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マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編

2008年09月20日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


「ニューヨーク恋物語」を書き始める時、自分なりに起承転結を考えていました。
そして細かな表現は、行きあたりばったりで、その時の気分で書いて来ました。


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けれど、大沢が今日子にプロポーズをする言葉だけは決めていて
それを最初から、HPの表紙に書いていました。
ところが、これを書いたばかりに、ここに持っていくまでが苦労しました。


小説とは、最後まで書きあげて、最もクライマックスのシーンを
「表紙の帯の部分」に持ってくるものなのに
私の場合は、帯の部分が出来ていて、中身が書けていなかった。


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素人ならではの「無知」な執筆。
今、3年前を振り返ると、その「無知」も懐かしいです。


さて、この物語もあと2章で終わりです。
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」のクライマックスシーンです。


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私が帯の部分として、最初からHPの表紙に書いた
セントラルパークを舞台にした、大切なシーンをここに書いて
今日の「まえがき」とします。


                 
              

「私 この世で一番大切なものがわかったわ。
 だからニューヨークに来たの。
 この街で、あなたと一緒に暮らしたい」


今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。


ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。


大沢はポケットから、指輪を取り出して
今日子の細い指にはめた。


「すぐに結婚しよう」


大沢はためらいもなく言った。


                               


今回の物語の挿絵の写真は、すべて私が撮ったものです。


尚、上の写真は
1  セント・パトリック教会
2  グランド・ゼロ
3  ブロード・ウエイ


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


                 

           
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」




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昨日の午後成田を発ったノースウエスト航空は
まもなくジョン・F・ケネディ国際空港に到着する。


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機上の人となった今日子は、機内ではほとんど眠れなかった。
大沢に会えると思うと、溢れる気持ちを抑えることが出来なかった。


時々自分の腹部に触れてみる。
ここに大沢との子供がいると思うだけで
今日子は何度も涙ぐみそうになった。


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妊娠のことを伝えれば、どんなに喜んでくれるだろう。
大沢はいつも大きな愛で、今日子を包んでくれた。


早く早くと、気持ちが急いた。
機内を走りたい衝動に駆られた。


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嬉しい報告をニューヨークで出来る。
今日子の気持ちは、次第に高まっていった。


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税関を通過して、空港の到着ロビーに行くと、大沢がいた。
大沢はすぐに、今日子を見つけてくれた。


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「久しぶり。 よく来たね。 今日子、会いたかった。」


「私もよ。 本当に会いたかった。」


二人はお互いの気持ちを確認しあった。
大沢は今日子を車に乗せると、空港をあとにした。


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大沢のアパートに着くと、今日子は目を輝かせた。
大沢がニューヨーク支店に転勤になって1年半。
ニューヨークにいる大沢を訪ねるのは初めてだった。


「ここがあなたのお城なのね。  思ったよりきれいだわ。」


「今日子に叱られるから、昨夜は思いっきり片付けた。」


「あなたはいつも一夜漬けね。」


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そう言いながら振り返ると、ふいに大沢に抱きしめられた。


大沢は今日子にキスをした。
甘くとろけるような大沢のキス。


横浜で過ごす一人の夜
今日子は、何度大沢の唇の感触を思い出したことか。
大沢のキスは、いつも蜜の味がした。


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「街に出て食事をしよう。 少し今日子を案内したい。」


 大沢のアパートから歩いてセントラルパークへ行った。


「この公園は、昼間芝生に座って日光浴や読書や
 ピクニックランチを楽しむ人が多いんだ。
 ニューヨークの人たちの心のオアシスなんだ。」


「セントラルパークは、毎日僕のジョギングコース。
 その向こうのカフェで朝食を済ませる。  明日の朝、一緒に来よう。」


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「目を閉じると、あなたの風を感じるわ。
 この街で息づいているあなたの風よ。
 私、ニューヨークに来てよかった。 本当に来てよかった。」


二人はセントラルパークをゆっくり歩いて行った。
秋の風が、肌に心地よい。


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二人はベンチに腰を下ろした。
今日子は大沢の顔を見て微笑んだ。


