えても模様は繋がりません。元々は、もう一つ、四段目の箱(あるいは、さらにもう一段)があったのですね。それが失われて三段になっているのです。

こういう豪華蒔絵はかなりのお値段となり、私などの手の届かないところにあります。が、この品は手元に来ました。その理由は、四段目が欠けていることと、損傷がひどかったことによります。端々には、多くの捲れや欠けがあって、白い木地が露出し、みすぼらしい(要するに、ボロボロ)状態でした。木物の骨董では、白は汚れでしかありません。逆に黒は汚れを隠し、全体を引き締めます。ちょっとした傷は、黒色に塗ればなんとかなります。幸いにも、この品は黒漆を基調としています。凹部を埋め、黒漆を塗り、研きをかけました。金蒔絵の擦れ、剥がれは金粉を撒いてなんとか補修しました。かかった期間は3か月です。

手持の小鼓胴と並べてみました。左から、蓮蒔絵鼓胴(明治時代)、琵琶蒔絵鼓胴(江戸後期)、貝蒔絵鼓胴(江戸中期)。

蒔絵重箱も、なかなか良い線をいっています。

ここで初めて気がつきました。重箱に描かれた鼓は、本物よりかなりスマートです。特に、お椀型の受けの部分がほっそりとしています。良く知られているように、富士山は、実際よりもとんがった山に描かれることが多いです。人間の視覚心理のなせるわざでしょうか(^.^)

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またこんな物を買ってしまった ~刺さない?鍼〜

2022年03月16日 | 面白グッズ

また、こんな物を買ってしまいました。

「刺さない鍼(はり)」というふれ込みの品です。

実は、この品、NHK『ためしてガッテン』(2022/1/10「東洋医学ホントのチカラ」)で紹介されました。小さなシールを貼ると、頑固な痛みが劇的に改善するというのです。

今年の冬は例年になく寒さが厳しく、体のあちこちが痛くてたまりませんでした。

そこで、おおそうだあのシール、と珍妙好きの虫が騒ぎ出したのです(^^;

封筒に入れて送られてきたのはこれ。

説明書一枚とプラスチックの板(シール付)10枚です。

これで、1650円(^^;

 

 

説明書、左上の改訂年月日をみると、2014年に発売されたようです。話題の新製品かと思っていたのですが、かなり前から使われていたのですね。

小さなシール(写真左)を、冬の間ずっと痛かった左肩に貼りました。

さて、その効果は???

実は、ここ何日間、急に暖かくなって、肩の痛みもだいぶマシになっていたのです。で、効果の実感があまりないまま、2日経ちました。すると、シールを貼ったところが猛烈に痒くなりました。とても耐えられないので、ここで治験は終了。

シールの中央には、5mm位の大きさの丸いプラスチックがあります。拡大して見ると、小さな突起が200個ほど見えます。細く黒いものは、服の繊維です。私の体毛ではありません(^.^)

これが、「刺さない鍼」。金属の針と違って刺さることはなく、皮膚の表面を刺激するのですね。しかし、私の場合皮膚が弱く、刺激で痒くなってしまいました。

「刺さない鍼」は「痒くなる鍼」でした(^.^)

 

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小鼓紋朱塗菓子皿(5枚)

2022年03月14日 | 能楽ー工芸品

 小鼓模様の菓子皿、5枚です。

 

径 14.0㎝、高台径 7.4㎝、高 1.4㎝。時代不詳。

中央に、小鼓の皮が金で描かれています。純度の高い金が使われています。

少し沈んだ朱漆で全面が塗られています。そして、木目が控えめに生かされています。

この菓子皿の特徴は、薄さです。

外縁付近で1mm、中央部でも2mmほどの厚さしかありません。

こんなに薄く轆轤が挽けるのですね。厚紙よりもペラペラです。

持つとふわっと軽い(重さ38g)です。

底には、高さ3㎜ほどの高台が付いています。その厚さは、1mm以下です。

当然、剝いだ薄板を接着してあるのだろうと思っていたのですが・・・

本体の木目と高台の木目は繋がっています。

なんと、一個の木塊から、轆轤ですべて削り出してあるのです。なかなかの品です。

故玩館には、漆器や陶磁器は数多くあるのですが、今回の品は、そのうちで一番のお気に入りです。この小皿にお菓子をのせて、一人でいただくのが、下戸の私の贅沢です(^.^) これまで、いろいろな菓子をのせましたが、知りうる菓子情報はしれたものです。全国には、もっともっと逸品があるはず(^.^)

そこで、ブログ読者にお願いです。この菓子皿にのせたらどうか、と思われるお菓子をお知らせください。

お知らせいただいた方には、もれなく、『故玩館への招待』(論創社、2009年、全173頁)を贈呈します。

連絡は、メッセージを送る(頁左上)からお願いします(^.^)

 

 

 

 

 

 

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翁紋香盆

2022年03月12日 | 能楽ー工芸品

香盆と思われる木製黒漆盆です。

12.8㎝x33.4㎝x2.2㎝ 昭和?

