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この記事は Web Ecosystem Consultant - Saurabh Rajpal, Swetha Gopalakrishnan による web.dev の記事 "The business impact of core web vitals" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
LCP、FID、CLS

Core Web Vitals の採用について、ステークホルダーをなかなか説得できなかったり、実際にビジネスに役立つかどうか疑問に思ったりしていませんか?この記事では、すでにユーザーやビジネスに好影響が出ている企業の例を紹介し、Core Web Vitals と重要なビジネス指標にどのような相関関係があるのかをわかりやすく説明します。

動画で見たい方は、Google I/O のこちらのトークをご覧ください(日本語字幕付き)。

Core Web Vitals がユーザーやビジネスにとって重要な理由 #

組織では、ステークホルダーによって優先度が異なる場合があります。Core Web Vitals を導入すると、ユーザー中心の指標の最適化と、その結果としてのビジネスの成長に重点を置くことで、全員で共通の認識を持つことができます。

CWV について考える

Core Web Vitals のスコアを上げるまでの道のりは、サイトのパフォーマンスが現在どの段階にあるか、デザインがどれだけ複雑かによって、サイトごとに異なります。すぐにたやすく取り組めて有意義な結果につながる場合もあれば、複雑なソリューションを実装して困難な問題を解決しなければならない場合もあります。意思決定者は、費やす時間にかかわらず、これをビジネスの成長のための長期的な投資として扱うべきです。高速でシームレスなナビゲーション体験を提供すれば、ユーザーは喜び、忠実なリピーターになります。プロダクト マネージャーにとって、パフォーマンスは新しいプロダクト機能の質と成功を定義する重要な基準です。また、優れたプロダクトを生み出すことや、やりがいのある課題に取り組むことは、デベロッパーの満足度の向上にもつながります。

ランキング シグナルとしての Core Web Vitals は、パフォーマンスに時間をかけて取り組むもう 1 つの動機となりますが、Core Web Vitals を採用すると、ランキングにとどまらず、さまざまな短期的、長期的メリットが得られます。Core Web Vitals を(ランキングに反映される前に)採用したいくつかのグローバル ブランドやローカル ブランドの事例を確認してみましょう。採用の理由は、Core Web Vitals がユーザー エクスペリエンスに注目しているからです。

ケーススタディ #

Vodafone #

Vodafone(イタリア)は、LCP を 31% 改善することで、売上が 8% 増加しました。

売上が 8% 増加

テクニック #

  • 重要な HTML をサーバー側でレンダリング
  • レンダリングをブロックする JavaScript を削減
  • イメージ最適化テクニック
  • ヒーロー イメージのサイズ変更、重要でないリソースの遅延読み込み

重要な教訓 #

  • 結果の有意義性を測定するには A/B テストが最適
  • A/B はサーバー側で行う

iCook #

iCook は、CLS を 15% 改善することで、広告収入が 10% 増加しました。

広告収入の増加を示すグラフ

テクニック #

  • 広告ユニットのサイズ変化を減らして、UI で固定サイズの広告スロットをあらかじめ割り当てる
  • 広告スクリプト読み込みロジックを最適化してヘッダー入札を優先する、重要でない JS の遅延読み込みをする

重要な教訓 #

フィルレートに影響が出る可能性があるが、広告の視認性が上がるにつれて収益が向上する

Tokopedia #

Tokopedia は、LCP を 55% 改善することで、平均セッション時間が 23% 増加しました。

改善前 3.78 秒、改善後 1.72 秒

テクニック #

  • LCP 要素をサーバー側でレンダリング(SSR)
  • LCP 要素のプリロード
  • イメージ最適化(圧縮、WebP、重要でないイメージの遅延読み込み)

重要な教訓 #

  • パフォーマンス モニタリング ダッシュボードを構築し、すべてのチームの進捗と影響を監視
  • さまざまなレンダリング テクニックの実験(例 : LCP 要素を SSR、スクロールせずに見える範囲を SSR、フル クライアント側 レンダリング)

以上のケーススタディから、ベスト プラクティスを採用してすばやく成果を上げることで、大きな効果が得られることがわかります。この点に関する実例を、さらにいくつか紹介します。

GEDI は CLS を 77% 削減することで直帰率が 8% 減少、Lazada は LCP を 3 分の 1 にすることでモバイルのコンバージョン率が 16.9% 増加、GYAO は LCP 約 3 分の 1 にすることでクリックスルー率が 108% 増加