「どうしたの? 僕の顔に何かついている?」


大沢は今日子に尋ねた。
今日子は、なおも微笑みながら、大沢に語りかけるように言った。


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「私、赤ちゃんが出来たの。」


大沢は目を丸くした。
そして今日子を見つめた。


「メールで知らせなくてごめんなさい。
 でもこんな大切なこと、メールじゃなくて
 私、直接あなたに言いたかったの。
 そして二人で喜びを分かち合いたかったの。」


これまで何も言わなかった今日子だったのに
妊娠したことを大沢に告げると、堰を切ったように言葉が続いた。


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「もう母子手帳ももらったわ。
 来年の三月には、私たちの赤ちゃんが生まれる。
 私たち、パパとママになるのよ。」


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「私、この世で一番大切なものがわかったわ。
 だからニューヨークへ来たの。
 この街であなたと一緒に暮らしたい」


今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。


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ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。


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大沢はポケットから指輪を取り出して、今日子の細い指にはめた。


「すぐに結婚しよう。」


大沢はためらいもなく言った。


夢にまでみたニューヨークで今、今日子は大沢のプロポーズを受けた。
妻になる喜び、母になる喜びが、同時にやって来た。
今日子は大沢に肩を抱き寄せられると、涙が溢れて来た。


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それから二人は夜の街へと出かけた。


「今日子、ここがミッドタウンだ。
 世界に名だたるブランドショッピング街の5番街。
 エンターテイメントの最高峰のブロードウエイ。


 眠らない街の代名詞、タイムズ・スクエア。
 高層ビルが軒を連ねるビジネス街。
 今日子、今夜はニューヨークを感じてほしい。」


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「この街の熱気が伝わってくるわ。
 私もこの街が好きになれそうよ。」


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二人はタイムズ・スクエアの近くのレストランに入った。
久しぶりに向き合っての食事だった。


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いつもならワインかブランデーで乾杯する二人だったが
今日は二人とも、オレンジジュースをグラスに入れた。


「あなたまでオレンジジュースにすることないのに。」

「僕も、もうすぐパパになるから。」


大沢は訳のわからないことを言って、今日子を笑わせた。
ニューヨークでの初めての夜であった。


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食事が運ばれて来た。


「今日子、何でも食べられるの?」


「そうなの。 妊娠にも気づかないくらいで。
 夏風邪だと思って病院に行ったら、おめでただと言われた。」


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「今夜はしっかり食べて。 今日子は二人分食べなきゃ。」


「でもお医者さまは、太りすぎはよくないって言ったのよ。」


「セントラルパークで、今日子から聞いた時は驚いた。
 でも嬉しかった。
 僕は今日子をずっと待っていてよかった。」


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「神様は僕たちに、赤ちゃんまで授けてくれた。
 僕は人生で、今日ほど嬉しい日はなかった。


 これから僕のすべてをかけて、今日子を愛してゆく。
 僕を信じて、ついて来てほしい。」


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今日子もまた、今日ほど嬉しい日はないと思った。
妊娠を祝福してくれて、大沢にプロポーズされて・・・・
人生最良の日だと思った。


5日間の休暇はあっという間に過ぎていった。
今日子の帰国の日が来た。


あと1ヶ月もすれば、ニューヨークで二人の新婚生活が始まる。


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「セントラルパークの近くにある教会で、結婚式を挙げよう。
 今日子と僕とベイビーの三人の結婚式だ。」


「・・・・・  ・・・・・  ・・・・・。」


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「僕は、今日子のウエディングドレス姿を早く見たい。」


「・・・・・  ・・・・・  ・・・・・。」


今日子は幸せな時ほど、会話が続かないものだと思った。
言葉が出なくて、うなずくだけだった。
それでも今日子の気持ちは、大沢に伝わった。


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二人は部屋のカーテンを選んだり、台所用品を揃えたり
今日子のために、クッションのいいソファーも買った。


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ニューヨークの観光よりも、新しい生活に向けての準備に追われた。
けれど二人には、とても充実した時間だった。
そんな楽しい毎日は、あっという間に過ぎて行った。


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「10月半ばには、ニューヨークに来るから、あと1ヶ月待っていて。」


「わかった。
 今日子にはずいぶん待たされたから1ヶ月なんてすぐだよ。
 こんな幸せ、何だか夢じゃないかと思ってしまう。
 これは夢で、明日の朝起きたら、夢が消えていそうな気がする。」


「大丈夫よ。  夢じゃない。 現実だよ。
 今日子は、どこへも行かないし、消えたりしない。
 あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」


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今日子はそう言うと、大沢の車に乗った。
エンジンをかけると、車は空港へと走り出した。


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そして今日子は機上の人となった。


「あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」と言った言葉が
大沢の耳に、何度も何度もこだましていた。


最終章へ  続く・・・・


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