[go: nahoru, domu]



Google API Expert の皆様のご紹介、第 3 回は Google Wave API の Expert あんどうやすしさんです。

山崎: まずは自己紹介をお願いします。

あんどう: シーサーというブログの会社で主にブログじゃないものを作っています。何年か前の Google Developer Day のサポーターをやったご縁でいろいろあって今は Google Wave API のエキスパートをやらせてもらっています。

山崎: Google Wave は最近 Hack For Japan などでも使いましたね。

あんどう: はい。Google Wave の現状について勘違いしている人も多そうなので簡単に。まず、まだ Google Wave は終了していませんし、代替のサービスができるまで継続することが公式に発表されているので、近々終了するということもありません。まだ Google Wave に触ったことがない人がいれば、ぜひ一度試していただきたいと思います。

山崎:  それでは Google Wave API の魅力を教えてください。

あんどう: Google Wave API の魅力についてですが、この際正直に言えば Google Wave のサービスを拡張するための API にそこまで強い魅力は感じていませんでした。むしろはじめに API を強調しすぎたせいでどういったサービスなのかユーザーにわかりにくくなってしまった面もあり、最初はもう少し絞った API を公開すべきだったんじゃないかとさえ思っています。

ただ、Google Wave は元々 Google がホストする一つのサービスであると同時に、第三者が独自の Wave サーバーを作成してそれらを連携させるための仕様でもありました。私としてはそのプロトコルとしての Wave が非常に興味深いと感じていました。

これを読むような皆さんはおそらくご存知のとおり、Google Wave は昨年末に Google の手を離れ Apache Wave としてコミュニティ主導で開発が進むことが決まりました。これはサービスの普及という点ではもちろん残念というほかありませんが、これから Wave をどうしていくかについて開発者として積極的に関係する道ができたという意味では、むしろ一層面白くなったという気もしています。

山崎: これはと唸らされたアプリやサイトがあれば教えてください。

あんどう: Mashable の Google Wave API コンテストで最優秀だった Mr-Ray という拡張には Google Wave API を利用するとここまでできるのかと唸らされました。Google Wave とメールを連動させる拡張ですが、Google Wave のすべての API を駆使した非常に素晴らしいものになっているので、ご存知ない方はぜひ一度見ておいていただきたいです。

山崎: API Expert としての活動内容を教えて頂けますか?

あんどう: Google/Apache Wave の情報をメーリングリストで細々と流しています。

山崎: 直近で開催予定のイベントなどあれば教えてください。


あんどう: Wave の行く末が決まったのでこっそりお祝いしようかなと思いつつ何もやっていません。

山崎: ぜひお願いします。ところで、今これが熱い!というホットな話題、便利なツール、お勧めサイトはありますか?

あんどう: 年末に発表された「Google Shared Spaces」というサービスはちょっと面白いですね。Shared Spaces は要するに Google Wave ガジェットを Google Wave から独立して扱えるようにしたサービスなんですが、最近 Shared Spaces ガジェットを他のサイトに貼り付けることができるようになりました。これによって全く無関係なウェブサイトの間でガジェットを通じてリアルタイムにコミュニケーションできることになります(例:http://imagine-it.org/google/dolphin/embedexample.html)。これは Google Wave ではエンベッド API として実現されていたものです。個人的にはエンベッド API は Wave の 4 つの API の中で一番可能性を感じていたものなので、どういった形であれ再び表に出てきてくれたことは非常に嬉しいと思っています。

あと、Google Wave とは全然関係ありませんが、Kinect はかなり遊びがいがありそうです。

山崎: ご自身が作られて紹介したいアプリや本、API やイベントなどありますか?

あんどう: 史上最後の Google Wave 本「Google Wave 入門」を書きました。Google Wave はまだ終わってませんし、仮に終了したとしても 1 〜 3 章の背景とサービスの説明は歴史的資料として、4 章のガジェット API は OpenSocial や Shared Spaces で、ロボット API やデータ API は Apache Wave で利用でき、5 章のプロトコルは Apache Wave をハックするのに役に立ちます。ぜひとも購入して読んでいただけるととてもありがたいです。自分で言うのも何ですが、わりと頑張ってる本だと思います。

山崎: ありがとうございました!

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あんどうやすしさんのプロフィール:
シーサー株式会社でいつ肩を叩かれるかとおびえながら人には言えない仕事に
従事しています。一昨年のGoogle I/Oのはっぴょうに衝撃を受け、縁あって
一昨年の11月よりGoogle WaveのAPIエキスパートとして活動しています。Google
による開発は残念ながら中止になってしまいましたが、オープンソースになった
Waveにはこれまで以上に期待しています。








[Wave についての英語のブログ記事が公開されたため、Google Wave の API Expert のあんどうやすしさんに日本語訳をして頂きました。あんどうさん、ありがとうございます。-山崎]

2011 年の Wave

8 月にアナウンスした通り、独立したプロダクトとして Google Wave の開発が活発に続けられることはありませんが、オープンソースの Wave in a box プロジェクトには力を入れており、また Google Docs から wave にアクセスできるように活発に作業を続けています。

また、「2010 年 12 月 31 日が過ぎてもあなたの wave をホストできる適切な代替手段が利用可能になるまでは wave.google.com を維持し続けるつもり」だということを皆さんにお知らせしておきたいと思います。それまでの間は、新しいエクスポート機能を利用して一度に 10 個までの wave を zip に固めた状態でダウンロードできます。詳細については Google Wave Help Center をご参照ください。

さらに、Wave in a Box (誰もが自分自身の wave サーバーを簡単にホストできるようにするプロジェクト)は機能面とコミュニティの成長で大きな成果をあげています。つい先週、Apache Software Foundation が Wave を incubator の新しいプロジェクトとすることを承認したばかりです。

Wave を学校やビジネスやその他の組織で試してくださったすべてのユーザー、オープンソースプロジェクトとして次のステップに協力してくれる開発者の皆さんに、改めてお礼申し上げたいと思います。

Wave on,

Posted by David Wang, Software Engineer, Google Wave Team

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原文はこちら:
Waving in 2011

あんどうさんのコメント:
Google Docs からアクセスできるようにするというのは私にとっては新しい情報でした。来年も Wave にはいろいろと面白い動きがありそうですね。