以上の結果は、以下のようなすぐにたやすく行えることを実施した結果です。

イメージ最適化 JavaScript 最適化 広告と動的コンテンツ
WebP 画像形式の利用 サードパーティ JS の遅延読み込み スクロールせずに見える範囲の広告スペースを予約
イメージ CDN の利用 レンダリングをブロックする未使用 JS の削除 動的コンテンツの高さを設定
圧縮 重要でない JS の遅延読み込み
重要でないイメージの遅延読み込み 重要な JS のプリロード
ヒーロー イメージのプリロード
アスペクト比の指定

その他のベスト プラクティスについては、Web Vitals ガイダンスを参照してください。PageSpeed Insights を使うと、ウェブサイトを監査して即座に実用的な推奨事項を確認できます。

ほかにもいくつものグローバル ブランドが Core Web Vitals に投資して、そのメリットを享受しています。

対応を始めるには #

ステップ 1: 測定を始める #

最初に、フィールド ツールを使ってサイトを計測しましょう。Google を含むプロバイダが、さまざまなツールを公開しています。

Google 製ツール #

  • Search Console
  • PageSpeed Insights
  • web-vitals JS
  • Chrome ユーザー エクスペリエンス レポート

サードパーティ製ツール #

  • Cloudflare
  • New Relic
  • Akamai
  • Calibre
  • WebPageTest
  • Blue Triangle
  • Sentry
  • SpeedCurve

皆さんにとって最適なツールを選択してください。もう一歩踏み込んで Google アナリティクス 4 を組み込むことで、Core Web Vitals とビジネス指標の相関関係を確認することもできます。

ステップ 2: ステークホルダーを説得する #

  • Core Web Vitals を採用してユーザー エクスペリエンスを改善することの重要性と、それが企業のビジネス指標に関連していることを、ステークホルダーに説明する
  • 社内で支援者を募り、小規模な実験を始める
  • すべてのチームで Core Web Vitals を改善するために、すべてのステークホルダーで共通の目標を定める

ステップ 3: 以下のヒントを活用して実装を成功に導く #

  • 優先度 : 有意義な結果につなげるため、トラフィックが高いページやコンバージョンへの影響が大きいページを選択する(広告ランディング ページ、コンバージョン ページ、人気のページなど)
  • A/B テスト : レンダリング コストの発生を避けるためにサーバー側でのテストを利用し、最適化したバージョンと最適化していないバージョンの結果を比較する
  • 監視 : 継続的なモニタリングをし、リグレッションを防ぐ

最後になりますが、Google では、パフォーマンスは目的ではなく過程であると考えています。そのため、注目すべき最新のケーススタディを紹介できるように、今後もこの記事を更新する予定です。ビジネスですばらしい成功を収め、この記事で取り上げてほしい事例がある方は、コンテンツの提案をお送りください


Reviewed by Eiji Kitamura - Developer Relations Team

この記事は The AMP Blog の記事 "Correlation between Core Web Vitals and AMP" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

編集者のメモ : 以下の抜粋記事の出典は、Google のデータ サイエンティスト、Sixing Chen による HTTP Archive Blog への投稿です。より広い AMP コミュニティで共有するため、著者の許可を得た上で以下に転載します。詳細については、出典元のブログ投稿をご覧ください。

はじめに

HTTP Archive Blog に掲載された最近の分析は、Core Web Vitals(CWV)とさまざまなウェブの特性との相関関係に着目しています。CWV はウェブ体験の質を表し、Google が特に重視する指標です。この調査では多くの技術を分析しており、因果関係を示唆するものではありませんが、AMP に関する結果は早い段階で AMP の大きな可能性を示しています。すなわち、AMP はユーザーにすばらしい体験を提供し続け、デベロッパーにとって費用対効果の高いソリューションとなる可能性をもっています。

この調査の目的は、「さまざまなウェブ開発の選択肢を評価する際の参考として、CWV とウェブの特性との関連性について理解を深めるために役立ててもらうこと」にあります。この調査では、HTTP Archive のデータを使用して、CWV といくつかのウェブ技術(JavaScript フレームワーク、JavaScript ライブラリ、CMS、UI フレームワーク、ウェブ フレームワーク、ウィジェットなど)との相関関係を分析しました。 

