[go: nahoru, domu]

[この記事は Philip Walton、デベロッパー プログラム エンジニアによる Google Developers Blog の記事 "Autotrack turns 1.0" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。]


Autotrack は analytics.js と合わせて使用するために作られた JavaScript ライブラリで、現在のモダンなウェブに関連する一般的なユーザー インタラクションをトラッキングする幅広いプラグインを提供するものです。

analytics.js 用の Autotrack の最初のバージョンは今年初めに Github でリリースされ、その後のデベロッパーの反応と採用は驚くべきものでした。プロジェクトのスターは 1000 個を超え、Autotrack を使用しているサイトは毎日数百万件のヒットを Google Analytics に送信しています。

本日(*原文公開当時)はうれしいことに、Autotrack バージョン 1.0 のリリースを発表することができます。これにはいくつかの新しいプラグインや既存のプラグインの改善、そして皆様のニーズに応えるために Autotrack をカスタマイズするたくさんの方法が含まれています。

注: Autotrack は公式な Google Analytics 製品ではなく、Google Analytics 360 のサポート対象にはなりません。Autotrack のメンテナンスは Google Analytics デベロッパー プラットフォーム チームが行っています。また、Autotrack は主にデベロッパーを対象としています。


新しいプラグイン

ここ数か月でデベロッパーから受け取ったフィードバックやさまざまな機能リクエストに基づき、以下の新しい Autotrack プラグインを追加しました。

Impression Tracker

Impression Tracker プラグインを使うと、ブラウザのビューポート内に要素が表示されたことをトラッキングできます。これによって、特定の広告やアクションにつながるボタンがユーザーの画面に表示されたかどうかを確実に判断できるようになります。

従来から、ウェブのインプレッション トラッキングは実装が難しいものでした。特に、サイトのパフォーマンスを悪化させないトラッキングは困難でした。このプラグインは、そういった種類のインタラクションを高パフォーマンスでトラッキングするためにデザインされた新しいブラウザ API を活用します。

Clean URL Tracker

URL を変更せずにページビューを Google Analytics に送信するようアナリティクスを実装している場合、レポートに同じ場所を指す別々のページパスが現れるという問題を経験することになるでしょう。以下に例を示します。
  • /contact
  • /contact/
  • /contact?hl=en
  • /contact/index.html
Clean URL Tracker プラグインを使うと、お好みの URL 形式(末尾のスラッシュの削除、index.html ファイル名の削除、クエリ パラメータの削除など)を設定し、Google Analytics に送信する前にプリファレンスに基づいて自動的にすべてのページの URL をアップデートすることでこの問題を回避します。

注: Google Analytics に送信する URL は、Google Analytics のビュー設定でビュー フィルタを設定することでも変更できます。


Page Visibility Tracker

ウェブサイトにアクセスしてから、未使用のブラウザのタブで何時間、場合によっては何日もページを開きっぱなしにするユーザーも珍しくなくなってきています。ユーザーがサイトに戻ったときにページをリロードすることはほとんどありません。サイトがコンテンツをバックグラウンドで取得するようになっていればなおさらです。

デフォルトの JavaScript トラッキング スニペットだけで実装している場合、この種のインタラクションをトラッキングすることはできません。

Page Visibility Tracker プラグインは、ページビューを認識するためにモダンなアプローチを利用します。これによって、ページのロードだけでなく、ページの可視性の変化(タブがバックグラウンドになったり、フォアグランドになった場合)もトラッキングできるようになります。こういった追加インタラクション イベントによって、ユーザーがサイトでどのように行動しているかをさらに詳しく分析できるようになります。

アップデートと改善

Autotrack に追加された新しいプラグインに加え、既存のプラグインにもいくつかの大きな改善が行われています。最もわかりやすいのは、ニーズに合わせてプラグインをカスタマイズできる機能です。

Google Analytics にデータを送信するすべてのプラグインは、どのフィールドを送信するかを 100% 正確に制御できるようになっています。また、送信したくないものを削除することもできます。これによって、高度なユーザーはヒットに対して独自のカスタム ディメンションを設定したり、インタラクション設定を変更して直帰率を測定する方法を改善することができるようになります。

以前のバージョンの Autotrack からアップグレードするユーザーは、アップグレード ガイドの完全な変更点リストを参照してください(注: 以前のバージョンと互換性のない変更もあります)。