時代など不詳ですが、品格のある品です。

描かれているのは、能『翁』の一節と扇、烏帽子です。

『翁』は、神が主人公の能ですが、古い時代の能の形式をとどめていて、神能(脇能)とは別の特別な能とされています。正式の能番組では、冒頭に演じられます。次が『翁』の脇の能、すなわち脇能(神能)です。

翁  「とうとうたらりたらりら。たらりあがりいららりどう
地 「ちりやたらりたらりら。たらりあがりららりどう
翁 「所千代までおハしませ
地 「我等も千秋さむらハふ
翁 「鶴と亀との齢にて
地 「さいわい心に任せたり
翁 「とうどうたらりたらりら
地 「ちりやたらりたらりら。たらりあがりららりどう
千歳「鳴るハ瀧の水。鳴るハ瀧の水日ハ照るとも
地 「絶えずとうたり。ありうどうどうどう
千歳「絶えずとうたり。常にたうたり(千歳の舞)
千歳「君の千年を經ん事も。
  「天津をとめの羽衣よ。鳴るハ瀧の水日ハ照るとも
地 「絶えずとうたり。ありうどうどうどう
翁 「あげまきやとんどや
地 「ひろばかりやとんどや
翁 「座して居たれども
地 「まゐらふれんげりやとんどや
翁 「ちはやふる。神のひこさの昔より。久しかれとぞ祝ひ
地 「そよやりちや
翁 「およそ千年乃鶴は。萬歳楽と歌うたり。また萬代の池の亀は。甲に三極を戴き。
  「渚の砂さくさくとして朝の日の色を朗じ。滝の水冷々と 落ちて夜の月鮮やかに浮んだり。
  「天下太平国土安穏。今日の御祈祷なり。ありはららや。なじょの。翁ども
地 「あれはなじょの翁ども。そらいづくの翁どうどう
翁 「そよや
翁 「千秋萬歳の。悦びの舞なれば。一舞まはふ。萬歳楽
地 「萬歳楽
翁 「萬歳楽
地 「萬歳楽

『翁』の謡いは、神歌とよばれています。これといったストーリーのない短い謡いであり、節づけなども単純です。要するに、めでたいなめでたいな、というだけの謡いです。しかし、実際に謡うとなると、相当の力量が求められます。謡いの等級としては、最上級、重習いです。呪文のような、よく意味のわからない言葉も多く出てきます。

木版画『翁』 明治時代。

この絵は、神に変身した翁が舞いを舞うところを描いています。

翁が、「ちはやふる。神のひこさの昔より。久しかれとぞ祝ひ」と謡っています。この部分が、盆に書かれています。

描かれているのは、扇と烏帽子です。

『翁』では囃子方を含め、全員が烏帽子を被ります

主な烏帽子は、翁の被る翁烏帽子(上図の右上)、千歳の侍烏帽子(上図、真中の一番下)、狂言方の剣先烏帽子(上図、真中、下から2つ目)です。

香盆に描かれているのは、翁烏帽子?チョッと違うようにも見えます。

『翁』の他の場面ではどうでしょうか。

木版画 河鍋暁翠『翁』 明治時代。

狂言方が三番叟、鈴之舞を舞っている場面です。盆に描かれている烏帽子は、この剣先烏帽子に似ています。しかし、剣先烏帽子には横線が入っているのが普通ですから、香盆の烏帽子に描かれた模様とは異なります。

結局よくわかりませんでした(^^;

まあ、こういう物は、堅い事をことを言わず、『翁』の雰囲気が感じとれれば良しとしましょう(^.^)

 

 

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木製鼓紋小鉢(5客)

2022年03月10日 | 能楽ー工芸品

木製の小さな器、5個です。

 

10.4㎝x7.8㎝、高2.5㎝。戦前?

木製の舟形容器です。小さい割りに手の込んだ造りです。

内朱、底黒塗りで、側面は木目をいかしています。

見込みには小鼓が描かれています。

これは、小菓子鉢?小皿?小鉢?

まあ、菓子をのせてもいけますが・・

先日の吸物椀のとの組合せの方がピッタリきそうです。小茄子の漬物などを置いたら、見た目もきれい(^.^)

 

 

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