[この記事は Timothy Jordan、デベロッパー アドボケートによる Android Developers Blog の記事 "Building for Android Wear: Depth and Flexibility" を元に、萩倉が翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。]

Android Wear では、最近とても多くのアップデート進化がなされているため、概要をまとめてこちらでお伝えします。その進化はまだ終わっておらず、今後さらに多くの機能が追加されていきますので、ここで説明するのは現時点での概要です。Android Wear の開発を始めるうえでもそのまま続けるうえでも、その画期的な使い心地を実現するための参考にしてください。

Android Wear プラットフォームでは、奥行き(depth)と柔軟性(flexibility)を強調しています。使い慣れた API を使用して、便利で高性能な、アイデアに富んだアプリを Android が組み込まれた時計で実行できます。Android の基本的な考えに則り、カスタム ウォッチ フェイスの作成など、ユーザーの使用感が変わるような変更を自由に行うことができます。そうした変更は主に、アプリ、ウォッチ フェイス、通知の 3 つのカテゴリで行えます。

アプリ

Android Wear で作成されるアプリは時計で直接実行され、走った距離の計測からバスを待つ間の息抜きまで、携帯端末でできることとほぼ同じことができます。フィットネスや音楽アプリなどは、携帯端末への接続すら必要ありません。携帯端末とウェアラブル端末でデータを移行したり、おもしろくて柔軟な UI を作成したりするためのライブラリも提供されています。次のような優れた機能を使うことができます。


機能 ドキュメント
全画面でのタッチ操作によるアクティビティ Creating Custom UIs for Wear Devices
通知とカスタム アクション UI Patterns for Android Wear
カスタム ウォッチ フェイス Creating Watch Faces
丸い端末や四角い端末向けのレイアウト Creating Custom UIs for Wear Devices
OpenGL Displaying Graphics with OpenGL ES
センサー
  • アクセレロメーター(Accelerometer)
  • ジャイロスコープ(Gyroscope)
  • コンパス(Compass)
  • バロメーター(Barometer)
  • 心拍センサー(Heart rate sensor)
SensorManager
触感 Vibrator
マイクロフォン AudioRecord
音声アクション Adding Voice Capabilities
GPS Detecting Location on Android Wear
オフラインでのデータ保存 / 音楽 Transferring Assets
メディア再生コントロール MediaSessionMediaController
Android 5.0 API 21 でのフレームワーク Android 5.0 APIs
スタンドアロン アプリや同期されたアプリ Sending and Syncing Data

ウォッチ フェイス

カスタム ウォッチ フェイスを作成すれば、ユーザーの個人的な端末で際立つ UI 要素を使うことができます。シンプルな API ですばやくウォッチ フェイスを構築でき、パーソナライズも柔軟に行えます。つまり、Android プラットフォームの奥行きと柔軟性によって、美しく独特な機能がユーザーに提供されます。

開発工程はまずデザインから始まりますが、自分のデザインを簡単に Android に適用できます。Watch face API の主要機能として onDraw メソッドがありますが、そちらを使えばキャンバスで思い描いたデザインを高フレームレートで描くことができ、流れるようなアニメーションを実現できます。これは、時計がインタラクティブ モードであれば完全な忠実さで行うことができます。

アンビエント モードのときは、より控えめにウォッチ フェイスを描画します。その他の環境設定でも、お使いのデザイン応じた UI 要素を用いるように設定できます。さまざまな基礎機能が提供されていますので、あとはユーザーの想像力だけです。月の満ち欠け、気象情報、フィットネス データなども追加できます。こうした機能は、時計職人からは「コンプリケーション」(複雑なもの)と呼ばれますが、Android ではそれほど複雑ではありません。時刻と同じように、データがあればそれをキャンバスに描くだけです。

通知

Android Wear の通知はウェアラブル開発のはじめの一歩と言えます。Android アプリで通知を作成した場合、身につける時計端末でもそのまま動作します。通知に何らかのアクションを加えている場合、ウェアラブルではさらに効果的です。これらもそのまま動作します。スタック、ページ、音声応答など、ウェアラブルに特有の機能を使うことで、腕時計で通知をより豊かに表現できます。

Android プラットフォームの機能や柔軟性のおかげで、Android Wear でもさらに快適な使い心地が実現します。使い始めれば、ユーザーに素晴らしい UI を届けられます。同時に、時計の種類や、時計を身につける人々と同じように多種多様な操作性で、そのエコシステムを築いていくこともできます。


詳細についてはビデオドキュメントををご覧ください。また、Android Wear のデベロッパー コミュニティでご意見などもお待ちしています。Android Wear で皆さんが作成する、かつてない作品に出会うのを楽しみにしています。

Posted by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team