Autotrack の利用効果が期待されるサイトとは

Autotrack を最初にリリースしてから一番多く受けた質問は、どのようなサイトで最も利用効果が期待できるかという質問かもしれません。とりわけ、さらに高度な Autotrack 機能を使用したい Google Tag Manager ユーザーは、そのような疑問を持つことが多かったはずです。

Autotrack は、Google Analytics で高度なトラッキング技術を活用して効率化を図りたいデベロッパー向けのプロジェクトであり、主にデベロッパーを対象としたものです。既にウェブサイトで analytics.js を使用している、またはコードで実装しているトラッキングの管理を改善したい小規模から中規模のデベロッパー チームには適するでしょう。

複雑なコラボレーションやテストが必要となったり、Google Analytics が対応していないタグ付けを行う必要がある大規模なチームや組織は、Google Tag Manager の利用をご検討ください。現在 Google Tag Manager は Autotrack に含まれるようなカスタムの analytics.js プラグインをサポートしていませんが、同じトラッキング技術の多くは Tag Manager のビルトイン トリガーを利用すると簡単に実現できます。また、その他の機能も、サイトのカスタムコードに基づくデータレイヤー イベントや Google Tag Manager のカスタム HTML タグをプッシュすることで実現できる可能性があります。Google Tag Manager ヘルプセンターの Google Analytics イベントをご覧いただくと、クリックやフォームの送信に基づく自動イベント トラッキングについて詳しく学ぶことができます。

次のステップ

現在 Autotrack を利用しておらず、新しく使ってみたいという方は、ドキュメントのインストールと使い方のセクションを参照してください。既に Autotrack を利用しており、最新バージョンにアップグレードしたいという方は、まずアップグレード ガイドをご覧ください。

Google Analytics のデモとツールのサイトには、Autotrack 利用データを示すレポートがいくつか掲載されているので、Autotrack でどのようなデータを取得できるかについてイメージを得られます。さらに理解を深めたい場合は、Autotrack ライブラリを直接参照してください。これはオープンソースで、学習に役立つ、優れたリソースです。プラグインのソースコードにひととおり目を通せば、そこで analytics.js の高度な機能が利用されていることが理解できるでしょう。

最後に、この機能に関するフィードバックや提案があれば、遠慮なくお知らせください。バグや問題点は、Github から報告できます。


Posted by Eiji Kitamura - Developer Relations Team

[この記事は Philip Walton、デベロッパー プログラム エンジニアによる Google Developers Blog の記事 "Introducing Autotrack for analytics.js " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。]


Google Analytics 公開当初の頃と比べ、ウェブは大きく変化しました。当時は、ほとんどのウェブサイトは個別ページから構成されており、あるページから別のページに移動するためには、リンクをクリックしてページ全体をリクエストする必要がありました。そのため、ほとんどのサイトでは、JavaScript のトラッキング スニペットが 1 つあれば、大多数のユーザーの操作を追跡できました。

しかし昨今のウェブは、当時に比べるとずっと複雑で変化に富んだものになっています。旧来の静的なウェブサイトだけでなく、機能満載のウェブ アプリケーションも存在します。ユーザーが実行する操作は、リンクのクリックやフォームの送信に限定されなくなり、「ページビュー」も、必ずしもページ全体を読み込むとは限らなくなっています。

ウェブがこのように変化を遂げる一方で、アナリティクスの実装はさほど変わっていません。Google Analytics ユーザーのほとんどは、デフォルトのトラッキング スニペットをコピーしてサイトのページに貼り付けるだけで満足しています。Google Analytics にはデフォルト以外の機能もたくさんあることは知っていながら、そういった機能を学ぶための時間はつい後回しになってしまうのです。

この問題への新たな解決策となるのが、analytics.js 向けの Autotrack です。Autotrack は、Google Analytics の機能を最大限に活用しますが、実装のための手作業は最小限で済みます。このツールは、今日のモダンなウェブのデータを追跡する基盤をデベロッパーに提供します。

機能

Autotrack ライブラリは、analytics.js プラグインの集合体であるため、ライブラリ全体をそのまま利用することも、必要なプラグインのみを選んで使用することも簡単にできます。以下のセクションでは、Autotrack が実現する機能をいくつか取り上げて説明します。