AMP についての結果を以下に掲載します。斜体になっている部分は、すべて元の調査からの転載です。 

結果

ここでは、関連性についての結果を示すとともに、特に CWV への影響が大きいと思われる特徴的な点について記載します。

関連性についての結果を解釈するうえで重要な点があります。それは、特定のウェブ特性への正の影響と負の影響は、他のウェブ特性との比較においてのみ、また、多くのウェブ技術、多種多様なコンテンツ、さまざまなサードパーティ リクエストが混在したウェブサイトという前提でのみ解釈すべきであるという点です。たとえば、あるウェブ技術が強い正の影響を示していた場合、その技術は他の技術と比べてパフォーマンスが優れているようだと解釈すべきです。その技術をウェブサイトに導入すれば、ウェブのパフォーマンスが向上すると解釈することはできません。

LCP

LCP は数値の対数としてモデリングするので、高いほど悪いことになります。

%HSM 値が 1 に近い予測値は、数値 / カウントの特性値が高いことを示します。つまり、その技術の存在と高い LCP 値には強い関連性があります。%HSM が 0 に近い予測値では、その逆が成り立ちます(%HSM が高くなるほど悪化する)。

同様に、MSD が比較的大きな正の数である予測値は、数値 / カウントの特性値が高いことを示します。つまり、その技術が存在すると、LCP に強い負の影響を与えます。MSD が大きな負の数である予測値では、その逆が成り立ちます(MSD が大きな正の数になるほど悪化する)。

ほとんどの JavaScript フレームワークは LCP と強い正の相関を示すので、悪影響が生じることになりますが、AMP は例外です。特に影響が大きいのは、AngularJS、GSAP、MooTools、RequireJS です。

CLS

CLS は、与えられたしきい値を満たすかどうかを示すバイナリ インジケーターとしてモデリングします。1 はウェブサイトの CLS が 0.1 未満、0 はそれ以外であることを示します。そのため、1 は 0 より優れています。

%HSM 値が 1 に近い予測値は、数値 / カウントの特性値が高いことを示します。つまり、その技術の存在と CLS がしきい値を満たすことに強い関連性があります。%HSM が 0 に近い予測値では、その逆が成り立ちます(%HSM が低くなるほど悪化する)。

同様に、MSD が比較的大きな正の数である予測値は、数値 / カウントの特性値が高いことを示します。つまり、その技術が存在すると、CLS がしきい値を満たすことに強い正の影響を与えます。MSD が大きな負の数である予測値では、その逆が成り立ちます(MSD が大きな負の数になるほど悪化する)。

いくつかの JavaScript フレームワークは、CLS がしきい値を満たすことと強い負の相関を示すので、悪影響が生じることになります。ただし、AMP、GSAP、React では相関性と影響が低くなっています。AngularJS、Handlebars、Vuejs は特に負の影響が強いものでしょう。

AMP にとっての意味

AMP Project の目的は、常にユーザー ファーストな体験を作れるようにデベロッパーをサポートすることにあります。AMP Performance Working Group は、ウェブ上の AMP ページのパフォーマンスを継続的に管理し、定期的に AMP ライブラリのパフォーマンスを強化するアップデートをています。また、AMP は常に最新の状態を維持するライブラリなので、デベロッパーは何の追加作業も必要なく改善点を活用できます。AMP Project には、デベロッパーが簡単に Core Web Vitals のしきい値を満たせるようにするという役割があります。それを果たしている証拠として、上のような相関性についての調査結果を確認できることは私たちの喜びです。 

Google 検索では、ランキングにおけるページ エクスペリエンス シグナルの利用がまもなくロールアウトされる予定です。それに向けて、AMP はウェブ パフォーマンスのベスト プラクティスの遵守に役立っており、すべての AMP ページが Core Web Vitals に準拠できるように最大限のチャンスを与えています。私たちは、そこまで到達できたことをうれしく思っています。以上のような理由から、デベロッパーの皆さんには AMP ページ エクスペリエンス ガイドの活用をお勧めしています。このガイドは、アクションにつながるアドバイスを AMP デベロッパーに提供し、AMP ページのページ エクスペリエンスの改善に役立つツールです。 

いつものように、問題や機能リクエストがありましたらお知らせください。AMP ページ エクスペリエンス ガイドに関することは、特に遠慮なくご連絡ください。


Reviewed by Chiko Shimizu - Developer Relations team