サイト外へのリンクとフォームの追跡

あるサイトで、ユーザーが別のページを指すリンクをクリックすると、通常はそのページが開いた際にページビューが送信されます。一連のページビュー情報が存在しているため、Google Analytics はユーザーが(どのページから)どのページに移動したのかをバックエンドで判断できます。ただし、ユーザーがクリックしたリンク先やフォームの送信先が外部ドメインだった場合、Google Analytics に対して個別に情報を提供しない限り、そのアクションは捕捉されません。

かつては、外部ドメインへのリンクやフォーム送信の追跡の実装は困難でした。ほとんどのブラウザでは、新しいページの読み込みを開始すると、現在のページ上の JavaScript の実行を停止するからです。Autotrack がこうした複雑な問題に対処するため、自由に外部ドメインへのリンクやフォーム送信の追跡が行えるようになります。

シングルページ アプリケーション上の URL の変更追跡

コンテンツを動的に読み込み、History API を使って URL を更新するシングルページ アプリケーションを構築している場合、デフォルトのトラッキング スニペットでは不十分です。デフォルトのトラッキング スニペットは、最初のページ読み込みだけしか追跡しません。たとえ、新しいコンテンツを問題なく読み込んだ際にページビューを送信するようにしても、まだ厄介な問題が発生する可能性があります。

Autotrack は History API を使用した URL の変更を自動的に検出し、それをページビューとして追跡します。トラッカーは更新された URL に同期されるため、それ以降のヒット(イベント、ソーシャル インタラクションなど)もすべて正しい URL に関連付けられます。

宣言型のイベント トラッキング

手作業で JavaScript のイベントリスナを書くよりも、明示的にイベントを HTML に追加する方が容易な場合があります。最も典型的な例は、単純なクリック イベントの追跡です。Autotrack では、マークアップにデータ属性を追加するだけでクリック イベントを追跡できます。
 <button data-event-category="Video" data-event-action="play">Play</button>  

ユーザーが上記のボタンをクリックすると、対応するカテゴリやアクションとともに、イベントが Google Analytics に送信されます(オプションでラベルや値も含めることができます)。

メディアクエリのトラッキング

最近は、ほとんどのサイトでレスポンシブ デザインが採用されており、ユーザーが使っているデバイスの画面サイズや機能に応じてページ レイアウトが更新されるようになっています。メディアクエリを使ってページの外観や機能を変更する場合、メディアクエリの情報を取得することが重要です。そうすることによって、有効になっているメディアクエリに応じて使用方法がどう変わるのかをより深く理解することができます。

Autotrack を使用すると、使用されるメディアクエリの値のセットを取得できます。この値のセットは、カスタム ディメンション経由で自動的に追跡されます。さらに、値が変化したことも追跡できます(メディアクエリを使ったトラッキングを実行する場合は、Google Analytics でカスタム ディメンションを設定しなければならないことに注意してください。設定のプロセスはほんの数分で済みます。また、設定の手順は mediaQueryTracker プラグインのドキュメントで説明されています)。

以上で説明した機能は、Autotrack で実現できる機能のほんの一部です。すべてのプラグインの一覧とその使い方の説明は、Github にある Autotrack のドキュメントをご覧ください。

Autotrack の利用効果が期待されるサイトとは

Autotrack は誰でも利用でき、どんなサイトにも効果がありますが、このライブラリは主に、現在のアナリティクスの実装をカスタマイズしておらず、ここまでで説明したような機能を利用したいサイトのために設計されています。

現在デフォルトのトラッキング スニペットだけを使用している場合、Autotrack の利用を検討してみる価値があるでしょう。Google Analytics の実装に既にカスタマイズを加えている場合は、まずドキュメントを参照し、その実装と Autotrack の機能が衝突しないかどうか、二重にカウントされるデータがないかどうかを確認してください。

次のステップ

Autotrack を利用する際は、ドキュメントの「使い方」のセクションを参照してください。Autotrack がどのようなデータを捕捉するのかについて関心のある方は、Google Analytics Demos & Tools サイトを参照してください。このサイトは Autotrack を利用しており、このサイト自身に対して Google Analytics を実行したデータをグラフで表示しているページがあります。

さらに理解を深めたい場合は、Autotrack ライブラリを直接参照してください。これはオープンソースで、学習に役立つ、優れたリソースです。プラグインのソースコードにひととおり目を通せば、そこで analytics.js の高度な機能が多用されていることが理解できるでしょう。

最後に、この機能に関するフィードバックや提案があれば、遠慮なくお知らせください。バグや問題点は、Github から報告できます。

Posted by Eiji Kitamura - Developer Relations Team